たまりば

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2017年11月09日

三角比の拡張。ここで三角比は生まれ変わります。



三角比の始まりは、直角三角形の辺の比です。
非常に便利なのですが、直角三角形である限り、∠θは鋭角なので、限定的です。
何とか鈍角でも三角比は使えないでしょうか?

はあ?
直角三角形に鈍角なんてあるわけないし!
そんな反応も予想できます。

それは当然そうなのですが、とにかく便利なので、使えるようにしたいのです。
その発想が原点です。
とにかく、1つのことが言えたら、それを一般化したいのです。
「三角比の拡張」と言いますが、私は飛翔するようなイメージを持っています。
定義し直すことで、三角比は「空も飛べるはず」なのです。
(*^^)v



この図を見てください。
これがいわゆる単位円ですが、高校1年の数Ⅰ「三角比」では、まだ∠θは0°から180°までなので、上半分しか描きません。
単位円とは、座標平面上に描いた、原点を中心とした半径1の円です。
この円周上を動く動点Pの座標を(x,y)とします。
中心と結んだ線分OPを動径と呼びます。
「動く半径」ですね。
Pを円周上のどこにとってもOPは円の半径ですから常に1です。
Pからx軸に垂線を下ろします。
そうすると、上の図のような直角三角形を座標平面上に描くことができます。
斜辺は半径ですから、長さは1です。
P(x,y)ですから、この直角三角形の対辺の長さはy、底辺の長さはxとなります。
動径とx軸の正の方向との成す角をθとすると、
sinθ=y/1=y
cosθ=x/1=x
tanθ=y/x
となります。
これは便利です。
サインがy座標そのもの、コサインがx座標そのものになりますから。
このように、三角比を定義し直します。

原点Oを中心として半径rの円において、x軸の正の向きから左まわりに大きさθの角をとったとき定まる半径をOPとし、点Pの座標を(x,y)とする。このとき、
sinθ=y/r , cosθ=x/r 、tanθ=y/x と定める。
というのが、拡張した三角比の定義です。

実際には、上のようにr=1のとき、サインがy座標そのもの、コサインがx座標そのもの、タンジェントは直線OPの傾きそのものになり、とても便利なので、この単位円で話を進めていきます。

数学が苦手な高校生は、中学の頃から関数が苦手なことが多いです。
上の説明では、直角三角形の対辺がyになり、底辺がxになるところが理解しにくい様子です。
座標と線分の長さとが頭の中で上手くつながらないようなのです。
中学の数学の座標平面と図形に関する問題も、そこが頭の中でつながらないせいでほとんど得点できない子が多いです。
「これは応用問題だから、自分はできなくても仕方ないやあ」
などと軽く考えて避けていると、高校生になるとそこが基本になるので、訳がわからなくなっていきます。
理解できないので、ただ暗記するだけになります。

つい先日も、中学生との数学の授業で、点Pのx座標をtと置いて、座標平面上の正方形の辺の長さをtを用いて表し、最終的にPの座標を求めるという典型題の解説・演習をしていたのですが、
「勝手にtと置いたのに、何でtの値がわかるんですか?」
「tは定まっていないのに、何でtを求めていいんですか?」
という、わかるようなわからないような疑問で頭がねじれてメビウスの輪になっている子と議論しました。
ここのところがどうしてもわからない子と、一度でスルッと理解する子との違いは何なのだろうといつも不思議に思います。

また、「単位円上の動点Pの座標を(x,y)とする」というのは定義であるのに、
「どうしてそうなるんですか?」
「点Pが円周上にないときはどうするんですか?」
といった不要な質問で頭がいっぱいになって、理解できなくなる高校生も多いところです。
それは定義なんだから、疑義を挟むところではないんです。
定義というのは決めたことで、理由はないんです。
あえて言えば、そう定義することで後々便利だからです。
しかし、そう言っても、納得できない様子です。
xやyというのは、もっと使い方に別のルールがあって、そこで勝手に使ってはいけないのではないか?
そういう思い込みがあるのかもしれません。
繰り返しますが、これは定義です。
単位円上の動点Pの座標を(x,y)とすることには、何の問題もありません。
「単位円上の動点」と決めたので、点Pは、そこから外れることもありません。

話を戻しましょう。
x=cosθ
y=sinθ
y/x=tanθ
このように定義し直したら、もう直角三角形から離れ、三角比は1人歩きできます。
座標平面の第2象限、すなわち、単位円の半円の左側に動径OPが来ても、同じ定義で有効ですね。
すなわち、鈍角の三角比を求めることができます。
サインは、点Pのy座標そのもの。
コサインは、点Pのx座標そのもの。
タンジェントは、OPの傾き。
そう把握できるのです。

点Pが第2象限にあるとき、反対向きの直角三角形を描き、その辺の比を求めようとしてサインとコサインがグチャグチャになってしまう高校生がいます。
うんうんうなりながら、鏡の中で反転している直角三角形と格闘しているのですが、そういうことではないんです。
∠θはあくまでも、x軸の正の方向と動径OPとの成す角です。
考えるヒントとして反対向きの直角三角形を描いて解説するのは、第1象限の直角三角形とy軸に対して線対称であることを示すためです。
線対称だから、第1象限に置き換えて考えましょうと説明しているのですが、ノートに第2象限の直角三角形が残るせいか、そっちで求めるのだと誤解している高校生がいます。
第2象限の三角比は、絶対値を第1象限の直角三角形で把握し、それにプラス・マイナスの符号をつけて求めていくと楽です。
拡張された定義から明らかですが、サインはyの値ですから、相変わらず正の数です。
コサインはxの値ですから、負の数。
タンジェントもxの値が負の数であることが影響し、負の数となるでしょう。
考えるヒントとして反対向きの直角三角形を使いたい人は使えばよいのですが、それで混乱するのは無駄なことだと思います。
あげく、「鈍角の左側の直角三角形の辺の比を求めること」と思い込み、「三角比とは直角三角形の辺の比である」というところから全く飛翔できず、三角形の面積を求める頃になって「直角三角形以外では、三角比は使えないですよっ」と言い張る高校生と不毛な議論をしたこともあります。

実際の問題で考えてみましょう。
例えば、∠θ=120°のとき。
P(x,y)は、∠θ=60°のときのPと、y軸について線対称です。
∠θ=60°のとき、特別な比の直角三角形をイメージして解くと、
sinθ=√3/2 , cosθ=1/2 , tanθ=2/1=2 ですから、
∠θ=120°のときは、
sinθ=√3/2 , cosθ=-1/2 , tanθ=-2 となります。

慣れてしまえば、いちいち描かなくても、頭の中で特別な比の直角三角形をイメージするだけで解けます。
上手くイメージできない間は、第1象限に直角三角形を描いて解いても良いでしょう。

スラスラっと説明してきましたが、ここら辺になると、つまずく石は無数に存在し、
「足元に気をつけて!」
と注意し続けながら授業を先に進めるような状況となってきます。
いったん理解したはずなのに、ここでパニックを起こし、三角比は角度のことだと錯誤し、混乱し始める子もいます。
「苦手な図形」と「大嫌いな関数」が合体したのですから、地獄巡りの心境の子がいるのも無理からぬところです。
すぐに定義が曖昧になり、何でそれで求められるかわからなくなってしまう子が続出します。
とにかく学校の問題集だけ解きたい、学校の問題集を解いて提出しなければならないから、その問題だけを解きたい。
そんな高校生がどんどん増えていきます。

でも、敗退にはまだ早い。
まだ、常人に理解できる範囲の数学です。
繰り返し繰り返し、意味に戻って理解し直せば、三角比は必ずマスターできます。






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