たまりば

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2017年02月05日

数学が苦手になる分岐点。


今回も、「三平方の定理」の話から。
三平方の定理そのものはそんなに難しくないのですが、実際の計算になると、平方根の計算に戸惑う子もいます。
わからないのなら復習したら良いのですが、集団指導の場合は、そういうことに異様にプライドをぶつける子もいますね。

例えば、こんな場面。
三平方の定理を学習します。
思ったよりも簡単です。
久しぶりに数学でわかることが出てきた。
そう思って機嫌よく解きだすと、しかし、平方根の計算が必要だということに気づきます。
以前にやったことは身についていません。
それでも苦心して何とか解いて、答えは、√32。
それを見た先生に言われます。
「平方根を整理して」
・・・・・何だよ、整理って。
「a√bの形に整理して」
「いいじゃん、これでも」
「いや、これだと正解にはならないんだよ」
「・・・・・なんでだよ!これでいいだろ!」
そこで先生が、整理の必要性や整理の方法を説明しても、感情的になっていることもあって、もう耳に入りません。
「わかんねえよ。だから数学なんか嫌いなんだよ」
そうしてふてくされ、あとは寝たふり。
机に突っ伏して、何もしようとしません。
心の中では泣いているのかもしれません。

やる気になったときに、早々に「もう取り返しはつかない」と感じるのは痛手です。
本当は取り返しはつくのですが、しかし、それには忍耐が必要です。
取り返すためには、かなりの年月努力しなければなりません。
数学の場合、少し結果が見えてくるまででも半年から1年かかります。
問題は、結果が出るまでの時間に耐えられるかどうかです。
努力しているのに結果の出ない長い時間を耐えるのは、大人でも難しいのですから。

「中2くらいから急に数学がわからなくなった」
そう言って入塾する子は多いですが、本当に中2が分岐点だったのかというと、多くの場合は、それ以前に重大な分岐点を迎えています。
しかも、本人が、それに気づいていない場合が大半です。

小学校の算数の「割合」や「速さ」がわからなかったのに、ごまかしてやり過ごした。
分数の四則混合計算ができないのに、小学校のテストにはそんなに出ないからあまり練習しなかった。
実は九九で曖昧なところがある。
こうした分岐点は、本人も保護者も把握している場合が多いです。

むしろ、怖いのは中学入学時の数学です。
中1の最初の数学で根本を理解できないまま、本人もそのことに気づかずやり過ごし、やがて学習に詰まってしまう場合があります。
まずは「正負の数」、そして「文字式」。
例えば、こんな問題です。

2(4x-1)-6(5x-2)

特に難しいものではありません。
=8x-2-30x+12
=-22x+10
となりますね。

しかし、中1の1学期に塾に通っていず、大人に途中式をきちんと見てもらった経験のない子の計算過程は、間違っているのではないのですが、微妙な違和感があることがあります。
(8x-2)-(30x-12)
と、まず、このように計算するのです。
そして、その後、8xから30xを「ひく」のだから-22xで、-2から-12を「ひく」のだけど、それって、どうなるかというと、うーん、うーん、・・・・難しい。
という計算過程を踏んでいます。
つまり、
2(4x-1)-6(5x-2)
という式の真ん中の-符号を、「-6」という負の数と読んでいないのです。
2(4x-1)と6(5x-2)との「ひき算」に見えているのです。
中学生になっても、「プラス」「マイナス」という読み方が定着せず、「たす」「ひく」と言い続けている子にその可能性が高いです。
中学生になったから恰好つけて「プラス」「マイナス」と英語で読んでいると誤解しているのかもしれません。
読み方が変わったのには、重大な意味があるのです。

2(4x-1)と6(5x-2)とのひき算ではありません。
これは、2(4x-1)と-6(5x-2)とのたし算なのです。
全てのひき算は、負の数のたし算として処理します。
だから、「ひく」という言葉は使わないのです。
そのように把握することによって、符号の決定はいちいち頭を通してうんうん考える必要のない、自動化した作業になります。

どっちだっていいじゃないか、同じ答えが出るんだし、という感想もあるかもしれませんが、この把握ができていないと、計算に無駄な時間がかかる上に符号ミスが増えます。
さらに、高校数学で、絶対値を含む方程式・不等式を解く際に、符号の処理を正しくできず、何を説明されても意味がわからない場合があります。

中1の1学期の数学はさらに「方程式」という難関をくぐらなければなりません。
以前にも書きましたが、方程式の発想は、小学校の文章題の発想とは異なります。
小学校の文章題は、答えを求めるための式を立てます。
しかし、方程式は、求めたいものをxとして、関係を表す式を立てます。
式全体は、xではない他の数量を表しています。
勘の良い子はこの違いを理解しますが、これが理解できず、方程式の文章題が全く解けない子が現れます。

何とか式を立てることができる子も、その式の見た目が奇妙な場合があります。
例えば、こんなふうです。
3  ×  (   2   x   -   1   )  -  (   5   x   +   2   )  ×
(   2   x    +   1   )   =   5   8   8
6年生までマス目のノートを使っていた影響か、1つ1つの数字の間隔が空いていて1文字ずつが大きいため、方程式が2行にわたってしまう子がいます。
右辺と左辺が明瞭でないため、この見た目では解くことができません。
かけ算の記号を省略するのは「文字式」の単元の問題ならばできるのですが、自分で立てる方程式でも省略するということが理解できていず、×の記号だらけの式を書き、普通の方程式と見た目が違うために解けない子もいます。
不器用な子は、大人から見ると非常にばかばかしいこうしたことで、数学の問題が解けなくなります。
小学校の算数から中学の数学へとスムーズに移行できないのです。

こうなった後に塾に来ても、答案の書き方にこうした妙な癖がつき、しかも、それを治すことができない子は多いのです。
やっと治ったと安心していると、他の単元をしばらく学習した後に復習したらまた元に戻っている場合も少なくありません。
むしろ、中1の最初の半年だけでも塾に通ってほしいです。
ここが一番補助が必要なところです。

中2で急に数学が出来なくなるわけではありません。
その前に、兆候は必ず表れています。




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