たまりば

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2015年02月19日

中1の成績と高3の成績はリンクする?


先日、小学校6年生の子に授業をしていたときのこと。
「中学生になったら、勉強、頑張るんだー」
と言うので、
「それは良いことですね」
と頷きますと、その子は、続けて奇妙なことを言いだしました。
「センセイ、知ってる?中学1年のときの成績と高校3年のときの成績って、大体同じなんだよ」
「・・・・・は?」

何でも、その子が通っている別の塾の校長先生が、保護者と生徒を集めてそういう話をしたというのです。
「中学1年のときに頑張ればいいんだよ。中学1年と2年と3年で、5:2:3の割合で勉強するといいんだって」
「・・・・・・・・・」

小学6年生の子が、中学1年になったら勉強を頑張ろうと思うのは結構なことです。
中学1年生は、中学の学習の基礎となる学年ですから、勉強は頑張ってほしいです。

けれど、当たり前ですが、中1よりも中2のほうが勉強は難しくなります。
中1は、小学校時代のおつりで、何となく良い成績を維持できる子も多いのです。
そういう子が、中2の2学期あたりでガクンと成績が下がるのは、よくある話。
中2で、中1の40%の出力で勉強したら、確実に成績が下がります。
5:2:3なんて話を鵜呑みにしていたら、そうなるでしょう。

でも、そんな話がなくても、中だるみの時期はいずれきます。
学習意欲が下がるときが来るでしょう。
それは、そのときに支えましょう。
今考えることではありません。
だから、その子については、この件に関して現在のところ問題はありません。

ただ、この話、胡散臭いなあ。
しかも、今回だけでなく、以前にどこかで聞いたか読んだかしたことがあるのです。
情報源は何だったかなあ。

記憶の奥を探り続け、数日してようやく思い出しました。
私立中学に通っている生徒が学校で実力テストを受ける前だったか、それとも後だったか。
学校から配られたという実力テスト関係の冊子に、そのようなことが書いてあったと思います。
通信添削会社が主催している実力テストでした。
その子が問題を解いている間、その冊子を拾い読みした記事の1つがそういう内容でした。
「中学1年生のときの成績と高校3年生のときの成績は、9割の子が同じ」
ポンとその情報が書いてあるだけで、データもなければ、根拠も書いてありませんでした。

どこ調べなの、それ?
どうやって調べたの?
誰を対象に調べたの?
目的は何なの?

30年以上、小学生から高校生まで教えてきた実感からいって、それは嘘です。
中学1年のときの成績と高校3年のときの成績が大体同じ子もいます。
しかし、全く異なる子もたくさんいます。
9割も同じであるわけがありません。

ただ、これは、いくらでも言い逃れができる表現です。
「成績」とは、何を指すのでしょう。
学校の評定でしょうか。
学校内の定期テストの順位でしょうか。
模試や実力テストの偏差値でしょうか。
そこは明記されていないのです。
ただ、漠然と「成績」という。

例えば、それは、とある私立中高一貫校の1つだけに限った、校内順位のデータなのかもしれません。
だったら、そんなこともあるかもしれません。
6年間、新しい風の吹きこまない私立中高一貫校。
9割は同じ順位というのは、あり得ることだと思います。

上に大学があり、そこへの内部進学を希望している場合や、指定校推薦を希望している場合を除き、しかし、校内の成績や校内順位は、進学データとしては、わりとどうでもよいものです。
大学の一般入試に、高校の内申は意味を持ちません。
国立大学や有名私立大学への一般入試による進学を希望している場合、気になるデータは全国模試の偏差値と順位です。
しかし、これは、中学1年と高校3年を比較できるデータが存在しません。

中学生の間は、中高一貫校の子は、通信添削会社の作る実力テストを学校で受けることが多いです。
私が見た冊子もそういう会社の冊子でした。
しかし、高校受験を控えている公立中学の生徒は、そんなものは受けません。
受けるなら、高校受験のための模試を受けます。
だから、中学生の間は、データは大きく2つに割れていて、比較は不可能です。

中高一貫校のカリキュラムは、中学1年の一年間で、中1・中2の学習内容を済ませ、その後は、1年ずつ先取りする形をとっていることが多いです。
公立中学の子たちが普通に中3の勉強をしているときに、一貫校の子は、高1の学習内容を履修します。
学力の差というよりも、学習している内容が1年ズレていますから、比較のしようがありません。
高校入試のための模試に、高校を受けない一貫校の子たちが参戦するのは、合否データに影響しますので、これはマナーとしてやってはいけないことですし。

せいぜい、都立自校作成校や有名私立高校の過去問を試しに解いてみて、合格点が取れずにへこむ、という程度のことしかできないのが、中高一貫校の中3の立ち位置です。
習っていることは高校1年ですが、受験勉強をやっていませんので、学力的には中だるみの時期の子が多く、公立中学の秀才にここで抜かれてしまう子が多数現れます。

そして、高1。
全国模試は、まだ複線状態です。
大学受験模試の老舗の主催するテストもあれば、通信添削会社系の実力テストもまだあります。
模試などまだ受けない呑気な子たちもたくさんいます。
まだ、わからない。

高2。
そろそろ、大学受験模試を受ける子が増えてきます。

高3。
ついに模試は一本化されます。
主催する会社は複数あっても、多くの子が、複数の模試を受けます。
分母も大きくなり、データとしての価値が高まってきます。

このデータと、中1のときの何を比較できるのでしょう?

「中1の成績と高3の成績は、9割の子が同じ」

この言葉に、意味はありません。

では、なぜ、このような発言がまかり通るのか?
中1の生徒を集客するためでしょうか。
残念なことですが。

「中1の成績は大切ですよ。
高校3年の成績と同じなんですよ。
だから、中1から塾に通いましょう。
通信添削を受けましょう」

そういうことでしょうか。
少子化が進んだ今、生徒を増やすには、生徒を低年齢から獲得していくしか術がありません。
中学受験の準備の低年齢化も同じ理屈で、現実的には小5からで間に合いますし、本人の頭が良ければ小6からでも可能ですが、それが小4からが当たり前となり、今は、小2からが当然みたいに言われています。
しかし、小2で何を学習するかと言ったら、小2・小3の内容を先取りするだけの場合が大半です。
小4までは、次の学年の先取りが中心。
本格的な受験勉強は、やはり小5からなんです。


確かに、低年齢から塾に通うほうが、中3から塾に通うより、いいのです。
つまずいてから通うより、最初からつまずかないほうがいいに決まってます。
だったら、そのことを主張したらいい。
高3の成績が云々とか、つまらないことを言わないほうがいい。

「塾の言うこと=営業トーク」という図式を、世の中に広めないでほしい。
変なデータを持ち出さなくても、塾は、必要です。
中1から本気で勉強することは、大切なことです。
そう思います。




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