たまりば

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2012年09月05日

子どもの嘘


例えば、テストをすると。
どんなに小さなテストでも、後になって
「採点ミスがあった。点数を直してくれ」
と言ってくる子がいます。
本当に採点ミスの場合もないわけではありませんが、しかし、採点ミスというのは、そんなに頻繁に起こるものではありません。
あの子は、なぜか、毎回毎回、採点ミスがあったと後になって言ってくる。
そんな情報が、講師の間で交わされるようになります。

やってるね。
うん、多分、やってるね。
記号問題なら、答を書き直すのは、簡単だからね。
なんで、そんなくだらないことをするのかね。
テストの点数が悪いと、家でひどく叱られるのかねえ。

しかし、こういう場合、
「採点ミス?おまえ、書き直したろ?」
なんて問いただしても、むしろ、事態が悪化することのほうが多いです。
素直に認めて反省することは、あまり期待できません。
しまいに保護者が出てきて、
「うちの子を疑うとは、どういうことですか!」
なんてことになると、もうぐちゃぐちゃです。

だから、テストを返すときに言います。
「テスト用紙は、全て、コピーを取ってあります」
実際には、疑わしい子の答案だけ、コピーを取ってあります。
いえ、本当はコピーをとっていないこともあります。
(^_^;)
いずれにしろ、以後、採点ミスがあった、直してくれ、という話は、ピタリと止みます。
ごまかすことができなくなれば、それ以上のずるい行動に出るわけではないんです。
子どもの嘘は、その程度です。

コピーを取るようなことまではしたくないし、生徒や保護者との間に、ある程度の信頼関係がある場合は、もう少し雑な方法もとれます。
あの講師の授業はいい、あの講師に教わると成績が上がる、という評判が既にある場合です。
「私は、採点ミスは、受け付けません。採点ミスをされてしまう君に運がないんだ。入試本番もそうです。諦めてください」
そんな言い方も可能です。
え、そんなむちゃくちゃな、と思う人もいるかもしれませんが、信頼関係があれば、通用します。
当たり前ですが、採点ミスなど、実はめったにないのですから。
ずるいやり方を考えるストレスがないからか、テストを返された生徒の顔は、案外明るいです。
「あー、採点ミスされた」というぼやきが、3か月に1度聞こえてくる程度でした。
申し訳ない。
(^_^;)

何も手を打たないと、テストの点数を増やそうとする子は、必ず現れます。
私の感覚では、5人に1人くらいの頻度で現れますし、その子が点数を増やしてもらえると、次からは、他の子も追随します。
信頼関係が影響するのだろうかと考えたこともあるのですが、生徒に人気があり、尊敬されている先生が、採点ミスに関しては、生徒が大行列を作っていることもあります。
あまり関係ないようです。
ただ、怖い先生のところには、あまり行かないみたいですね。
恐怖心が嘘をつかせないということはあるんでしょう。

学校の定期テストでも、子どもたちは同じ行動をとります。
多くの教科で、何だか毎回毎回、採点ミスで得点を書き直されている跡がある。
お子さんの答案にそういう傾向を発見したら、気をつけてください。
けれど、そのことを叱っても、あまり意味はありません。
むしろ、そんな行動をとるようになってしまっている原因を考えていただけたらと思います。


宿題に関しても、子どもは嘘をつくことがあります。
結局、サボってやってこなかっただけの話。
「センセー、ごめん。やってこられなかった」
で済んでしまうことなのに、嘘をついて、話がどんどん陰気な方向に進んでしまう子がいます。
例えば、プリントの宿題の場合。
「プリントを家に置いてきた」
「プリントをなくした」
「お祖母ちゃんが、プリントを、ゴミと間違えて捨てた」
「弟が、落書きして、破って捨てた」
次から次へと、新しい言い訳をします。

こういう言い訳、実は本当のこともあります。
本当のときは、言葉や表情にリアリティがあります。
嘘と思われるかもしれない悔しさや戸惑い。
そういうものが感じられます。
嘘をつく場合、嘘と思われないように真顔で変にスムーズに語るので、逆に違和感があります。
でも、それは長年の経験からくる勘のようなものです。
そんな不確かなことを根拠に話を進めると、やはり最悪の場合、保護者から、
「うちの子が嘘をついていると言うんですかっ!」
と怒られることになりますので、物証のないことを迂闊に言うのは、はばかられます。
なので、言い訳をありのまま保護者に伝え、丸投げすることが多いです。
とりあえず、本人は、こう言ってますので、不審な点がある場合は、ご家庭で解決してください、という扱い。
嘘であるかどうかはともかく、次は宿題をやってきてもらえるように、私は、私で、考えよう。

そもそも、嘘かどうか、こちらは、そんなのは、どうでもいい。
とにかく宿題をやってきてもらいたいだけです。
やらないと、成績は上がらない。
授業を受けるだけでみるみる成績が上がる魔法の塾なんか、ないんですから。

嘘つく暇に、宿題やってくれー。


保護者の中には、自分の子どもが嘘をついているとされることに過敏な方がいます。

うちの子は、嘘はつかない。
少なくとも、私には、嘘はつかない。

そういう家庭の場合、話がややこしくなりがちです。

「嘘をついてはいけない」
そういう教育方針の家庭の場合、子どもの多くは、嘘をつかないようになるわけではなく、嘘の整合性にこだわり、バレない嘘をつくようになる可能性のほうが高いと感じます。
「証拠なんかないだろう」
そういう嘘をつくようになります。
そして、親が、その子の嘘を支えます。
うちの子は、嘘をつかない。
その確信が、その子に嘘を突き通させてしまいます。

子どもは、嘘をつきますよね。
子どもは、大人に愛されなければ生きていけないのですから。
嘘をついて、大人に迎合しなければならない場合もあります。
そんなのは、子どもの責任ではありません。
小学校の高学年にもなれば、いちいち大人に言うわけにはいかないことも生じてきます。
小さな嘘をつくからと言って、それが高じて犯罪を犯すとか、他人を傷つけて平気になるとか、そんなことはないんですから。
子どもの嘘に対して、「あー、はいはい」くらいの気持ちで、大人がどんと構えていないと、逆に子どもが可哀そうです。


『となりのトトロ』の中で、好きなシーンがあります。
名前は忘れてしまいましたが(寛太でしたっけ?)、五月たちが引っ越してきた家の、大家だか地主だか管理人だかの孫息子の少年。
五月が雨に降られ、メイをかかえて困っているときに、傘を貸してくれます。
で、本人は濡れて帰るのですが、本当のことを母親には言わず、「傘をなくした」と言います。
母親は、母親で、「どうせ、振りまわして壊したんだよ」とまともに相手をしません。
「ちがわい」と抗議する少年。
そこへ、五月が、傘を持ってお礼に来ます。
「あらまあ。嫌だよ、こんなボロ傘」
と、事情を理解しても、まだ息子の行動を多少けなしている母親。
もちろん照れているわけですが。

母親に本当のことを言わない息子。
息子の言葉を信じない母親。
でも、この二人の親子関係は、きわめて健全だと感じます。
子どもの嘘なんて、こんな扱いでいいんじゃないんでしょうか。
そうして、こういう許容範囲の広い家庭に育った子は、テストの点数をごまかすようなつまらない嘘は、つかないような気がするんです。



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    この記事へのコメント
    はじめまして塾講師をしているものです。
    「授業を受けるだけでみるみる成績が上がる魔法の塾なんか、ないんですから。」
    同感です。でも子供は理解できない。
    宿題を出してもやってこないか、やってきても半分くらいをやっつけ仕事で埋めて後はよく分からないと言う。
    テスト形式の宿題を出して合格しなければ居残りと言っても一向にやる気なし。
    高校入試がぬるい地域なので、比較的上位の成績の子でもこんなのばっかりです。根負けしそうです。
    Posted by 通りすがり at 2012年09月15日 00:00
    通りすがりさん、コメントありがとうございます。
    集団指導塾ですと、宿題をやってこない子は、どうしても多くなりますね。
    しかも、そのことがなかなか保護者には伝わらないので、厄介です。

    (^_^;)
    Posted by セギセギ at 2012年09月17日 16:33
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