たまりば

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2017年04月20日

1次不等式の文章題。



不等式。
昔は中学2年生で学習する内容でしたが、「ゆとり教育」の時代に高校の学習内容に移り、新課程になってもそのまま高校数Ⅰの学習内容となっています。
高校数学としては易しいと思うのですが、ケアレスミスのなくならない単元でもあります。
例えば、こんな計算問題です。

2-3x>2x-8
 -5x>-10
    x<2

両辺を-5で割るので、不等号の向きが逆になります。
負の数の絶対値の大小関係からそうなるのですが、何で逆になるのかよく理解できないまま「そういうものだ」と丸暗記して、結果、すぐ忘れてしまうミスが目立つところです。

さらに難しいのは、文章題。
苦手な人が多いです。
たとえば、こんな問題です。

ある商品をA店で購入すると、1個につき10%値引きしてくれます。同じ商品をB店で購入すると、最初の1ダースは定価ですが、それより多い個数については、1個につき17%値引きしてくれます。何個以上購入するとき、B店で購入するほうが安くなりますか。

x個購入するとして、不等式を立てます。
(A店での購入金額)>(B店での購入金額)
という式になれば良いですね。
しかし、ここで困るのは、1個あたりの定価がわからないこと。
そういうときは、それも文字にしてみると関係がスッキリします。
多分、その文字は2行目で消える。
慣れてくるとそういうことも判断できますが、その判断ができなくても、とりあえずやってみることが大切です。

1個あたりの定価をa円とします。
A店では10%値引きしてくれるので、1個0.9a円となります。
それをx個買うので、購入総額は、0.9ax円。
いっぽうB店は、1ダースまでは定価です。
たまに、ダースという単位を知らない高校生がいます。
1ダースは12個です。
ダースやカートンは普段使わない単位なので、仕方ない面もありますね。
ダースは鉛筆で、カートンはタバコでしか使わないイメージが私にもあります。
流通業界では、きっと今も高い頻度で使っているのだと思うのですが。

とりあえず、1ダース分の購入金額は、12a円。
全部でx個買うのですから、値引きされる個数は(x-12)個となります。
17パーセント値引きされるので、1個の金額は0.83a円。
よって、値引き分の購入金額は、0.83a(x-12)円。
したがって、B店での購入総額は、12a+0.83a(x-12)円。
これで不等式を立てることができます。
0.9ax>12a+0.83a(x-12)   
予想通り、全体をaで割れば、aを消すことができます。
0.9x>12+0.83(x-12)
あとは、これを解くだけです。
全体を100倍して、
90x>1200+83(x-12)
90x>1200+83x-996
7x>204
x>204/7
x>29+1/7
よって、30個以上買えばB店のほうが安くなります。

以前、この問題を解説していて、興味深い質問を受けたことがあります。
x個買うのではなく、x個以上買うのだから、式で使う個数はx個と決めつけるわけにはいかないのではないかというのです。
(x+1)個かもしれないし、(x+2)個かもしれないのに、x個と決めることはできない。
でも、そうすると、左辺・右辺の値が場合によって変わる気がする。
どうやって、不等式が立てられるんですか。
その子は、そう言うのでした。

「x個以上買う」のではなく、「x個買う」のです。
不等式を解いた結果、xの範囲が不等式で表れて、何個以上買えばよいかわかるのですよ。
そう説明しても、スッキリした顔はしていませんでした。

その子の論はいわゆる「詭弁」でしょう。
アキレスと亀に代表される、あれですね。
数学よりも哲学の匂いがします。
面白いなあと思いました。

数学が苦手な子の多くは、なぜわからないのかを語る言葉を持ちません。
だから、たまにこういう刺激を受けると、私はわくわくします。
ただ、こうした詭弁に取り付かれてしまった子に正しい解き方を理解してもらうのは、まっさらな状態の子に教えるよりも数倍難しいのですが。

これも昔、大人の方で、就職関係の試験に数学があるのに数学がとても苦手で、過去問を入手したけれど答しか載っていなくて解き方がわからないというご連絡をいただき、1回きりの個別指導をさせていただいたことがあります。
その方は、計算問題ならば自力で解けるのですが、文章題で苦戦されていました。

「8%の食塩水と14%の食塩水を混ぜて、12%の食塩水を300g作ります。8%の食塩水を何g混ぜれば良いですか」

連立方程式で解いても良いのですが、xとyと、2種類も文字が出てくると、その計算方法から練習しないといけなくなります。
xだけの1次方程式で解こうと私は判断し、説明を始めました。
「求めたい8%の食塩水をxgとします。そうすると、14%の食塩水は、(300-x)gと表すことができますね」
「えっ、何でですか?」
「えっと・・・・・・」
「300って、どこから出てきたんですか?」
「ああ。混ぜたら300gと、問題に書いてあるので、それを使っています」
「あっ。だったら、8%の食塩水も、(300-x)gじゃないんですか?」
「あ。そのときは、14%の食塩水のほうをxgとしていますよね。今は、8%の食塩水をxgとしています」
「え?」
「どちらも、(300-x)gとしてしまうと、じゃあ、xは何なんだという話になりますよね?」
「え?そうですか?」
「うーん・・・・・」

こういう対話をしているとき、私は、内心でワクワクしています。
面白いなあ、と感じています。

子どもの多くは、文章題が苦手です。
立式できません。
でも、何が頭の中で詰まっているのか、教えていてよくわからないことがあります。
「何がわからない?何で困っている?」
と問いかけても、子どもの多くは、黙り込んでしまいます。
思っていることを口にして、バカにされないか。
叱られないか。
そういう迷いもあるかもしれませんが、何よりも、子どもは自分が思っていることを表現する力が足りません。
多くの場合、何をどう考えているか説明する言葉を持っていないのです。

自明の理のように感じられることのどこに誤解の要素があるのだろう。
そのことを照らし出してくれるのは本当にありがたいです。

また別の問題で、
「ある商品の3割の値段と書いてありますから、定価×0.3となります」
と説明しますと、
「えっ。3割は、×0.7じゃないんですか」
「あ。それは、3割引きの場合です。今は、ある商品の3割の値段となっていますから、×0.3なんです」
「えっ。3割って、0.7のことじゃないんですか」
「あー・・・・・・」
「ああ、そうか。いつもいつも3割引きって計算しているから、もうそこが頭の中でつながってるんだ」
「ああ、そうかもしれません」

こういう1つ1つの誤解が、本当に面白くて、忘れがたい90分でした。
私自身が、すごく勉強になったと感じました。




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