たまりば

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2017年01月10日

図形が苦手な子の特徴。




図形が苦手な子の特徴。

算数・数学について、計算分野はそんなに嫌いではないけれど、図形は嫌いだという子は多いです。

そういう子が問題を解く様子を見ていると、問題をわかりやすくするための書き込みの下手な子が多いなあと感じます。
「等しい角や線分に、等しい印を入れてみようよ」
と声をかけると、一応手は動くのですが、図の大切な部分が隠れてしまうような雑な書き込みをしてしまうのです。
丁寧で緻密な作業をすることが習慣になっていず、勉強が基本的に「やっつけ仕事」になっている子は、図の書き込みは下手ですし、図形問題を時間をかけて考える集中力も養われていない場合が多いように感じます。

性格的に全てにおいて雑な子というのではなく、数学の図形分野になると突然雑になる子もいます。
問題を解くための大切な書き込みをしている意識がなく、命じられたから仕方なくやっているからなのかもしれません。
その書き込みがあるから自力で解けたという経験を幾度がすれば、もっと自分で見やすい書き込みをするようになるのでしょう。
汚い書き込みは助けにならず、むしろ図を見る邪魔になるのですから。

私の子ども時代を思い出すと、算数・数学の図なら丁寧に書き込んでいましたが、図工・美術は、今思うと作業がかなり雑でした。
例えば人物画を描くとき、顔は丁寧に描くけれど、着ている服や背景は一色でささっと塗っておしまいにしていました。
雑です。
でも、当時は、それではダメだということがわかっていませんでした。
そこを丁寧にやる必然が私の中になかったからでしょう。
それと同じで、数学において図に丁寧に書き込みをする理由が本人の中にない限りは、いくら注意しても根本的には解決しないのかもしれません。

図の本当の線が見えなくなるほど、ぐりぐり何度も鉛筆でなぞってしまう子もいます。
私は、いつも生徒と向き合って教えていますので、逆さからその図を見て、一緒に問題を解くことがあります。
汚いなぞり書きをされると逆さからでは本当にわからなくなるので、うめき声を上げてしまいます。
私がわからないだけでなく、汚いなぞり書きは、本人もわからなくなる原因です。
「ぐりぐり塗らないと、わからない」
と言う子もいますが、図中の線を鉛筆でぐりぐりなぞる子で図形問題の得意な子は少ないです。
塗らないとわからない、というのは悪い習慣です。
一回丁寧になぞって線を少し太くするくらいならばいいのですが、ぐりぐり何度もなぞって角を丸くしてしまうようなのはやめたほうがいいです。
どうしてもわからないという子には、私はマーカーの使用を薦めています。
マーカーは下の実線が透けて見えるので便利です。
薄い色のマーカーで重要な部分をなぞって見た目をわかりやすくするだけで、問題が易しく思えてきます。
「だって、テストのときには出来ない」
と不満を言う子もいますが、やりたかったらテスト用紙もマーカーでぬったらいいんです。
テストは、マーカーで図をなぞることは禁止していないと思います。
それに、マーカーでぬって自力で正答できるようになれば、そのうちマーカーは必要なくなってきます。

図形問題が苦手な子のもう一つの特徴は、考える時間がひどく短いこと。
「わからなかったー。教えてくださーい」
と本人は陽気に宿題を空欄にして持ってきますが、教わって解いた図形問題はすぐに忘れてしまうことが多いです。
なかなか身につきません。
テレビのクイズ番組を見ていて、答えがわからない間は気になるけれど、正解を聞けばもう興味がなくなり、番組が終わった頃には何1つ覚えていないのと似ています。
最終的には解けなかったのであっても、もう少し問題と格闘しなければ記憶に残りません。

図形問題は、自力で解いた問題の数が多いほど力がついていきます。
自力で解くには、基本的な知識が頭に入っていていつも使える状態になっている必要があります。

三角形の内角の和は180°である。
1直線は180°である。
正三角形の1つの内角は60°である。
二等辺三角形の2つの底角は等しい。
三角形の外角は、隣り合わない内角の和に等しい。
対頂角は等しい。
平行線の同位角は等しい。
平行線の錯角は等しい。
等しい弧の円周角は等しい。
円周角は中心角の2分の1である。
半円の弧の円周角は90°である。
平行四辺形の対角は等しい。
平行四辺形の対辺は等しい。
平行四辺形の隣りあう角の和は180°である。
円に内接する四角形の対角の和は180°である。

説明されれば、「知ってるよ、そんなこと」ということばかりですが、図形が苦手な子は問題を解くときにこれらを自分で思い出して使うことができません。
言われればわかるけれど、本当の知識になっていないのです。

それは、「理解語彙」と「使用語彙」の違いに似ているのかもしれません。
言われれば意味のわかる言葉。
でも、自分では使えない言葉。
私たちのボキャブラリーは、自分で使える「使用語彙」の周囲に、意味はわかるけれど自発的には使用できない膨大な「理解語彙」があります。

それと同じで、自分で使える「使用定理」の外側に、言われればわかる「理解定理」があるのかもしれません。
解答・解説を読めばわかるけれど、自力で図形の問題を解くことができない。
そういう子の多くは、使用できる定理が少ないのだと思います。

自分で解いていないから、使用できる定理が少ない。
使用できる定理が少ないから、自分で解けない。
負のスパイラルです。
まずは補助を受けながら、できるだけ自分で解いていくことで、苦手な図形を克服していきましょう。






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    Posted by セギ at 22:30│Comments(0)算数・数学
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