たまりば

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2012年06月17日

数学の白紙答案


大学入試の模擬試験の会場責任者の仕事を始めて7年ほどになります。
高1や高2の模試も、いろいろなことが起こりますが、やはり、切羽つまっているのが、高3を対象とした模試です。
特に、秋も深まっての記述式の模試となると、問題も大学入試レベル、というより本人の志望校よりはるかに難しい問題だったりしますので、まるで歯がたたないという事態もあります。

何年か前、模試受験生が、試験会場に荷物を置いたまま逃走してしまったことがありました。
多分ポケットに財布くらいは入っていて、休み時間に教室を出て、発作的に逃げてしまったのだと思いますが、その教室の監督員から事態の報告があったときは、驚きました。

荷物があるけれど、本人がいない。
トイレも探したけれど、いない。
1時間目の数学の答案を調べると、白紙。

結局、本人は、無事に家に帰っていて、荷物は、お母様がその日のうちに受け取りに来てくれたので、ほっとしました。

数学の白紙答案というのは、さほど珍しいものではありません。
他の科目では、白紙はほとんどありません。
でも、数学だけは、完全な白紙がありえます。
だから、数学の白紙答案は、処理方法がマニュアル化されています。
(^_^;)

模試答案の採点は、それをするアルバイトがいます。
私も、昔、やったことがあります。
答案1枚あたりの単価で請け負うアルバイトです。
そうしますと、数学の白紙答案は、採点者に渡す前に、前もって抜いておくほうが経費節減になります。
おそらくそのためでしょう。試験当日に、各会場で、数学の白紙答案を探して抜いておくことが、マニュアル化されています。
(^_^;)

高校数学の記述式答案。
高2模試までは、答だけ書けば〇をもらえるタイプの、計算過程不要の問題も少しありますが、高3になったら、そんなものはない場合が普通です。
ほぼ全て、完全記述になります。
数学の答案は、過程が大切。
どういう考え方で、何の公式や定理を利用して、どのように解いているのか。
それを論理的に説明しながら書いていくのが数学の答案です。
途中まででも出来ていれば、部分点がもらえるのも、過程が重要だからです。

そうした数学答案を書いていけるようになるために、できれば小学生から、過程を明確にした論理的な答案を記述していく力を養うことが必要になります。
高校生になって突然書けるようになるものではありませんから。

なので、私は、中学受験をする小学生も、高校受験をする中学生も、答しか要求されていない問題の場合でも、きちんと過程を書いていくことを当たり前のことと考えているのですが、近年、小・中学生の中に、その習慣がない子が増えてきています。
式というものを書きません。
問題の余白に、ぐしゃぐしゃと筆算して、解答欄に答だけを書く。
先の見通しがないせいが、やたら大きな文字でど真ん中に筆算した後、余白がなくなり、前の筆算に重ねて書いてしまったりして、もうグチャグチャになってしまう場合もあります。

受験経験がないのなら、わかります。
通塾経験がないのなら、それは仕方ない。
おそらく、教わったことがないのですから。
でも、2年も3年も塾に通って受験勉強をした中学生が、計算過程を書いていく答案作成法を身につけていない。
不思議です。
集団指導塾は、そこまで面倒は見ないということでしょうか。

半年くらい前から、うちの塾に新しく入塾する子の多くがそういう子です。
そういう子の特徴として、頭は悪くない。
ノートにきちんと書かなくても、全て頭の中で処理できると思ってしまうのは、そのせいかもしれません。
実際、ある程度までは、それで処理できています。

しかし、なぜ、うちの塾に通うことになったのかと言えば、数学に関して、本人の当然の能力として期待できるような成績を上げていないから、保護者の方が心配して、数学を教える塾を探した場合がほとんどです。
頭はいい。
他の科目はできる。
だけど、数学だけ、得点がふるわない。
それは、やはり、彼らのやり方の精度の低さを物語るものです。

解いていく過程が複雑な問題の場合、全てを頭の中で把握していくことはできなくなります。
過程を明確に書き残さないと、一瞬混乱してしまったら、そこで終わりです。
また、くしゃくしゃと筆算するだけでは、計算ミスもしやすい。
途中過程が残っていないので、見直しもできない。
解き終わったら、テストの残り時間は、全部最初から解き直すか、寝ているしかありません。
そんな精度の低いことをやっていて、数学で高得点を取るのは難しい。

自我が全面に出るようになる前、もっと幼い頃に、途中式を明確に書いていく答案作成法を身につけていたら、数学は、得意科目だったでしょう。
頭はいいのですから。
もう治らないんじゃないかなあ。
でも、治したいなあ。
そうすれば、絶対、数学が得意になるのだから。
そんな試行錯誤の日々です。

「途中式、書かないんだね」
と問いかけると、
「書いたほうが、いいですか?」
と訊き返してくる声が尖っている。
そんなことが多いです。
命令されなければ、やらない。
それでは、テストのときには、自己流のやり方に戻ってしまいます。

数学の応用問題。
活字で印刷された数行の問題と、自分との間の、深淵な隔たり。
それを埋めていくのは、自分の手書きの文字。
書いていくことで問題がほぐれ、書いていく過程で、思考錯誤をする。
私は、ずっとそのように数学の問題を解いてきました。
だから、白紙答案はありえない。

白紙答案になってしまうのは。
問題の解法や定理や公式の意味を理解せず、作業過程だけ覚えようとしてきた人か。
全て頭の中で処理しようとして、処理できず、1行も書きだせない人か。
いずれにせよ、もう数学の問題と自分との間に、何も接点がない。

そうなる前に、気づいてほしい。
そう思って、頑張る日々です。



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    この記事へのコメント
    わかるなあ、逃走したくなる気持ち。
    頭が真っ白になったんでしょうね。

    私は理系の大学受験で、数学・英語・理科が受験科目だったのですが、
    親が一番行かせたかった公立の大学受験で数学が白紙でした。
    3科目の中で数学が一番得意だったのに、です。

    そもそも「お父さん絶対無理よ。」と言えなくて、
    逃走する勇気もなくて、本番を受験したのですが、
    問題をしばし眺めたあとは、退室許可時間まで見事に寝ていました。

    模試がだめでも本番で合格する受験生はいると、
    楽しみに発表を待っている親に、白紙とは言えませんでした。

    これを書いているのが自分の娘だというのは、ばれませんように(笑)
    Posted by マダムポアン at 2012年06月17日 17:05
    マダムボアンさま、こんにちは。
    ありがとうございます。
    (*^_^*)

    おお。白紙答案の経験者でしたか。
    貴重な体験談をありがとうございます。
    数学の応用問題は、何の単元の問題なのかすら、1度読んだだけでは、わからないものもありますよね。
    1行か2行で終わっている問題のほうが、怖い。
    (@_@;)
    Posted by セギセギ at 2012年06月19日 14:46
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      コメント(2)