2016年02月15日
二等辺三角形の定理と、情報の読み方。
中2の単元に「三角形」というものがあります。
三角形の合同条件を学び、合同の証明に慣れた後で次に学ぶのが、二等辺三角形。
二等辺三角形の定義と定理を学びます。
二等辺三角形の定義は「2辺が等しい三角形を二等辺三角形という」です。
これは、「なぜ?」とか「何でそうなるの?」とか、そういう疑問を持つことに意味はありません。
そのように呼ぶと決めたのであって、そのことに理由はないからです。
別の名前でもいいわけですが、二等辺三角形というのは、わかりやすい良い名前ですよね。
一方、二等辺三角形の定理は、例えば「二等辺三角形の2つの底角は等しい」というもの。
これは、決めたことではありません。
2辺を等しくしたら、2角も自動的に等しくなります。
絶対に等しくなります。
これは証明できます。
このように証明できる事柄のうち重要なものを「定理」といいます。
中学生の場合、このあたりから数学好きかどうかはっきりしてきます。
小学校の頃は、二等辺三角形を折って重ねて、ほら正しいじゃないのと半強制的に納得させられたこと。
それを、こんなにきれいに証明できる。
そのことに目をキラキラさせる子は、数学好きな子。
一方、こうした授業に不満を持つ子もいます。
二等辺三角形の2つの底角が等しいことは、小学生でも知っていること。
「そんなの小学校で習ったじゃん。何でわざわざ証明してんの。バッカじゃないの」
と斜に構えてしまいます。
この学習の目的が理解できていないんです。
本人は大人ぶっているつもりで、逆に幼稚なんですよ。
話は飛びますが、たとえばインターネットの情報。
インターネットは、誰でも自由に発信できます。
個人が自由に発信できる情報というのは、当たり前ですが個々の情報の質に大きな差があります。
嘘も多く、主観的で間違っている情報も多いのです。
ところが、「テレビでは伝えられない本当のこと」という言葉に弱い人は、インターネットで発信されていれば本当だと思ってしまうことがあります。
裏で語られることは全部正しいと思ってしまうのでしょうか。
若い子ほどこの傾向は強いようです。
テレビや新聞で報道されていることというのは、当然フィルターにかけられた情報です。
世界的には「報道の自由度ランキング」が急降下している我が国。
テレビや新聞で語られていることが全てではないことを多くの人が知っています。
だからといって、ネットで語られていることが全て本当だと信じるの愚かなこと。
個々の情報の真偽を判断する能力が個人に問われています。
数学的態度・数学的思考というのは、数字に強くなるためだけのものではないでしょう。
ものごとの真偽を厳密に見分けるために必要な態度だと思います。
根拠のないことは信じない。
それがテレビで発信されたものであれ、インターネットで発信されたものであれ、まず情報の根拠を問う。
論理に整合性があるか常に考える。
感情や感覚で決めつけないで、よく考える。
そういう態度をもって見るなら、二等辺三角形の2つの底角が等しいことは、
「小学校で習ったから正しいこと」ではなく、
「証明できるから正しいこと」となります。
当たり前に思えることも、1つ1つ証明し、確認していく。
中学の幾何でまず学んでいることは、そういうことです。
現代において、こうした数学的態度は必須のものだと思います。
そして、この視点がないため、数学の授業で勉強していることが何なのかよくわからなくてぼんやりしてしまう子が多いようです。
当たり前のことを何かくどくどやっているなあと思っていたら、急に難しい証明問題になって、意味がわからない。
証明問題って、そもそも何のために何をやっているのか、よくわからない。
そう思ってしまう子は、大前提である学習の目的がよくわかっていないのかもしれません。