2014年01月09日
鳳凰三山を歩いてきました。2014年1月。
皆様、遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
冬期講習が終わり、ようやくブログを更新いたします。
2014年のお正月は、南アルプスの鳳凰三山を歩いてきました。
1月2日、今回は、あずさ1号に乗車。
甲府着、8:28。
そこからは、タクシーで夜叉神峠へ。
夏期はバス便がありますが、冬はそれもなく、タクシーで行くしかありません。
道路は凍結箇所もなく、まずは順調に夜叉神峠登山口へ。
支度して、歩き始めました。9:30。
元旦の天気図が今1つだったので、出発を2日にして正解だったようです。
雪山なのに、春山のようにポッカポカの陽気でした。
雪山用のジャケットも要らず、冬用の山シャツ1枚で快適に歩くことができました。
トレースは広くなだらかで、楽しい雪道です。
夜叉神峠小屋。10:50。
最初の展望地です。
うおおおお。
北岳が、ドーンと見えました。
鳳凰三山を夏に歩いたのは、もう10年以上前になります。
夜叉神峠はヤナギランの咲き乱れていました。
ヤナギランの向こうに南アルプス。
冬は、山がもっとくっきり見えます。
この景色を見るために、ここまでを日帰りで歩く人も多いというのも頷けます。
夜叉神峠小屋から、いったん下り。
崖っぷちの道をしばらく行き、そこからは急な登り。
本日一番の登りでした。
何とか登りきって、杖立峠。12:40。
道はまたゆるくなり、山火事跡。
大木は焼けてしまったので、見晴らしの良いところです。
振り返ると、富士山がくっきり。
雪の縞模様がよく見えました。
今年の富士山は、まだ積雪が少ない様子です。
ゆるやかに登って、苺平。14:00。
ザックをおろして、温かいカフェオレを飲み、ブルボンのガトーレーズンを食べました。
やわらかい生地でクリームとレーズンをはさんであります。
1袋89kcal。
湿っていて食べやすく、ガツンと高カロリー。
雪山での好きな行動食の1つです。
さて、そこからは下り道。
思ったよりも早く、林の下に小屋が見えてきました。
南御室小屋。15:00。
手続きをして、2階に案内されました。
梯子が急で、本日一番の核心がこの梯子。
山小屋の梯子って、怖いですよね。
よく誰も怪我をしないなあ。
まあ、私も落ちたことはないですが。
(^_^;)
担いできた缶チューハイとチーズを持って1階に下り、1人で飲み始めました。
ああ、静かな良いお正月だ。
と思ったら、20人ほどの団体さんが入ってきて、小屋はにわかに活気づきました。
それもまた楽し。
テーブルがいくつもないので、新たに下りてきた知らない人と相席で飲みました。
話題は、コンビニでその朝に買えるおいしい行動食やキャンプ泊のおかず。
最近、すぐ食べられるパックでも、レトルトでも、おいしいものが増えましたね。
雪山の小屋で知り合う人は、面白い話を持っている人が多いです。
その中でも、今回聞いた話は、どう解釈していいかわからない不思議な話でした。
何年か前。
その人は、4月に、残雪期の尾瀬を歩いたそうです。
そこで、60歳くらいの男性と会って、話をしました。
その男性は、雪山には絶対にチョコレートが必要だと力説し、彼女が持っていないと言うと、
「それはダメだ。持っていきなさい」
と、ザックからハーシーの板チョコを5枚出して、彼女の手に押し付けたそうです。
「こんなにいいです」
と断っても、
「いや、まだ5枚あるから。チョコレートは、持っていないとダメだから」
とその男性は言い張り、どうにも断れず、彼女はそのチョコレートを受け取って、これから至仏山に登るという男性と別れたそうです。
尾瀬から帰った翌日、彼女のもとに、警察から電話がかかってきました。
男性がいまだ下山せず、家族から捜索願いが出されたというのです。
同じ時期に尾瀬に入り登山届を出していた彼女にも、警察から事情を訊く連絡が入ったのでした。
服装などからチョコレートをくれたあの男性だとわかり、彼女は知る限りのことを説明しました。
生きていれば、まだ雪山をさまよっている男性。
もらった5枚のチョコレート。
そのチョコレートがあれば。
彼女は悲鳴を上げそうになったそうです。
心配で心配で、数日後、彼女から警察に連絡すると、その男性が見つかったと教えられました。
やはり、雪山をさまよい、チョコレートをちびちび食べて生き延びていたとのことでした。
チョコレートを他人にあげてしまったことを後悔したろうか。
でも、自分の持っているものをそんなふうに他人にあげてしまう人だから、生きて戻ることを許されたのだろうか。
それにしても、なんで10枚も板チョコを持っているんだ?
この話、どう解釈したらいいんでしょう。
とりあえず、「雪山にはチョコレート」という話では、ないと思うのですが。
(^_^;)
夕食は、17:30。
ビーフシチューと、鹿肉のから揚げ。
山で撃った鹿だそうです。
鹿は高山植物を食べつくすので、個体数の調節のため、撃って食べることに、私も賛成。
おいしくいただきました。
冬期講習の疲れと、歩き疲れで、消灯を待たず、20:00就寝。
朝食は、6:00。
伊達巻、かまぼこ、豆、昆布巻き。
お節料理が嬉しい山小屋の朝食です。
支度をして小屋を出て、アイゼンをきっちり締めて、歩き出しました。7:00。
まずは小屋の左手裏からの急登。
登りきると、砂払岳。8:15。
稜線は、風が強いので、雪が吹き飛ばされ、ほとんど夏道が出ていました。
砂払岳は岩がちの道。
アイゼンがギシギシきしみます。
凍結している可能性もあるので、アイゼンの刃が岩にはじかれないよう慎重に歩を進めました。
左手は、白峰三山。
北岳。間ノ岳。農鳥岳。
北岳バットレスの陰影がくっきりと見えます。
雪がついていても、ゴツゴツとした岩肌。
夏、あそこを登攀したのは、もう何年前だろう。
白峰三山を縦走したのは、さらにその前だなあ。
歩いたことのある山を別の山から眺めるのは、いつも感慨深いです。
振り返れば、富士山。
雲海の上に浮かんでいました。
高い山から見ると、ますます高い。
自分が高く上がってさらに、その高さがわかる。
富士山は、いつ見ても新鮮です。
薬師岳小屋の前を通り、薬師が岳へ。
そこからさらにトレースは続き、観音岳へ。9:15。
無風快晴の素晴らしい稜線歩きです。
天気が良いといっても、ここまで良いのは珍しい。
観音岳の先には、地蔵岳。
視線の先には、甲斐駒の雄姿が見えていました。
上の画像がそれです。
右手には、八ヶ岳も見えました。
遠くには、北八ヶ岳を歩いたときにも見えた、中央アルプス。
飽きず眺めました。
さて、下山。往路を一気に戻ります。
薬師小屋。10:00。
南御室小屋。11:00。
苺平。11:40。
杖立峠。13:00。
そこからは、2日間よく晴れたせいで、南向きの斜面は雪が融けてきていました。
凍結箇所がむき出しになって、逆にちょっと歩きにくい急な下りをとことこ歩き、夜叉神峠小屋。14:00。
トレースも広くなり、登山口。14:50。
余裕を持って、15:30に予約しておいたタクシーを待ちながら、あれこれと支度をしていると、早めにきてくれて、甲府駅近くの温泉まで、一気に下山。
お天気に恵まれた素晴らしい雪山歩きでした。
Posted by セギ at 13:26│Comments(0)
│山
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