たまりば

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2017年02月16日

数学と男女差。


以前、何となくテレビを眺めていましたら、ある脳科学者が、数学は男女別の教育が有効だという話をしていました。
それを補足する形で、
「男子は数学を知識で解き、女子は数学を計算で解く」
と言うので、え、どういう意味だろう、もっと詳しく聞きたい、と思ったのですが、そういうことをより詳しく語るよりも、笑いに変えて終わるバラエティ番組でしたので、その件はそれっきりで終わってしまいました。

うーん、どういうことだろう。
それ以上の情報がないので、発言者の真意は謎のままですが、そこから色々と考えてしまいました。

絶対にそうだと言えることではないですが、傾向としては、学校で習うものよりワンランク上の公式や裏ワザは、男子のほうが好きかもしれません。
例えば、中学レベルの関数の、放物線と交わる直線の傾きを求めるための式。

放物線 y=ax2 と直線との2つの交点のx座標がそれぞれp、qであるとき、その直線の傾きは、a(p+q) である。

というものです。
これの説明はそんなに難しいものではありません。

放物線 y=ax2 と直線との交点をA、Bとします。
Aのx座標がpならば、Aは放物線上の点でもあるのですから、y座標はap2です。
同様に、Bのx座標がqならば、y座標はaq2です。
直線の傾きの定義は、yの増加量/xの増加量 ですから、それに当てはめれは、この直線の傾きは、(aq2-ap)/(q-p)
この分子を因数分解すると、
aq2-ap2
=a(q2-p2)
=a(q+p)(q-p)
これは、分母と約分できます。
よって、傾きは、a(q+p)=a(p+q) となります。

この公式は、学校では学習しませんが、学校の教科書やワークの発展問題にチラッと出てくることがあります。
全員が理解する必要はない内容です。
これを教えると喜んで使うのは秀才男子です。
一方、秀才女子は、
「それ、普通に解いてもいいんでしょう?」
と訊いてくることがあります。
「普通に解いてもいいけど、計算式が必要になるよね。この公式なら暗算で出るね」
と説明しても、
「でも、普通に解いてもいいんですよね?」
という反応になりがちです。

秀才だけの話ではなく、勉強が苦手な子たちにもこの傾向はあるように感じます。
先日、小学生の男子に算数を教えていたときのことです。

80×25×4を工夫して計算しなさい

という問題で、その子は、800という答えだけを書いていました。
「ん?どういうこと?」
と問いかけると、その子は、
「昔、とてもいい先生がいて、25×4は100だって教えてくれたんです」
と応えました。
「・・・・・はあ。で、『工夫して計算しなさい』と書いてある問題なのに途中式を書かないのは、なぜ?」
「・・・・」
「しかも、その答え、間違っています」
「え・・・・」

何よりまず与式を書き写しなさいと指示しながら、内心私が感じていたのは、25×4=100を先に計算するという工夫を教えただけで「とてもいい先生」と呼ばれるなんて羨ましいなあということでした。
(^-^;
いや、それは、順番が逆なんでしょう。
「とてもいい先生」が教えてくれたことだから、その子の心に残ったのだと思います。
一方、うちに入塾して以来、基礎訓練を繰り返し、あらゆることを改善して、テストの得点は倍増しているのですが、おそらく、この子は私を「とてもいい先生」とは思っていない。(笑)
だからといって、あなたの言う「とてもいい先生」は、九九を正しく覚えることやノートの書き方は教えなかったんですかね、と嫌味を言うのは、あまりにも器が小さいですし。
というよりも、こういう状況になると、何か自分の立場がおかしくて苦笑してしまいます。
損な役回りだとしみじみ笑う。
ヽ(^。^)ノ

基礎学力にブレのある子は、計算の工夫を使い間違えたり、結局、暗算でミスをしたりすることが多いのですが、それでも、男の子は計算の工夫や裏ワザが好きなのかもしれません。
一方、女の子は、中学受験生であっても、0.25=1/4と一発変換できず、25/100=5/20=1/4と約分することをやめられない子もいます。
0.25=1/4、0.125=1/8 程度のことをいちいち計算するので、解き方はわかっているのに時間内に解けず、テストが終わってしまいます。
困ったもんです。

計算の工夫や発展的な公式が定着しないのは、男女差の問題ではなく、ただその子のキャパが限界に来ているのだろう、と考えることもできます。
新しい公式を覚えて活用できなくなりつつある兆候です。
発展的な公式や工夫に対して消極的な反応だった子は、中学までは数学も他の教科と同様によく出来ていても、高校数学に入ると新しい公式を消化しきれなくなる場合があるように感じます。
問題を1題解くのに時間がかかるようになり、内容を理解しきれていないことからくる精神的な負担や動揺からか、つまらない計算ミスも増えます。
計算ミスをすると、その直しにまた時間がかかるので、本人は数学の勉強に時間を割いているつもりでも、実際に解いている問題の数は少なく、演習不足に陥り、どんどん数学が苦手になっていきます。
そうなってしまうのは、男子よりもやはり女子が多いかもしれません。

もしかしたら、公式が覚えられないのではないのかもしれません。
小中学校で学ぶ公式は、どうしてそれで求められるのか、すぐにその意味を把握することができるものが大半です。
しかし、高校数学の公式は、パッと見ただけでは意味を把握しにくいものがほとんどです。
証明を聞けばまあそうなのかもしれないとは思うものの、使うことに居心地の悪さや不安を感じるのが女子の傾向ということかもしれません。
実感を伴わないものを使うことに対する居心地の悪さでしょうか。
そんなものを使うくらいなら、地道に計算で解きたい。
そういうことかもしれません。

もう1つ例をあげれば、2次方程式の解の公式。
これは、xの係数が偶数の場合の公式もあります。
2次方程式 ax2+bx+c=0
の解の公式は、普通のものは、
x=(-b±√b2-4ac)/2a
ですが、bが偶数のときは、1/2b=b'として、
x=(-b'±√b'-ac)/a
の公式を使うことができます。
このほうが、最終的に約分をする手間も省けますし、扱う数字が小さいので計算自体も楽です。
特に a=1のときは、解はいきなり分数ではなくなるので、計算過程は2行で終わります。

ただ、解の公式を覚えたばかりで、それすらあやふやな子にこの2番目の公式を同時期に教えるのはむしろ混乱を招くのです。
普通の解の公式に対しても気持ちがネガティブで、
「学校でやったでしょう?」
と確認しても、
「あー、そんなのやった気がする。使わなくていいんでしょう?」
などと言う子もいますから。
解の公式を使わなければ解けない問題もあることがわかると、ため息をつきながらしぶしぶ練習を始める中学生は珍しくありません。
だから、公立の中学校では2本目の公式は教えません。
解の公式そのものが「ゆとり教育」の時代は指導内容から除外されていたのですし。
まずは普通の解の公式をしっかり利用できるようになるだけで十分です。

中学時代はそれでいいのですが、高校数学に入ると、この公式は2次方程式を解くとき以外にも部分的によく使います。
解の公式のルートの部分、すなわち b2-4ac。
判別式ですね。
D=b2-4ac
これは、「2次関数」でも「2次不等式」でも、ちょっと難しいと感じる問題ほどよく使う重要な式です。
これも、先ほどのb'を用いて、
D/4=b'2-ac
とすることが可能で、こちらのほうが計算が楽です。

高1で2次関数や判別式を学習する時点で、中3で解の公式を学習してからほぼ1年経っています。
b'の式を覚えて使うことは可能です。
もう混ざらないはずです。
しかし、数学が苦手な子は、これを覚えないのです。
特に女子は、中学時代は数学が得意だったはずの子も、なかなか覚えないし使わず、
「使わなくてもいいでしょう?」
と訊いてきます。
「使います。学校の教科書に載っているでしょう?学校の授業でやったでしょう?複雑な計算になるほうの公式を使うと計算ミスをしやすいですよ」
と助言しても、宿題はやはり使わないで解いてきて、計算ミスをしています。

計算で解くからいいと言うけれど、計算力があるとは限りません。
効率的な公式を使えないから計算で解く。
計算力がないから間違える。
そうなりがちです。

計算ミスをしたときにスパッと思い切ることができないのも深刻な課題です。
私がb'を使った式で解説しても納得せず、非効率なbを使った式のどこで自分が計算ミスをしたかにこだわり、ノートにごちゃごちゃ解き直します。
しかし、結局、自分で計算ミスを見つけることができない子は多いです。
仕方なく、煩雑になるほうの式で私が解いてみせるまで、その件は解決しません。
無駄な時間が過ぎていきます。
その子が遠回りな解き方をしたための計算ミスを直すことで90分の授業時間のほとんどが費やされてしまう場合、成績が上がる可能性はほぼ絶たれてしまいます。

そして、そういう時間の使い方をしてしまう子は、やはり女子が多いです。

公式が覚えられない。
煩雑な計算をせざるを得ない。
でも、計算ミスをする。
・・・・・それは、結局、女子のほうが男子と比べて数学ができないという話で終わってしまうのでは?

いやいや、計算で解こうとする女子をいかに説得して公式を使わせるか、そこのところの指導技術が男子と女子とでは異なるべきだ。
そういう話なのでしょう。
数学が苦手な高校生の女子は、公式に対する意識を変えることが大切です。

もう1つ言えば、解法テクニックを例題で理解すると、それが頭の中に知識として入り、別の問題でスパッと使える子は男子に多いように感じます。
全体の傾向として、それはあるかもしれません。
「チャート式数学」は、そういう意味で、男子に向いている問題集でしょう。
あれは例題集・テクニック集ですから。
女子は、もっと物語性のある参考書を読んで、何のために何をやっているのか、全体の構造を理解し納得したほうが良いのかもしれません。
気持ちの上で納得し、公式や解法テクニックに対して親しい気持ちになることで解決のつくことがあるような気がします。

しかし、ここまで述べたことは全て、個人差を無視した話です。
うちの塾で今、最も数学のできる高校生は女の子です。
定着していないだろうと私が勝手に推測していた解法テクニックを自ら次々繰り出して問題を解きます。
私が、
「さて、そろそろ終わりますよ」
と声をかけると、
「えっ。もう90分経ちましたか?」
とびっくりして、半分夢を見ているような顔で顔を上げ、そして帰っていきます。
自分が普通の2倍以上の問題を消化していることに気がついていないようです。
彼女の様子を見ていると、無心という言葉を思い出したりします。



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