たまりば

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2012年04月18日

ケアレスミスをなくす方法


少し前のことになりますが、テレビを見ていたら、こんな実験をやっていました。
60代と20代の2つのグループに、それぞれドミノ倒しを一面作る作業をしてもらいます。
導火線部分から始まり、長方形の一面は、上手く倒れたら、色違いのドミノによって文字が表れる仕組みです。
その作業の様子を観察していると、2つのグループは、これほどにか、と驚くほどの違いが表れました。
20代グループは、作業自体は、速い速い。
でも、やみくもに作っていき、誰かの手元が狂って、ドミノが途中で倒れ、全滅してしまうこと2回。
最初から、やり直し。
一方、60代グループは、話しあい、まず、ドミノを所定の位置に横に倒したまま置いていくことから始めました。
置き終わると、休憩。
そして、いよいよ、ドミノを立てていきます。
慎重に、慎重に。
30分くらい作業すると、誰が言い出すともなく、休憩。
あともう少し、というところで、互いに頷きあい、また休憩。
結局、2つのグループは、ほぼ同時に作業終了。
そして、出来上がったドミノを倒してみると。
20代の作ったドミノは、雑で、表れた文字はガタガタ。
一方、途中で1度も倒さなかった60代のドミノは、見事に文字が表れました。
慎重で緻密な作業。
集中力が持続しないのを見越して、途中に入れる休憩。
60代の経験値の高さを感じました。

こんなにもはっきりと実験結果が表れるものなのか。
というより、20代の中で、もう少し、リーダーシップをとれる奴はいないのか。
人間のやることだから、どうせミスすると、気づかないのか。
そのミスをなくすためにどうすればいいかと、考えないのか。

こういう結果を出すためのやらせじゃないの、と感じたほどの実験結果でした。
でも、おそらく、やらせではないんでしょう。

というのも、私も、大人のための数学教室と、中学生対象の授業と、同じテキストで両方やっていると、こんなに違うものなのかと感じるんです。

たとえば、こんな問題。
(2x+3y)(2x+5y)-(3x+2y)(3x-4y)
乗法公式を使って展開していく問題です。
この問題、後半の( )の前にマイナスの符号があります。
このマイナスは、後半の( )の各項にかかっていきますから、後半の符号は全部正負が逆転します。
慣れてくれば、それを意識しながら、いきなり( )を開いていくことはできます。
なので、大人の人には、
「慣れれば、それは可能です。でも、やっぱりミスしやすいところですので、まあ慎重に、-( )と、後半は( )を外さないで書いて、次の行で、符号を変えていくほうが安全ですよね」
くらいの説明をします。
強制するようなことではありませんから。
でも、皆さん、やっぱり、慎重に、-( )と、いったんは( )を外さないやり方のほうを選びます。
つまらない省略をしたせいで、結局、そこでミスし、正答できないなんて、バカらしい。
そう判断するのが、大人の知恵です。

一方中学生は、ここを省略します。
上の問題の1行の次には、もう同類項の計算をした答えだけ書いてやろうかという勢いの子さえいます。
それで正答できるのなら、別に止めませんが、ほとんどの場合、ミスします。
たて続けにミスしたのを見て、
「それをするとミスするから、こうやって、慎重に解いていこうか」
と助言します。
しかし、多くは、聞き入れません。
ミスするから、と言われれば言われるほど、今度こそ、ミスせずにやってやる、とそちらのほうに向かっていきます。
あなたがミスしやすいと言っているのではない。
人間は、ミスをするものなのだよ。
それを言っても、ほとんどの場合、通じません。
その場では、しぶしぶ直しても、テストになると、やっぱり省略し、そして誤答します。
(>_<)

人間は、ミスをする。
それを理解するには、社会に出て、10年、20年。
人間は、こんなバカなミスをするのかと、自分の場合でも、他人の場合でも、ミスを体験し、そのミスをフォローするための善後策に駆け回り、ああもう嫌だ、と心の底から思うようになってからでないと、わからないことなのかもしれません。

人間は、ミスをする。

数年前になりますが、三鷹駅近くのレンタルビデオ屋さんで、DVDを借りようとしたら、会員の期限が切れていたことがあります。
「ああ。そういえば、今年は、更新を勧めるハガキが来なかったですよ」
と言ったら、バイトなのだろう若い子に、
「そんなことは、絶対にありません」
と急に高圧的に言われて、びっくりしました。
なんで、絶対にないと言えるんだ?
確かに、私が、他の郵便物やチラシと一緒に捨ててしまった可能性はゼロではないだろう。
しかし、そちらのミスの可能性だって、ゼロではないだろう?
さらに言えば、郵便事故の可能性だってあるだろう?
私の性格がもう少しきつければ、「あんたじゃ話にならない。店長を呼べ」と叫んでいるところですね。
(^_^;)

若い子は、人間がどれだけくだらないミスをするかを実感できないのかもしれません。
しかし、それを10代のうちに理解できれば、テストのケアレスミスは、ぐっと減るんです。



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    Posted by セギ at 16:09│Comments(0)算数・数学
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