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2018年04月04日

場合の数と確率。順列について。

場合の数と確率。順列について。


初夏を思わせる陽気が続いていますので、涼を呼ぶ雪景色を。

さて、今回は、高校数Aレベルの「場合の数と確率」の話です。

問題 0,1,2,3,4,5の6個の数字を一度ずつ用いて4桁の数を作る。
(1) 4桁の数は何個できるか。

この問題は、0を含んでいるので注意が必要です。
4桁の数の千の位には0を用いることができません。
千の位が0の数は、4桁の数ではないからです。
それは3桁の数となってしまいます。
したがって、千の位に置くことができる数字の候補は、0を除く5通り。
その先は、樹形図をイメージしながら式を立てていきます。
千の位の5通りの候補それぞれに対して、百の位に置くことができる数字の候補は、千の位に使った数字を除きますが、0は用いていいので、同じく5通り。
十の位は、既に使った2個の数字を除いて、4通り。
一の位は、既に使った3個の数字を除いて、3通り。
したがって、式は、5×5×4×3となります。

これを順列の記号Pを用いて表すならば、
最初の千の位の選び方として5P1。
残る3桁の選び方として、5P3。
よって、5P1・5P3となります。

上の5×5×4×3ならばよく理解できる子が、5P1・5P3という式を見た途端にうろたえて、「わからない」「わからない」「わからない」とつぶやき始めることがあります。
それが、「場合の数」の学習の恐ろしさの第一段階。
同じことを別の表し方をしただけなので、わからないことは何1つないはずなのですが、一度わからないと思い込んでしまうと、何もかもわからないと感じ始めるようなのです。

5P1とは、「5つのものから1つを選んで並べる順列」という意味です。
半角の数字は、実際はもっと小さく、Pの下半分の位置に書きます。
5P1は、千の位の数字の選び方を表しています。
次に、そのそれぞれに対して、残る5個の数字の中から百の位の数、十の位の数、一の位の数の3個を並べていきます。
「5つのものから3つを選んで並べる順列」となります。
それが、5P3です。
5P3=5×4×3 となります。

ところで、「場合の数」の学習では、このようにかけ算をやたらと繰り返すようになり、「×」の記号を書くことが鬱陶しくなってきます。
もともと、文字xと紛らわしかったので、そろそろ何とかしたい。
中学の数学では、「÷」の記号が消えました。
わり算は分数で表すようになりました。
高校数学になると、「×」の記号が消えます。
「×」の代わりに、「・」と書くようになります。
したがって、5×5×4×3は5・5・4・3と書きます。
書き易くて便利です。
リズミカルに書いていけます。

次の問題。
(2)4桁の偶数は何個できるか。

さらに難度が上がりました。
この問題は、まず「偶数」という条件を考えます。
偶数というのは、どういう数のことだろう?
その性質を考えるのがコツです。
一の位が偶数であればその数全体は偶数です。
他の位の数は奇数でも偶数でも構わないのです。
そういう知識が頭の引き出しに入っていて、すぐに活用できれば大丈夫です。
この問題をスラスラ解ける子は、自力で解き方を発想しているというわけではありません。
一度解いた問題の解法を記憶しているのです。
それは、解き方を丸暗記している、というのとは少し違います。
考え方が頭の中にストックされているのです。
思考力といっても、ゼロから何かを生み出すことは不可能です。
素晴らしい定理を発見した天才数学者は、その定理の前提となる知識は身に付けていたから偉大な定理を発見できました。
知識ゼロの素人の思い付きが素晴らしい定理の発見につながったわけではありません。
知識は発見の泉。
知識のない状態で思考力は育ちません。

「どうやったら数学ができるようになるの?」
と根本的な問いかけをされることがたまにありますが、そういう質問をする子の頭の中には、数学的な考え方があまりストックされていないのかもしれません。
「偶数」という条件が問題にあるときに、偶数とはどのような性質のものであるかを考えるための素材が頭の中にないのです。
そうした考えるための素材を頭の中にストックするには、本人の意志が必要です。
頭の中に残りかけた数学的知識を定期的に「ゴミ箱」に移し、消去を繰り返していないでしょうか。
そうしないと頭がスッキリしない?
他のことが記憶できない?
・・・・人間の脳はそんなに容量の小さなものではないから、数学の知識は画面トップに散らばっていても大丈夫です。

必要のない知識を、脳はこまめに消去してしまいます。
それは本人の意志に反して脳が勝手にやっています。
ただし、脳に対して「それは消したらダメな記憶だよ」と指令を出すことはできます。
反復すれば良いのです。
反復すると、脳は「これはまた使用する記憶らしい」と判断し、保存するようになります。
「覚えられない 」「もう無理」と本人が思っていて、反復もしないのであれば、脳はきれいさっぱり記憶を消していきます。
脳に「違う」「残せ」と指令を出し続けましょう。
o(^o^)o

問題に戻りましょう。
さて、一の位が偶数となると、その候補は、0、2、4の3通り。
ここで、一の位に0を使った場合と、2か4を使った場合とではその後の計算が違ってくることが予想できれば、もうほとんど正解したようなものです。
一の位に0を使ってしまえば、もう千の位のことを心配する必要がありません。
一方、一の位が2か4である場合、千の位に0は使えないことを気にしなくてはなりません。
ここで場合分けをして計算をします

〔1〕一の位が0の場合
残る5個の数から、千の位、百の位、十の位の数を決めていくだけです。
したがって、式は、5P3=5・4・3 となります。
〔2〕一の位が2か4の場合
一の位の候補は2通り。
そのそれぞれに対して、千の位は、0と、一の位に選んだ数を除いて、候補は4通り。
百の位は、0を使ってもいいので、一の位と千の位に使った数を除いて、候補は4通り。
十の位は3通り。
したがって式は、2・4・4・3
Pを用いた式を書くのなら、
2P1・4P1・4P2
となりますが、無理にPを使う必要はないので、なぜその式なのか適宜言葉で説明していきながら答案を完成させれば大丈夫です。

生徒の中には、一の位の次に千の位を決めることが理解できず、
「そんなことしていいの?」
と質問する子がいます。
あるいは、そんなことは絶対に許されないと思うのか、何があっても一の位は最後に決めようとして混乱する子もいます。
かけ算なんだから、どこからかけても一緒だよ。
どの桁から決めていっても構わないんだよ。
そうした説明がピンとくる子と、全く理解できない子とがいます。
頭が硬いのかなあ・・・・。
なぜ千の位から数字を決めなければならないと思うのだろう。
そのことに何の根拠もないことに気づくと、思考の自由度が増します。
あるいは、そういうことをしていいのか悪いのか、そういう「数学的規範」というものが本人の中にないため、いつも不安で、かえって不可解なルールに縛られてしまうのかもしれません。

解答としては、〔1〕〔2〕は同時には起こらないので、和の法則が適用されます。
5・4・3+2・4・4・3
=60+96
=156
答えは156個となります。



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    Posted by セギ at 14:19│Comments(0)算数・数学
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