たまりば

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2017年09月13日

2次関数。放物線と直線の交点。

放物線と直線の交点に関する問題は、中3の「2乗に比例する関数」でまず学習します。
放物線の式と直線の式とを連立して解けば、交点の座標を求めることができます。
そんなに難しい内容ではないのですが、このことに対する理解は大きく3段階に分かれます。
どうしてそのようにして求められるのか、深く理解している子。
どうしてそのようにして求められるのかはあまり理解できないが、作業手順として覚えている子。
作業手順もなかなか覚えられない子。

作業手順として覚えているのなら正解は出せるのだからまだ良いのではないかという考え方もありますが、深い理解をしていない場合、この知識を座標平面上の図形などの応用問題に活かせないことが多いのです。
応用問題を解く際に、
「とにかく、今求められるものを求めてみよう。その値は絶対使うから」
などと声をかけても、何を求められるのかわからず、ぼんやりしてしまう子は、作業手順だけを覚えてきた子です。

「放物線と直線の式は問題に書いてあるでしょう?だから、交点の座標は求められるよね?」
「え?そうなんですか?」
「そうだよ」
「え?どうやって求めるんですか?」
「・・・・・」

基本問題の作業手順として覚えただけなので、他の場面では使えないのでしょう。
作業手順は、しばらく作業しないでいるとやり方を忘れてしまうのも欠点ですが、使い回しが効かないのが一番残念な点です。

放物線も直線も、それぞれ、同じ性質を持った点の集合です。
その性質とは、その点のx座標とy座標との関係が同じということです。
その関係を表しているのが放物線や直線の式です。
放物線y=2x2上の点は、どの点もそのx座標とy座標は、y=2x2という関係があります。
直線y=-x+3上の点は、どの点もそのx座標とy座標は、y=-x+3という関係があります。
だから、その放物線と直線との交点は、その2つの式の両方の関係を持っています。
2本の式を連立して解けば両方の性質を持っているxとyが出てきます。
交点の座標が求められるのは、そのためです。

こうした説明が深く入っていく様子がないのが、作業手順を覚えることに流れてしまう子の特徴です。
上の説明の何かがわからないということはない様子です。
しかし、上の説明の内容の重要性が理解できない。
深く入っていかない。
他のことと結びつかないのです。

ですから、
「次の放物線と直線の交点を求めなさい」
という基本問題ならば解けるのですが、応用問題の中でそのことを活かしていくことができないのです。
頭の回転は速いのに、何でそうなってしまうのかなあと不思議に感じる子は多いです。
小学生の頃から、「勉強することは作業手順を覚えること」という頭の働かせ方をしてきたのかなあと想像するのですが、確証はありません。


問題 放物線 y=kx2+2x+5 と直線 y=-2x+3 の共有点の個数を求めよ。

これは、高校数学Ⅰの2次関数の問題です。
共有点とは、交点ないし接点ということです。
上の放物線と直線の共通の性質を持っている点ということですから、2本の式を連立して解けばいいですね。
どちらもy=  の形ですから、代入法を用いて、
kx2+2x+5=-2x+3
とします。
これは2次方程式ですね。
左辺に集めましょう。
kx2+4x+2=0
これの解が、放物線と直線の共有点のx座標です。
ですから、解が2つあれば、共有点は2個あります。
解が1つならば、共有点は1個です。
解がないならば、共有点はありません。

解の個数が、共有点の個数。
だったら、判別式が使えますね。
上の2次方程式の判別式をDとすると、
D/4=4-k・2=4-2k
4-2k>0とすると、
 -2k>-4
   k<2
よって、
k<2のとき、共有点2個
k=2のとき、共有点1個
k>2のとき、共有点はない。

これが上の問題の解答となります。

この問題、説明を聞いている間は理解できたはずなのに、時間が経つと、ふっとわからなくなる人がいます。
「あれ?判別式って、放物線とx軸の共有点の個数を判別するものなのに、何で放物線と直線の共有点の個数も判別式でわかるんだろう?直線は斜めになっているのに・・・」

ここでもう一度確認したいのは、判別式というのは「放物線とx軸との共有点の個数を判別するもの」という定義は誤りだということです。
そのために使うことはできるけれど、そのためのものではありません。
判別式は、2次方程式の解の個数を判別するものです。
上の問題では、まず放物線の式と直線の式とを連立して2次方程式を作りました。
その解の個数は、放物線と直線との式との共有点の個数を表します。
だから、判別式を利用して共有点の個数を判別できるのです。

この説明も、深く理解できる子もいれば、もうわからないから作業手順だけ覚えますという子もいます。
作業手順だけ覚えていくには、この先の内容は複雑過ぎるので、何とか少しでも理解を深めてほしいところです。
まだ理解できるはずのところで諦めてしまうと、この先は大変なんですよ。
( ;∀;)

  


  • Posted by セギ at 13:22Comments(0)算数・数学