たまりば

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2015年06月10日

鷹ノ巣山を歩いてきました。2015年6月。


2015年6月7日(土)、奥多摩の鷹ノ巣山に行ってきました。
毎年恒例の鷹ノ巣山歩き。
今年はひと月ほど早く、梅雨前に行くことにしました。
ホリデー快速おくたま号に乗って、終点奥多摩駅下車。
駅前から東日原行きのバスに乗り、終点東日原下車。9:50。
バスの進行方向のまま道路を歩いていくと、10分ほどで稲村岩が見えてきます。
「鷹ノ巣山登山口」の看板の通りに民家の横のコンクリートの階段を下りていくと、すぐに沢沿いの細い道に入ります。
いつものことながら、この道が案外細くて苦手です。
用心して歩いていくと、立派な造りの橋。
そこを渡って、また登山道は続きます。
やがて、沢が見えてきて、1つ目の木橋。
昔、この辺りは、枯れているときは沢が登山道に見えるほどなだらかだったのに、大岩がいくつも沢を遮るようになって、小さな滝が増えました。
雪崩か大雨で流れてきたのでしょう。
同じ道なのに、来る度に変化があり、自然は動いていると感じます。

しばらく沢の右岸を歩いていくと、2つ目の木橋。
左岸に渡ります。
去年は、ここで私の少し後ろを歩いていた人が登山道を踏み抜いて転落しそうになったのですが、道は修復されていました。
ただ「登山道崩落につき通行注意」という掲示は出ていました。

またしばらく歩いて、3つ目の木橋。
去年は橋の横板が1つ外れていましたが、それも補修されていました。
明らかに後からつけたという板が1枚。
でも、歩きやすくなりました。
ありがとうございます。
修復してくださった方に、心の中でお礼を言って、再び沢の右岸を上流に向かって歩いていきます。
しばらく水平な道。
4つ目の木橋は、渡りません。
苔むして朽ちていく途中にも見え、もう何年も誰も歩いていない様子の橋です。

さて、道しるべを確認し、登りの始まり。
ここから、延々と九十九折の急登になります。
今日歩く道の中でも、自然林が特に美しいところです。
6月は、緑の色がまだ若い。
柔らかい虫の声が幾重にも重なり、鈴のように樹間から降りそそいできます。
ヒグラシでしょうか。
降るような音の中を登っていきます。

稲村岩分岐。10:50。
ここまでは毎年同じペース。
ここから年によって全く違います。
山頂まで1時間15分で着いた年もあれば、2時間30分かかった年もありました。
山の中に熱風が吹いているような暑い日もありましたから。
今日は、風が冷たい。
少し休んでいると、汗が冷えて寒くなってきました。

若い男の子が1人で登ってきたのを潮に、私は出発。
まずは、木の根が階段を作っている急登。
その先も、延々と急登が続きます。

お。さっきの男の子が、もう追いついてきました。
立ち止まり、道を譲って、
「早いですね」
と声をかけると、
「いえ」
と首を横に振り、はにかんでいました。
まだあまり山慣れていない様子です。
「あともう少しですか?」
と訊かれました。
「いえいえ。速い人でも、あと1時間は」
「え?そんなに?」
自然、2人で急坂をふり仰ぎました。
まだ、どこまでいっても空は開けません。

大きな倒木。11:55。
1年半前の大雪で倒れたブナの木です。
休んでいると、また後ろから若い男の子の単独行が来ました。
大きなザックを背負って、両腕を前に組んで登ってきます。
足運びから見ても、かなり山慣れている様子。
今日の鷹ノ巣山は人が少なく静かです。

去年の課題は、休憩適地の「ヒルメシクイノタワ」を通らずに山頂に着いてしまったこと。
あそこはどうなったのでしょう。
1年半前の大雪で、登山道はかなり変わりました。
道が複線化しているところが多いので、そのせいでヒルメシクイノタワを通らないでしまったのかもしれません。
今回も、踏み跡の分岐をいくつか発見。
去年は向こうに行ってしまったのだったろうか。
そんなことを考え、今回は踏み跡の濃いほう濃いほうと意識して歩いていきました。
でも、「ヒルメシクイノタワ」は、やはりありませんでした。
道しるべがあってベンチがあって平らな、あの休憩適地は、どこに行ってしまったんだろう。

鷹ノ巣山山頂。13:00。
稲村岩分岐から2時間10分。
コースタイム通りでした。
私が山頂に着くのとほぼ入れ違いに、若い男の子2人が出発していくのが見えました。
登りで道を譲った単独行の男の子たち。
途中で仲良くなって、お昼を一緒に食べたのでしょうか。
何か話しながら、2人で下山していきました。

山頂からの展望は、近くの尾根が見える程度。
夏の鷹ノ巣山はそんなことのほうが多いです。
雪の季節に来たいなあといつも思うのに、まだ実現していません。
やがて、高校生くらいの10人ほどの集団が到着。
山頂は一気に賑やかになりました。

さて、今年も石尾根を下山します。13:10。
上の写真は山頂直下で撮影。
かなり急な下りを、そろそろと下りていきます。
ここを下りきれば、しばらく平坦で歩きやすい道。
ときどき、大木が倒れています。
去年の夏は無理にまたいで越えましたが、今年は迂回路ができていました。
倒木は枯れていず、倒れたまま新しい葉をつけていました。
まだ根の半分は土についているのですね。

小さいピークを巻いていった先は、急な下り。
木の根や岩が大きな段差を作っている下りです。
岩や木につかまりながらゆっくり下りていると、後ろから、さきほどの高校生の集団が。
ありゃ。もう来ちゃった。
しかし、道を譲るスペースがありません。
できるだけ急いで下るのですが、先頭の男の子が私のすぐ後ろに立つようになりました。
何だかちょっとプレッシャー。
もう少し離れてくれたほうが歩きやすいなあ。
道を譲れと要求しているわけではなく、何も考えていないだけなのはわかっているけれど。

ふと振り返り、私は微笑みました。
私の直後に付いてきているのは、先頭の男の子2人だけでした。
3番目を歩く女の子は、ずっと後れてしまっています。
振り返った私の視線を追って、男子2人もそのことに気づいた様子でした。
立ち止まった彼らをおいて、あとはマイペースで急坂を下りていくことができました。

またしばらく平坦な道です。
ときどき、滑りやすい土道の下りもあり、そろそろと通過。
緩い下りが終わると、そこからは六ツ石山への登り返しです。
午前中の急登を思えば大した傾斜ではありませんが、もう下山するだけと思い込んでいると意外につらい場所かもしれません。

六ツ石山分岐。14:30。
しばらく行くと、広い尾根の大急下降。
そこを越えれば、またしばらく平坦な道が続きます。

耳元で低くかけているラジオは、新しく世界遺産暫定リストに載った各地の関係者が電話出演していました。
三池炭鉱の保存に取りくむ関係者は、
「ゴミの山だったんですよ。不法投棄とか大変だったですよ。行政のほうから最初話があってですね。あんたんとこは、世界遺産とかよりも、まずゴミばきれいにせんねと言われましてね。今はゴルフ場くらいにきれいになったとですよ」
「・・・・・ゴルフ場?」
釜石の橋野高炉跡の関係者は、
「地震で石がズレまして、それを直したんですけど。その直したときに、ちょっとはがれた部分を接着しようと洗ったんですよ。そうしたら、とってもきれいになってしまって。イコモスの調査委員の方も、『これ、本物か?』って」
「世界遺産登録されたら、何かイベントを予定されているんですか?」
「えっとですね、直後にはですね、地元の方が餅まきしたいということで」
「餅まき?」
などあっけらかんとしたトークが続いて、山の中1人で笑ってしまいました。

「すいません。脇を通らせてもらっていいですか」
後ろからふいに話しかけられて、びっくり。
「ええっ?」
振り返ると、トレイルランナーでした。
「あ、すいません。驚かせてすいません」
「は。はい、どうぞ」
ラジオに聴き入っていて、背後の気配に気づきませんでした。
あー、びっくりした。
でも、驚いたには驚いたけれど、トレイルランナーは、こういう礼儀正しい人が多いので、私は悪い印象を持ったことがありません。
登山者との関係には気を遣っているランナーが多いと思います。

1人、また1人、ランナーがやってきました。
大会が開かれているというほどの人数ではありません。
去年までは1人も出会ったことがなかったのに。
今はこのコースが流行っているのかな。

三ノ木戸山分岐。15:00。
右へ下りていく道は、今年も崩落したまま通行止めでした。
歩きやすい道をどんどん行くと、やがて登山道が深くえぐれた一帯に突入。
ここは、いつ来ても泥でぐちゃぐちゃです。
登山道の脇の林に、もう明瞭な踏み跡ができています。
それをたどって、たったか通過。
足元に花の咲く様子もない植林帯なので、ご容赦を。

桟道を越えたら、あと10分。
道の雰囲気が変わり、足元に石が多くなり、道が細くなってくると、もう舗装道路はすぐそこです。
舗装道路。16:05。
あとは、曲がりくねった道路をたったか歩き、神社を通って、もえぎの湯。16:45。
やっぱり、7月に歩くときと比べると1時間も早くなります。
温泉はまだ混雑前で、待ち時間なしで入ることができました。

  


  • Posted by セギ at 17:18Comments(0)