たまりば

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2012年06月11日

発音とアクセント


私が教えているのは英会話ではなく、受験英語です。
本質的に英語が使えるなら、どちらでも同じだと感じる方もいると思いますが、受験英語は、ペーパーテストで減点されないことに重点が置かれます。
冠詞のaやtheが抜けていないか、複数形や三単現のsやesが正確か、そんな隅々に気をつかってやっていくことが必要になります。
ネイティブ講師ばかりの英会話スクールに多い傾向として、日本人のブロークンな英語をあまり訂正せず、それよりも、とにかく話そうとする意欲をほめる指導をします。
結果、会話に対して臆病ではないし、トラベル英語などで不自由はないだろうけれど、学校の英語のペーパーテストで得点できない子が出来上がってしまいます。
そういうのとは、受験英語は、やはり違ってきます。

英語の問題の正解をいちいち板書していたら時間の無駄。
かといって、あまり上手に英語を読み上げると、日本の中学生には聞き取れない。
だから、受験英語の指導者は、正解を読み上げるとき、冠詞や語尾を強調する不自然な英語で正解を言っていくことになります。
私など、もともと英語の発音は上手くない。
それが不自然な読み方で30年。
もうボロボロです。(*^_^*)

でも、実際には、通じますし。
おそらく、「日本人の話す英語」というカテゴリー内ではOKなんでしょう。
もうそれでいいかな、と感じます。

これは、逆の立場で考えるとよくわかる話です。
外国人の話す日本語は、正直言って下手くそな場合が多いですが、それを笑う日本人は、今は少ないですよね。
特に、英語圏の人の日本語の訛り方は、これはもう一生治らないだろうなあと感じますが、それをバカにする人は、ほとんどいません。
どれだけ発音が悪くても、言っていることは理解できる。
外国人の言葉に、言い間違いや、よくわからないところがあっても、そこを何とか理解しようと努力する日本人が多いと感じます。
相手が努力して日本語を話しているだけで、もう十分。
相手の日本語の発話能力のつたなさは、こちらの日本語の理解力でカバーする。
それは、人として、普通のこと。
昭和の頃には、日本語を話す外国人タレントの、話し方そのものを笑った時代もあったので、少なくとも、そういう点でグローバル・コミュニケーションは進んでいる気がします。


これは、日本語の話なのですが、先日ラジオを聴いていて、非常に驚いたことが1つ。
ある30代の男性アナウンサーが自分の番組の中で、先輩女性アナウンサーの書いた文章のことをちょっとけなしたんです。
同じ局の同僚ですし、それは、単なる冗談で済むレベルのこと。
面白いので、けなされた先輩女性アナウンサーが、アシスタントを務めている別のラジオ番組でどう反応するか、リスナーは、ツイッター上でわいわい騒いで楽しみにしていました。
さて、放送当日。
その先輩女性アナウンサーは、おっとり返すだけでしたが、その番組のメインパーソナリティーである、年配の男性アナウンサーが、ここで皮肉。
先輩女性アナウンサーの文章を批評した、30代の男性アナウンサーの「自転車」という単語のアクセントが間違っていることを指摘したんです。
面白がっていたリスナーの1人である私は、ぞっとしました。
名前は出さない遠回しな指摘。
最近、「自転車」のアクセントを間違えている奴が多いよね、程度の指摘です。
でも、アナウンサー本人は、わかったはず。
これは、アナウンサーとして致命傷のように私は感じ、ぞっとしたんです。

年端もいかない新人タレントの話ではありません。
局の看板アナウンサーが、アクセントを間違えている。
これは、致命傷ではないのか。
先輩をからかったことに、お灸をすえた?
そもそも、そんなくだらないことで、自分の番組のペースを乱されたことが不愉快?
あるいは、そういう皮肉を言いながら、うひゃひゃひゃと笑って面白がっている?
さすがに老獪です。
(*^_^*)

東京アクセントは、80年代頃より平板化が進み、「自転車」のアクセントも、何が正しいかというのは微妙な問題です。
でも、アナウンサーは、昔ながらのアクセントを要求される仕事。
古くからの「正しい」アクセントは、「じてんしゃ」の「て」にアクセントがあります。
その30代アナウンサーが、先輩女子アナウンサーの文章を批判する少し前、自転車にまつわる話をしていて、何度もその単語を発語していたんです。
全て、平板アクセントでした。
どう考えても、この勝負、アシスタントの女性アナウンサーを飛び越えて、年配アナウンサーの圧勝。
怖い、怖い、と思いながら、ツイッターを眺めると。
そのことに触れているツイートがありません。
その、「自転車」のアクセントを間違えた30代アナウンサーのファンは、負けを感じていない。
その次の週の番組で、そのことに何も触れなかったことを「スルー」と称し、単に相手をしなかった、ととらえている様子です。
ファンは、負けたという感覚がないようなのです。

これは、どういうことなのか。

その30代のアナウンサーがもっとも尊敬しているのが、その年配アナウンサーであることは、度々公言していることなので、さほどファンではない私でも知っています。
もしも、その年配アナウンサーが、まだ同じ会社にいてくれて、直属の先輩だったなら、僕の気持ちをわかってくれるのではないかと、テレビ番組で泣きながらしゃべっているのを見たこともあります。
アナウンサーが、テレビで泣きながら自分の気持ちをしゃべっている、というのも凄い話なのですが、何かそういうことが許される独特なキャラクターのアナウンサーです。
しかし、彼は、アナウンサーです。
何を言われたか、ファンは気がつかなくても、本人は、わかったはず。
以後、その件に触れないのは、もう冗談で返せる話ではないからだろう。
私は、そう感じました。
尊敬する大先輩に叱られたことが、嬉しいか、悔しいかは、本人の問題ですが。

その30代アナウンサーが、その件をどう判断しているかについては、それ以上の興味はわかないんです。
この次、彼が「自転車」を発語するときに、それはわかること。
アクセントを直すか、前のまま、平板アクセントか。
直さないのだとしたら、今は平板アクセントの人が増えている、という立場から、あえてそのアクセントを選ぶということでしょう。
それは、それで、1つの考えですし。


興味があるのは、私と同じリスナーが、それをどう判断しているのか。

そのアナウンサーのファンは、そのアナウンサーと同世代か年下が多い様子です。
ツイッターを駆使する世代でもあります。
彼らが、今回の件をどう判断しているのか。
アクセントの間違い?
でも、自分たちは、そのアナウンサーの話す内容と表現の仕方が好きなのだ。
アクセントなんて関係ない。

そういうことなのかもしれません。
あるいは、批判が遠回しだったため、皮肉があったことに気がついていない平和なリスナーも多いのかもしれません。
アナウンサーがアクセントを間違えるのは、職業の根本に関わる重大事だと感じる私の感覚が、少し古いかな。

うまく判断できないまま、また、その30代のアナウンサーのラジオ番組を聴きながら、ツイッターを眺めていると。
1人のファンから、その日のゲストの話し方に対する批判のツイートがありました。

否定表現から入る返答。かぶせ気味に自分の話したいことだけ話す。

ほお。
言葉について、そういう敏感さを持っている人がいる。
アクセントや発音よりも、言葉の選び方。
そういうことが気になるようです。
でも、そのゲストの話をよく聞くと、否定表現のようで、実は、アナウンサーの言うことを肯定していて、ただ、接続詞が足りないので、何でも否定しているような印象があるのです。
そのゲストは、タレントではなく文化人なのだから、許しても良いことのように感じます。
話の内容は、興味深いものでしたし。

それでも、話の内容よりも、否定的な話し方が気にさわるのだろうか。
肯定的に話してあげないと、心に届かないのか。
厄介だな。

まだ、何も判断はつかないのですが、この頃、こんなことに興味があります。
自分の仕事につながる気がしています。



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    この記事へのコメント
    気づきの多い記事をありがとうございます。
    自転車を私は、半々に発音していることに気が付きました。
    何が、正しいかではなく、様々な状況で、情報を生かしてゆくことが
    大事に思います。
    また、読ませて下さい。
    Posted by 一歩塾&ブログ村一歩塾&ブログ村 at 2012年06月13日 21:02
    コメントありがとうございます。

    東京アクセントの平板化は、近年拍車がかかり、もう何が正しいのか、東京生まれの東京育ちでも、若い世代はわかりませんね。

    正しいかではなく、「かわいいかどうか」が判断基準になっていたりもして。
    (*^_^*)
    Posted by セギセギ at 2012年06月13日 23:42
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      コメント(1)