たまりば

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2017年05月17日

関数は小学校から学んでいます。


関数という単元は、本格的な内容に入ってしまえば、案外わかりやすいのに、最初の概念的なことがむしろ難解なのかもしれません。
「変数xとyがあり、xが定まると、それにともなってyがただ1つに定まるとき、yをxの関数という」
これがスパっと頭に入り、うんうん、そうだろうねと感じられたら何も問題ないのですが、そうはならない子は、いつまでもいつまでもこの件を引きずることになります。
以前も書きましたが、こうした定義よりも、
「関数なんか何の役に立つのかわからない」
「やっていることの意味がわからない」
「こんなの必要なくない?」
という感情のほうが先に立って、関数の存在に否定的な子が関数が苦手な子に多いように思います。

中学になって突然「関数」という単元が出てくるから、こうした拒絶反応があるのかというと、そうではなく、「関数」という言葉は使わなくても小学校から関数は学習しています。
そして、この子は将来関数が苦手になりそうだなあという子は、小学生の頃の反応からある程度予想がついたりもします。

関数は、小学校から学習しています。
「ともなって変わる量」とか「数量の関係をあらわす式」といった単元がそうです。
関数という言葉を使わないだけで、学んでいる内容は関数です。
そして、4年生でも、5年生でも、6年生でも、同じようなことを繰り返し学習するわりに定着しない単元でもあります。
△と〇の関係を表す式なんて立てても意味がない。

答えの出ない式なんて意味がない。
こんな式を立てなくても答えは出せる。
使い途がない。
子どもは、そんなふうに考えてしまうのかもしれません。

小学生に、
「今、学校は何をやっているの?」
と質問して、答えが曖昧なときは、たいていこの単元です。
「何かよくわかんないことをやってる」
「ふうん。何という単元?」
「何か、わかんない。本当に、全然わかんないことをやってる」
こういうとき、わからないことに不安を抱いているのではなく、むしろ、そんな訳のわからないことをやらせる学校が悪い、あんなのは意味がないと言いたげな、変に自信満々な表情であることが多いのも、この単元の特徴です。
教科書を持ってきていない子には、テキストの目次でどの単元を勉強しているのかを探させて、「数量の関係をあらわす式」を学習していることを確認し、ああ、やっぱりか、と思います。

「この単元は、中学生になったら『関数』という名前になる単元で、大切な単元だよ。これが理解できると、中学でも数学が得意になれるよ。高校になると勉強することの半分以上は関数だよ。しっかり学習しようね」
「えー」
私は、いつも、これくらい強調します。

小学生でも中学生でもそうですが、関数が役に立たないとか意味がないと思っている子は、関数の意味を理解できない自分に課題があるという考え方ができないのかもしれません。
学び始めたばかりでは関数を何に使うのかよくわからないけれど、これはきっと重要なことで、いずれわかってくるだろうと理解を示すことができないのでしょう。
すぐに全体を鮮明に理解できないと嫌気がさしてしまうのかもしれません。
それでは、数学に限らず、いずれ全ての勉強に嫌気がさしてしまうでしょう。

小学校も高学年になると、xやyを使うようになりますが、最初は、△や〇を使って式を作っていきます。
4+△=〇 とか、
3×△=〇 とか。
問題文からそういう関係を読み取って、△と〇を使った式を立てることができて、その式を利用して具体的に数値を代入し、△が5のときの〇の値や、〇が9のときの△の値を求めることができれば、この単元は身についた、ということになります。

以前、保護者の方から、それに関してこんな話をうかがいました。
「〇から△を求める問題、うちの子に教えたら、移項のときは符号を変えることとか、全然わかっていなくて」
「・・・・・あ、移項で符号を変えるのは、小学生には無理なんです。小学生は、負の数を習っていないんです」
「ええっ、そうなんですか?でも数直線は勉強しているでしょう」
「はい。ただ、小学生の数直線は、0で止まってしまうんです」
「だったら、どうやって解くんですか」
「逆算の式を立てるんです」

小学生は、負の数を知りません。
小学生は、方程式を知りません。

大人が小学生に算数を教えることの難しさの1つは、小学生のこの限界とどう折り合いをつけていくか、ということかもしれません。
そのときも説明したのですが、小学生に算数を教えるときは、まず大人が教科書を読んで、解き方を理解した上で、その通りに教えるのが、一番良い方法です。

小学校の教科書を読むと、大人はつい思ってしまいます。
なんでこんなまだるっこしい解き方をしているんだろう?
しかし、それは、発達段階として必要なまだるっこしさです。
「負の数」や「方程式」という概念は、多くの小学生にとって、抽象的で理解しづらいものです。
該当学年より上の内容をきちんと段階を踏んで順番に学習していくことは、素質のある子どもに対してなら、周囲の大人の責任において好きにやったら良いことだと思いますが、普通の5年生の知識を持っている子どもにいきなり負の数や方程式を教えても、理解できないのは当たり前です。
ここは、大人のほうが「小学生の解き方」を学び直したうえで教えたほうが効果的です。
自分のやり方に子どものほうを合わせようとする大人は案外多く、残念なことです。
まずは教科書や塾のテキストを見て、その通りに教えてあげることが子どもにとっては一番わかりやすいのです。

個別指導塾でも、アルバイト講師などで、本人に中学受験の経験がなく、研修も受けていない人が、小学生を相手に方程式で受験算数を教えてしまうことがあります。
ご家庭で勉強を見てあげる場合でも、数学が得意なお父さんが子どもから文章題を質問されて、無理に方程式で解いてしまうことがあります。
わからなくて苦しまぎれにそうしている場合もあると思うのですが、そうではなく、そうしたほうが良いと思っているのだとしたら、被害をこうむるのは子どもであるという点で罪深いことだと思います。
そこまでの基礎を踏まずに突然教わる「正負の数」や「方程式」は、定着しないからです。
余計な混乱が起こるだけです。
中学校では、「正負の数」「文字式」「1次方程式」を教えるだけで、1学期が終わります。
それだけボリュームのある学習内容です。
その間に「算数」から「数学」への大転換に適応することがこの時期の重要課題でもあります。
ちゃちゃっと教わってすぐ文章題に利用できるような内容ではないのです。

「関係を表す式」の学習に否定的な子どもには、これが中学・高校と学年が進むにつれて学習の中心となっていく「関数」という大切な考え方の基礎であるという観点を示すこと。
解き方がわからず困っている子に、「方程式」や「負の数」のような、その子にはまだ必要ではない解き方を教えて混乱させないこと。
将来の関数嫌いを作らないために、小学生の頃から注意して見守りたいですね。




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