たまりば

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2014年05月20日

内申が「5」の子は、どんな子か。


東京の公立中学は、小学校時代の秀才たちの大半が抜けてしまっているので、地方の公立中学校とは少し違う環境にあります。
生まれつき能力が高く、加えて努力も惜しまない、精神年齢の高い秀才は、いないわけではありませんが、少ないのが実情です。

多いのは、頭はまんざら悪くないけれど、何かが足りない子。
小学校のカラーテストなら、何も勉強しなくても85点くらいは取っていた子たちです。
本人は「自分は頭がいい」と、心の底では思っている気配があります。

中学生になって、学校の授業がわからなくなるかというと、そうでもありません。
まあまあわかるのです。
家庭学習の習慣はありませんが、定期テスト前には勉強しますし、それで、そこそこの点数をとったりします。
でも、成績は、「3」か、良くて「4」。
「5」は取れないことが多いです。

自他ともに認める秀才たちが抜けた今、自分がこの学校の主力だと、彼らは予想したはずです。
「3」を取ってもまだそのような誤解をしていることもあります。
しかし、そういう子たちの勘違いをよそに、着々と「5」の数を増やしていく生徒は、彼らではありません。

学習習慣がないのは、学校の先生にはすぐわかってしまうんです。
(-_-)

授業態度があまり良くなかったり、提出物もちゃんと出していなかったり。
意欲・態度の面での評価が低くなり、テストの得点より成績は悪くなりがちです。
定期テストで何点取ったって、高校受験で使うのは学校の内申なんだよ。
何回その話をしても、そういう子たちにはあまり通じません。
成績が「3」だって、自分はテストで85点取っているんだから大丈夫だと思っています。

けれど、コツコツ真面目に学習する習慣のない子は、中学2年の後半くらいから、テストでも良い点が取れなくなっていきます。
素質だけでやっていくのは、限界があるのです。

では、公立中学で「5」をとる生徒というのは、どういうタイプなのか。

保護者の方針で国公立・私立中学を受験しなかった本物の秀才、あるいは入試当日に何かがあり、予想外の不合格となった子が、まず、少数ながらいます。
上に書いたような生徒たちは、そういう子のことは、
「あ、あれは別格だから」
と認めています。

しかし、彼らが意識していないところで、彼らよりはるかに良い成績を取っている子たちがいます。

何年も前、集団指導塾で働いていた頃、その典型と思われる子がいました。
中学生なのですが、言動は小学生のようでした。
塾が好きで好きで、授業の始まる1時間も前にやってきます。
小さい塾でしたから、自習室や空き教室はありませんでした。
職員室をうろうろして、仕事をしている先生に話しかけては、塾長に、
「おまえは、邪魔だから、職員室に入ってくるな」
と怒られていました。
(^-^;

そうすると、今度は、職員室の前の廊下に置いてあるコピー機の横の、作業台代わりの椅子にちょこんと座って確認テストのための勉強をしていました。
私がコピーを取りに行くと立ち上がり、コピー機の横にはりついて、作業をじっと観察します。
私の腕が、その子の顔にぶつかりそうで、加減して作業しなければならず、かなり邪魔でした。
「・・・・・作業の邪魔になるから、ちょっと離れて」
と声をかけても、
「大丈夫です」
と言って、コピー機の側を離れません。
「いやいや、大丈夫じゃないから。邪魔だから」
「大丈夫です」
「いやいやいや。邪魔だって。そもそも、何でこんなに早く来るの。自転車で来ているんだから、時間は読めるよね?授業の始まる10分前に来ようか?」
「大丈夫です」
「お母さんに、早く塾に行けと言われているの?」
「違います」
「じゃあ、時間を読んで来ようか?」
「大丈夫です」
「何で、こんなに早く来るの?」
「家にいても、することがないから」
「塾に来ても、することはないでしょう。こんな薄暗い廊下で、机もないのに勉強することになるだけじゃない」
「大丈夫です」
「・・・・・・・・・」
何というか、会話が通じるようで通じないのでした。
( ;∀;)

勉強に関しても不器用で、何でこんなところでミスするの?と訊きたいような、変なミスをすることが多い子でした。
他の子がすんなり理解している簡単なことが理解できず、考えこんでいたりもします。
でも、勉強は好きで、一所懸命勉強しています。
1人で勉強していたら、どこかでつまずいたと思うのですが、少人数のアトホームな塾でしたから、とことん面倒を見ることができました。
彼は、定期テストでは、英語も数学もほぼ満点を取っていました。

その中学の定期テストの問題が簡単だったということもあります。
基本的なことをきちんと理解し練習していれば満点が取れるテストでした。
公立中学は、そういう学校が多いので、特に珍しいことではありませんが。

満点を取って、「5」を取って、それを他の生徒たちに「すげえな」と感心されると、
「僕は、学校の先生と仲がいいから」
と嬉しそうに答えていました。
他の子が、私の顔色をうかがいながら、
「え。塾のおかげじゃないのか」
と訊いても、
「違う。僕は、学校の先生と仲がいいから」
と断言します。
「スミキ先生のおかげとか、言ったほうがいいんじゃねえの?」
「違う。僕は、学校の先生と仲がいいから」
何かもう、笑ってしまいました。
(#^^#)

その頃からでしょうか。
どうも、昔と違い、精神年齢の低い子どもたちがいると感じるようになったのは。
「実年齢-5歳」と思えば、違和感がないのです。

中学3年にもなって、自分の進路を真面目に考えられない。
勉強はしたくない、でも結果は欲しい。
話せば話すほど頭痛がしてくるけれど、まだ10歳なんだと思えば、まあそんなもんだろうと納得できる。

20歳の学生アルバイトが、役に立たない。
20歳にもなって自分が何のために何をしているのか理解せず、言われたことさえまともに出来ない。
何故なんだと腹も立つけれど、まだ15歳なのだと思えば、15歳にしては頑張って働いていると腑に落ちる。

その子の場合も、まだ小学校の低学年だと思えば、空気を読めないのも、いつまでもコピー機を見ているのも、来るなと言われても1時間も早く塾に来てしまうのも、まあ低学年はそんなものかと納得できるのでした。

その子は、特に顕著な例でしたが、公立中学で「5」をたくさん取っている子の中に、こういタイプの子が混ざっています。
とにかく幼いです。
不器用です。
理解も遅いです。
ですから、最初のほうで書いた、まんざら頭は悪くないけれど成績は「3」か「4」の子たちは、そんな子のことは眼中にありません。
性格のきつい子ですと、明らかに自分より格下の奴、と思っています。
はっきりバカにした発言をすることさえあります。
成績で負けていることなど、想像できないのでしょう。


ただ、精神年齢の遅れは、学習能力の遅れにつながっていることがあります。
基本的なことは何とか身につくし、基本問題ばかりのテストなら良い点も取るけれど、応用力は期待できないのではないか。
学校の成績は「5」が並び、その内申なら、都立の自校作成校受験という話が当然出てきます。
自校作成校の入試問題は、一般都立の入試問題とはレベルが違います。
基本が理解できているだけでは、歯がたちません。

もちろん、「3」と「4」の並ぶ内申で都立自校作成校を受験したいと言われても、頭を抱えてしまいます。
しかし、こういう不器用なタイプで「5」の並んでいる子が自校作成校を受験したいと言うのも、正直、胃が痛いのです。
内申は妥当だけれど、入試問題が解けなければ、合格できないのですから。


けれど、継続した学習というのは、想像を絶する効果があるのでした。

基本問題しか解けない不器用な子のはずだった。
ただ、少なくとも中学1年から継続して、出来る限りの努力をしてきた。
そういう子が、中学3年になって、もう本当にギリギリ入試に間に合う形で応用力が開花することがあります。

中学1年生から、「秀才」として生きてきた、その蓄積とそのプライド。
不器用な分だけ惜しみなく投じてきた時間。
それがあってこそなのでしょう。

難しい問題はすぐ諦め、教わればいい、理解できればいいと思っているタイプの子なら、そのままです。
わからなくても考え続け、不器用に答案を書き続けてくる子に限っての話です。

彼も、ある日、突然、学力が変容しました。
志望校以外の都立自校作成校の過去問を解くようになって、最初はボロボロな出来でしたが、3回目くらいから、勝負できる答案になってきたのです。

「何で、この問題が解けた?本当に自分で解いたの?」
私の失礼な問いかけに、
「いや、逆に、僕の周りの誰が、これを解けるんですか?」
「言うねえ。何だそのいやったらしい秀才気取りは」
「へへへっ。言ってみたかっただけー」
「ふふふ」
私が、本物の秀才とだけ交わす種類の会話が、その子との間に成立していました。
私が内心でどれだけ驚いているかなど、気がつく様子もなく、本当に、最初からそういう本格派の秀才であったかのように。
そのとき、私は、その子の合格を確信しました。

努力は、その努力にふさわしい形に人を変容させる。

結局は、そういうことなのでしょう。




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