たまりば

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2011年09月14日

学校の先生の言葉



もう何年も前、大手の個別指導塾に勤めていた頃の話。
夏期講習で、小6の女の子を担当することになりました。
私立の小学校に通っている子で、中学は内部進学が決定していました。
その子に、中1レベルの数学を教える仕事でした。

小6女子に、中1数学を教える?
なんで?

何だかよくわからないまま、塾の指定したテキストで、「正負の数」を教えました。
ブラスとマイナスの符号がつくだけで、計算自体は、ひとケタ、あるいはふたケタの整数の計算が主ですから、小6で勉強していることよりむしろ易しいくらいの単元で、本人は楽しんで勉強していました。
でも、なぜこの子が、小6で中1の数学を夏休みに勉強しなければならないのか、私には理由がわかりませんでした。
特に算数が得意な子ではない。
特に算数が好きな子でもない。
中1数学の予習は、2月か3月、小学校の卒業が近づいてからやればいいことです。
それより前にやっても、継続しなければ忘れてしまいますし。

夏期講習というのは、生徒も講師も普段より人数が多く、ゴタゴタしていますし、一方、教務は正社員ですので、交替で夏休みをとりますから、なかなか落ち着いて教務と話をすることができない期間です。
それでもようやく、彼女の担当教務と話をする機会があり、なぜ、小6の夏休みに中1の数学の予習をするのかを訊いてみました。
「それは、お母さんからの要望だよ。学校の先生が、夏前の個人面談で、夏休みは、中学入学の準備のための勉強をしましょう、と言ったんだって」

中学入学の準備のための勉強・・・?

受験をしない小6の子が、夏休みに行う、中学入学の準備のための勉強というのは、中1の正負の数の予習ではなく、もっと根本的に、中学に入って困らないように、分数の四則計算を自在にこなせるようにしておくこととか、方程式の文章題でよく使う、割合や速さの単元を復習しておくこととか、中学の図形分野の知識がすんなり頭に入るように、面積・体積の公式をしっかり身につけておくくこととか、そういうことではないのかなあ。
学校の先生は、そのつもりで言ったと思うけどなあ。

なので、それを私が説明しますと、教務は、そんなことはわかっていてしらばっくれたのか、それとも、そのとき初めて気がついて、あっ、と思ったからなのか、急に不機嫌になり、もう返事をしてくれなくなりました。

勉強は進んでいましたし、指導内容の変更の指示も出ないので、その先も、私は、その小6の女の子に、中1数学の正負の数を教え続けました。
保護者からの依頼内容がそういうものであった以上、仕方ないのかもしれません。
保護者が、学校の先生の言葉をそのように受け取り、そのように依頼してきたとき、それは違うんじゃないですかとは、塾として、なかなか言いにくいことですし。
だけど、やっぱり、何かおかしい。
本人も保護者も納得しているのだから、どこからも文句は出ないのだけれど。
仕事とは、そういう面もあるものだけれども。

これは、学校の先生の言い方が悪いとばかりも言えないことで、学校の先生だって、そんなに意味のあることばかりしゃべり続けることはできませんから、ときどき、ものすごく適当なアドバイスをして、言った本人も覚えていなかったりするのですが、保護者によっては、それを、大切に受け止めてしまいます。

学校にクレームがつくことが多くなった昨今では、学校の先生の言うことは、オブラートでくるまれ、ますます遠回しになっていますし。

また別の年の夏。
中3の受験生から、学校の夏休みの宿題を教えてほしい、という依頼がありました。
9月初めの、夏休み課題テストの範囲なので、とにかく宿題を徹底的に教えてほしいというのです。
しかし、中3受験生ですから、夏休み課題テストよりももっと重要なテストが秋にいくつも控えています。
2学期の中間テストと期末テストで何とか得点アップできるよう、2学期の予習をすることも重要ですし、9月から本格的に始まる校外模試の対策として、より実践的な演習も始めなければならない時期です。
学校の宿題だけの限られた勉強をしている場合ではありません。

これも、本人から話をきくと、三者面談での学校の担任の先生の言葉を誤解しているのではないか、と思われるふしがありました。
その子は、1学期の成績から考えれば、志望校が高すぎるのでした。
しかし、学校の担任の先生は、「そこは無理だから、受けるな」とはなかなか言えません。
1学期の内申で換算すると、5科の入試で平均90点以上取れれば合格するね、という言い方しかできません。
あるいは、内申を1学期より10上げた場合は、入試で平均80点以上取ると合格するね、という言い方。
その子の学力では、入試当日で平均90点を取ることも、内申を10上げることも、正直言って、あまり現実的ではありませんでした。
担任の先生は、要するに、言外に「無理だ」と言った。
データで、それを示した。
また聞きですが、私には、そう聞こえました。
けれど、本人と保護者は、そうは思わなかった。
「合格するには、どうしたらいいでしょう」と尋ねました。
担任の先生は、困ったと思います。
2学期は、学習内容も難しくなるから、定期テストで得点を上げるのは難しいですね。
そう答えたというのです。
これは、もう相当はっきりと無理だと言っている、と私には聞こえました。
ところが、それでも、本人と保護者の耳には届かなかった。
「では、どうしたら、いいのでしょう?」
担任の先生は、本当に困ったと思います。
とりあえず、夏休みの宿題を頑張って、課題テストで良い点を取ることを目標としてみましょう。
そう言ったそうです。

それを受けての、個別指導塾通い。
内容は、学校の宿題限定。
とにかく、これだけを徹底的にやってほしい。

学校の夏休みの宿題は、一応、受験勉強らしい内容でしたから、全く無駄ということはなかったのですが、他の受験生は、学校の宿題もやりますし、塾の勉強もします。
秋には、さらに学力差が開く可能性のほうが高いのでした。

誰が悪いのか。
何が悪いのか。
今も後悔が残ります。

カリスマ性を発揮し、それまでおつきあいのなかった生徒を1度で引き付け、誤解に気付かせ、私が信じる通りの指導ができるようにすれば、後悔はないのです。

私が悪かったんだ。
もっと頑張らないと。


写真は、奥多摩御嶽山に咲く、ツリフネソウ。



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