たまりば

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2018年08月23日

三角形の五心。


数A「図形の性質」の学習は、どういう問題が試験に出るか、ポイントを絞って勉強すると効果的です。
しかし、まだ高校生くらいですと「自分がわからないところが試験に出る」という思い込みに惑わされてしまうことがあります。
不安が勝ってしまうのでしょう。
具体的には、三角形の五心で試験によく出るのは、外心・内心・重心の3つ。
まずその3つを攻略し、まだ余力があるなら垂心や傍心の問題にも挑戦したら良いと思います。
知識・理解を問う、語句の穴埋め問題で「垂心」「傍心」が出題されることは勿論あります。
しかし、外心・内心・重心の問題が出ていないのに傍心が大問として出ることは、定期テストではまずないと考えて良いでしょう。

生徒にそのように説明するのですが、それでも、
「傍心がわからない」
「垂心を教えて」
「垂心か傍心の問題を解きたい」
と、テスト直前、テスト対策をする大切な授業の日に本人が強く言うので、仕方なくそうした演習したこともありました。
定期テストが終わってテストを見ると、やはり垂心・傍心の問題は出題されていませんでした。
一方、必ず出ると予想された外心・内心・重心に関する典型題の出来はグダグダ。
「外心や内心は自分で勉強できるから大丈夫」
と本人は言っていたのですが。
テスト前、最後の1回の授業を私の思うように使わせてくれたらと悔やむことは多いです。

三角形の五心。
学習して時間が経ってしまうと、定義もわからなくなっている人が大半ではないでしょうか。
五心は、まずは定義の理解が重要です。
三角形には、ある条件を満たす3本の直線が1点で交わるという不思議な性質があります。
2直線は1点で交わるでしょうが、その交点を3本目の直線も必ず通るのですよ。
偶然ではなく、必ず。
よく考えたらとても不思議なことで、三角形というのは凄い図形なのです。


まずは外心。
三角形の3辺の垂直二等分線は1点で交わる。
この点を三角形の外心という。
外心は三角形の外接円の中心である。

内心。
三角形の3つの内角の二等分線は1点で交わる。
この点を三角形の内心という。
内心は三角形の内接円の中心である。

重心。
三角形の3つの中線は1点で交わり、その点で各中線は2:1に内分される。
この点を三角形の重心という。

垂心。
三角形で、3つの頂点から対辺に引いた垂線は1点で交わる。
この点を三角形の垂心という。

傍心。
三角形で、1つの内角の二等分線と他の2つの外角の二等分線は1点で交わる。
この点を三角形の傍心という。
傍心は1つの三角形について3つある。
傍心は、三角形の傍接円の中心である。


定義だけでも、傍心はわかりにくいですね。
まず傍接円をイメージできれば、傍心も少しはイメージしやすくなります。
三角形の3辺の両端を延長し、3本の直線としましょう。
そして、その三角形の外側に、その3本全ての直線と接する円を描きます。
1つの辺と他の2辺の延長線とで三方を囲まれた円が、円の外側に3つ描けます。
それが傍接円です。
その中心が傍心です。
傍接円は、直線に接しているのですから、傍心と接点を結んだ線分は三角形の各直線に垂直です。
すなわち、傍心から各直線に下した垂線が重要な役割を果たします。
また、傍心と各頂点とを結んだ線分も、それぞれの内角や外角の二等分線なのですから重要です。
この合計6本の線分が問題を解く鍵となります。
傍心の問題が解けない原因の第一は、この6本の線分を引いていないことです。
とにかくその6本を引くのが、問題を解く鍵です。
6本の線分を引くと、合同な三角形、特に使い勝手の良い直角三角形がザクザク現れてくるのです。
それで問題の構造が見えてきます。

傍接円そのものは、描いても描かなくても大丈夫です。
描くのは自由ですが、その線が濃すぎるとむしろ邪魔になります。
きれいな円を描こうとして、デッサン的に、細かい線の集積のような太くて濃い円をぐりぐりと描いてしまうと特に邪魔です。
円を描きたいときは、1本の線で薄く描きましょう。
描かずに済むなら描かず、心の目で円を見ているほうが良い場合も多いです。

傍心は、そんなにテストに出ません。
数年前、センター試験の追試に出題されましたが、傍心の問題だと気づかずに解いた人が多いのではないかと思います。
追試は、本試験よりも難しいので傍心が出ることもありますが、傍心だと気づかなくても解ける問題でした。

定期テスト対策としては、自分がわからないことがテストに出る、という謎の怯えから脱却することが大切です。
大学入試で多く扱われることが、高校の定期テストに出ます。
外心・内心・重心の学習は怠りなく。
それが十分できてから、垂心・傍心。
「嫌い」
「こんなの、わからない」
と感情的な反発をしているのは時間の無駄ですから、定義と性質をしっかり理解し、易しい基本問題を解いて、自分が本当に理解しているか確認してから、応用問題に進むと良いと思います。
学校の問題集を1回解くだけの勉強をしている人は、基本問題で間違えても復習せず、そのまま応用問題に突き進み、基本がわかっていないのですから当然応用問題が解けるわけがなく、
「嫌い」
「わからない」
と感情的に反応しがちです。
それでも基本の定義や性質を復習することはせず、
「特に傍心がわからない」
「わからない。わからない。わからない」
とパニック状態のまま定期テストを受け、テストが返ってきて、
「やっぱり図形は嫌い」
というあまり有益ではない感想を口にして終わってしまいます。

勉強のやり方を変えたほうがいいんじゃないかな?
少しでもそういう反省に結びついたら、悪い結果のテストも意味があると思うのです。

  


  • Posted by セギ at 10:49Comments(0)算数・数学