たまりば

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2014年01月23日

女の子の「自分ルール」



「うちの子は、ノートのとり方をわかっていないので、指導してください」
という依頼を受けることがときどきあります。
見ると、本当に、これはダメだなあと思うのですが、いったんついた悪い癖というのは、なかなか抜けず、ノート指導は難しいことの1つです。

少し前、どうすれば成績が上がるかというテーマのテレビ番組があり、私も興味を持って見ました。
ノートのとり方について、面白い実験がありました。
2つのグループに、同じ世界史の授業を受けてもらいます。
講義中心の、ごく普通の、言ってみればつまらなそうな授業です。
1つのグループは、その授業を受けながら、先生が余談として話したことでも何でも、とにかく書けるだけのことを全部ノートに書くよう指示しました。
もう1つのグループには、特に何も指示せず、従って、先生が板書したことを、ただ、そのまま書くだけの、普通のノートになっていました。
時間をおいて、その授業内容についてテストをすると、最初のグループのほうが圧倒的に得点が高いという結果が出ました。
この結果は、納得です。
板書を写すのはもちろん、その他、書くべきと思うことは不必要なくらい書いて、ようやく、後で、見直して意味のわかるノートになっている場合が大半ですから。

うちの塾生にも、例えば数学の重要な公式やその証明などは、板書しながら解説し、「まとめノート」に書いてもらっているのですが、中には、板書したことすら全部は書かない子がいます。

ある生徒と、おうぎ形の面積や円錐の表面積の学習をしたときのこと。
宿題を見ると、教えたはずの公式を忘れて、手をつけていない問題が目立ちました。
「え?公式、教えたよね?ノート見てみようか」
わかりやすいように、覚え方なども含めて板書にまとめたはずなのに、後でノートを見ると、公式がポツンと書いてあるだけでした。
「このノートに、何の意味があるの?公式だけなら、テキストに載っているじゃない?」
「あ・・・・・・」
聞いたばかりの解説はよく理解でき、だから、重要な公式以外は、ノートに書く必要はないと思ってしまった様子です。
結果、時間が経てば、ノートを見直しても、わかりにくい公式が書いてあるだけ。
それではノートに意味がなく、使いこなせないということが、そのとき、ようやく実感できた様子でした。
こんなふうに、「ノートに書きなさい」と言っても、板書通りのことすら書かない子も多いです。
自分なりに工夫しなさい、と言われると、省略するほうに工夫してしまうんです。

宿題や授業中に問題を解くときに使う演習ノートの書き方も、かなり問題のある子が多いのですが、特に、女子生徒は、何回注意しても直らない場合があります。
反抗心でそうしているのではなく、女の子は、自分の中にルールのある子が多いんです。
男子のノートは、汚くて雑なだけで、他意はないのですが、女子のノートには、本人だけが絶対だと思っている「自分ルール」があります。

代表的な例で言えば、極端に小さくて、薄い字。
シャーペンの芯は、2Hより固いものを使います。
しかも、小さく小さく文字を書きます。
それがきれいで良いノートだと本人は思っています。
あるとき、そういうノートを書く子のお母さまから、
「私も注意しているんですが、あの字の小ささは、自信のなさだと思うんですよ」
と言われ、ああ、それもあるなあ、さすがによく見ていらっしゃると納得しました。
そうなると、自信がつかない限りノートは改善されないので、ノート指導は、単にノートだけのことではない、もっと根本的なことになってきます。

字が小さくて薄いのは、それだけでは成績に影響することはないのですが、そういう子が付随してやってしまうことが多いルールがあります。
筆算を、今書いているところより下のスペースで行い、消してしまうんです。
その子にとっては、筆算なんて汚らしい落書きに等しいのでしょう。
必ず、消してしまいます。
消すことを前提に書いている筆算は、さらに薄く、雑です。
計算ミスが当然増えます。
だから、そういうノートを書く子は、計算ミスが多いです。
これは、改善したいことです。

しかし、筆算を残すとなったら、きっちり筆算スペースを確保して残したいと、そういう子は考えるようです。
余計な囲いをしたり、線を引いたり。
筆算スペースなんて、ノートの右端の余白を柔軟に使えばいいのにと私は思うのですが、本人にとっては、そうではないのでしょう。
ノートの中央に線を引いて、右側は筆算、左側に式と答えというルールを本人が作ったりします。
でも、筆算にはそれほどのスペースは必要ありません。
ノートの右側の大半が余っていることに、だんだん不満をもつようです。
結局、そのルールは自然消滅し、ふりだしに戻ります。
「おーい。筆算は、消したらダメです」
「だって、筆算を書く場所がない」
あー、もうどうでもいいじゃないの、そんなことは。
何が目的なんだ、このノートは?
見た目のきれいさが目的なのー?
算数・数学が得意になりたくて勉強しているんじゃないのー?
一進一退の繰り返しとなります。

ノートに字をびっしり詰め込んでしまう子もいます。
使う芯はBより濃いのも、なぜかそういう子の共通点。
これは、女子だけでなく、男子にもたまにいます。
ノートが全行、字で真っ黒にびっしり埋まったら、嬉しいらしいんです。
「ノートは、テトリスじゃないよ」
毎回注意しますが、本人はそうすることが楽しいようで、この癖がなかなか治りません。
問題番号だけで1行使い、式はその下の行から書いて見やすくするのがノートとしては常識的ですが、そんな余白は本人にとっては存在を許すべきではないものらしく、番号のすぐ横にみっしり答えを書いていきます。
答え合わせのときに、どこからが何番の答えなのか本人にもよくわからず、手間どっていますが、そんなことは関係ないようです。
ノートが真っ黒になることだけが目標。

・・・・・・他人には、意味がわかりません。

途中式をノートに書くことも実は不本意のようで、ノートには、問題番号と答えだけを書いてみっしり埋めたいのが本音らしいです。

ますます、意味がわかりません。

そういう変わった美意識の一方、そのようなノートを成立させるために、テキストには途中の計算がぐちゃぐちゃに書きこまれ、呆れるような汚さになっています。
ぐちゃぐちゃの計算ではミスが多く、みっしり書き込んだノートは余白がなく、直すことすら上手くいきません。

これ、ある男子小学生も同じ症状だったのですが、あるときお母様がその子に怒ったことで、一気に解消しました。

何て貧乏くさいノートの使い方なの!
勉強に関することでお金を惜しむ習慣は、うちにはないのよ!
ノートは、余白をたっぷりとりなさい。

そう言って、新しいノートを数十冊まとめ買いし、どんとその子の机に重ねたそうです。
劇的に直りました。

これは、新しい視点でした。
子どもは、親の言葉を聞きかじって、おかしな遠慮をすることがあります。
自分のお小遣いや食費やレジャーに遣われるお金に関しては遠慮がないのに、学費や文房具代は、親にそんなに負担をかけちゃいけないとか、親に言っても多分嫌な顔をされるとか、まだ起きてもいないことを先回りして思い込み、ケチケチする子がいます。
親は教育費を惜しむつもりはないのに、子どもには、それが伝わっていません。
新しいノートを買ってもらうことに対する遠慮から、ケチケチ使います。
ノートの購入を経済的な負担だと思うはずがないのに。
紙の消費は文化のバロメーターだよ。
でも、本人は、そういうことをわかっていません。
いや、うちの親は違うから。
そう思い込んでいたりします。
美意識の他に、お金の問題が、良いノートを書くことの邪魔になっています。

お小遣いと文房具代が合算されているシステムの子の場合も、そうなりがちです。
お小遣いを少し多めに渡すから、必要な文房具などは、そこから自分で買いなさい、というシステムです。
子どもにしたら、ノートを買うと、お小遣いが減るので、買いたくない。
明らかに、このシステムは、学習の障壁となります。
いろいろと事情があるのだと思いますし、そのことはいずれ別に書きたいと思いますが。

背景にいろいろと事情もあるのですが、それでもやはり、1番の難関は、女の子の「私はこうしたい」という頑固な自分ルール。
根気よく注意しながら、本人の成長を待つしかありません。



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