たまりば

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2015年09月02日

1次関数

1次関数


さて、2学期からは多くの中学校で関数の学習が始まります。

高校数学になると、数学はほとんど関数まみれという印象になるので、しっかり基礎を身につけておきたい単元なのですが、中学生の多くが、関数あたりから数学嫌いをこじらせていきます。
確かに、関数は抽象的で、「今、自分は、何のために、何をやっているのか」を常に頭においておかないと、途中で混乱する可能性があります。
例えば、1次関数。

 y=ax+b

これが、1次関数の一般式なのですが、この重要性がわかっていない子は多いです。
説明のときに出てくるだけで、実際に使うものではないと誤解してしまう子がいます。
全部文字なので、あまり有効なものではないと判断してしまうのでしょうか。


問題 1次関数 y=ax+b において、x の変域を 1≦ x ≦4 とすると、y の変域は 1≦ y ≦7 である。 a <0であるとすると、x=3のときの y の値を求めよ。 

さて、この問題、x=3のときのyの値を出すためには、まず1次関数の式を求めなければなりません。
それがピンとこなくて、いきなり答えを出す方法をうんうん考え込んでしまう子がいます。
そういう子は、数学は、そんなにいきなり答えが出るものではないと、まず理解する必要があります。
小学校の算数の尻尾をいまだに切れない中学生は、いきなり答えを求める式を立てるものと思い込んで、途方に暮れてしまうのです。

数学は何段階も手順を踏んで解くもの。
まずは、関数の式を求めます。
この問題は、1次関数 y=ax+b と書いてあるのですから、それをそのまま使えばいいのです。
しかし、なぜかそれがピンとこなくて、
「でも、どんな式なのかわからない」
と言う子もいます。
問題に書いてなくても1次関数は、y=ax+b だし、そもそも今回は書いてあるし、と説明しても、釈然としない顔をしています。
「本当に?本当に、いつも、y=ax+b を使っていいの?」
「1次関数なら」
「どんなときが1次関数なの?」
「問題に1次関数と書いてあるときが1次関数だね」
「・・・・・・」
「多分、今、あなたは、文章題か何かの心配をしていると思うんだけど」
「そう。文章題、苦手」

数学が苦手な子は、苦手意識は強いものの、過去に何をどう間違えたか、自分は何がわかっていないか、といったことを正確に把握していません。
常にモヤモヤと苦手意識にとりつかれています。
そのため、基本問題を解いていても文章題の場合はどうなるのだろうというように、今考えても混線するだけのことを一緒に考えてしまう傾向があります。
文章題のことは、文章題のときに考えたらいい。
文章題は、アプローチがまた違ってきます。
文章題のときは、自分で関係を表す式を作りますから、1次関数かどうかは式が出来てから判断します。
あえて言えば、グラフにしたら直線になるのなら1次関数。
でも、それは、今回の問題を解くときに考えることでないのです。
そうした意識の上での分割が上手くできない子が、数学が苦手になる傾向が強いような気がします。
不安が強いから先回りしてものを考えてしまうのだとは思うのですが、結局、今解いている問題の理解が曖昧な結果に終わってしまうことにもなりますので、不安の先回りは止められるといいですね。

「考えなくてもいいことを同時に考えるからわからなくなるんですよ。目の前の問題のことだけ考えましょう。今は問題に1次関数と書いてあるから、1次関数です。1次関数ならば、使う式は、y=ax+bです。これは定義なので、何故と考えこむ必要はないことなんです。大丈夫?」
「多分・・・・・」

さて、問題に戻りますと、a <0 とありますから、この1次関数は、グラフにすると右下がりの直線となります。
これがあるので、この問題は基本問題の中でも少しだけレベルが高いです。
y=ax+bのaは、「傾き」とも呼ばれ、名前の通り、グラフの傾き具合を表すものです。
aが正の数ならば、グラフは右上がり、aが負の数ならば、グラフは右下がりになります。
右下がりのグラフということは。
 x が大きくなれば、 y は小さくなるという関係。
 x が最小のとき y は最大。 x が最大のとき、 y は最小。
ですから、今回の変域の中では、 x=1 のとき、 y=7 であり、 x=4 のとき、 y=1 という関係が読み取れます。
さあ、具体的な x と y の値の組が2組見つかれば、それを代入することで、 a と b が何であるか求めることができます。
一般式 y=ax+b に代入して、

 7=a+b
 1=4a+b

これは、 a と b の連立方程式ですから、解くことができます。

今回、解き方は省略して、 a=-2 ,  b=9

もうかなり解答に近づいてきました。
しかし、ここまで夢中で求めて、「あれ?ここから何だっけ?」となる中学生がいます。
何のために、何をしていたのか、ふっとわからなくなってしまうようです。
作業手順だけ暗記して数学を乗り切ろうとする子に多いです。
作業手順の暗記じゃなくて、意味を理解しよう、と繰り返し励ましたいところです。

1次関数の式を求めようとしていたんですよね。
 a=-2、 b=9 なのだから、 y=ax+b の一般式にこれを代入して、この1次関数の式は、
 y=-2x+9
となります。

で、求めたいのは、 x=3 のときの y の値ですから、この式に、 x=3 を代入して、
 y=-2×3+9
 y=3

これが、この問題の解答です。

どうでしょう?
最後まで意味を理解しながら作業できるようになったら、この問題はクリアです。
ヽ(^o^)丿




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    Posted by セギ at 18:05│Comments(0)算数・数学
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