たまりば

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2015年08月28日

夏休みの宿題


さて夏休みも終わろうとしています。
宿題の進み具合はいかがでしょうか。
大量に残って、泣きながらやっている子が可哀想で、つい手伝ってしまう方もいらっしゃると思います。

でも、本当は、宿題は手伝わないほうがいいです。
出来ないのなら、出来ないまま学校に行って、叱られるほうがいいんです。
夏休みの最後に家族総出で宿題を片付けたことは、時間が経つと子どもにとって楽しかった思い出に変わります。
興奮して、ドーパミンが出てしまうんだそうです。
そして、ギリギリ間にあった「成功体験」として記憶されます。
楽しくて、しかも成功したことは、翌年もまたやってしまいます。

そういう子は、受験のときも、同じようにやってしまいます。
受験が近づいているのに、なかなかエンジンがかからず、
「僕は、直前で頑張るタイプだから」
と、謎の発言をする生徒が過去に何人かいました。
ギリギリで頑張った成功体験が記憶に残ってしまっているんですね。
当然、入試直前で志望校を低めに変更してどうにか合格するか、残念な結果に終わる場合が大半でした。

ただ、幸せな子ども時代の記憶の1つに、親が宿題を手伝ってくれたことも残るのなら、それもいいのかもしれません。
今後の学力的な伸びはあまり期待できなくても、幸せな記憶があることは、人生にとって大切なことかもしれない。
勉強ができることだけが幸せではない。
なんて、塾講師が言うことではないかもしれませんけれど。
(*^-^*)


ところで、宿題代行業という謎の業者も、最近は存在するそうです。
自由研究とか、工作とか、絵とか、作文とか。
そういうものに関しては、そういう業者が存在するのも何となく理解できます。
でも漢字ドリル・計算ドリルなども請け負うのだとか。
勉強が出来ない子向けというよりも、中学受験生の親がそういう業者に頼むことが多いそうです。
小学校のそんな宿題は受験勉強の邪魔だから、という考え方でしょう。

夏休みの宿題に限らず、毎日の中でも、学校の漢字ドリル・計算ドリルの宿題を受験勉強の邪魔扱いする小学生はいつの時代も一定数存在します。
ただ、少し意地悪な言い方をすれば、そういうことを言う子ほど、受験生としての実力はぱっとしない場合が多いです。
ぱっとしない劣等感から、小学校の勉強をバカにすることでバランスを保っているのかもしれません。

学校の漢字ドリル・計算ドリルは簡単すぎるから、勉強にならなので邪魔?
でも、簡単すぎるのなら、ちゃちゃっとやってしまえばいいのです。
1年間使う計算ドリルでも本気でやれば2時間程度で終わるのが、受験生の実力というもの。
夏休みの宿題の量なら、30分。
毎日の宿題なら、10分で終わります。
もたもたと時間がかかるのは、本人に集中力や計算力がない証拠。
だったら、その計算ドリルは本人の実力にあっている良い教材なので、一所懸命やったら良いと思います。
基本的な計算力がなくては、受験算数の成績も伸びません。
突き抜けた秀才は、小学校の易しい勉強も無心に淡々とこなします。

ただ、漢字ドリルに関しては、学校の先生の方針で、
「答えの漢字だけでなく、問題文全文をノートに3回ずつ書き写しなさい」
といった謎の苦行が与えられることもあり、こうなると少し話が違ってきます。
これ、英語でも、空所補充問題の空所だけでなく全文をノートに書くよう指示する先生もいます。
そうさせる意図はわかります。
しかし、こういう学習で効果があるのは、かなり頭の良い子に限られます。
やめてくれるとありがたい学習方針です。

頭の良い子は、こういう単なる書き写しの中からでも多くのことを学びとります。
何を見ても分析したり統合したりを無意識に繰り返すのが頭が良いということ。
ただ書き写すだけで、その漢字の用法やその英文の全体の構造を無意識に把握します。
多くのことを学びます。
書き写しは、本来、意義深いことです。

しかし、それは、そういうふうに頭が働くタイプの子に限られます。

現実には、頭の動かし方が受動的な子のほうが、圧倒的に多いのです。
単なる書き写しからは、何も学びません。
「門前の小僧、習わぬ経は聞き流す」。
ただ書き写すだけでは何1つ覚えない子は多いのです。

しかも、勉強といえばただ書き写すだけという、訳のわからない学習習慣が生まれてしまうことさえあります。
テストしてみると、3回書き写しても、何も覚えていません。
でも、そのことは正視しません。
書き写したから、勉強したんだー。
そんなことで満足している子になってしまうことがあります。

受動的な学習姿勢の子に単なる書き写しをさせるのなら、その子が学習者として自立できるまで、そのことから何を学ぶことができるのか、ずっと傍にいて教え続けなければなりません。
そこまでしないと何も学べない子が多いです。
でも、そこまで教えれば、それによって伸びる子もまた多いと思います。

  


  • Posted by セギ at 11:32Comments(0)講師日記