たまりば

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2012年06月19日

面白い仕事って何だろう





数か月前のこと。
ファミリーレストランで、昼間、食事をしていましたら、隣りのボックスに、お母様たちが数人いらっしゃいました。
PTAの会合の帰りか何かだったのでしょうか。
話題は、中学生の職業体験のこと。
お子さんが職業体験を済ませたばかりらしいお母様が、話していました。
お子さんは、スーパーで、品出しの仕事をした様子です。
「うちの子、1日で、つまらないと言い出してね。もう少しやり方があると思うのよね。スーパーだって、面白い仕事は他にいくらでもあると思うのに、あれじゃあ」

前にも書きましたが、私が以前勤めていた塾でも、生徒が職業体験をしてきたという話は、授業中で話題になることがありました。
実りある体験をする子は多いです。

しかし、なかには、せっかく多くの方が動いてくださって実現した貴重な機会を、無駄にしてしまう子もいます。
スーパーに働きに行って、言われた仕事をせず、仲間としゃべってばかりいて、結局、そのスーパーの店長さんが、学校にクレームの電話をかけたという話を聞いたこともありました。
「あのスーパー、くそだ」
と、学校で叱られたその生徒は、塾に来ても、そう毒づいていました。

私は、スーパーで品出しをしている中学生を見て、つまらない仕事をやらされて、かわいそうね、とは思えないんです。
私が中学生だったら、スーパーの品出しの仕事、面白いです。
「商品は、顔が見えるように並べるんだよ」
「よく売れる商品は、目線の高さの棚に置いてあるんだよ」
なんて、ほんの少しでも、店員さんに説明してもらえたら、ああ、そういう仕組みなんだ、とワクワクして1日働きそうな気がします。
どんな商品が、1日でどれくらい売れるのか。
朝、私が並べた商品が、もうあんなに減っている。
そういうことは、十分に面白いはずです。

もう遠い昔のことだけれど、私が中学生のとき、一番不安だったのは、自分は何もできないのではないかということだったように思います。
このまま、大人になっても、自分は何にもなれないのではないかということ。
自分の今の生活が、現実社会と何も結びついていないように感じること。
だから、現実のお店で、自分にも出来ることがあると実感することは、それだけで嬉しいことのはず。
職業体験の教育的意味は、もうそれだけで十分であると感じます。


「面白い仕事」って、何なんでしょう。
何だか、20世紀のOLがつぶやきそうな言葉で、違和感があります。
「面白い仕事をやらせてもらえない」とか何とか。
でも、中学生の職業体験は、2年も3年も頑張って働いて、それでも雑用しかやらせてもらえない、というようなことではありません。
たった2日だもの、簡単な作業しかできないのは当たり前だし、中学生には、それしかできないですよね。
いや、正確には、それも、本当には出来ないのが中学生。
それでも、実社会の本当に商売をしているお店や会社が協力して、中学生に働く場所を提供してくれることは、凄いことだと思います。

体験する側(+保護者)と、受け入れる側の感覚が、少しズレている場合があるのかもしれません。

どうしても「面白い仕事」にこだわるのなら、有料で仕事を体験できる遊園地に行ったほうが良いのでしょう。
あれは、実社会に迷惑がかかりませんから。
仕事を体験するといっても、お金を払っているお客様です。
結局は、「ごっこ遊び」。
私なら、そういう場所で、派手で面白そうな仕事を体験するよりも、本物のスーパーで品出しをしたい。
そこには、「リアル」があるから。
本物のお金が動いていて、本物のお客様がいる、本物のお店だから。
それは、本当の「仕事」だから。
その迫力にかなうものは何もないです。

中学生に、将来の職業について関心を高めてもらいたい。
努力すればなれる面白い職業がたくさんあることを知り、今、学校で学ぶことの意義を感じてもらいたい。
生きる目標をもってもらいたい。

そういう意味から言えば、職場体験だけが全てではないので、大人の人から職業の話を聞いたり、親の勤めている会社を子どもが訪問して見学できる日があったり、というので十分かもしれません。
これも、実際に多く行われていますね。
「面白い仕事」は、中学生に体験させなくても良く、話だけ聞かせ、見せるだけでも十分。

仕事を見せるということでは、NHK総合の『仕事ハッケン伝』が面白く、毎週楽しみに見ています。
タレントさんが、1週間、1つの仕事を体験する番組です。
コンビニの商品開発部の社員だったり。
雑誌編集者だったり。
それこそ、「面白い仕事」をガンガン任され、体験しています。
どの仕事も、やっぱり厳しく、見ていて胃が痛くなりそうだったり。
でも、さすがにタレントは、コミュニケーション能力の高い人が多いなあ、と感じたり。

先週は、福島県の老舗旅館の仲居を体験する回でした。
番組の最後、旅館の人たちは、仲居を体験したタレントを見送ります。
タレントは、涙を流し、花束を受け取って、去っていきました。
タレントが遠くに去ったその後、女将は、そのタレントの教育係を務めた女子社員を、抱きしめてねぎらっていました。
カメラは、遠くから、それをとらえていました。

女将の仕事。
タレントを受け入れる側の仕事。
カメラマンの仕事。
それをラストシーンに選んだディレクターの仕事。

見ていて、学ぶことの多い番組です。

これが面白いのは、私が大人だからかもしれませんが。



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    この記事へのコメント
    大声で「そうだ!そうだ〜!」と叫びたい気持ちです。
    我が子も職場体験で、金沢の魚屋さんで働きました。
    ジャージに魚の血をつけて帰ってきましたよ。
    市場も忙しく、店員さんも特に指導してくれなかったそうですが、
    大声張り上げて呼び込みしたのはいい経験をしたと思っています。

    NHKのいいのは、受け入れる側をちゃんと見ている事でしょう。
    手間ひまかければいい番組のいいシーンは撮れるけど、今の民放はなかなか難しいようですね。
    いい記事見せて頂き、感謝です。

    今日のおばちゃま女子会のブログは、
    オバタリアンの集まりにしないって憤っているだけで
    何とも低次元の話でお恥ずかしい〜
    Posted by シンシアシンシア at 2012年06月19日 14:39
    そのPTAのお母さんもお子さんも面白さをキャッチできる知性を持っていないのですね。きっと何やってもやり抜けないでしょう。

    脳科学的には大脳基底核の神経伝達物質であるドパミンの放出失調が起因、となるかもーーー

    面白さが感じられるような高尚な脳内ネットワークを育んでやらなかった親の責任と紡ぎ磨かなかった自分の責任でしょう。

    面白いものに出会おうとするよりは面白くするのが我が人生か、と思ったり致します。
    Posted by maruyama at 2012年06月20日 23:56
    シンシアさま、ありがとうございます。
    金沢の魚屋さんで、呼び込み。
    良い経験ですね。
    ジャージに魚の血をつけて、というところが、リアル。
    素敵です。
    Posted by セギセギ at 2012年06月21日 14:45
    maruyamaさま、コメントありがとうございます。

    面白いものに出会おうとするよりも、面白くする。

    そうですね。

    刺激に慣れきっていて。
    何をやってもお客様感覚で。
    楽しくないのは、他人のせい。
    そんなふうではいけないな、と感じます。
    自戒もこめて。
    Posted by セギセギ at 2012年06月21日 14:49
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