たまりば

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2014年06月26日

テスト勉強のやり方


集団指導塾で働き始めたばかりの頃のこと。
定期テスト直前に生徒を集めてテスト勉強の監督をする当番が回ってきました。
勉強のやり方を知らない生徒が多いなあと、そのときに痛感しました。

学校のワークなど、解くべき問題があれば、それを解いています。
でも、解き散らかしているだけでした。
丸つけをして、間違えた問題は赤ペンで正答を書き込む。
そこまでは、学校で指導されていますし、その通りにしている子は多いのですが、それが形骸化した作業になっていたのです。

やれと言われているから、やっている。
けれど、何のために赤ペンで正答を書いているか、考えたことがない。
だから、正答を赤ペンで書いただけで満足しています。
赤ペンで答えを書いても、その内容を理解していません。
自分の頭の中に入れなければならないとも思っていません。
「内容を理解し、覚えながら書き写しなさい」
と指示されていないからでしょうか。

だから、間違えた問題は弱点として残り、テストのときにも、そこを同じように間違えます。
ところが、本人は、何でそうなるのか、よくわかっていません。
あれ?1回解いたのに、何で解けないんだろう?
素朴に、そう思っていました。
自分はその問題を解けなかったのだし、答えを書き写しただけで理解はしていなかったし、解き直してその問題を確実にマスターするということもしなかった。
そういう事実を、理解できていないのです。

とにかく問題を解いた。
答え合わせもした。
間違えたところを赤ペンで書いて、真っ赤になった。
ああ、勉強したなあ。
そういう満足感だけで終わってしまっている子が多かったです。


やけにきれいなノートを作る子たちもいました。
その塾の中でも、最も成績不振な女の子たちのグループでした。
例えば理科の植物細胞の図や、公民の三権分立の図など、教科書にある図を、ノートに細部まで模写していました。
陰影までつけてある、完璧な模写です。
覚えるためなら、そこまで正確である必要はありません。
むしろ重要なことが何かわかっていないからそんな図を描いているようで、胸が痛みました。
しかし、
「そういうのは、もっと簡略化して描くか、コピーして貼ったら?」
と助言しても、無反応でした。

ノートを作るのが悪いわけではありません。
でも、問題は、作ったノートをどう活用するか、です。
きれいなノートを何時間もかけて作ることが勉強の中心になっていては、成績は上がりません。
「テストの日の1時間目は自習だから、そのときに、このノートで覚えるのー」
と、それを楽しみにしているような発言をしていました。
せっかく作ったノートなら、もっと早くから活用したらいいのになあ。

その作業から引き離すためにプリントを与えると、その子たちは、1問1答形式の基本問題のプリントすら、ほとんど解けませんでした。
全く手が動きません。
「全然わからないから、解答が欲しい」
そう言うので解答をあげると、今度は解答を赤ペンで丁寧に書き写していました。
そういうことが、彼女たちにとっての勉強でした。

その塾は、勉強のできる子とできない子の差の大きい塾でした。
いえ、あの頃は、それが、公立中学全体の傾向でした。
学力分布図はフタコブラクダ。
テストをすると80点台に1つのピークがあり、40点から50点台にもう1つのピークがある。
平均は65点といっても、実際にそんな点を取っている子は、ほとんどいない。

だからだったかもしれません。
その当時、勉強のできる子たちは、テスト前には塾に来ませんでした。
移動の時間が無駄です。
友達が近くにいると、やっぱり喋ったりふざけてしまいます。
帰りにコンビニ寄ろうぜ、と言われたら、つきあわなければなりません。
テスト前に塾に集まるのは、勉強の苦手な子たちばかり。
だから、勉強の苦手な子たちは、勉強のできる子たちが、テスト前にどんな勉強をしているか、見る機会がなかったのです。

その前に私が勤めていたのは大手の個別指導塾で、生徒の大半は、中学受験をする小学生と、私立の中・高生でした。
そういう子は、本人の学力とは関係なく、勉強のやり方は身についている場合が多かったのです。
特に私立の中・高生は。

暗記が必要な科目は、暗記のためのノートが必要になります。
ただ、ノート作りは、案外時間がかかります。
普段のノートとは別に、暗記するためのノートをまた1冊作るのは、負担が大きい。
ノートを作ることで復習にはなりますが、その作業だけで完璧に暗記できるわけではありませんから。
暗記の時間も別に必要。
問題練習する時間も必要。
けれど、勉強時間は、限られている。

私立の男子は、学校の授業用ノートを、そのまま、暗記するためのノートにする子が多かったです。
最初から、まとめノートを作るつもりで、書いていく。
学校の授業での先生の板書も、塾の先生に教わったプラスアルファの重要事項も、自分で参考書を見て理解したことも、1冊のノートに集約させていく。
教科ごとに、さらに細かいノウハウがありますが、そうやって普段からノートを作っていました。

私立の女子校の先生の作るプリントは、親切でわかりやすいことが多いのです。
重要事項が書き込み式になっていて、そのプリントを見直せば、テスト前に暗記すべきことがよくわかる。
これならば、新たにノートを作る必要はなく、そのプリントをノートに貼っていけばいい。
プリントで、学校の先生が空欄にしてくれている部分、すなわち重要事項は、色つきのペンで書き込みます。
問題は、その色づかい。
学校の先生がチョークで使った通りの色でノートに書いていては、後で赤シートをかけられくなります。
学校の先生が、プリント提出の際に色使いまでくどくど言うのでない限りは、使う色は、ピンク、またはオレンジ。
赤シートをかけたとき、その色ならば、消えるからです。
私立の女の子は、ピンクやオレンジのペンを、濃淡いろいろ、何本も持っていることが多いのです。
重要度に合わせ、どのペンを使用するか、本人の中で使い分けがあります。
そして、覚えるときは、赤シートをかけて覚える。
漫然と眺めても、覚えられません。
赤シートをかけて、本当に覚えているか、常にチェックする。
その繰り返しで暗記します。
学校の先生からもらったプリントは、提出するのでない限り、すぐノートに貼ってしまい、いったん、鉛筆で書きこんだものも、暗記の必要があると感じたら、すべて、ピンクかオレンジのペンで書き直します。
ペンケースの中に、小さなハサミとスティックのりを入れてあって、そんな作業も授業中にしてしまう子が多かったです。

こんなことは、ほんの1例。
彼らは、勉強のやり方に関してさまざまなノウハウを持っていました。
赤シートをかけるのなんて、よくあること。
大人は、そう思います。
でも、公立中学の生徒で、そうした勉強方法を知らない、あるいはやったことのない子は、多いです。
暗記の仕方を、まず知りません。

勉強のやり方に関するこういう「スタイル」や「文化」のようなものが、なぜ私立の子には学校が違っても普遍的に存在し、公立中学にはほとんど存在しないのか。
私立では、親や先生に言われて行うよりも、勉強のできる先輩や同級生が発信源となり、そこから流行していくことのほうが多いからかもしれません。
同じことを言われるのでも、大人に言われると反発するけれど、先輩や友達に言われると、心に響く。
そういう年頃です。

ところが、公立中学には、そういうモデルとなる秀才の同級生や先輩が少ない。
やっている子はやっているのだけれど、それを参考に真似しようという「文化」がない。
勉強のことを話すのは野暮、という空気すらあるかもしれません。
テストの後で、「おまえ何点だった?」と訊きあうようなことはしても、勉強のやり方について真面目に話すことは、あまりない。
秀才どうしは話しているのですが、勉強をしない子がその話を聞いて変に茶化してきたり、反感をもってからんできたりしたら嫌なので、他の子が周りにいるときは、用心して勉強の話はあまりしないのかもしれません。

その結果、公立中学の生徒は、勉強のやり方について、ごく当たり前のことを知らないことがあります。
調べる気になればいくらでも得ることはできるのですが、本人が調べよう、知ろう、と思わない限り、何1つ入ってきません。

塾長は、
「昔は、皆で競いあい励ましあって勉強していく空気があったんだがなあ」
と嘆いていました。
しかし、私は、この雰囲気では、本当に意欲もあり力もある子はテスト前には塾に自習に来ないだろうと感じました。
勉強が苦手な子は、秀才のやり方を目にし、その空気を感じることで得ることがたくさんあります。
では、秀才にとってのメリットは?
誰も彼もが何かしら勉強のやり方を持っていて、情報交換が有効ならば良いけれど、ただ与えるだけなのだとしたら、秀才に何のメリットがあるのか?

勉強が苦手な子に、勉強のやり方の基礎の基礎、いろはの「い」から教えなければならないのは、こういう背景があることも一因だと思います。




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