たまりば

地域と私・始めの一歩塾 地域と私・始めの一歩塾三鷹市 三鷹市

2020年04月23日

高校英語。関係代名詞。まずは中学の復習から。


さて、今回は関係代名詞。
まずは、中学の復習をしてみましょう。

問題 以下の英文の空所を補充せよ。
(1) I have an uncle (  ) lives in New York.
(2) My brother has a car (  ) runs very fast.

これは易しいですね。
(1) I have an uncle (who) lives in New York.
(2) My brother has a car (which) runs very fast.

です。
この who や which を関係代名詞といいます。
高校生なら、この問題はおそらく正解できたと思います。
一応、基本の構造を確認しましょう。

I have an uncle. He lives in New York.
私には叔父がいます。彼はニューヨークに住んでいます。

この2文を、後ろの文が前の文を修飾するようにして1文にしたのが、関係代名詞を用いた文です。
「私には、ニューヨークに住む叔父がいます」という文を作ったのです。
このときに使うのが、関係代名詞です。

I have an uncle who lives in New York.

修飾される「叔父」という名詞を書いたらすぐに2個目の文を続けます。
しかし、そのまま続けてもつながりませんから、he を who という関係代名詞に変えます。
関係代名詞は、he という代名詞の働きもしますし、前の名詞を修飾するという働きを示しながら2文をつなぐ働きもできるのです。

My brother has a car. It runs very fast.
私の兄は車をもっています。それはとても速く走ります。
これも同じ構造ですね。
2つ目の文が、1つ目の文の a car を修飾する文、すなわち「私の兄はとても速く走る車を持っている」という文を作りたいときに、関係代名詞を使います。

My brother has a car which runs very fast.


修飾される名詞を「先行詞」。関係代名詞から始まるS・Vのある意味のまとまりを「関係代名詞節」と言います。


しかし、ここから少しレベルが上がると、「なぜ?」と逆に問いたいほどに関係代名詞がわからなくなる子は多いです。
例えば、こんな問題。

問題 以下の日本語を関係代名詞を用いて英語に直せ。
「私の姉に話しかけている男性は田中さんです」

よくある誤答。

My sister is talking to a man who is Mr.Tanaka.

一応、意味は通じる英語ですが、これは、指定された日本語の英訳ではありません。
この英文を日本語に訳すなら、
「私の姉は、田中さんという男性に話しかけています」
となります。

どっちだっていいじゃない、大体同じ意味なんだから。
そう思う気持ちもわかるのですが、この誤答は、誤答の中でも特に、
「ああ、この子は、思ったよりも英語がわかっていないんだなあ」
と採点する先生を少しがっかりさせてしまうものです。
日本語の順番通りに英語に直しているだけ。
「私の姉」と文頭に書いてあると、「My sister」と書いてしまうのをやめられないのかなあ。
そのような意味で、がっかりさせてしまうのです。

「私の姉に話しかけている男性は田中さんです」
この日本語を分析しましょう。
主語は「私の姉」ではありません。
この文の主語は、「男性は」です。
日本語は、「何がどうする」「何がどんなだ」「何が何だ」という主に3つの文型に分類できます。
上の文は、そのうちの「何が何だ」にあたる文です。
主語は、「男性は」。
述語は、「田中さんです」。
そして、「私の姉に話しかけている」は、「男性は」を修飾する修飾語です。
ですから、この文の骨組みの部分だけを作れば、
The man is Mr.Tanaka.
となります。
その主語の man がどんな man であるかを説明しているのが「私の姉に話しかけている」の部分です。

ですから、正解は、

The man who is talking to my sister is Mr.Tanaka.

英語的に分析しましょう。
「私の姉に話しかけている」という修飾語は、「男性」にかかります。
修飾語が2語以上の意味のまとまりであるとき、修飾される名詞の直後に修飾語を置くのは英語の原則。
だから、上のように、man の直後に who is talking to my sister がきます。

英語の原則通りの、普通の文です。
しかし、この英文を作れない。
あるいは、この英文の意味を取れない。
関係代名詞が苦手な子の第一関門がここです。

先行詞が来たら、すぐに関係代名詞。
主節を一旦停止して、関係代名詞節。
授業で繰り返し繰り返しその話をして、補助しながら英文を作って、練習して練習して、これで大丈夫と私は思っていても、翌週、その子の解いてきた宿題の答えは、
The man is Mr.Tanaka who is talking to my sister.
と、また別の誤答していて、天を仰ぐこともあります。

なぜ、これほどに定着しないのだろう?
どんな誤解があるのだろう?

英語が苦手な子は、本来の文法事項をさらに簡略化した独自のルールを作ってしまうのではないか?
そう勘繰りたくなるほど、雑なことをやってしまう子がいます。
全部1つのパターンで問題を解いてしまうのです。
説明したルールの複雑なところを省略して、勝手に簡略化したルールで解いてしまいます。
上の例で言えば、「先行詞の直後に関係代名詞節」という正しいルールを教えても、それは忘れてしまい、1文を全部書いたら続けて第2文、というような、単純なルールにすりかえてしまうのです。

小学生の頃には勉強ができたのに、学年が上がるにつれてどんどん出来なくなっていく子の多くはこういう子です。
中学生になっても、高校生になっても、小学生のような解き方をしていないでしょうか。
頭を使わない、とても単純な、ぱっと見て判断する解き方です。
他の解き方ができない。
他の解き方を知らない。
「考えて取り組む」ということが実感としてよくわかっていないのではないかと思うのです。

難しいことを理解することができず、本当に苦労している・・・。
それなら仕方ないのですが、そんなふうには見えない子が、じっくりとものを考えたり判断したりということができず、凡庸な成績で低迷してしまうことがあります。
関係代名詞のルールなんてそんなに難しいものではないのですが、そういう子にとっては、それですら複雑過ぎて不愉快らしいのです。
でも、スポーツでもゲームでも、もっと複雑なルールのものは沢山あります。
スポーツやゲームの複雑なルールは受け入れるのに、勉強の難しさ、英語の難しさは受け入れない・・・。

サッカーをするのに「手を使わなきゃ何でもいいんだろ?」なんて把握をしたらバカにされます。
同じことを勉強でやってしまっていないでしょうか。
勉強は、自分が思うよりもずっと複雑なものだ、と認識を改めれば成績の上がる子は多いと思います。


関係代名詞に話を戻しましょう。

先行詞がきたら、関係代名詞。
これがルールです。
そのため、主語を修飾する関係代名詞節が挿入されれば、主節をいったん分断することになります。

The man is Mr.Tanaka. He is talking to my sister.

この2文を、関係代名詞でつないで1文にするなら、
The man who is talking to my sister is Mr.Tanaka.
とするのが基本です。
先行詞は、the man ですから、それを書いたら直後に関係代名詞節を書いていきます。
関係代名詞節を全部書き終わったら、主節に戻ります。

「え?先行詞って何?」
「・・・だから、修飾される名詞のことですよ」
「え?修飾って何?」
「・・・」

修飾というのは、その名詞をより詳しく説明することです。
「男」とは、どんな男なのか?
「男」だけでは漠然としています。
向こうを歩いている男ではなく、あそこに立っている男でもなく、私の姉に話しかけている男のことですよ。
これでより詳しくなり、誰のことか限定されました。
この働きを修飾、といいます。

こういう説明がなぜか頭に残らない子も多いです。
不定詞の学習のときも、分詞の学習のときも、同じ説明をしたのに、また同じ質問をするなあ・・・と不可解に感じることがあります。

一体何がこんなにわからないのだろう?

しかし、本人が、日本語でも修飾語を使うことがないようでは、無理もないのかもしれません。
文は、主語と述語だけ。
いや、主語すらないことも多い。
修飾節を含む文など、口にしたことも書いたこともない。
それなのに、母国語でもない英語で、こんなにきちんとした修飾節を含む文を作らなければならない。
これは厄介かもしれません。
本人の日本語能力を越える英文は作れない。
そういう根本の原因もあると思います。

しかし、それで諦めるわけにはいきません。
英語で複文を作ることにより、日本語で複文を作れるようになるといいと思います。
こういう文の構造を知ることにより、日本語の能力も高まる。
外国語を学ぶのには、そういう効果もあるはずです。


ところで、先ほどの2つ目の誤答、
The man is Mr.Tanaka who is talking to my sister.
では、なぜダメなのか?

Mr.Tanaka のような人名や地名などを「固有名詞」といいます。
英語では文中でも大文字で始める名詞です。
固有名詞には、修飾節はつきません。
日本語に訳してみるとわかります。
「その男性は、私の姉に話しかけている田中さんです」
違和感があります。
別の田中さんも存在するような気がします。
作りたかったのは、「私の姉に話しかけている男性は田中さんです」という文だったはずです。
これでは、意味が違ってきます。

実は、
The man is Mr.Tanaka , who is talking to my sister.
という英文は、存在します。
間にカンマ (,) が入っています。
これは、非制限用法と呼ばれるもので、高校で学習する内容です。
「その男性は田中さんで、私の姉に話しかけています」という意味です。
それもまた、別の意味の文ですね。


The man who is talking to my sister is Mr.Tanaka.

自分で作るのではなく、この英文がポンと出てきたときに、意味がわからない、構造が読み取れない、と悩む子もいます。
どこで切れるのかわからない、というのです。
「英語は意味のまとまりごとに把握しろ」
と言われても、その「意味のまとまり」がわからない・・・。
そういう場合、慣れるまでは、動詞に注目し、構造がよくわからない文のときには、2つ目の動詞の前で切るのが1つの作戦です。
2つの文が1つの文になっているのですから、動詞は2個あります。
上の文は、2つとも is ですね。
2個目の is の前で文をいったん切って、意味を考えてみます。

The man who is talking to my sister
私の姉に話しかけている男性

それがどうしたのかな?

is Mr.Tanaka.
は、田中さんです。

というように区切ると、意味が見えてきます。

一般動詞の文の場合は、動詞の前に頻度の副詞が入っていることなどもありますが、それは自分で微調整しましょう。
基本は2個目の動詞の前で区切って考えてみる。
それで随分スッキリすると思います。

なお、意味を理解するだけなら、
The man who is talking to my sister
まで読んで、あるいは聞いて、
「男性が私の姉に話しかけているんだな」
次に、
is Mr.Tanaka.
を読んで、あるいは聞いて、
「その人が、田中さんなんだな」
という把握で大丈夫です。
文頭から意味を取る、英語を英語のまま理解する、意味のまとまりごとに英語を理解する、というのはそういうことです。


関係代名詞は、文法でちょろっと出てくるだけのものではありません。
高校のコミュニケーション英語では、関係代名詞が1語も出てこないページを探すのが逆に難しいくらい頻繁に使われます。
ここを理解しておかないと、ちょっとやばいぞ。
そのような緊張感で取り組みたいところです。
  


  • Posted by セギ at 12:22Comments(0)英語