たまりば

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2011年12月08日

証明のすすめ方



さて、今回は、三角形の合同と、それを利用した証明の進め方の話です。

証明問題は、中学生が最も苦手とするところです。

中学生が、数学の体験授業を受けにくる場合、苦手なところはどこですかと質問すると、ほぼ間違いなく、「証明」か「方程式の文章題」と答えます。
学力と関係なくその答えなので、ちょっと困るところでもあります。
証明や文章題を勉強する前に、もっと基本を身につけなければならない子も、「証明が苦手」と言います。
うまく誘導して、基礎的なことで出来ないことがたくさんあると、気づいてもらうのが理想です。
とはいえ、自分が苦手だと申告したことをやってくれなかった、という不満を生徒さんが抱いて帰った場合、その体験授業は失敗なので、「証明が苦手」という話を聞いた場合、定着はしないだろうと覚悟の上で、証明の進め方について授業をする場合もあります。
とにかく入会していただいて、そこからじっくり、何もかも進めていくとして、まずは、相手の満足感だけを重視しよう。
でも、上手くやらないと、「わからなかった」という感想を抱いて帰ってしまわれる場合もあります。
証明は、数学講師にとっても、鬼門。(-_-;)

証明がわからない原因の1つは、教わったスタイルの悪さかもしれません。
最近は減りましたが、生徒のためを思ってなのか、ものすごく簡略化した証明の書き方を教える数学の先生が昔はいました。
簡単な証明問題なら、そのスタイルは楽なのですが、少し複雑になると、対応できません。

どんなスタイルか。
たとえば、こんな書き方です。

△ABCと△EFGにおいて
AB=EF (仮定)
BC=FG (仮定)
∠B=∠F (対頂角)
よって
△ABC≡△EFG (2辺夾角相当)

何がいけないのかというと、このスタイルは、( )の中に根拠を書いていくのですが、根拠が常にこれほどシンプルとは限らない。
何段階にも分けて説明していかなければならない場合も多いです。
長々と書かなければならないときに、( )の中にどのように書いていいのか、生徒はわからなくなるんです。

これで書けないときは、別の書き方で書くんだぞ、という話が授業中にされていると思うのですが、そういう話は、たいていの場合、生徒は聞いていないです。
2種類のスタイルを学ぶのも、大変です。
やはり、いつも同じスタイルで書くほうが、学びやすい。

△ABCと△EFGにおいて
仮定より
AB=EF
BC=FG
対頂角は等しいので
∠B=∠F
2辺とその間の角がそれぞれ等しいので
△ABC≡△EFG

根拠を文の形で説明していくこのスタイルならば、どれだけ長文で説明することになっても、論理的で、正確であれば良いのですから、書きようがあります。

証明問題を学びにくい、もう1つの原因。
自分の答案のどこがどのように間違っているのか、問題集の模範解答を見ても、わからないことです。
自分に甘い子は、何でもマルをつけてしまいます。
自分に自信がない子は、少し言葉遣いが違うだけで、バツをつけてしまいます。
採点基準がよくわからない。
証明問題は、特にそうです。

数学の基礎は身についていて、数学センスもあり、ただ証明問題だけが苦手なのだという生徒を教える場合、1題、本人に解いてもらって様子をみれば、大体わかります。
何が抜けているから減点されるのか。
証明を書くためのルールの何を誤解しているのか。
書き方のちょっとしたコツの中の何を理解できていないのか。
そこを調整していけば、証明は、たちまち得点源になります。

以前、生徒から質問されて面白かったこと。
「センセイ、『ゆえに』と『したがって』って、どう違うの?」
「・・・・同じです。順接の接続語だよ」
「何、それ?」

証明問題が得意になるには、多少の国語力も、必要かもしれません。
  


  • Posted by セギ at 13:36Comments(2)算数・数学