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2016年03月03日

平行四辺形の定義や定理と、数学における暗記について。


平行四辺形の定義や定理と、数学における暗記について。



中学2年生の場合、四角形まで学習が進みますと、もはや図形への苦手意識は深刻過ぎて、何がわからないのかそれすらわからない、という状態になっていることがあります。

2組の対辺が平行な四角形を平行四辺形という。

これが平行四辺形の定義です。
平行四辺形というのは、定義としては、向かいあう辺が平行であることしか決めていません。
しかし、そこから言えることがいくつもあります。
それが定理です。

定理というのは、証明できる事柄のうち、重要なこと。

平行四辺形の2組の対辺は等しい。
平行四辺形の2組の対角は等しい。
平行四辺形の対角線は、それぞれの中点で交わる。

凄いです。
平行であることしか決めなかったのに、長さが等しくなっちゃうんです。
角が等しくなっちゃうんです。
対角線が、ちょうど真ん中で交わるんですよ。
凄いですよ、これ。
しかも、なぜそうなるのか全部証明できるんです。
凄いですよ。
このことに感動してほしいんです。
そうしたら図形は楽しくなるのになあ。

二等辺三角形の2つの底角が等しいことを証明する学習のあたりでは、なんでそんなわかりきったことを先生は必死に証明しているんだろう、バカみたい、こんな授業は意味がない、と斜に構えていた中学生は、平行四辺形に関する証明が始まると、授業で何をやっているのかわからなくなってきます。
定義で決めたことと、定理として証明できることとの区別に対する意識が低く、「バカみたい」と思っていたためか、証明の根拠として使えることと使えないこととの区別がつかなくなってしまうようです。
いったん定理として証明すれば、それは次からの証明問題に当然のように使います。
ぼんやりしていると、使っていいことと使ってはいけないことが区別できなくなります。
定理の証明と、証明問題に定理を使うこととの混同が深刻で、区別できない子は多いです。

もう1つは、「数学は暗記科目ではない」という呪縛があるのかもしれません。
暗記科目ではないのだから、暗記してはいけないと思うのでしょうか。
確かに、意味もわかっていないのに作業手順だけ覚えても仕方ありません。
けれど、大切な定義や定理を暗記していなかったらどうにもなりません。
頭の引き出しに入っていないことは、出して使えません。

証明には、これまで証明してきた全ての定理を使います。
平行四辺形に関する定理だけでなく、二等辺三角形の定理もあれば、平行線の錯角や同位角の定理もあります。
これらの全てを証明で使うということが意識できず、解答解説を読めば理解できるけれど自分で証明の答案は書けないという子は多いです。

理解したら暗記することは、必要なことです。
「数学は暗記科目ではない」という人がいますが、その人が定理や公式を暗記していないわけではないんです。
本人は、何の苦労もなく意識もせずに暗記しているんです。
本人は数学が大好きなので、「理解すること」と「暗記すること」が完全に一致しているのでしょう。
理解するだけでスラスラ覚えられるんです。
そして、自分がそうなので、他人もそうだと思ってしまうのかもしれません。

それは、脳が特殊ということではなく、好きな分野では普通に起こることです。
好きなミュージシャンの新曲の歌詞は、2~3回聞いたら覚えられるでしょう?
好きなマンガ家の作品のタイトルは無理に暗記しなくても全部言えるでしょう?
ファッションが好きな人は、新しいブランドの名前やスタイルの名称を次々と覚えられるでしょう?
好きなことなら「理解すること」=「暗記すること」=「活用すること」なんです。

でも、多くの人にとって、数学では「理解すること」と「暗記すること」と「活用すること」との間には、それぞれ深い溝があります。
大変な距離があります。
その溝を、その距離を、努力で埋めなければなりません。

だったら、数学に興味をもてばいい。
正直面白くないと思っていても、自分に嘘をついても、興味があることにしたらいいと思います。
数学で良い成績を取ることが自分に必要なことなら、そういう方向に気持ちをもっていきましょう。
数学の成績を上げたいと思っているくせに「嫌いな勉強をやらされている」という被害者意識で勉強していると、頭に入りにくいですよね。




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    Posted by セギ at 12:58│Comments(0)算数・数学
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