たまりば

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2014年05月26日

勉強に向いている思考


先週の土曜日、セギ英数教室が入っているビルの床の防水工事が行われました。
防水工事のことは、エレベーター付近の掲示で知ってはいましたが、具体的に、いつどこを工事するのかは、私は知りませんでした。
土曜日の朝になって、教室のある3階は1日通行できなくなるという掲示を見てびっくり。
聞いてないですよー。

3階に上がってみると、工事をする業者さんたちがいて、入ってくる私の姿を見て、むこうもびっくりした様子でした。
私は、
「今日は、うちの塾は、朝から営業しますよ?今日工事するなんて、事前に連絡はなかったですよね?」
もう、この件に関しては、一歩もひきませんからね、中間テスト直前の学校もあるんですからね、という怒りを言外ににじませて問いかけると、
「あ。えーと。留守だったんじゃ」
という返事でした。
あー。なるほど。

塾という業種は、普通の事務所のような9時~5時の営業ではありません。
それぞれの塾によって差異はありますが、午後2時~10時の営業時間というのが標準ではないかと思います。
実際に授業の行われる時間帯を考えればそうなるのですが、塾と無縁の生活をしている方は、このことは念頭にないことが多いようです。
授業は夕方から夜であっても、交替制で朝9時から誰かいると思うのかもしれません。
朝から教室に人を置いても人件費がかさむだけなので、あまりそういうことは行われないのですが。
浪人生の通う予備校なら、また話は違ってきますけれど。

何年も前、大手の個別指導塾で働いていた頃のことです。
社員が面談などで席を外していたり、他の電話に出ていて、私も電話を受けたときのことです。
電話口のお母様が、いきなり怒っていました。
「おたくの塾は、いったい、いつ電話したらつながるんですか!」
「・・・・・・あ、平日の夕方4時くらいから10時くらいなら確実ですが」
「ええっ」
「・・・・・・塾ですので、どうしても、そういう時間帯に」
「ええっ」
そのお母様は、いつも午前中に電話しては、通じない、通じない、誰も出ない、何なのこの塾は、と怒っていらっしゃったのでした。

事情がわかれば、すぐ了解していただけたので、それは嫌な記憶というのではありません。
むしろ、そうか、塾の営業時間ということも、塾関係者でなければ普通は発想しないものなのだという驚きがありました。

今回の工事の関係者の方も、午前中、もしくは午後の早い時間帯に来ては、
「この部屋は、いつ来ても留守だな」
と思ったのかもしれません。

前述のお母様に対しては、営業時間をあらかじめお知らせしなかった塾が悪いのですが、床の防水工事の業者さんに営業時間をあらかじめお知らせしない私に責任はないですよね。
(-_-)

で、工事は行われるが、エレベーター前からうちの教室の入り口まで、歩ける場所は確保されるということに無事に収まりました。
ヽ(^。^)ノ


さて、生徒さんに連絡、連絡。
メールを送りました。
「本日、うちの教室前の通路は塗装工事が行われております。エレベーターから教室の入口まで、養生してあるところを歩いてきてください」
よしよし、これで大丈夫だろう。

ところが、ここで不測の事態発生。
そのメールの内容をお母様から伝えられた生徒の1人が、非常階段でやってきてしまいました。
('_')

「エレベーターから教室入口まで、どうもかなり歩きにくい状態になっているようだ」
というふうに情報を読んで、
「じゃあ、非常階段からなら、歩けるんじゃないか」
という発想になったのでしょうか。

いやいやいや、
「エレベーターから教室入口までなら、歩ける。他に歩ける道はない」
というのが、私の伝えたかった情報だったのですが。

というよりも、私の中に、階段という発想はなかったのです。

これは私の思考の癖なのかもしれません。
業者さんに、
「エレベーターから、ここの玄関まで、通れるようにしますから」
と言われれば、
「なるほど、エレベーターからここの玄関まで、通れるのだな」
と、そのまま受け止めます。
「エレベーター」という言葉が思考のフックとなり、もうそれ以外の選択肢は念頭から消えます。
相手が通れるようにしてくれている、その通りにやっていれば、間違いはない。
はみ出す必要はない。


そして、勉強をする上で、この思考法は楽だし、有利なんじゃないかと思うんです。
解説を聞いて、あるいは解説を読んで、その通りに再現する。
その再現の正確さが、理解力。学力。
学ぶとは「まねぶ」。
言われた通りにできることが、まず必要。

とはいえ、
「だから学校の秀才の考えることはつまらないんだ」
と言われれば、それもその通りなのです。
言われたことを言われた通りにやるのではなく、思ってもいなかった方向から発想のできる人ってかっこいいですよね。
少数のそういう人が文明を牽引し、そして、それを多くの秀才が再現して、世の中は進んでいくのだと思います。

ただ、今回の場合、非常階段を使うという発想は、そういうユニークで魅力的なものなのかというと、そうでもないように思います。
それは、たとえ思いついても、総合的に判断して、自分で却下したほうがいいのです。
非常階段を使えば通れるのなら、業者の方は最初からそういう誘導をします。
実際、階段の先は、ペンキ塗りたてで、一歩も先に進めなかったのです。
本人の身に危険の及ぶようなことではなく、あーあ、間違っちゃったね、で済む話ですから、このこと自体はどうでも良いのですが。
私が心配になったのは、そういう思考の癖のようなものについてでした。

相手が口にしないことを自分が思いつくと、思いついた途端に、「それこそが最善」という思考の飛躍が起こってしまうことがあるのではないか。


これは、その子とは別の子の話なのですが、英語の「受動態」の定着が悪く、期末テストが今から心配な子がいます。
最初の授業では、正確に理解していました。
頭の良い子なので、その場では器用に身につけることができるんです。
ところが、家で復習する習慣がなく、宿題は、次の塾の日の直前に慌ててやってきます。
1週間ぶりの復習では、たいていのことは頭から抜け落ちています。
宿題は間違いが多く、そうなると混乱し、わかっていたことが、どんどんわからなくなっていきます。
1週間、また1週間、むしろ、どんどん出来なくなっていくのです。
とうとう、確認テストの簡単な穴埋め問題で全滅するようになってしまいました。
be動詞と過去分詞を空所に埋めるだけの、受動態のテストとしては、何のひねりもない基本問題で全滅です。
そこに全て過去分詞とbyを入れていました。

「・・・・・・何で、by?」
「だって、受動態は、必ずbyを使うし」
「・・・・・・そんなふうに学校で教わった?」
「自分で気がついた。頭いいー」
「私は、そんなことは教えてないよね。受動態かどうかは、動詞の形で見分けるんだよね?」
「だって、byを使うでしょう?」
「使わない受動態は、たくさんあるよ」
「えー?なんでー?」


・・・・・教わったことを教わった通りに再現していれば、楽なのになあ。
なんで、別のルールを自分で見つけてしまうのかなあ。

しかし、それは思考の癖のようなもので、
「なぜ?」
と問われても自分で説明できないし、
「そのような思考はやめなさい」
と言われても、やめられるものでもないのでしょう。

何か1つの情報を与えられたときに、いくつもの選択肢を発想すること自体は、むしろ良いことです。
問題は、その選択肢のうち、妥当ではないものを消去する判断力をもつこと。
「自分の思いついたことだから、正しい」
というバイアスがかからない総合的な視野を持つこと。

でも、子どもに総合的な視野はないと思います。
総合的な視野がないから、それを身につけるために、勉強しているんです。

結局、「A」と言われたときに「B」の発想をし、それに沿って問題を解決しようとしてしまうのは思考の癖なので、今後も後を絶たない。
そういう子の学習能率を上げるにはどうしたら良いかを考えたほうがいい。

防水工事からそんなことを考えた土曜日でした。

あ。
結局、階段を上がってきた子に私が驚いてからは、保護者の方にそういうメールを送るのはやめました。
すると、その後は、かえって全員無事にエレベーターを使って教室にやってきました。
あらかじめ与えられた情報は、むしろ誤った思考を誘発する。
その場で見て対処したほうが、正しい判断ができる。
単に、そういうことなのかもしれません。




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