たまりば

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2015年03月06日

英語教科書と平和教育



桜便りが待たれる項。
上の画像は、去年の桜です。

今日は、英語教科書の文章の話。
中学や高校の教科書に載っている文章を、改訂される度に私は楽しみに読んでいます。

記憶に残るもので言えば、
戦場カメラマンが撮影したベトナム戦争の写真にまつわる話。
ユダヤ人6000人の「命のビザ」の話。
メジャーリーグ初の黒人選手の話。
東京でホームレス生活を体験したことを踏まえて、フードバンク・ビジネスを起業した話。
新聞や雑誌で話題になったことが、すぐに次の改訂時に取り込まれて興味深いです。

英語教科書によく載っている話の1つに、地雷にまつわるものがあります。
これは、何度改訂されても、また同じ話が載っていたりします。
地雷の被害に遭った現地の人の話。
ボランティア活動中に被害に遭った人の話。
同じエピソードが高校生向けに書かれていたり、易しい中学英語に書き直されていたりもします。

どの話も、戦争の悲惨さを語っています。
でも、地雷の話は、どうしても遠い世界の出来事という印象があります。
地雷を自分の問題としてとらえられないのは、私の感性の問題だと言われたら仕方ない。
でも、私が感じとれないものを、普通の中学生・高校生が感じ取れるとは思えないんです。

地雷に賛成する気持ちなんて、誰ももたないでしょう。
地雷は良くない。
でも、それだけです。
「地雷は良くないと思います」
そういう感想を持つだけで、そこからは思考停止です。

それは、あまりにも、遠い。
内戦が続いた遠い国の話。
可哀想だ、ひどい話だ、と思うけれど、そう思うだけで終わってしまうのです。

いろいろな教科書で別バージョンの同じ話を読むせいもあって、だんだんと、
「ああ、はい、地雷の話ですね」
と、事務的に処理してしまう気持ちさえ生まれてきます。
それはあなたの感覚がおかしいと言われたら、確かにそうなのですが。

地雷に関しては、1つ重要な情報があり、多くの教科書はそこに踏み込んでいません。
「遠い国の悲しい話」でただ終わってしまうのは、そのせいもあるのではないかと思います。

しかし、昨年、ある教科書の文章を読んで、ああ、この踏み込み方は凄いと感じました。

例えば、地雷によって両脚を失ったカンボジアの男性が日本に立ち寄り、学校や政府に地雷撲滅キャンペーンの支援を求めるところを描いた文。

His words touched the hearts of people all over Japan , who had not been aware that until that year their own country, too, was one of 50 countries producing and exporting as many as 5 million of these hidden weapons of terror every year.

「彼の言葉は、日本じゅうの人々の心を打った。日本の人々は、その年まで、自分たち自身の国も、毎年500万個もの、この隠されたテロの武器を作り輸出している50の国々の1つであると、気づいていなかった」

また、緒方貞子さんの言葉も、そこには引用されています。

"In my view," she said , "there is little difference between those who use them and those who produce them."She even went so far as to call producing and usig them "a crime against humanity."

「私の考えでは」と彼女は言った。「地雷を使う人々と、地雷を作る人々との間に、違いはほとんどない」 彼女は、地雷を作り使うことを「人間性に対する犯罪」とまで言った。 

これは、プログレスという英語教科書です。
中高一貫校で使われることが多い、文科省は認定していない教科書です。
学習内容のレベルが高く、文科省のプログラムを無視していますから、最初から認定されることを目的としていません。
だからこそ、この文が堂々と掲載されているのかもしれません。

文科省認定を目指している教科書にこの文章が載っていたら、削除を要請されるかもしれません。
読みようによっては、不穏当ですから。
地雷問題における日本の責任。
この文章は、読む生徒たちに、それを突きつけます。

地雷を日本の会社が作っている?
どこの会社が作っているの?
今も作っているの?
なぜ、そんなものを作るの?
そもそも、それは本当のことなの?

そうした疑問を抱くことで、国際社会への目が開かれるかもしれません。
世界の中での日本の立場や、豊かさとは何かということを考えるフックになりえます。
たった1つの情報が入るだけで、地雷問題は、遠い国の悲しい話ではなく、私たちの問題になります。
心が、頭が、動き始めると思うです。
これは、高校生に読んでほしい。


とはいえ、現実の高校生とこの文章を読んでいると。
「・・・・・凄いことが書いてあるねえ」
感心している私の前で、生徒は頭を抱えます。
「センセイ、どこがどうなってそういう訳になるのか、わかんない」
「え?」
「内容が頭に入ってこない」

国際問題や平和問題を考えるためにも、まずは英語力を。
( ;∀;)




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