たまりば

  地域と私・始めの一歩塾 地域と私・始めの一歩塾  三鷹市 三鷹市

2018年08月01日

感覚で英語の問題を解いてしまう子。



さて、今日は英語の話。
入試問題でも、英検などでも、英語の4択問題は多いのですが、本来得点源であるこうした問題で見事に外してしまう子がいます。
機械的に選んでも確率として25%は正答するはずなのに、本人の正答率は25%に達しません。
ほぼ全て誤答してしまうことすらあります。

例えば、こんな問題。
これを、中学3年生が解くとして。
Yoshihiko works at the hospital near his house. He (  ) people who cannot get out of their beds.
 1. translates  2.promises  3.assists  4.spells

本人の単語力にもよりますし、学んでいる教科書によっても若干のズレはありますが、普通の中3ですと、はっきり意味のわかる単語は、この中では1つもない場合もあるかもしれません。
教科書には出てきていた気がする。
テスト前には覚えたような気がする。
でも、今は覚えていない。
そんな子のほうが普通です。
でも、この問題、正答率はそんなに低くないはずです。

正答は、3.assists

これを正答できる生徒の考え方は、こんなふうです。
英語としては初めて見るような気がするけど、この単語は「アシスト」でしょう?
「アシストする」のアシストだよね。
「アシスタント」のアシストだよね。
「補助する」とか、そういう意味なんじゃないかなあ。
他の単語の意味はわからないけど、正答はこれだよ。

そういう判断をする子は、正答できます。
ところが、そういう判断ができない子もいます。
知らない単語は、読むこともできないと決めてかかって、目を通しません。
assistが「アシスト」と読める単語であることを教えると、がく然として、あー、答えられたのに、と悔しがります。
ローマ字読みで良いからとにかく読んでみれば良かったのに、それをしなかったんですね。
読んでみたら、もう案外日本語として普通に使っている英単語は多いのですが。

もっと重症な子になりますと、「アシスト」と読めるとわかっても、その意味がわからない子もいます。
「アシストするって、日本語として聞いたことがあるでしょう?」
「知りません」
「アシスタントって言うでしょう?」
「言いません」
そうなると、それは、その子の日本語の語彙が少ないのが根本の問題となってきます。
あるいは、間違えた問題のことに触れられるのが嫌で、たたき返すように「知りません」「言いません」と言っているだけかもしれませんが。
その情報がその子の脳を通っていないのです。
間違えた問題についてあれこれ言われるのが嫌なのでしょう。
プライドが傷ついてしまうらしいんです。
一刻も早く忘れたいと思っているのに、「アシストって言うでしょう」「もう、それは日本語でしょう」と言われるのが嫌で、「知りません」「言いません」とたたき返してしまうようです。
しかし、間違えた問題を分析し原因を確認することができず、忘れたい、ごまかしたいという反応をする子は、また次も同じ間違いを繰り返します。
この問題が1問できなかったことよりも、もっと根深い問題を抱えています。

以上のように、さまざまな場合がありますが、正答の3.assistsが正答に見えなかった子は、では、何を選ぶのでしょうか。
どうも、1. translates(翻訳する) を選んでしまう子が多いようです。
この間違い方も、いろいろと分析できます。

まず、transport(輸送する) という単語との混同があった場合。
「ベッドから出られない人々を輸送する」という表現はどうなのかな?
大体、どういう仕事なのそれ?
救急隊員なの?
救急隊員をそのように表現するかなあ?
とは思うものの、気持ちはわかります。
ああ惜しかったね、勉強はしているよね、と声をかけたくなるタイプです。

一番困ってしまうし、しかし、一番多いのは、
「何となく、translateが正解のような気がしたから」
という返答です。
・・・・・何となくって、何なんでしょう?
「なんか、長くて、難しそうな単語だったから」
長い単語が正解に見えてしまう?
難しそうな単語が正解に見えてしまう?
混乱しているときは、そんな判断をしてしまうようなのです。

以前、うちの塾生の1人が、こんなことを言いました。
「問題が、魔物に見える」
間違えて、間違えて、また間違えて。
どう選んでも間違いが続くと、もう訳がわからなくなる。
問題が、自分をだます魔物に見えてくる。
必ず落とし穴があるように見えてくる。
そういう意味のようでした。
そういう感覚に陥っていると、自分の知らない単語、一番長くて難しそうな単語が正解だろう、という誤った判断をしてしまうのかもしれません。

勉強というのは、いくら基礎でも学問なので、感覚で解いていたら、いずれ迷宮に入り込みます。
にも関わらず、特に英語は自分の感覚に頼ってしまう子が多いように感じます。
感覚に頼って4択を選び、単語を並べて文らしきものを作り、それで正答になると漠然と夢見ているような勉強をしている子がたくさんいます。

英語が得意な人たちが「英語は感覚を大切に」などと、誤解されやすい発言をすることも一因です。
これは良くないと、以前にも書きました。
その人たちの「感覚」は、本人は「感覚」のつもりでも、実は「理屈」なのです。
英文法の体系がその人の内にあるのです。
本人がそれを意識していないだけです。
長年、勉強が苦手な子たちの「感覚」につきあっていると、「感覚に頼れ」と言う気にはなれません。
「一番長い単語が正解」というのが、その子の「感覚」かもしれないのです。

教えて教えて、さまざまな武器を持たせたのに、試験当日、それらの武器を全部放り出して、素手でわあっと突入していってしまう。
「感覚」に頼る子の試験の受け方はそんなふうで、結果を見て本人も傷つきますが、教えた側の落胆も大きいのです。


勉強は、推理小説ではありません。
「一番犯人ではなさそうだった奴が、実は犯人だった」
なんてことは、ありません。
一番「犯人」だと思われる奴が、まさしく「犯人」です。
一番正答らしいものが、正答です。
証拠がそろっているから「犯人」なのです。
その証拠をそろえるには、しかし、こちらに知識が必要。
論理的な判断力が必要。
知識と判断力があれば、問題は魔物には見えません。

出題者は、あの知識を確認するために、この問題を出しているのだ。
こう間違える可能性を予想して、こういう構造の問題を作ったのだ。
だから、これが正解なのだ。
そういう判断を繰り返していくことが問題を解くということです。
それができるようになるには、単語力と文法力をつけ、判断力を養うために、たくさん練習するしかありません。
ネイティブでもない日本人が、英語を感覚で解くのは不可能です。
間違った自分の答えばかりが記憶に残り、それの集積がその子の「英語の感覚」であるのは、よくあることです。
英語の問題を感覚で解くのをやめ、少しでも理屈を考えていこうするのがまず第一歩です。




  • 同じカテゴリー(英語)の記事画像
    英語学習と映画 ノッティングヒルの恋人
    不定詞の攻略法。まずは中学2年レベル。
    時制に関する問題が苦手。高校生の場合。
    時制に関する問題が苦手な子。中学生の場合。
    人称代名詞はなぜ覚えにくいのか。
    なぜ英語を話せるようにならないか。
    同じカテゴリー(英語)の記事
     英語学習と映画 ノッティングヒルの恋人 (2018-08-17 18:19)
     不定詞の攻略法。まずは中学2年レベル。 (2018-08-11 14:39)
     時制に関する問題が苦手。高校生の場合。 (2018-07-18 12:43)
     時制に関する問題が苦手な子。中学生の場合。 (2018-07-12 12:21)
     人称代名詞はなぜ覚えにくいのか。 (2018-07-06 13:28)
     なぜ英語を話せるようにならないか。 (2018-06-29 14:19)

    ※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
    上の画像に書かれている文字を入力して下さい
     
    <ご注意>
    書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

    削除
    感覚で英語の問題を解いてしまう子。
      コメント(0)