たまりば

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2017年05月12日

集合と要素の個数


今回は、「集合」の話。
「集合」は、私が子どもの頃は、中学1年生の最初に学ぶ内容でした。
現在は、高校1年生で学ぶ内容になっています。
数Ⅰでも数Aでも出てくるちょっと特殊な単元です。
数Aの最初に少しだけ出てくるのは、「集合」の基本的なことを知っておかないと、数A「場合の数と確率」の考え方の中で理解できないことがあるからでしょう。
数Ⅰでは「命題の真偽」「十分条件と必要条件」「対偶による証明」「背理法による証明」などとともに学習します。

用語も時代によって改められてきました。
例えば、A∪Bの、「∪」という記号。
私が子どもの頃は、「むすび」と読みました。
「むすび」の「む」の字の形が、∪の文字と似ているので、それで覚えましょうなんて覚え方がありました。
現在、「A∪B」は、「AカップB」と読むか「AまたはB」と読みます。
「カップ」と気取って読むと格好いいのですが、意味が伝わってこないので、結局、「∪」と「∩」の区別がつかなくなって混乱する子がいます。
カップは、マグカップ、大きくてなみなみとたくさん入っているほうだよー、と印象づけて覚えれば何とかなるでしょう。
「A∩B」は、「AキャップB」あるいは「AかつB」と読みます。
昔、これは「まじわり」で、「交」という漢字の下の部分と同じ形、というイメージで覚えました。
今は、キャップは「鉛筆などに使うキャップ。マグカップと比べると狭いほう」というイメージで覚えると良いでしょう。

集合の基本を学んだ後に学ぶのが、ド・モルガンの法則。
オーガスタス・ド・モルガン。
19世紀のイギリスの数学者です。
ネットで、 ̄(オーバーライン)を文字の上に描く方法がわからないので、かなり伝わりにくい話になりそうですが、できるだけ言葉で説明すれば、

A∪Bの補集合、つまり「AまたはB」の否定は、
Aの補集合とBの補集合の共通集合、つまり「AでなくかつBでない」と等しい。

A∩Bの補集合、つまり「AかつB」の否定は、
Aの補集合とBの補集合の和集合、つまり「AでないかまたはBでない」と等しい。

わかりにくいので、言葉で説明すれば、
全体集合をクラスの生徒全員とした場合、
Aは「スマホを持っている」人の集合。
Bは「パソコンを持っている」人の集合。
とするならば、
「スマホまたはパソコンを持っている、ということはない」という内容と、
「スマホも持っていないしパソコンも持っていない」という内容は、等しい。

「スマホを持っていてかつパソコンを持っている、ということはない」という内容は、
「スマホを持っていないか、またはパソコンを持っていない」という内容に等しい。

うん、それはそうですよね。

個数の少ない簡単な集合なら、ド・モルガンの法則なんか使わなくても、そのままで解けるのですが、個数の多い集合の、その個数を求める問題になると、この法則を使わないと混乱が起こります。

たとえば、こんな問題。

U={x|xは100以下の自然数}を全体集合とする。その部分集合を、
A={x|xは2の倍数} , B={x|xは3の倍数},
とするとき、「Aの補集合またはBの補集合」の個数を求めよ。

これをまずはこのままで解こうとすると、
Aの集合の個数は、100÷2=50。
すなわちn(A)=50。
よって、Aの補集合の個数は、100-50=50。
Bの集合の個数は、100÷3=33あまり1。
すなわちn(B)=33。
よって、Bの補集合の個数は、100-33=67。
それでは、Aの補集合またはBの補集合の個数は?
単純に50+67=117として良いかというと、全体集合の個数を上回っていることからもわかる通り、これは、Aの補集合とBの補集合の共通部分をダブって数えてしまっています。
ここから、Aの補集合とBの補集合の共通部分を引かねばなりません。
Aの補集合とBの補集合の共通部分とは、すなわち、2の倍数でも3の倍数でもない数です。
2の倍数でも3の倍数でもない数?
そんなのどうやって計算したら良いのでしょうか?
試しに1から6までで考えてみましょう。
1,2,3,4,5,6
この中で、2の倍数でも3の倍数でもない数は、1と5の2つです。
今後もこの周期で、2の倍数でも3の倍数でもない数があらわれるでしょう。
6個に2個。
100÷6=16あまり4
16周期あまり4だとわかります。
1周期に2個だから、
2×16=32
最後のあまり4の中にも2の倍数でも3の倍数でもない数が1個ありますから、
32+1=33
これで、2の倍数でも3の倍数でもない数は33個とわかりました。
したがって、Aの補集合またはBの補集合の個数は、
50+67-33=84
84個が答えです。

答えを出せないことはないけれど、面倒くさいです。

これ、ド・モルガンの法則を使えば、簡単です。
Aの補集合またはBの補集合は、A∩Bの補集合です。
まず、A∩Bの個数を求めます。
これは、100以下の自然数のうちの6の倍数の個数に等しいです。
100÷6=16あまり4
つまりn(A∩B)=16
したがって、それの補集合の個数ですから、
100-16=84
答えは、84個です。
簡単ですねー。ヽ(^。^)ノ

そんなわけで、ド・モルガン万歳です。
法則とか公式にアレルギーの強い高校生は、何を教わっても利用しようとせず、地道に解こうとして失敗します。
法則・公式は使いましょう。
特に、集合がA、B、Cの3つになったとき。
n(A∪B∪C)=n(A)+n(B)+n(c)-n(A∩B)-n(B∩C)-n(C∩A)+n(A∩B∩C)
の公式は、絶大な威力を持っています。
これを使わず、ベン図にあれこれ書き込んで解こうとすると時間ばかりかかってミスしやすいので気をつけたいですね。







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