たまりば

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2016年11月11日

英文法が苦手な子。


高校生と「分詞」の学習をしていたときのことです。
例えば、下のような( )の語を適切な形に直す問題。

Do you know the man (sit) on the bench ?

分詞の限定用法の問題ですね。
中学では「分詞の形容詞的用法」という言い方で学びます。
分詞が名詞を修飾する用法です。
修飾される名詞 man が sit という動作をするのですから、現在分詞 sitting が正解です。

Ken showed me some pictures (take) by his brother.

修飾される名詞 pictures は take という動作をされるのですから、過去分詞 taken に直します。

ここまでは中学の復習。
その子の学校の教科書の練習問題で復習しても、順調に正解していました。
そこから先が高校の「分詞」の学習。
分詞の叙述用法に進みました。
SVCやSVOCのCに分詞を用いる用法です。

ここでも現在分詞と過去分詞の使い分けが課題です。
SVCの場合は、Sが動作主ならばCは現在分詞。
Sが動作される側ならばCは過去分詞。
SVOCの場合は、Oが動作主ならばCは現在分詞。
Oが動作される側ならばCは過去分詞。
「動作主」という言葉は厳密には古文で使用する用語ですが、便利なので私は英語の授業で使っています。

文法が得意な子にとっては、明瞭でわかりやすいルールです。
例外的なことを1つ1つ覚えるのは大変ですが、英語はこういう大きいルールが広く適用されるので学びやすいですね。

しかし、その子は文法が苦手です。
説明するだけで覚えるタイプではないので、何度もルールを復唱してもらい、その後、練習問題を解きました。

He kept (knock) on the door until I opened it.
その子の答えは knocked でした。

「・・・・え?何で?」
文法を正確に復唱できるまで何度も練習したのに、何で?
「door はノックされるから・・・・」
「・・・・え?」

限定用法の話はさっき終わり、叙述用法だよと言ったのに、何でその話に戻るんだろう?
( ;∀;)
door は、直前・直後の名詞ではないから、分詞に修飾される名詞ではありません。
「・・・・knock の直前の単語は kept だし、knock の直後の単語は on だよ。door は随分離れている。関係ないよ」
「あ・・・」
「・・・・knock が door を修飾するんだったら、語順は the knocked door になるよ」
「・・・・・」

文法が苦手な子に英文法の授業をしていると、上のようなことが起こりやすいのです。
教えたことが上手く伝わっていきません。
上の例は、相手が何をどう誤解したのか明確だったので改善の可能性があり、まだ明るい光は見えているのですが、普段はもっと不可解なミスの繰り返しです。
ミスの原因を生徒が言語化できない場合が多く、なぜそこを間違えるのか理解できない場合がしばしばあります。

もう一度その子の学校の教科書に戻り、文法を確認してから教科書の練習問題を解くと、それは全部正解できました。
「教科書の問題は正解できるね」
「これは、答えを覚えているから・・・・」
「え・・・・?答えを覚えている?」
「復習したっていう意味ですよ」
「・・・・私は何回解いても、問題の答えなんか覚えないけど?」
「・・・・・?」
「何でそんな意味のないことを覚えるの?」

文法は覚えないのに、何で答えを覚えるの?
(''Д'')

愕然として、私は悟りました。
文法が苦手な子は、そういう勉強をしてしまうのか・・・・。
なぜ英語が得意にならないのか、その一端が垣間見えた気がするのです。
いや、英語に限らずなぜ勉強が得意にならないか。
努力をしているのは伝わってくるのに、なぜ結果が出ないのか。
その一端が見えた気がしました。

うちの塾で今、英語が最も得意な子は、90分の授業時間の中で、問題のぎっしり詰まったテキストや確認テストを毎回平均12ページ解いて帰っていきます。
30分あたり4ページ。
答え合わせの時間もありますから、1枚解くのに5~6分というところでしょう。

この春、国立大学に合格した子は、1冊40ページのテキストを丸ごと宿題に出しても翌週全部解いてきていました。

このあたりがトップクラスの実力です。

しかし、英語が苦手な子たちのスピードはガクッと下がります。
上に書いた高校生は、最初にいろいろ説明しなければなりませんし、間違えているとさらに説明する時間も長くなるのですが、演習スピード自体も遅く、90分の中で結局1ページしか解けませんでした。
そしてその1ページの問題の答えを覚えることが、その子にとっての復習なのだとしたら・・・・。

12ページと1ページ。
塾だけで12ページ解く子が、問題の答えを覚えているかといったら、覚えているはずがありません。
いちいち答えを覚えていられるような量ではありません。
余程印象的な問題が含まれていたら別でしょうが、翌週同じプリントを渡しても、同じだと気づかず解き終わるかもしれません。
学習した文法にしたがってサクサク解いているだけだからです。

教科書の重要例文ならば日本語訳から復元できます。
そういう練習はしています。
でも、教科書の問題の答えは覚えていないでしょう。
何度解いても正答できるでしょうが、それは、答えを覚えているからではないでしょう。

その子は反論しました。
答えだけ覚えようという気持ちではない。
復習すると自然に答えを覚えてしまうのだ。
それでも、「その勉強のやり方は変えなさい」と言わざるをえません。
その子は、類題で正答できないのですから。
教科書の問題の答えは覚えたれど、もっと重要なことを覚えていないのです。
その問題を解く中で抽出し理解するべき文法を把握できていません。
答えを覚えてしまうくらいに数少ない問題をねっとり見つめ続けることが文法把握につながっていないのです。

有効なやり方は正反対のものでしょう。
教科書の問題の答えは覚えていないけれど、文法は覚えた。
多くの問題練習でその文法を実践できるようになった。
だから、教科書の問題は何度解いても正答できる。
他の問題も正答できる。
定期テストの問題も正答できる。
入試問題も正答できる。
文法の勉強はそういうふうにやっていってほしいです。

中学で英語が苦手だった男子に多いですが、「英語って文法だよ」「理屈で斬っていけるものだよ」と理解できるとロケット並みの成績上昇を見せることがあります。
英語のシステムは理解しやすく明瞭で好ましい。
こういう感覚になれば、あとは単語・熟語さえ覚えればどうにでもなるとわかりますので、覚えることにも抵抗がなくなります。
そういう方向に転換できるといいなあ。




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