たまりば

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2016年09月15日

2次方程式の文章題


単純な計算問題は解けるけれど、文章題は苦手という中学生は多いです。
それは中3になって「2次方程式の利用」の問題を解くようになっても同じです。
私は大人のための数学教室も開いていて、大人の方からも「文章題は苦手」とよく聞くのですが、そう言いながら、大人は文章題の立式はスムーズにできる場合がほとんどです。
子どもと何が違うのか?
やはり経験の違いが大きいのだと思います。

子どもにとって特に難しいのが「割合」の問題。
大人の場合、「1200円の8パーセント引きはいくらか」と言われたらすぐ以下のように立式できます。

1200×92/100
(上の 92/100 は、分数として読んでください。)

ところが、子どもは、まず「く・も・わ」の図を描いて、ええと、ええと、1200円が「もとにする量」で、8パーセントが「割合」だから、と考え込んだ結果、
1200×8
という式を立ててしまったりします。
これは、それほど数学ができない子の話ではありません。
5段階で「4」をとる子の中にもこういう子は多いです。

以前も書きましたが、「割合」は子どもの感覚や固定観念からは逸脱した内容です。
比べる量÷もとにする量=割合
という式だけは実感を伴いますし意味の明解なものですが、残る2本は逆算の考え方で変形しただけの式ですので、その式自体に感覚的な裏付けはありません。
もとにする×割合=比べる量
という式に大人が何の疑問も抱かず、実感から言ってもそうだろうと思うのは、何年も何年もその式を当たり前に使って慣れているからです。
「もとにする量に割合をかけると比べる量になる」
ということを初めて知る子どもには何の実感もありません。
それを「何でこんなこともわからないのっ。当たり前のことでしょう!」
と怒っても、子どもにとっては当たり前のことではないのです。
実感は何もありません。
まして、
比べる量÷割合=もとにする量
となると、彼らの実感ではこんな式は絶対に立ててはいけない種類の式でしょう。
子どもの感覚ではわり算をすると答えはもとの数より小さくなのですから。
実感で式を立ててもダメなんだよと余程言わないと定着しません。

「ははあ、これは実感とは随分違うな。でも、理屈はそうなんだな。面白いな」
というふうに頭の働く子は、「割合」を楽々と身につけていきます。
比べる量を割合で割るともとにする量に戻る。
いったん縮めたものに力を加えるとポンッと元に戻るみたいで、面白いなあ。
そう思えるとこの公式は楽しいです。

そうではない場合は、とにかく公式を正確に覚えて、文章中の「比べる量」「もとにする量」「割合」を分析して機械的に立式するのが早道です。
常に正確に解くことを繰り返し、その中で割合に関する「実感」を作っていくことが必要となります。
「割合」が苦手な子は、そうした手順を省略し、自分の感覚に固執して式を立て、正答したり間違ったりを繰り返すために、「割合」について正しい実感を形成できずにいることが多いです。

しかし、大人になると、割合の考え方は仕事でも買い物でも当たり前に使うことになります。
もとにする量×割合=比べる量
の式は、日常でよく使うものです。
そうした中で、じわじわと実感が形成されていきます。
大人の方は、「私は文章題は苦手で」とおっしゃっても、実際には立式に失敗することはほとんどありません。
子どもの頃は文章題が苦手で、その記憶が残っていらっしゃるだけなのかもしれません。

ここに希望があると感じます。
今、私の目の前で「百分率」や「歩合」という言葉にすら眉を寄せため息をついている子も、大人になればきっと百分率や歩合は自在に扱えるようになる。
一生わからないままということはないでしょう。
それは理解力の問題ではなく、理解しようとする意志の問題であり、練習量の問題ですから。
使えば覚えるレベルのことなのです。


さて、ここからは、2次方程式にしぼって具体的に問題を見ていきましょう。
例えば、こんな問題.

原価10000円の品物に x% の利益を見込んで定価をつけたが、売れなかったので、x% 引きで売ったところ、400円の損失となった。
x の値を求めなさい。

原価・定価・売値・利益・損失。
子どもの場合、こうした言葉に対する拒絶反応が強いのも特徴です。
わからないのは仕方ないのですが、嫌いだから知りたくないという顔をされるのは困りものです。
都市生活を行っていて商業に関わらずに生きていくことはできないんだぞー。
(´_ゝ`)

それはともかく、立式。

10000(1+x/100)(1-x/100)=10000-400

文章題から立式した方程式は、このように普通の計算問題より解きにくいものとなりがちです。
桁が大きいので、やたらとゼロが多い。
さらに、中学生の場合、上の式を自分で立てると、

10000×(1+x/100)×(1-x/100)=10000-400

と書いてしまうことがあります。
小学生だった頃の癖が出て、かけ算の記号を省略できないんです。
しかし、中学生になってからはかけ算の記号を含んでいる方程式を解いたことがないので、自分の立てた式に戸惑い、何をどうして良いのかわからなくなる子がいます。
作業手順は身についているけれど根本を理解していない場合、そうなりがちです。

それを一番上の式のように書き直してあげると、普通の方程式だということはわかって解こうとします。
しかし、それでも、さらなる困難が待っています。
例えば、上の式を、こんなふうに変形をしてしまう子は多いです。

1000000(100+x)(100-x)=10000-400

右辺がほったらかしなのは、ケアレスミスでしょう。
むしろ左辺のミスが深刻です。
かけ算でつながっているひとまとまりを100倍したいなら、1か所だけ100倍すればいいということは、数学が苦手な子に説明してもなかなか定着しないことの1つです。
全ての数字に逐一×100をしてしまうミスが繰り返されます。
そのときだけわかった様子を見せるのですが、別の場面でまた同じことをしてしまうのです。
数字の桁に関する感覚や因数分解的な感覚が成熟していないのだろうと思います。
小学校で「小数のかけ算・わり算」を学習したときに意味を理解して桁移動をしたか、意味がわからず作業手順として身につけたかの違いが、こういう際に表れてしまうようにも感じます。
単純な例で言えば、
0.37×2500=37×25
ということを計算の過程で自力で利用できるかどうかということです。
数字の桁に関する感覚は意味を説明するとかなり抽象的なことなので、幼い頃に理解できなかった子は後になってもなかなか理解しづらい様子です。
10進法の根幹を理解するようなものだからでしょうか。
幼い子どもは抽象的なことを直感で理解する能力があり、数学に関する基盤を頭の中に築くのですが、それらを直観で理解できなかった子は、かけ算・わり算の意味さえ本当にはわかっていないように感じることがあります。
経験を重ねれば理解できることも多い一方、幼い時期に理解できないと後から理解するのは相当に難しいこともある。
矛盾しているようですが、長年数学を教えている中での私の実感でもあります。

そもそも、今回の式は、全体を100倍などせず、スマートに、

(100+x)(100-x)=10000-400

と整理したいところです。

これを自力でできるか。
式を提示されたら意味は理解できるか。
式を見ただけではわからないが説明されたら理解できるか。
説明されても理解できないか。
それぞれにステージが異なると感じます。
数学が得意になるには、究極、このステージを上げなければなりません。




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