たまりば

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2011年09月30日

英語で何を伝えるのか


去年の春。
私は、日光の鳴虫山に登るため、早朝の東武日光線に乗っていました。
斜め向かいのボックス席には、やはり山仕度をした、60代と思われる女性。
電車は比較的すいていましたが、それでも、全てのボックスにまんべんなく人が座った頃、外国人の男性が2人、何か話しながら乗ってきました。
西アジアか東南アジアか、詳しいことはわからないけれど、そのような容貌。
話しているのは、何語なのか見当もつかない言語でした。
その2人が、山支度の女性の前に立ちました。

そのボックスに座っているのは、その女性だけでしたから、空いている席に座りたいんだな、ということは状況からわかります。
日本人同士なら、簡単。
「ここ、空いていますか?」で済みます。
でも、互いの母国語は、おそらく通じない。

外国人の男性は、私に背中を向けていますが、ためらっているのがわかりました。
どう言おうか、迷っている。
そして、数秒。
彼は、席を指差して、言いました。
「エンプティ?」
女性は、にこやかに笑い、手のひらで座席を示し、
「イエス」
男性2人は、嬉しそうに席に着きました。

ものすごく短い会話。
でも、完璧な意思伝達。
男性は、確実に相手に伝えるために、一言でわかる言葉を探したのでしょう。
empty は、少し難しい単語で、教科書にもよりますが、中3でも知らない子は多いです。
英語が苦手な人が理解できるかどうか、ギリギリの単語です。
でも、あの状況なら、伝わる。
ペラペラしゃべるより、一言のほうが日本人には伝わりやすいことを、経験からよく知っている人なのかもしれません。
かなり頭の良いコミュニケーションの方法をとる人だ、という印象でした。
一方、あの女性も、一言しか答えなかったけれど、もしかしたら、英語はある程度わかる人で、でも、あえてそれ以上は話さなかったのかもしれません。
あるいは、単語の意味はわからなかったけれど、状況から判断したのかもしれません。
何というか、良いものを見た、という印象でした。

もう1つ。去年の晩秋。
箱根の山に登った帰りのこと。
名物の黒玉子でも買おうかなと、お土産を眺めていた私は、突然英語が聞こえてきたので、振り返りました。
後ろにあった、ソフトクリームの売店で、西洋人の2人連れが、店員さんに尋ねていました。
「アイスクリームは、何のフレーバーがあるんですか」
店員さんは、20歳前後のアルバイトと思われる若い女の子。
あろうことか、その問いかけを無視しました。
目をふせて、忙しそうなふりをして、目の前の2人が去るのを待つ構えです。
近年、日本のどこの観光地でも、観光業にたずさわる人たちは、易しい英語を駆使して、普通に外国人とコミュニケーションをとっています。
それを見慣れている私には、異様な光景でした。

外国人は、もう一度、同じ質問を繰り返しました。
店員さんは、固い表情で、またも、無視。
外国人のよく来る箱根で、その対応はまずいだろう。

だけど、その外国人も悪いです。
そんな流暢な英語を、そんなスピードでしゃべり続けなくてもいいのに。
言い方を変えるとか、工夫できるのに。
見ていると、同じ質問を、何度でも同じように繰り返しています。
通じないのは、一度でわかるはず。
知りたいことがあるなら、もう少し何か方法があるだろう。

その日も平日で、人影はまばらでした。
助けに入る人は、他にいそうにない。
ソフトクリーム売り場のカウンターにあったメニューは、バニラ・チョコレート・抹茶。
くそー、発音が難しい単語だなと、私は、げんなりしながら、カウンターに近づいていきました。

あのアジアの男性は、英語がペラペラかどうかはわからなかったけれど、コミュニケーションの方法を知っていました。
あの60代の女性の対応は、的確でした。
あの西洋人は、むろん、英語はペラペラだったけれど、コミュニケーション能力は、はるかに劣ると、私には感じられました。
無視した日本人の女の子は、かわいそうだけれど、やっぱり最悪です。

誰に、何を伝えたいのか。
誰から、何を聞きたいのか。
そのときに、英語をどう使うのか。

英語は、話せるにこしたことはない。
でも、相手を考えずに発する言葉は、伝わらない。

誰に何を伝えたいのか。
誰から、何を聞きたいのか。
しかも、英語で。







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    この記事へのコメント
    子供の小学校の担任の先生のことを思い出しました
    急に公立小学校も授業で英語、、、になっての にわか勉強。
    大変だったでしょう
    でもとにかく 外国人教師に必死でどんなことをしても
    伝えようとする わからなければ何度も聞きなおす
    親たちが見ててもおかまいなし。
    外国人先生のきれいな発音などより、
    その先生の姿こそが、「学んでるな~」と思いました.
    「言葉の違う人に自分の気持ちを伝えたり、聞きだす方法」を
    学んでくれてたらと思いました

    あの子たちも、
    いずれどこかの国の人と話すとき、
    あの先生の姿を思い出してくれるといいな
    Posted by まったさん at 2011年09月30日 18:47
    まったさん、ありがとうございます。
    すばらしい先生ですね。
    そういう姿を子どもたちに見せることができるのなら、小学校の英語の授業は、意味があるなあ。
    Posted by セギセギ at 2011年09月30日 21:20
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