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2014年05月12日

三ツドッケ~蕎麦粒山~川苔山を歩きました。2014年5月。

三ツドッケ~蕎麦粒山~川苔山を歩きました。2014年5月。

2014年5月11日(日)、奥多摩の山を歩いてきました。
三鷹発6:41の中央快速で出発しました。
今日は長丁場なので、出発はいつもより早めです。
立川と青梅で乗り換えて、奥多摩駅到着、8:21。
ホリデー快速ではなくても、やっぱり電車は登山客でいっぱい。
「東日原」行きのバス停は大行列でした。
私は1台目に乗車できましたが、結局、バスは3台出発しました。
川乗橋で、乗客の半分は下車。
川苔山に行く人たちでしょう。
東日原終点。9:00。
トイレを済ませて、歩き始めました。

まずは、バスの来た方向に戻り、二又に別れている坂道を道しるべ通りに左側に登っていきました。
登ってすぐ、道なりに曲がり、しばらく行くと、舗装道路は水平になっていきました。
あれ?と思ううちに道は尽き、そこにある階段が登山口かなあと思ったら、そこは個人のお墓への道。
わあ、すみません、お邪魔しましたー。

どこかで、道しるべを見落としたのかなあ。
とぼとぼ戻り、足元に「天目山、蕎麦粒山」という看板が落ちている階段を見つけました。
そこを登っていくと、斜面に1つ、また1つと民家が建っています。
廃屋もあります。
これは集落の生活道じゃないのかなあ。
荷物を運搬するためらしいレールもあります。

登山口から迷ったかなあ、と思っていたら、「三ツドッケ・酉谷山」の立派な道しるべを発見。
やっぱり、この道で良かったようです。
奥多摩は、メジャーコースの整備は手厚いですが、今回私が歩くのは、比較的マイナーなコース。
本人の読図能力や周囲の状況の把握能力が必要。
しっかりしなくちゃ。

植林帯の中のジクザクな急登をひたすら登っていきます。
道が広がり、斜面をまっすぐに登るようになると、あたりは自然林に変わり、思わず声をあげました。
ミズナラ、クヌギ、ブナの滴るような新緑の林です。
耳元で低くかけているラジオからは、
「さわやかと言いたくなる季節ですが、さわやかという言葉は、秋の言葉です。今の季節は、すがすがしいと言います」
という知識が。
ほお。
目の前の新緑と重なり、ちょっと笑ってしまいました。

道がまた、斜面をまく崖っぷちの道になり、山側は自然林、谷側は植林と、植相の分かれ目の中をずっと歩いていきました。
崖っぷちの道は、つまずくわけにはいかない道幅。
ちょっとストレスがあります。
右側が崖なのは、私は苦手です。
何か怖いなあ。
左利きだからかなあ。
足元は、落ち葉がつもってフカフカでした。

アンテナ。10:30。

さらに行くと、「この先、道細し」の掲示があり、これよりもっと細くなるの?と絶望感に襲われましたが、それまでと大差はなく、ひたすら崖っぷちの細い道を行きました。
途中、岩がちになり、痩せ尾根も出現。
慎重に歩いていくと、だんだん道は広くなり、ゆったりと尾根を登っていくようになりました。
左手の樹間からは、富士山が頭だけ見えています。
真っ白な富士山です。

一杯水避難小屋。11:25。
立派な避難小屋でした。
ちょっとした平屋の家レベル。
小屋前のベンチに座って休憩していると、小屋の裏から男性が2人降りてきました。
「三ツドッケ、登ってきたんですか?」と尋ねると、
「うん、天目山にね」と1人目の方。
「そう。三ツドッケだよ」と2人目の方。
三ツドッケと天目山は、同じ山の別名です。


「小屋の裏から登るんですよね」
と尋ねると、
「あー、でも、急だよ。こっちの道のほうが楽だよ。分岐があるから、そこから天目山に上がっていけるよ」
男性は、小屋に向かって左側の縦走路らしき崖っぷちの道を指さしました。
「あー、・・・・・そうなんですか」
縦走路に分岐があって、そこから三ツドッケに登れるのかあ。
それなら、そのほうがいいかなあ。
ガイドブックには、小屋の裏から登ると書いてあったけれど。

2人にお礼をいって、左の縦走路を歩きだしました。
しかし、これが、行けども行けども分岐などはなく、しかも、崖っぷちの細い道がずっと続いて、ストレスの大きい道でした。
あー、嫌だなあ。
本当にこの道でいいのかなあ。
本人たちは、小屋の裏から降りてきたのになあ。
実際に歩いたわけじゃなく、ここから行けそうだという見込みを教えてくれただけじゃないのなかあ。

10分ほど歩いても分岐などはなく、これはまずいなと思い、ひき返しました。
すれ違った登山客の間違った情報をうのみにして、遭難する人はいるものなあ。
予定していなかったことは、やったらダメなんだよ。

戻ってくると、小屋前には、さきほどとは別の男性単独行の方が。
「天目山、登ってきたの?」と訊かれました。
「いえ、分岐がなかったので、戻ってきたんです」
「え?通行止めになってる?」
「いえ、10分くらい歩いたんですけど、分岐がなかったので」
「あー、10分じゃ、ないなあ。15分くらい行くと、稜線に上がることができるんだよ。そこで、酉谷山との分岐があるから、右に曲がるの」
「えー・・・・・・」
あー、私は、何てバカなんだ。

せっかく来たので、やっぱり三ツドッケには登りたいから、そこで再び、さっきの道を戻りました。
今日は長丁場なのに、この20分のロスタイムは大きいぞ。
私にもう少し人を信じる心があれば。
などと、悲しき怪物みたいなことを考えながら、崖っぷちの道を歩いていきました。
いや、しかし、ディズニー映画だって、
「王子様なんかをあてにするよりも、信じられるのは、自分自身と肉親だけ」
という主張をする昨今、やはり一番良かったのは、当初の予定通り小屋裏の道を登っていくことだったのでしょう。

15分ほど歩くと、なるほど分岐がありました。
そこを右折。
急坂を登っていくと、三ツドッケ。別名、天目山の山頂についに到達。12:25。
上の写真がそれです。
岩がちなピークからは、360°の展望。
奥多摩の山々、秩父の山々が一望できました。
富士山も、くっきりです。

さて、下山。
登ってきた方向のまま、反対側の急坂を下りました。
もうこの際、三ツドッケの道の謎をすべて解明しておきたい。
立って降りるのは難しいくらいの急坂を何とか下り、そこからは少し平坦になったり、また急になったり。
大岩を乗り越えたり。
途中、踏み跡は二つに別れました。
私は、踏み跡の濃いほうの右の道を選びました。
左の踏み跡は、そのまま、稜線上を、直接、蕎麦粒山方向に向かう道なのかもしれません。
でも、確かめていないので、わかりません。
右の道は、予想通り、小屋の裏側に降りてきました。12:55。

降りてくると、
「分岐まで15分」と教えてくれたさきほどの男性が、まだベンチにいました。
今日は、このまま避難小屋に泊まるのだそうです。
いいなあ。

おにぎりを1個食べ、ポットに詰めてきたカフェオレを飲んで、さて出発。
道は、ここから広く歩きやすくなりました。
途中、「一杯水」の水場。
まだ残雪があり、そこからホースが出ていました。
でも、残雪があっても水量は細かったです。
秋には涸れていることも多いというのもうなずけます。

稜線から一段下がっている歩きやすい道をどんどん歩いて、遅れを取り戻そうと頑張りました。
ときどき、向こうからくる人とすれ違います。
男性の単独行ばかりです。
そもそも、この山に入ってから、女性と会っていません。
激シブ山域なんだなあ。
登山地図でも、この長沢背稜は、ずっと茶色に塗られているもんなあ。
登山地図は、高さによって色分けされていて、低いところは薄緑なんです。
うす茶色から茶色は、高い場所。
ずっと茶色なのは、奥多摩では、他には石尾根と奥秩父主脈しかありません。
眺めはいいけど、あまりにも良すぎて、ここがどんなに高いところか常に意識させられます。
なんか怖いなあ。
北アルプスのほうが、むしろ現実感がないので平気です。
奥多摩の展望は、現実的に高くて、怖いです。

また道は細くなり崖っぷちになってきました。
登山道が半分崩落しているところもあり、崖に滑り落ちそうでした。
もう、本当に怖いな。

しかし、蕎麦粒山に近づくに連れて、それまで見なかったパーティと出会うようになりました。
近郊の山の会と思われる、中高年の男女。
高校の山岳部と思われる若い集団と、最後尾の先生。
山の印象が急に明るくなりました。
気持ちの問題ですね。

蕎麦粒山、山頂。13:55。
そこからは、急な下り。
防火帯の広い広い尾根の下りです。
石尾根と印象が似ています。
乾いた砂の下りが滑りやすく、そろそろと降りていきました。
私がストックなしで立って降りられるギリギリくらいの斜度でした。
ここから、登山地図には「迷」のマークがありましたので、さらに用心していきました。
けれど、新しい道しるべが要所要所に立っていますし、登山道も明瞭なので、特に迷う感じはありませんでした。
夏草が生い茂り、登山道を隠すと、ちょっと厄介かもしれませんが。

アップダウンを繰り返し、日向沢の峰。14:45。
ここからも富士山の眺めは良好でした。
ガイドブックには、
「眺望が良いので、お弁当を開くのに良い」
なんて書いてあるのですが、この高度感と露出感でお弁当を開く人ってタフだと、私は思います。
さらに防火帯の下り。
大岩がゴロゴロして、何だこれ、道があるの?と思うと、左手の樹林帯の入口に青いビニールテープが下がっていました。
道は、こちらのようです。
急ですが、踏み跡は確かで、木につかまりながら降りていくことができました。

踊平。15:12。
当初の予定では、時間の余裕があれば川苔山に寄るし、遅くなってしまったら、大丹波の林道に降りていくつもりでいました。
ガイドブックには、大丹波のコースが書かれています。
林道歩きが2時間になるのは大変だけど、遅くなったら林道のほうが安全です。

ところが、踊平の分岐には、掲示が。
「登山道崩落につき、大丹波方面、下山できません」
トラロープも張ってあり、もう本気でダメな様子です。

よし、川苔山に行こう。
遅くなるけれど、川苔山から鳩ノ巣駅へ降りていくまき道は、何度も歩いて知っているから、万が一暗くなってもゆっくり用心して行動すれば、降りて行ける。

分岐の道しるべを見つける度、他の尾根に引きこまれないように注意しました。
川苔谷方向には、「木橋崩落につき、通行できません」の掲示がありました。
トラロープも張ってありまた。
え?じゃあ、今朝、川乗橋でバスを降りたたくさんの人たちは、どうしたんだろう。

この冬の大雪は、やはり大変なことだったようです。
登山道崩落や木橋崩落が奥多摩のあちらこちらで起こった様子です。

用心して用心して、「川苔山」の表示だけを信じて登っていったら、川苔山の山頂にポンと出てしまいました。16:00。
あれ?
山頂はまくつもりでいたのですが。
ええ?

山頂にいったん出ると、そこからは土地勘が戻り、いつもの坂道を下山。
その道は、たった今、歩いてきた道でした。
なのに、それがいつもの山頂への最後の登りだと、さっきは全然気がつかなかった。
これは、ショックでした。
違う道だと思いこんでいると、いつもの道が違う道に見えるんですね。
降りてきて、さきほどの「川苔谷、通行禁止」の掲示を見たところが、いつもの十字路だということに気づき、さらに愕然。

ともあれ、そこからは、よく知る道。
何とか日没前に下山できそうです。

登山口でのもたつき。
三ツドッケでのもたつき。
川苔山頂周辺でのもたつき。
この3か所のもたつきがなければ、1時間は早く下山できたのにー。

鳩ノ巣駅。18:10。
ホームで電車を待つうちに、山はゆっくりと暮れていきました。
こんな時間になったらダメだろう。
これは、一種の遭難だろう、と反省。




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