たまりば

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2017年10月22日

三角比は何に使うのか。誤解や思いこみとの闘い。



今回は、三角比の話。
高校生の中には、三角比から数学が全くわからなくなる子がいます。
原因は色々考えられますが、いきなりタンジェントの定義から学習が始まることも1つの理由なのでしょうか。
タンジェント自体はわからなくはない。
でも、三角比とは何なのか?
何のために三角形の辺の比を求めたりするのか?
それが何だかよくわからない。
わからないまま、とにかく言われたことをやらなければならない。
そういう形で勉強が進みます。

中学の数学から、あるいは小学校の算数から、勉強なんてとっくにそういうものになっている子は、諦めて黙々と勉強するのかもしれません。
でも、中学までは、それなりに数学の学習の意味がわかっていた子が、この三角比で意味を見失い、数学につまずくのかと感じることがあります。

ただ、中学の数学までは学習の意味がわかっていたというのは、おそらく誤解でしょう。
「学習の意味」がわかっていたのではなく、「学習する内容」が本人にとってわかりやすいものだったのだと思うのです。
自分が理解できることは、意味のあること。
自分が理解できないことは、無意味なこと。
そういうことにしてしまいたい気持ちは働いていないでしょうか。

学ぶことの意味も、生きることの意味も、うまくいっていないときに考えることのように思うのです。
考えることに意味はあると思いますが、知識がなく視野が狭い状態で考えると、あまり良いことは待っていないです。
極端なことを考えてしまいがちです。
まだ高校1年生なのですから、「何か意味があるんじゃないの?今はわからないだけで」くらいの感じて、ゆとりをもって臨みましょうよ。
(*^^)


三角比の使いみちは多様です。
ひと口には言えないことですが、当面の目標としては、
「三角形の角の大きさや辺の長さや面積を、ものさしや分度器で測らないで求めようとしているんだよ」
ということでいいんじゃないかと思います。

中学で、三角形の合同条件を学びます。
3組の辺がそれぞれ等しい三角形は、合同である。
2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい三角形は、合同である。
1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい三角形は、合同である。

合同である、ということは、そういう形と大きさの三角形は、この世に1つしかないということです。
1つしかないものならば、その三角形のすべての角、全ての辺の数値は、決定しています。
それは、計算で求められるのではないか?

だから、
3辺がわかっていれば、3つの角は計算できるはずです。
2辺とその間の角がわかっていれば、残る1辺と、残る2角は計算できるはずです。
1辺とその両端の角がわかっていれば、残る2辺と1角は計算できるはずです。
そして、その全てにおいて、面積は計算できるはずです。

三角比という単元の目標は、それです。
とりあえず、そこに向かって学習が進みます。

しかし、その目標達成のために、
最初は直角三角形の辺の比の話を始めていたかと思ったら、
サイン・コサイン・タンジェントの関係を表す公式が登場して、式の計算が始まります。
じゃあ式の計算とか方程式の単元なのかなと思っていると、
突然「単位円」なるものが表れ、座標平面上に描かれます。
じゃあ、関数なのか?
と思っていると、直角ではない三角形の話になってしまいます。
この流れに飲み込まれ、混乱しませんように。


「そうは言っても、現実生活に三角比なんか使わないし」
そういう高校生もいますが、私は三角比を現実生活の中で利用しています。
例えば、地形図に磁北線を引くときです。
無雪期に、登山者の多い普通の登山道を歩くだけなら、「地形図」ではなく昭文社「山と高原地図」などの登山地図で事足ります。
緑と茶色で色分けされた地形の上に登山道が赤で記され、何分かかるかコースタイムが記されている地図です。
どこの書店でも、山のガイドブックなどが置かれているコーナーにあります。
私も、普段の山歩きでは、ほとんどこの地図を使っています。
何しろわかりやすいです。

しかし、登山道ではない道を歩くとき。
当然、道しるべはありません。
あるいは、積雪期の山を歩くとき。
すべて雪に覆われ、登山道は見えません。
風雪のため、視界不良の可能性があります。
そのような状況でも目的地に向かって進むために、2万5千分の1地形図とコンパス(方位磁石)を使います。
地形図は、大きな書店や登山用具店に置いてあります。
薄い引き出しが何重にも重なっている棚のようなものがお店の隅っこにあったら、開けてみてください。
地形図がぎっしり詰まっています。
あるいは、ネットで購入し、プリントアウトすることもできます。

しかし、地形図は、買ってきただけでは、単に等高線が詰まっただけの紙です。
コンパスを使うためには磁北線を書き入れなければなりません。
というのも、「地図は上が北」とは言うけれど、コンパスの矢印が指す先は、正確には北ではないからなんです。
地球は、巨大な磁石。
しかし、その大きな磁石の極は、北極と南極ではなく、少しズレています。
そのズレの角度は、地域によって異なります。
しかも、年々、ほんのわずかですが変化します。
その、磁石上の北、すなわち磁北をコンパスは北として指します。
それを表す線を地形図上に描いておかないと、コンパスを正確に使用できません。
その線が、磁北線です。

どうせそんなの大した差じゃないんだろうと思うかもしれません。
山梨県あたりで、「西傾6度10分」くらい。
磁石上の北は、6度西に傾いています。
地形図にそれを描くと、随分斜めなんで、びっくりします。
この磁北線を引くときに使うのが、タンジェントです。

例えば、こんなふうに引きます。
まず、地形図の縦の長さをものさしで測ります。
うむ、およそ42cm。
三角比の表で、タンジェント6°を調べます。
本当は6度10分だから、0.108くらいでいいかな。
地形図上に斜辺が磁北線となる直角三角形をイメージします。
右上に直角がある縦に細長い直角三角形ですね。
直角を挟む縦の辺が42cm。
横がxcmとすると、
tan6°=X/42
x=42×0.108
 =4.536
なので、地形図の上部右端から、4.5cmのところに印をつけ、下部右端と直線で結びます。
あとは、好みの問題ですが、私は5cm間隔でそれの平行線を引いています。
これで磁北線の入った地形図の完成です。
ヽ(^。^)ノ
今は、パソコン上で磁北線を入れた上でプリントアウトするサービスもありますが、手書きできる技術を身につけておくことは全てにおいて有効です。


地図は上が北。
そのことで思い出す女の子がいます。
大手の個別指導塾で働いていた頃、小6の女の子に社会科を教えていました。
彼女は、中学受験生でしたが、8方位が理解できていませんでした。
「東南」「北西」などの方角がわからないのです。
ときどきは正解します。でも、またできなくなります。

東と西の区別がつかない子は小学生に多いですが、理解できていないのではありません。
西と東が逆になってしまうだけですし、それの覚え方はあります。
でも、彼女の場合、それとは違うようでした。
北と南もときどき逆になります。
本気で取り組んでいるのに、8方位が理解できないのです。

私は、試しに地図のコピーに東西南北を書き込んでみました。
「これで練習しよう」
と言うと、彼女は、不機嫌に答えました。
「これは、違う。北は上だよ」
彼女は、天を指差しました。

「地図は、上が北」と言います。
しかし、上とは、何なのか。
そこから説明してもらえたことが一度もなかったから、彼女は誤解していたのです。
子どもは、ときどき、大人が驚くような誤解をしています。
いえ。
彼女のは、誤解ではなかったのかもしれません。
空に輝く北極星。
あれが北だと、理科では教わるのですから。
地球の外から北を把握し、1枚の地図にまでズームアップするとき、北の意味が本当に把握できるのです。
地図は、上が北。
そこまでクリアになったとき、彼女は、もう方位は間違えませんでした。




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