たまりば

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2014年08月15日

朝日連峰を歩いてきました。2014年8月。




今年の夏は、山形県の朝日連峰を縦走してきました。
8月10日(日)
21:50、新宿西口高速バスターミナルから、高速バス「夕陽号」に乗車。
「夕陽号」鶴岡・酒田行きは、3列シート。
隣りに座る人がいない、各座席が独立したシートで快適でした。
足元には、使い捨てのスリッパ。
そして、ペットボトルの水のサービス。
バス内にトイレがあり、途中のサービスエリアでの、トイレ休憩のドタバタもありませんでした。
連日の夏期講習の寝不足もあり、バスの中でもかなり眠っていくことができました。

8月11日(月)
5:05、鶴岡第一ホテル下車。
そこから鶴岡駅までは徒歩5分。
小雨が降っていました。
駅舎はまだ閉まっていましたが、「大鳥」行きのバス停は屋根付きで、ベンチもあり、そこに座って朝食を食べました。
駅の外トイレの手洗いスペースも広くて、楽に歯磨き洗面ができました。
そのバス停は、「羽黒山」行きバス停も兼ねていて、わりと軽装な人が、少しずつ集まってきて、そしてバスに乗っていきます。
地元の人が日帰りで山に行くのだから、天気は良くなってきているのでしょうか。
台風は既に日本海に抜けたのですが、雨雲が残っているのが気がかりです。

7:52。「大鳥」行きバスに乗車。登山姿なのは、私1人。
8:25。「朝日庁舎」下車。
そこで待機してくれていた乗り合いタクシーに乗車。
しかし、電話予約したときには3人と言われたのに、他の2人はキャンセルしたとのことで、乗客は私1人でした。
ラジオから流れる天気予報は、午前中、雨。

朝日屋旅館で、一旦停車し、登山届を提出。
前日に記入し、畳んで財布に入れておいたので、スムーズに提出できました。

タクシーは、東大鳥川沿いの道路を行きます。
「のろのろ台風」が前線を刺激し、山形県内は前々日から雨が続いていました。
川は増水し、茶色に濁って轟々と音を立てています。
水は山からもあふれ出し、道路を浸していました。
「わあ、ここがこんなに水が出ているのを初めて見た」
地元のタクシーの運転手さんがそんなことを言うのに、ヒヤリ。
やばいなと思ったら、すぐ下山しよう。
ひき返すのも、また勇気。

登山口の泡滝ダム到着。9:20。
駐車場には既に車が3台。
うちの1台には、まだ登山準備中の若い男の子2人の姿がありました。
心強い。
雨具上下をつけて、出発。9:30。
川は恐ろしい眺めになっていて、正視したくありません。
けれど、川の右岸の登山道は、川からかなり離れた高い位置にあり、水平でよく整備されていました。
これなら平気そうです。
最初は小雨で、むしろ雨具を脱いだほうが蒸れなくていいかなあと思うくらいだったのですが、雨は次第に強くなってきました。
山からあふれ出してくる水が厄介です。
雨は、そこかしこで沢となり、登山道を横切っています。
ちょっと段差のある岩がちの道は、滝になっていました。
シャワークライミングです。
どこに手足を置くか、まず観察して、計算して、そして一気にいかないと、靴も服もそれだけ余計に濡れてしまいます。
小さい沢の徒渉さえ嫌いな私には、「マジで?」の連続。
でも、今回は、ストックを持ってきていたので、飛び石づたいの徒渉は、ほとんどストレスはありませんでした。

風がないだけ、有難い。
雨に濡れたブナの林は美しい。
今、最善を尽くしていれば、必ず時間は流れて、こんなことは終わる。
目標は、一番近くの避難小屋。
コースタイムは3時間。
そんなのすぐだから。

心配していたのは、コース中に2か所ある吊り橋でしたが、最初の冷水沢吊り橋も、次の七ツ滝沢吊り橋も、ほぼ同じ規模のものでした。
全長10メートルもありません。
金属板を2列につなげてある、頑丈な造りでした。
金属板から金属板へ移る度に多少揺れますが、両横に張ってあるワイヤーを両手でつかんでいけるので、余程のことがなければ落ちないでしょう。
あまり下を見ると濁流が見えるので、足元だけ見て、努めてゆっくり歩きました。

雨は、次第に都会のゲリラ豪雨の激しさに。
登山道がかなり斜めになっている箇所が1か所あり、足を置くと、そこから土が崩れていきました。
足を置き直しても、また崩れます。
思い切って、山側に上がり、何とか通過。

大鳥小屋。12:45。
扉を開けると、管理人さんが、すぐに出てきてくれました。
「あー、いらっしゃい。大変だったでしょう」
「はい」
暖かい出迎えに、元気が出ました。
朝日連峰に営業小屋はありません。
全て避難小屋です。
「今、2人いるだけだから、2階でも1階でも、どこでも使っていいよ」
濡れた雨具やザックカバーを玄関のフックにかけ、登山靴を脱いで、上がりました。
木の床の上にゴザが敷いてあり、畳の部屋のような雰囲気になっていました。

中央の階段を上がると、2階は左右に別れていて、各16畳ほど。
登山口で会った男の子たちが、楽し気に喋りながら、何か煮て食べていました。
1階は、玄関の右手がやはり16畳ほど。
左手は、トイレや管理人室。
収容人数100人の避難小屋。
夏場は、管理人さんが常駐します。
使用料1500円。

豪雨のせいで、食事はおろか休憩もできませんでした。
疲れていたので、前夜コンビニで購入したおにぎりをささっと食べ、寝袋を出して横になりました。
すぐにうとうと。
午後3時頃、あと3人、小屋に入ってきたようでした。
「登山道が沢になっていて、靴を脱いで渡ってきましたー」
そんな声を夢うつつに聞きました。
環境省の人が午後から来るという話だったのですが、道の状態が悪く、入山できないからひき返すと管理人さんに連絡が入ったそうです。
今日の豪雨のせいで、時間が経過するほど、状況は悪くなっていたのでしょう。

午後5時。起きだして、夕食。
定番のマルタイ棒ラーメン。
小屋で缶ビールを購入。350mL、500円。
管理人さんから切ったトマトをいただき、感激して食べました。
山で食べる野菜は、貴重品です。
ヽ(^。^)ノ

窓からは、大鳥湖の暗い姿が見えました。
この湖は、怪魚タキタロウの棲む湖。
私はよく知らないのですが、マンガ『釣りキチ三平』にも登場する伝説の怪魚だそうです。
誰も釣り上げた者はいない。
けれど、魚影を見た記録はあり、探知機にも巨大な魚が複数映った記録がある。
嘘をつく立場の人ではない人たちが、しかも複数人で同時に見ている。
登山口で会った男の子たちは、
「だって、ずっと憧れていたんだからさ」
と話しながら、釣り竿を車から出していました。
この湖で釣りをすることは、釣り好きにとっては、特別なことのようです。
雨は小降りになっていましたが、なお降り続いていました。
午後7時就寝。


8月12日(月)
4時半起床。空は曇っていましたが、雨は止んでいました。
支度をして、出発。5:40。
直登コースは、東沢出合の徒渉が増水時は危険と管理人さんに言われました。
沢が嫌いな私は、もちろん、ブナ林を登るオツボ峰経由のコースをとりました。

多少段差のある森の中の道を1時間半ほど登ると、森林限界を越え、ついに稜線に出ました。
高曇りで、視界は思ったより良く、遙か向こうまで山並みが見えます。

振り返れば、眼下に大鳥湖。
鳥が翼を開いたよう、というよりも熊の毛皮をはがしたような形の湖です。
さすがマタギの土地です。
関係ないか。
伝説の巨大な魚影は、付近で最も高い以東岳からその姿を確認できたそうですが、今日は湖は暗く沈み、何も見えません。

前方は、どこまでも続く稜線上の1本道。
1日歩いても、山が尽きることがありません。
山また山。
気の遠くなるような景色です。
その両側に、お花畑が広がっています。
タカネマツムシソウ、ニッコウキスゲ、ハクサンイチゲ、リンドウ。

幾度も立ち止まって撮影しましたが、花が風に揺れ、なかなかピントが合いません。

水場。7:50。
「水」の標識はありましたが、稜線からどれくらい降りるのかよくわからなかったので、パス。
風がだんだん強くなりました。
谷風です。
下から、ガスが吹き上がってきます。
これは、晴れるかも。
低くかけているラジオも、下界の晴天を伝えています。

オツボ峰。8:10。
稜線上の以東小屋が遙か高くに見えました。
朝日連峰は比較的おだやかな山容と言われます。
確かに、難しい岩場はないのですが、ここらへんから以東岳までは、少し岩がちで、道幅も狭く、登山道が傾いている箇所もあり、用心が必要でした。

以東岳。9:30。
すぐ下に以東小屋。
ここは老朽化し、現在は使われていないそうです。
水場も少し遠く、不便そうです。

高度が上がったせいか、再びガスに包まれ、10メートル先も見えなくなりました。
視界さえ良ければ特に難しくない1本道の登山道。
けれど、ガスに包まれると、全体の方向性が見えてこないので、些末なことに迷いが生じます。
土砂が流れ裸地化したものが道に見え、それが急斜面へと誘導していたり。

石に赤ペンキが塗られているのですが、北アルプスあたりの登山道と違って、間隔がかなり広い。
1つ1つ注意して見つけていかないと、ふっと赤ペンキのないところに迷いこんでしまっています。
変だなと思う度に、最後の赤ペンキのあったところに戻りました。

のろのろ歩いていると、また谷風が出てきて、そしてブワッとガスを吹き飛ばしました。
視界が一気に開け、青空がのぞきました。
周囲は360度の展望。
岩の1つに座ってカロリーメイトを齧っていると、後ろから若い男性が1人降りてきました。
「晴れて気持ちいいですね」
そんなふうに気さくに声をかけてきて、そして、立ち止まって花の写真を撮っています。
・・・・・どこから来たんだろう?
昨夜、大鳥小屋にいた男の子ではありません。
使用禁止の以東小屋に内緒で泊まったのなら、今頃はもっと先に行っているはずです。

とにかく晴れているうちに、先を急ぎます。
とはいえ、すぐにまた曇ってきました。
あたりはガスに覆われ、またペンキを確認しながらとなり、歩みは遅くなりました。
道は緩やかなアップダウンを繰り返します。
その途中で、2人連れの男性とすれ違いました。
向こうから来る人に、初めて会いました。
良かった。道は間違っていない。
「狐穴小屋の水場は、わかりやすいですか?」
そう問うと、
「ああ、小屋の前が水場ですよ。もうすぐそこですよ」
との返事でした。

狐穴小屋。12:00。
とうとう、雨が降ってきました。
小屋前のベンチにザックを置いて、急いで雨具の上着だけを来て、水場から水を補給。
本当に小屋の前のホースから大きなポリバケツに水がジャブジャブと出ている水場でした。
バケツには、缶ビールが冷えていました。
「缶ビールおわけします。800円」の掲示。

水場から進行方向を見上げると、左手上方に小屋が見えました。
あそこが、竜門小屋か。
思ったより近い。
もうひと頑張り。
しかし、そう思って石段を上がっていくと分岐に出て、私が思っていた左方向には、矢印と一緒に赤ペンキで大きく「天狗小屋」と岩に書かれてありました。
「大朝日岳」は右折。これも大きく赤ペンキの文字と矢印が。
うわあ、怖いわあ。
あの小屋の見え方、怖い。
何にも考えていないと、引き寄せられるぞー。
三方境。12:30。

寒江山。13:15。
山形県の山は、山頂標識や道しるべが独特で、四角柱の形をしています。
そのどこかの面に現在地が記され、他のどこかの面に小さく矢印と行先が示されています。
落ち着いて四角柱を一周しないと、行きたい方向が確認できません。
何というか、文学的な道しるべです。
他の山域のように、もっと即物的な、存在そのものが矢印な道しるべを立てたらいいのになあ。
雪が多いからかなあ。
何年か前に吾妻連峰を歩いたときに、この道しるべには痛い思いをしたので、慎重に一周して、行先を確認しました。

竜門小屋。14:30。
管理人さんが玄関から入ってすぐの場所にどかっと座ったまま出迎えてくれました。
その周囲に鍋やら酒やらが並んでいて、そこが定位置なのだなとわかります。
牢名主のような印象。
(*^-^*)

竜門小屋は、定員40人。
2階に上がると、先ほど出会った若い男性がいました。
軽く挨拶をして、早速お湯をわかしました。
まずは、お湯を入れて3分で完成の、ペンネのペペロンチーノ。
それからさらに鍋に水を足して、今夜もマルタイ棒ラーメン。
下に降りて、ビールを購入。
竜門小屋も小屋の前に沢から引いてきたホースの水場があり、バケツに缶ビールとキュウリが冷やしてありました。
350mL、800円。
北アルプスでも目にしたことのない高価格です。
でも、後で聞いたところによると、このあたりは、ヘリで物資輸送をするわけではなく、また、ボッカさんを雇うのでもなく、全て小屋の管理人さんが自分で必要なものを担ぎあげているのだそうです。
小屋を開けたばかりの6月頃は、土日だけ入山するので、その都度、少しずつ少しずつ、ひと夏過ごすための物資を担いで上がるのです。
そりゃ、800円でも安いくらいですね。

食事も終わって、さて寝ようかなと思っていたら、管理人さんに声をかけられました。
「酒飲もう。コップだけ持ってきて」
若い男性と2人、降りていくと、コップになみなみとウイスキーを注いでくれ、ポットを渡されました。
好きな濃さでお湯割りを作れということなのでした。
泊まり客は、今夜は2人きり。
悪天候をついてくると、こんな良いことが待っています。
ヽ(^。^)ノ

まず、若い男性に、どこから来たのか質問すると、昨夜は、岩陰でビバークしたという予想外の返事が返ってきました。
あの雨の中を?

前日、バス終点の大鳥登山口にある旅館に泊まった彼は、宿の人に車で送ってもらって、泡滝ダムに朝5時半に着き、そこから登り始めて、小雨の中、大鳥小屋には朝9時に着いたのだそうです。
泊まるには早過ぎる時間。
しかし、その後、天気は予想を越えて悪くなり、宿泊禁止の以東小屋を越えたものの、狐穴小屋にはたどり着けず、岩陰でビバークしたとのこと。
しかも、ツェルトも持たず、防水でもない寝袋にくるまるだけで岩陰で一晩過ごしたのだそうです。
・・・・・若いからいいけど、下手したら、死ぬよ。
( ;∀;)

朝になって、いったん以東小屋に戻り、そこで仮眠をとってから、降りてきたところで私と会ったのでした。
一晩そんなふうに過ごした後で、あんなに晴れやかに他人に挨拶するとは、若さって凄いです。

狐穴の水場から見上げた小屋の姿に騙されそうになった話をすると、管理人さんが、遭難話を始めました。
前日、登山者が1人、実際、あっちに行っちゃったそうです。
一番最初に大鳥小屋を出た人が、最後まで竜門小屋に着かない。
狐穴小屋の手前で追い抜いたと言う人はいる。
無線で連絡したが、狐穴小屋には入っていない。
これは天狗角力取山方向に行ってしまっていると察し、慌てて迎えにいって、狐穴小屋に収容したそうです。
「だから、狐穴小屋の管理人に頼んで、赤ペンキででっかく書いてもらったんだよ」
「あー・・・・・」
あれは、まさにペンキ塗りたてだったのかあ。

「それでも、道しるべは、今年、十何本増やしたんだよ。本当は、道しるべがなきゃ歩けないような人は朝日連峰には来たらダメなんだよ。地図とコンパスとGPSを使って歩ける人でないと」
あー・・・・・・。
えーと、でも、GPSを使っていいのなら、山頂標識や道しるべを使うのと同じじゃないですかね。
とは言いませんでした。
おごられ酒だし。
(#^^#)
いえ、山に人生の多くを注いでいる人の考え方は、それで正しいのだと思うんです。
たまの休みにだけ山で遊ぶ私があれこれ言うべきではありません。

問題は、朝日連峰の主峰、大朝日岳が、日本百名山であることだと感じます。
少なくとも、私自身の心のゆるみは、そこから来ていました。
今回、私は、地形図を持っていませんでした。
登山地図で事足りると思ったのです。
一応、コンパスは持っていましたが、地形図と一緒でなければコンパスなんて宝のもちぐされです。

なんで、地形図を持たず、登山地図で大丈夫と思ったのか。
それは、大朝日岳が日本百名山だから。

他の山域と日本百名山とでは、整備が格段に異なります。
山自体は大きいから、体力はそれなりに必要だけれど、登山道の整備、鎖や梯子の整備、山小屋やアクセスの充実度、道しるべの豊富さは、日本百名山は、他の山域とは比較になりません。
稜線の石に塗られる赤ペンキはほぼ1m間隔。
樹林帯に結ばれたピンクのテープは2m間隔。
これでは道に迷うはずがなく、地図を出す必要すらほとんどない。
技術的には奥高尾を歩くのと大差ない感覚で歩けるのが、日本百名山。
私の中では、そんな認識でした。

中高年の間で日本百名山の大ブームが起きて、はや20年。
技術や経験値の低い人たちも、単なる意地とスタンプラリー感覚で日本百名山完登を目指すようになって、20年です。
ほおっておいたら遭難しますから、地元は怖くて怖くて、過剰なくらいに整備せざるを得ません。
山中や、登山口・下山口にお金を落としていってくれる観光資源でもありますし。
そりゃ、整備するでしょう。
そんなこんなで、20年です。

私が行きたい山を選ぶとき、
「ああ、ここ、日本百名山なんだ。だったら安心だな」
と思うのは、あながち間違ってはいないと思うんです。
逆に、日本百名山ではない山を歩くときは、そこには本当に今も登山道があるかすら疑います。

この20年。
朝日連峰は、百名山ブームをどうやり過ごしてきたんだろう。
なぜ今も、それこそ『日本百名山』の著者である深田久弥が別の本で書いていたように、
「その山の名を心に刻んで登ってきた者に、どうして山頂標識が必要だろう」
と言える純粋さを保ってこられたのだろう。
この山は、今も、深田久弥にもう一度選んでもらえそうです。
日本百名山にも、まだこういう山はある。
やはり、知らない土地の山を歩くときは、地形図を用意しよう。

8月13日(火)、曇り。
ガスが出て、風もかなり強い中、出発。6:00。
防寒のために雨具の上着を着ました。
強風の稜線でのザックカバーは風船のように膨らんで命に係わることがあるので、つけませんでした。
谷風にあおられながら、後から来た男性と励ましあいました。
「天気予報は、晴れですよ」
「うん。きっと昨日のように、あと一時間くらいで、晴れあがりますよ」
「ちょうど、大朝日に着く頃にね」
足の速い彼とは、そこで別れましたが、下山後、朝日鉱泉のご主人から、2時半のバスで帰っていったと聞きました。

西朝日岳。7:15。
予想通り、ガスがズボッと音を立てるように吹き上がり、一瞬で晴れあがりました。
そして、前方には見事にピラミダルな大朝日岳の姿が見えてきました。
緩やかな稜線の1本道を登って、大朝日小屋。8:50。
小屋の管理人さんが表に出て、登山者を出迎えています。
小朝日岳からの稜線を登山者が続々と登ってきます。
ああ、ついに人気の山域らしいところに来たー。
毎日これだと鬱陶しいけれど、これまであまりにも人がいなかったので、なんか嬉しいー。
大朝日岳、繁盛してるぞー。
これぞ、日本百名山。
ヽ(^。^)ノ

小屋は肩の位置にあり、そこから山頂までは、15分。
楽勝で登り、大展望を楽しみました。
山頂には方位盤も置かれてあり、山座同定。
ああ、あれが月山。
夏なお大きな雪渓を抱く、まどかな山です。
小説『月山』を読んで以来、憧れの山ですが、夏に歩く限りは、ただただ明るい花の山でした。
リフトのよく整備されたスキー場の山です。
心の中の月山は、あの小説の中にしかないのかもしれません。

たっぷり眺望を楽しんで、下山し、小屋を出発。
銀玉水。10:20。
水場は登山道から10秒。
こんこんと湧き出ていました。

そこから、小朝日岳への登りには、やられました。
大朝日岳よりよほど険しい。
え、あんなに遠くて、岩がごつごつ飛び出ている高い山が小朝日岳じゃないよね?と思う山が、まさしく小朝日岳でした。
初日の豪雨よりも内心で驚きながら、何とか山頂へ。11:30。
ここに、山頂標識がないのにも、びっくりしました。
登ってきた道にも、他の2つの道にも、道しるべさえ一切ないのです。
休憩している地元の方らしいご夫婦に、
「ここ、小朝日岳ですよね?」
と確認。
「そうですよ」
「で、こっちの道が古寺鉱泉に降りる道ですよね」
「そうです」
「ならば、こっちが、朝日鉱泉に降りる道ですね」
「そうです」
ひと安心して、カロリーバーを齧っていると、男性がその道からぬっと現れたので、
「朝日鉱泉からですか?」
とさらに確認。
「うん、そうだよ。いやあ、えらかったよ」
「そうですか」
納得し、大きく頷きました。

実際、前日、ガスに覆われた山頂で、朝日鉱泉に携帯電話で道を確認した登山者もいたそうです。
「だから、今日、2時半のバスで来て、これから鳥原小屋まで登るっていう若い人に頼んで、小屋まで道しるべを担いでもらったよ」
と、朝日鉱泉のご主人が言っていました。
だから、今、小朝日岳には、朝日鉱泉への下山路を示す小さな道しるべが1つ立っているかもしれません。
(*^-^*)

小朝日岳からは急な下り。
土砂が流れて、道がのっぺりしているので、ちょっと歩きにくかったです。
土嚢を積んだ跡はあっても、土嚢ももう既に残骸になっていました。
余程ひどいところには、ロープが張られてありました。
急な下りが終わると、そこから鳥原山へは快適な森の道。
石を丹念に並べてあって、段差もゆるく、歩きやすい道でした。
湿地帯は、木道になっていて、道しるべも充実。
鳥原小屋は、登山道から少し離れた位置にあり、寄らずに通り過ぎました。

金山沢。14:25。
予想以上に大きな沢でした。
大きな沢にふさわしい、大きな飛び石を跳んで、対岸へ。
水平に近い歩きやすい道が延々と続きます。
993mピーク。15:15。
遅くなっちゃった。
気持ちは焦りますが、そこから急坂となり、あまり道ははかどりません。
沢の音が近づき、ようやく、下山口の吊り橋。
これが、初日の吊り橋の2倍はある長さ。
かなり高さもあり、これが一番怖いじゃないか、登山の最初がこれだったらストレス凄いよと、うなりながら、帰りたい一心で通過。

朝日鉱泉ナチュラリストの家。16:15。
山小屋、というよりも旅館に近い印象です。
テレビとかは、ありませんが。
一泊二食つき。8000円。
他に、翌朝のJR佐沢駅までの会員制タクシー代、2500円。

早速、お風呂。
お湯は、茶色でぬるめ。
夏場なら、いくらでも入っていられるぬるさで、つい長風呂をしてしまいました。
夕食は、一匹まるごとの岩魚のマリネやら、夏野菜のラタトゥイユやら、全て自家栽培か地採りの野菜や山菜やキノコがたっぷりのご馳走が並びます。
具沢山の味噌汁に感涙しました。
下山後に、温泉のある宿に一泊って、最高です。
宿の部屋からは、登ってきた大朝日岳が、きれいな三角錐に見えました。




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    この記事へのコメント
    セギさん、いつも「たまりば」のご利用ありがとうございます♪

    雨の時の登山は怖いなあと思うのですが、苦労した分達成感がありそうです。
    疲れた時の温泉は贅沢な気持ちになれますね(*^-^*)
    Posted by たまりばスタッフたまりばスタッフ at 2014年08月29日 15:25
    コメントありがとうございます。
    豪雨の登山は少し無謀だったかもしれません。
    台風の動きが遅いなと感じたら、キャンセルしても良かったのですが、夏期講習の忙しさにとりまぎれていたこともあり、なんか出発してしまいました。
    無事に下山できて良かったです。
    終わってみると、良い経験となりました。
    Posted by セギ at 2014年08月29日 21:48
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      コメント(2)