たまりば

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2016年09月23日

方程式の文章題の立式。


「方程式の利用」すなわち、文章題の立式が苦手な子は多いですが、その立式を見ていると、簡単なことを難しくしている場合が多いと感じます。
例えば、こんな問題。

ある数に4を加えて2倍した数は、もとの数の4倍よりも2小さい。ある数を求めよ。

問題に書いてある通りに立式するだけなので、易しい問題のはずです。
ある数をxとします。
一般的にこういう問題では文中にある「は」が=の合図です。
だから、その前が左辺です。
すなわち、「ある数に4を加えて2倍した数」が左辺ですから、
(x+4)×2。
方程式らしく書くと、
2(x+4)
それは、「もとの数の4倍よりも2小さい」。
これが右辺。
4x-2
ですから方程式は、
2(x+4)=4x-2
問題文の通りに立てるだけなので、とても簡単ですね。

しかし、簡単なはずのこうした問題でもかなり苦戦する子もいます。
そういう子の立てる式は、こんなふうであることが多いです。

2(x+4)-4x=2

この式はそもそも間違っているのですが、その前に、どうしてこういう式を立ててしまうのかを解決したいものです。
考えられることの1つは、小学校で習ったことをいまだに引きずっていて、中学の数学、特に方程式の学習ということに上手く移行できていないのではないかということ。
小学校の算数の文章題は、問題文を読み取って関係をつかんだうえで、答えを求める式を立てます。
そのために問題にある「加える」「引く」を頭の中で転換する作業が必要になります。
逆算の発想で、問題文で加えているんだから引く式を立てなくちゃ、かけているから割る式を立てなくちゃと考えなくてはなりません。
その癖がついてしまい、中学生になってもそのように考えてしまうんでしょうか。

方程式はそのようなものではありません。
等しい数量の関係を表す式。
方程式はそのように言われることもありますが、ここで重要なのは「関係を表す」ではなく、「等しい数量」ということです。
問題文の中に、何かの数量が2通りの方法で表されていて、それを=で結んだものが方程式です。
つまり、方程式は必ず何かの数量を表しています。

しかし、文章題が苦手な子に、
「あなた書いた方程式は何の数量を表しているの?」
と質問すると、たいてい黙りこんでしまいます。
私の様子からどうせ間違っているんだろうと察して黙ってしまうのもあるでしょうが、何より、書いた本人が何の数量を表しているかを意識していないのではないかと感じます。
「何の数量を表しているのかがわかれば、この方程式は手直しできるよ。だから訊いているんだよ?」
と重ねて問いかけると、
「ある数」
と答えたりします。
気持ちはわかるけれど、言葉が足りない。
あるいは、そこに混同があって、式が歪んでしまうのかなあ。
そんなふうに感じます。

数に関する問題では、何の数量を表しているのかは自覚しにくいのは事実です。
しかし、これが「速さ」に関する問題になって
「あなたの式は、何の数量を表しているの?距離?時間?」
と質問しても、文章題が苦手な子はほとんど答えられません。
食塩水の問題でも、
「この式は何の数量を表しているの?食塩水の量?食塩の量?」
この問いかけにも、その質問を予期したことがない、考えたことがないという表情をする子が多いのです。
これはきわめて重要なことなのに、それを意識しないで立式しているから、式が途中で歪むんじゃないでしょうか。

方程式は何かの数量を表しているということを意識したことがない子は多いようです。
左辺も右辺も同じ何かの数量を表しているのです。
それを明確に意識できれば、方程式の立式は小学校の算数の文章題の立式よりも簡単です。

ある数に4を加えて2倍した数は、もとの数の4倍よりも2小さい。
2(x+4)=4x-2
この方程式が表している数量は、「ある数」ではありません。
「ある数に4を加えて2倍した数」です。
それが、「もとの数の4倍よりも2小さい」というので、右辺では同じ数量を言われた通りに別の表現で表しているのです。

しかし、このように説明しても上手く通じないことが多いです。
言葉の表面は、問題文をなぞっているだけのようなものだからでしょう。
だから、何を言われているのか、根本的には理解できない。
そういう子が多いのだろうと感じます。

ある数に4を加えて2倍した数は、その数の4倍よりも2小さい。
これを、
2(x+4)-4x=2
と間違った立式をしてしまう子は学力が低いわけではありません。
問題文を読み、大小関係を把握しようと努めているのです。
むしろ才能が眠っています。
ただ、才能の使い途を間違えています。

差が2であることを表す式をどうしても立てたいのなら、
4x-2(x+4)=2
となります。
この式を教えてあげるとそういう子の表情はぱっと輝くのですが、正解がわかって嬉しかった記憶が残るのは困るなあと私は内心感じています。
そもそも、こんな式は立てないでほしいのです。
「大小関係を正確につかんで立式しましょう」
反省材料がそんなことになってしまっては困るのです。
方程式はそういうものではないのです。

こういう発想をする子の式のバリエーションはいろいろで、同じ問題でも、
2(x+4)+2=4x
という立式をする子もいます。
この式も間違ってはいません。
何でこの問題文からこの立式になるんだろう、何を複雑なことを考えているんだろう、とは思うのですが、式として間違ってはいないのです。
しかし、これも、
2(x+4)-2=4x
と、間違った式を立ててしまうリスクが高い。
大小関係を概観してから立てる式は難しいのです。
そんなことをしなくても、問題に書いてある通りに、書いてある順番に書いてけば、正しい式になります。
大きいならプラス、小さいならマイナス。
問題に書かれていることと式のブラス・マイナスも一致します。
難しいことを考え過ぎるから、むしろ間違えるのです。

以上のことは大人の方なら理解していただけると思うのですが、子どもに伝えるのは本当に難しいことの1つです。
先ほども書きましたが、かなり抽象的で概念的なことなのです。
1回で子どもに伝わることはありません。

何回でも何回でも伝える。
同じ間違いをする度に伝える。
「あなたの立てた式は何の数量を表しているの?」
と、その子の胸に届くまで訊き続ける。
そうしたことが必要です。
そして、それは自学自習でも集団指導でも実現しにくいこと。
個別指導が高い可能性を持っていることだと思います。




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