たまりば

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2019年09月25日

高校英語。分詞 その5。分詞の叙述用法。SVOC。


さて、今回は、分詞の叙述用法のうち、SVOC の用法です。

まずは普通のSVOCの文の確認から。
SVOCという呼び方は高校で学習しますが、この文型は中3で最初に学習します。
we call him Tom.
私たちは彼をトムと呼ぶ。
we がS(主語)、call がV(動詞)、him がO(目的語)、Tom がC(補語)です。
「Sは、OがCなのをVする」
といった構造をとらえておくと意味を把握しやすくなります。
My mother made me happy.
私の母は、私を幸せにした。

中3で学習していても、この語順が絶望的に身につかない人もいるのが、SVOCです。
we call him Tom.
のように、最後のCが名詞ならば、感覚的に納得するものがあるようで、まだ正しい語順を守れます。
しかし、
My mother made me happy.
のように、Cが形容詞の文は、「このような位置に形容詞がくるはずない」という間違った感覚が邪魔をするようなのです。
My mother made happy me.
といった誤った語順で英文を作る子が多くなります。
中2で学習した不定詞のときもそうですが、それまで学習した中1レベルの英語の語順が「正しい英語」と思い込み、そこからバージョンアップできない人は、感覚で英文を作ろうとする人に多いのです。
日本に住む日本育ちの日本人が、英語を感覚で並べて、正しい英文を作れるわけがない。
その当たり前のことに、1日も早く気づいてください。
英語に対しては、理屈でアプローチするのが、手っ取り早いのです。
理屈で理解し、暗唱して口に馴らす。
そうやって覚える英語が、覚えやすく忘れにくい英語となります。


さて、そのように、そもそもSVOCという文型にいくらかの違和感のある人にとって、それに分詞が加わると、さらに難度を増すようです。
SVOCで、Cになるのは、上の例文のように、名詞または形容詞です。
このCの位置に、分詞もきます。
それが、SVOCの分詞の叙述用法です。

She kept me waiting for an hour.
彼女は私を1時間待たせた。
She がS、kept がV、me がO、waiting がCで、現在分詞です。

She kept the door locked.
彼女はそのドアに鍵をかけておいた。
She がS、kept がV、door がO、locked がCで、過去分詞です。

現在分詞と過去分詞は、どう使い分けるのでしょうか?
上の2つの文では、主語はどちらもShe で変わりません。
Sで使い分けるのではなさそうです。
これは、Oとの関係で使いわけます。
Oがその動作をするのならば、現在分詞。
Oがその動作をされるのならば、過去分詞です。
She kept me waiting for an hour.
me が待つという動作をしていますので、現在分詞。
She kept the door locked.
door は鍵をかけられる側ですので、過去分詞です。


ここまででも、十分に難しく、もうお腹いっぱいという人もいるかもしれませんが、ここで、分詞だけでなく他の文法事項が混ざってくるのが、SVOCの文の難しさです。
他の文法事項とは、不定詞。
すなわち、原形不定詞や to 不定詞も、このCになることがあるのでした。
そして、Cに何がくるのかは、動詞によって違ってきます。
この先は、VによってCがどうなるのかを整理してみましょう。


SVOCは、Vが使役動詞や知覚動詞のとき、Cに原形不定詞を用います。
しかし、いつもいつも原形不定詞なわけではなく、現在分詞や過去分詞を用いる文もあります。
一度にまとめて学習する内容ではないせいもあって、そこがモヤモヤしやすい人もいるようですが、センター試験や英検などの四択の文法問題でもっとも出題されやすいところでもあります。

まずは、使役動詞 make から。
Our teacher made us speak English.
私たちの先生は、私たちに英語を話させた。
teacher がS、made がV、us がO、speak がCで、原形不定詞です。

We were made to speak English by our teacher.
私たちは、先生によって英語を話させられた。
直訳するとちょっと不自然なので、この文も上の文と同じ訳で構わないのですが、それはともかく、構造を見ると、この文は、上の文の受動態です。
受動態のとき、Cだった原形不定詞は、to 不定詞になります。

I could make myself understood in English.
私は英語で自分の意思を伝えることができた。
I がS、could make がV、myself がO、understood がCで、過去分詞です。
myself は、理解される側だから、Cは過去分詞なのです。
これは、一種の慣用表現として例文を丸暗記しておいても良い文です。
定期テストによく出ます。
そして、「テストに出るよ」と念を押しているのに高校生が覚えない用法ワースト10に入るくらいに失点原因となる文です。

四択の文法問題としては、原形不定詞、to 不定詞、現在分詞、過去分詞の四択があって、そこから正解を選ぶ形式が頻出です。
動詞 make を用いたSVOCのCには、上のような3つの可能性があることを把握して、きちんと分析して正答を探せば、この文法問題は楽勝です。
しかし、文法事項として把握せず、「こういう英文を見た気がする」という感覚で解こうとし、しょっちゅう誤答していると、誤答が記憶に残ってそれが正解のような感覚が濃厚になっていくばかりですので、いつまで経っても正答できるようになりません。
それは、英語学習の中でも最もまずいやり方なのですが、こういう「感覚」に頼って文法問題を解き散らかしてしまう高校生は多いです。


次に、使役動詞 have の用法。
They had her go home.
彼らは、彼女を家に帰らせた。
They がS、had がVher がO、go がCで原形不定詞です。
使役動詞make と have の基本的な意味の違いは、make は目下の相手に何かさせるときに使い、have は、対等または目上の相手に何かしてもらうときに使います。

make の場合は受動態がありますが、have にはありません。
だから、have の文で、to 不定詞を用いることはないのですが、have to ~という助動詞の用法の印象が強いせいか、それに引きずられて四択問題で to 不定詞の選択肢を選んでしまう高校生は多いです。
全く関係ない文法事項の記憶が混ざりこんでくるのも、「感覚」に頼って問題を解き散らかす人に多い傾向です。
知識を整理しましょう。

I had my hair cut.
私は髪を切ってもらった。
I がS、had がV、hair がO、cut がCで過去分詞です。
cut は、無変化の不規則動詞ですので、見た目ではわかりませんが、hair は切られる側なので、cut は過去分詞だとわかります。

I had my bag stolen.
私は、鞄を盗まれた。

上の文と同じ構造なのに、訳し方が違うので混乱する人もいますが、訳し分けは意味から判断した日本語の都合です。
和訳は、日本語として自然であることを優先するので、同じ構造の文も異なる訳となります。
英語では、やってほしいことをしてもらった際も、やってほしくないことをやられてしまった場合も、同じ構造の文となります。
「受け身・被害のhave」と覚えておけば大丈夫です。
have というと「持っている」の意味という印象しかなく、こういう用法で have を使うことが発想できず、意味もとれないという人もいます。
have は、物を所有しているという意味に限らず、そういう状態を保有しているという意味なのだと把握しておくと、こうした用法にもさほど違和感はありません。

have の場合、このように、正解は原形不定詞か過去分詞の二択が基本ですので、落ち着いて分析すれば大丈夫です。
Cが現在分詞の用法も存在しますが、原形不定詞の用法とでは、1つの英文がポンと提示されるだけの文法問題では識別できないので、この二択に絞ってほぼ大丈夫です。


次に、知覚動詞の場合。
We saw him cross the street.
私たちは彼が通りを横切るのを見た。
We がS、saw がV、him がO、cross がCで原形不定詞です。

We saw him crossing the street.
私たちは、彼が通りを横切っているのを見た。
We がS、saw がV、him がO、crossing がCで、現在分詞です。

この2つの文の意味の違いは、上の文は、通りを渡り始めて渡り終わるまで、一部始終を見ていますが、下の文は、横切っているほんの一瞬を見たという意味です。
しかし、文法問題でこの1文がぽんと出た場合、どちらでも意味が通ります。
だから、文法問題で、この使い分けを問われる場合は、従属節などで状況が詳しく説明されています。
あるいは、選択肢に、原形不定詞か現在分詞のどちらかしかありません。

He was seen to cross the street.
彼は、通りを横切るのを見られた。
受動態のときは、使役動詞 make と同様に to 不定詞が用いられます。

We saw him scolded by his father.
私たちは彼がお父さんに叱られるのを見た。
We がS、saw がV、him がO、scolded がCで過去分詞です。
him は叱られる側なので、過去分詞です。

このように見てくると、知覚動詞の場合は、Cは、原形不定詞・to 不定詞・現在分詞・過去分詞のどの場合もあります。


以上、動詞ごとに、SVOCのCは何が使用されるかまとめてみました。
参考にしてください。
繰り返しますが、ここは、文法問題して一番出題される、ホットなところですよー。


  


  • Posted by セギ at 12:11Comments(0)英語