たまりば

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2015年02月05日

図形が苦手な子。



今日はいきなり数学の問題から。

上の図で、AB=AC、AD=AEです。
(1) 合同な三角形を答えなさい。
(2) 上で示した三角形の合同を証明しなさい。

中学2年で学ぶ「三角形」の基本問題です。
しかし、これが解けない子がいます。
図をじっと見たまま、不思議なことを言い始めます。
「センセイ、記号のついていない点に、記号をつけていいですか?」
「え?・・・・・・BEとCDの交点のこと?」
「そうです。そうそう」
「それ、(1)を答えるだけならいいけれど、証明できる?本当は証明できるんだけど、かなりレベルが上がるよ。難しくなるよ」
「え?そうなんですか?」
「うん。他に合同な三角形はあるよ。しかも、2組あるよ。そのどちらでも、証明は難しくないよ」
「え?そんなのないですよ」
「・・・・あるよ」
「ないですよ!」

ふざけているわけではなく、その子には、本当に見えないのです。
△ACD≡△ABE
△BCD≡△CBE
この2組の三角形が、見えない。

その子に見えていたのは、BEとCDの交点をFとするなら、
△BDF≡△CEF
その三角形だけなのでした。

つまり、線分で区切られてしまうと、その区切られた図形しか見えなくなってしまうのです。

小学生にこういう子が案外多いのは、私がこの仕事を始めた頃からそうでした。
もしかしたら私が子どもの頃からそうだったのかもしれません。
特に学力が低いというのではなく、計算問題や文章題にはそれなりに対応できるのに、図形を把握する力が弱い。
ものの見え方、認識の仕方の問題なのだと思います。
最近は、中学生でも上の三角形が見えない子が増えてきたような気がします。

教えればわかるようになる子もいます。
上の「ないですよ!」と意地を張った子に、色違いのマーカーで2つの三角形をなぞってあげたら、ようやく見えてきて、感動していました。
「本当だ!すげーっ」
以後、少しずつ、線分で区切られた三角形も認識できるようになりました。


△ACDと△ABE
∠Aは共通です。
このような、重なりあっている三角形がなかなか認識できない子もいます。
部分的に共有するということが難しいのかもしれません。


小学生の場合、一番単純な例で言えば、正方形を斜めに描いてある図形を、正方形と認識できず、
「これは、ひし形だ」
と言い張る子がいます。
正方形はひし形の一種ですから、あながち間違いではないのですが、正方形ならば、正方形であると答えることを要求されます。
テキストを斜めにし、正方形に見えやすい位置に直して、三角定規をあて、
「ほら、全部、直角でしょう」
と証明してみせても、まだ不審そうにしている場合もあります。

二等辺三角形が、図形の向きによって、二等辺三角形に見えない子もいます。
「これは、直角三角形だよ」
と言い張ります。
いや、この角は、直角じゃないよと、三角定規をあててみせないと納得しません。


中学受験生でも、多くの子が混乱するのが立方体の切断の問題です。
切り口の形がどうしてもイメージできず、
「切断面は六角形なんだけど、見えるかな?」
と問いかけても、不思議そうな顔をしています。


中学3年生で学習する「相似」も深刻です。
1つの図の中に2組の相似が存在し、その両方を利用しなければ解けない問題。
でも、見えてくるのは、1組だけ。
見えたその1組にイメージをしばられ、もう1組が、どうしても見えてこない子がいます。

そんなときに私が思い出すのは、有名なイラスト。
若い女性の横顔にも見えるし、老婆の顔にも見えるイラスト。
その片方しか見えない人が、たまにいるらしいのですが、そういうことに似ているのかもしれません。

どうしたら、図形をイメージできるようになるのか。
根本的には、10歳までが勝負なのでしょう。
生まれつきイメージ力があるか、図形的なイメージ力が伸びる生活環境にいるのがベストだと思います。
けれど、現実には、そんな年齢はとうに過ぎてしまって、図形が苦手だと気がついた、さあどうするという場合が大半です。

では、どうするか。
取り返しはつかないのか。

図形がわかる、わからないは、以下の3段階に分かれると思います。

自分でイメージできる。
教われば、イメージできる。
教わっても、イメージできない。

図形が苦手だという人も、大半は、「教われば、イメージできる」人です。
ならば、まずは、たくさん教わることです。
イメージできた経験を増やすこと。

その記憶が、自分自身がイメージした記憶にすりかわる頃、本当に自分でイメージできるようになっています。
ある程度、イメージが蓄積されたら、自力で解く経験を増やしましょう。

わからないと、すぐ解答を見る。
すぐ教わって、「ああ、わかった」、「わかったからいいや」、で済ます。
それでは、図形に限らず、数学は出来るようにならないと思います。
わからなくて何時間も考え込む、その時間が、もっとも貴重な、学力が伸びている時間ですから。




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