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2017年08月02日

2次関数の最大・最小。

2次関数の最大・最小。



今回は、「2次関数」の佳境、係数に文字を含む2次関数の最大値・最小値についての学習です。
しかし、これの解説には放物線を示しながらの解説が不可欠です。
ブログではちょっと説明しきれないのを感じます。
ここはぜひとも授業を受けて理解してほしい部分なのですが、できる限り説明してみます。

問題 y=x2-2ax+a (0≦x≦2) の最大値・最小値を求めよ。

解き方を全て書いていくのは難しいのですが、とにかく、与えられた式を平方完成します。
y=(x-a)2-a2+a
よって、頂点は(a,-a2+a)、軸はx=a。

定義域は、0≦x≦2です。
この定義域の間で、yの値の最大値はいくつで、最小値はいくつなのかというのが問題の意味です。

え?そんなのx=0のときが最小値でx=2のときが最大値じゃないの?

1次関数の感覚でそんなことをうっかり考えてしまいそうですが、これは2次関数。
x2の係数が1ですから、下に凸の放物線です。
0≦x≦2 という定義域が、放物線のどのあたりに位置しているかによって、どれが最小値でどれが最大値かが違ってきます。

まず考えられるのが、0≦x≦2 が、放物線の頂点より右側の部分である場合。
このときは、x=0で最小値、x=2で最大値となるでしょう。
ところで、aがどんな値のときに、放物線の頂点より右側が定義域になるでしょうか?
この放物線は、頂点が(a,-a2+a)、軸がx=a の放物線です。
aの値によって、軸の位置も変わり、定義域との関係も変わってくるということです。
ですから、aの値によって場合分けが必要だとわかります。

放物線の頂点より右側に定義域があるときというのは、x=0が、x=aより右側にあるということです。
すなわち、a<0のとき。
このとき、x=2で最大値、x=0で最小値です。
このx=2やx=0を2次関数の式に代入するとyの値が出ます。
関数の値とは、yの値ということです。
与式に代入しても、平方完成した式に代入しても同じ値が出ますので、代入しやすいほうを選びましょう。
与式にx=2を代入して、
y=4-4a+a=-3a+4
与式にx=0を代入して、
y=0-0+a=a
よって、a<0のとき、
x=2で最大値-3a+4
x=0で最小値a

さて、次は放物線のどんな位置に定義域が存在する場合を考えましょうか。
頂点を含んで定義域が存在する場合を考えてみましょう。
頂点のところが最小値になることはすぐ判断できます。
しかし、最大値は?
定義域の範囲が、放物線の軸を挟んで右側のほうが高く上がっている場合は、右側が最大値となりますが、左側のほうが高く上がっていたら、左側が最大値となりますね。
そして、頂点を挟んで、左右がつりあっている場合は、その両方が最大値となるでしょう。
だから、頂点を含んでいるというだけでなく、もっと細かく場合分けが必要となります、

軸を挟んで、右側のほうが高く上がっている定義域というのは、軸x=aとの関係はどうなるのでしょうか?
え?0<a<2 でいいんじゃないの?
そう思うでしょうか?
しかし、それでは上に挙げた3通りの場合は全部そうじゃないでしょうか?
もっと細かい場合分けが必要となります。

どうしたら良いのでしょうか?
ここで、重要なのは、定義域0≦x≦2 の中央の値、1です。
定義域の中央の値と軸との関係によって、右に傾いたり左に傾いたりします。
すなわち、0≦a<1のときに、放物線は、軸の右側が高く上がっていきます。

ここらへんで、「え?」「え?」となる人が多いところですので、実際に放物線を描いて確認することをお薦めします。
この問題は、必ず放物線を描いて解くものです。
描く放物線は、x軸もy軸も必要ありません。
どこにx軸やy軸があるのかわからないのですし、問題を解くのに関係ないからでもあります。
下に凸の放物線を点線で描き、そこに軸を描き、定義域の部分を実線で描き、x=0、a、1、2の位置を書き込んでいくだけで十分です。

さて、a=1のとき、そこは放物線の軸と重なります。
定義域は左右対称となり、最大値は両端の2か所となります。
1<a≦2のときには、定義域の放物線は左側が高くなるでしょう。
すなわち、
0≦a<1のとき、x=2で最大値-3a+4、x=aで最小値-a2+a 
a=1のとき、  x=0、2で最大値1、   x=aで最小値0
1<a≦2のとき、x=0で最大値a、     x=aで最小値-a2+a

a=1のときは、aが明確になった分、最大値・最小値も文字の残らない数字になることにも注意が必要です。

最後に、定義域が軸よりも左側にある場合は、2<a ということですから、
2<aのとき、x=0で最大値a、x=2で最小値-3a+4

以上をまとめると、
a<0のとき    x=2で最大値-3a+4  x=0で最小値a
0≦a<1のとき x=2で最大値-3a+4   x=aで最小値-a2+a
a=1のとき    x=0、2で最大値1     x=aで最小値0
1<a≦2のとき x=0で最大値a        x=aで最小値-a2+a
2<aのとき    x=0で最大値a       x=2で最小値-3a+4

この問題の解き方は、
①まず放物線を5通り描く。
②その放物線ごとのaの値の範囲を決定する。
③それぞれの場合の最大値・最小値を計算する。

最近の親切な問題は、その5通りに場合分けをしてくれているのですが、むしろそれで混乱する子もいます。
自力で5通りに場合分けして、問題の場合分けと一致していることを確認したほうがしっかり理解しながら解けると思います。
なお、「最大値のみ」「最小値のみ」の場合は、放物線は3通りになります。
定義域の中央の値である「1」が関係するかどうかは、放物線が上に凸か下に凸か、と最大値か最小値かでそれぞれ異なってきますので、実際に放物線を描いて判断します。

これだけの説明を丁寧に行って、もう大丈夫、さて演習しましょうとなったとき。
ところが、私が説明したのとは違う解き方を始めてしまう生徒がいるのです。
( ;∀;)
やはり、テキストの問題が親切すぎるので、結局、問題にあるaの値の範囲の場合分けを優先して解こうとして、xの定義域とaの変域とで混乱が起こり、どう放物線を描いていいかわからなくなってしまいます。
まず自分で場合分けしましょう、と強調したつもりでも、伝わっていないことは多いです。

「まず、放物線を5つ、最初に描いて場合分けしましょう。問題に書いてある場合分けは、その後で、確認のために使ってください」
私がそう言うと、不審そうな顔をする子もいます。
「だって、先生が、さっき、こういう順番で解いていたじゃないですか?」
「え・・・・?いえ、私は先に放物線を描いて、それで自分で場合分けするように言ったんですよ」
「え?さっきはそうじゃなかったですよ」
「え・・・?」
これには動揺します。
どうして全く逆のことが記憶されてしまうのだろう?
おそらく、私が説明している間、その子は、テキストに書いてある場合分けを見ているのでしょう。
そうして、私がテキストの場合分けに沿って説明しているのだと思いこんでいるのだと思います。
私が、
「テキストの場合分けは見ないで、自分で場合分けするんですよ」
と説明しているのを聞いていないか、あるいは、自分の思いこみに反するそうした情報は聞き流してしまうのかもしれません。

何かを正確に伝えることは、本当に難しいです。


例えば、中学生の場合でも、こんなことがあります。
中学1年生にとって、1学期は、小学校時代の「算数」から中学の「数学」に移行する大切な時期です。
しかし、本人たちには、その違いがよくわかりません。
だから、小学校時代の意識のまま、数学の問題を解いてしまいます。
これは小学生の答案だなと感じる最たるものは、問題を解くのに式を書いていないこと。
解き方を思いつくと、式を書くのを忘れてしまうらしいのです。
くしゃくしゃ筆算して、答えだけ書いています。
式を書く解答欄がなければ式を書かなくていいと思っている子は多いです。
どういう公式や定理を使って、どういう流れで解いたのか、それでは何も読み取れない。
そんなのは、数学の答案ではありません。

それを直すために、特に私立中学の数学の先生は、中学1年生に高圧的な答案指導をすることがあります。
かなり強く言わないと、子どもは直さないですから。
「こう書かないと、テストは全部バツ」
「これを書いていなければ、0点」
そういう指導になりがちです。
「うちの学校の先生、すごくうるさい」
と口を尖らせて言う子のノートを見ると、ごく当たり前の答案が書かれていて、
「何もうるさくない。これが普通です。良い答案を指導してくれる先生ですね」
と説明することはよくあることです。

しかし、ときどき奇妙な答案の書かれたノートに出会います。
例えば、式の値を求める問題。
「x=5、y=-2であるとき、3x-4yの値を求めよ」
この問題の答案の1行目で目が止まってしまいました。
「xを5、yを-2に代入して」
・・・・・・え?('_')
わかると言えばわかるのですが、何かモヤッとする日本語です。
これ、「を」と「に」が逆ですよね。
「xに5、yに-2を代入して」
このほうが良いでしょう。

これは、その数学の先生に国語力がないために起きていることなのか、この子が勘違いしているのか、どちらなのだろうと困惑してしまいます。
普通に考えれば、その子のミスなのですが。
いずれにしろ、
「x=5、y=-2を代入して」
と書けば、そういう混乱は回避できます。
しかし、その子にそう助言しても、
「学校の先生がこうでなければダメだと言った!」
と強く主張し、直しません。

また別の問題。
それは、式による証明の問題でした。
「連続する3つの偶数の和は6の倍数になることを説明しなさい」
この問題の答案の書き出し。

「整数をnとすると、2n-2、2n、2n+2とかける」
・・・・・え?
「整数をnとすると」
この書き出しに、まず「え?」と思ってしまいました。
「整数をnとすると」ではなく、「nを整数とすると」のほうが適切です。
そして、最後の「かける」にも違和感がありました。
「かける」とは「書ける」ということなのだと思うのですが、なぜ、書くこと限定なんだ?
何だか、微妙に気持ち悪いです。
間違っているとは言えないのですが、違和感があるなあ。
間違っているわけではないから、まあいいのですが。

これの標準的な書き方は、
「nを整数とすると、連続する3つの偶数は、2n-2、2n、2n+2と表される」
となります。
「学校の先生が、こう書いているの?」
と尋ねると、その子は黙ってうなずきました。
しかし、学校の先生が本当にそう書いているのか、疑問の余地があるのです。
板書の見間違いや写し間違いを、していないでしょうか。
あるいは、本人の国語力が、学校の先生の模範解答を歪めていないでしょうか。
学校の先生は「表される」と板書したのに、その子の語彙の中にそのような表現がない。
本人としては「表される」という言い回しに、むしろ違和感がある。
そのため、本人の中での「正しい日本語」に勝手に変換し、「かける」と直してしまった。
しかも、自分がそのように書き換えたことが記憶の中から消え、先生がそのように板書したという記憶として残っている。
そういうことなのではないかという推測もできるのです。

しかし、確証はありません。
私立中学に入学したお子さんの数学の勉強を見ようとして、こういうことで困っている保護者の方もいらっしゃるのではないかと思います。
学校の授業の細部を、保護者は確かめることができません。
子どもの記憶とノートが、情報の全てであることは多いです。
そうした中で、多くの子どもは、
「絶対に、こうだった」
と言い張ります。
学校の先生から、
「こう書かないと0点」
というプレッシャーを受けていますので、これは違うんじゃないのと言われても、認めません。
「その書き方じゃなくても大丈夫だよ」
と教えても、いや、あの先生は、絶対そういうのは許さないんだと決めつけたりもします。
子どもの勉強を見ようとして、こういう反発にあい、教えることができなくなってしまう。
そんなことが、起きていないでしょうか。

数学の答案の筋道というものを理解させようとして、学校の先生たちは、ある程度生徒たちに強要します。
しかし、それが、場合によっては、微妙に奇妙な答案を定着させてしまう。
学校の先生が生徒たちに伝えようとしていることの核心は、そういうことではないのです。
表現方法は何通りもあります。
ただ、どうしても答案に書かねばならないことがある。
どういう公式や定理を使って、どのように解いているか。
それがわかる答案であることが、数学の答案には必要です。
細部の表現に右往左往し、かえって日本語として誤った書き方をしてしまっている中学1年生に、1日も早く本質を伝えたいのですが、これがなかなか難しいです。

経験から言えば、とにかく、その子の数学的能力を高めなければなりません。
本質が見えていないのは、数学というものがよくわかっていないからだと思うのです。
数学の能力が高まれば、自然に、こういう課題からは解放されていきます。
ついでに言えば、もうちょっと国語力がつくといいかなあ。
ヽ(^。^)ノ




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    Posted by セギ at 22:34│Comments(0)算数・数学
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