たまりば

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2013年07月15日

御殿場口から富士山に登ってきました。2013年7月



7月14日(日)、富士山に行ってきました。

三鷹駅13:40発中央特快で新宿へ。
新宿14:01発の小田急線で、新松田へ。
そこでいったん下りて、道路の向かい側に建つ、JR松田駅へ。
御殿場線は、スイカが使えませんでした。
静岡にも、何かそういうカードがあると思っていたけど、ないのかなあ。
松田駅から、御殿場線「沼津行き」に乗り、御殿場駅下車。16:15。
駅前の富士急バス1番線「御殿場口新5合目行き」に乗りました。16:40発。
これが、最終バスです。
行ったら、もう帰れない。
乗客は、私と、単独行の男性と、4人の男性パーティ。

今回歩くのは、御殿場コースです。
御殿場コースは、とにかく長い。
河口湖5合目の標高が2305mなのに対し、御殿場口新5合目の標高は、1440m。
「御殿場口新5合目」と呼んでいるけれど、旧2合目のことです。
山頂までの標高差、約2300m。
距離10.5km。
コースタイム8時間。
片道でこれです。
手強いぞー。
(^_^;)

バス停前のベンチで、おにぎりを食べ、支度をしました。
「弾丸登山はやめましょう」
の看板に目礼して、出発。17:30。

夜を徹して登り、山頂でご来光を仰ぐ、富士山名物弾丸登山。
富士山が世界文化遺産に登録されるのにあわせて、山梨・静岡両知事から、弾丸登山自粛の呼びかけがありました。
山歩きの習慣のない人が、いきなり富士山だけ、しかも弾丸登山をするのは、やめたほうがいいかもしれません。
弾丸登山の登頂成功率は60%。
高山病に倒れ、上まで行けない人が多いです。
吉田(河口湖)口で言うと、5合目から6合目までは、おおむね平坦で、歩きやすい道です。
たいていの人は、ここで張り切っちゃうんです。
ザッザカ足音高く歩いて行きます。
その勢いのまま、段差の多い7合目に突入。
ここでも、スピードを落とせない人が多いです。
そして、不規則な岩場のある8合目で呼吸が乱れ、高山病発症。
気分が悪い。吐き気がする。頭痛がひどい。立っていられない。
道でうずくまったり、倒れて寝ていたり、山小屋に担ぎこまれたり。
もう少し戦略的な登り方ができないものか。

さて、登山口の鳥居をくぐり、まずは徒歩10分とコースタイムに書かれてある大石茶屋へ。
おお、15分かかった。
ゆっくり歩くペースを、上手く作れました。

小屋の向こうは、広大な富士の裾野でした。
オンタデの白い花が咲いている他は、見渡す限りの砂礫の原野です。
登山道と平行に並ぶ大砂走りを、下山者が走り下りていますが、全然近づいてきません。
御殿場口のスケールの大きさ。
さっと雲が切れ、富士山が前方に見えました。
広大な裾野から富士山を見上げます。
別の山を遠く見上げているようです。

写真を撮っていると、後ろから何人かに追い抜かれました。
バスにはいなかった人たち。
マイカーの人たちでしょう。
この広大な山に、一晩自分1人であることは、さすがにちょっと怖かったのですが、登山者は案外いるようです。
良かった。

次郎坊。19:05。
標高2000m表示。19:20。
人工物の少ないコースで、何を目標に時間を区切っていいか、よくわかりません。
新5合5勺の表示は、私が見落としたのか、なかったですし。
「次郎坊」というのが、それなのかな。

夕暮れの残照がかなり続きましたが、ついにあたりは真っ暗になりました。
何もない広大な裾野にジグザグに切ってある登山道。
標識はよく整備されてありますが、ロープなどは必要最小限です。
ヘッドランプで照らしただけでは、うっかりすると登山道を踏み外しそうです。
というよりも、私のヘッドランプがちょっと古いな。
LEDライトが出始めた頃に購入したもので、当時は、その明るさとクリアな見え方に感動しましたが、最新型のヘッドランプは、空に向かって光が投射されるのが見えるほどのパワーがあるものがほとんど。
後ろから人が来ると、その明るさに、感心しました。
来年も御殿場コースを歩くのなら、ヘッドランプは買い換えよう。

左手に、遠く高く、オレンジ色の光。
目標となるものは、それくらいしかありません。
多分、7合目の小屋の光でしょう。
7合目が、まだあんなに高い。
でも、一晩かけてゆっくり歩くつもりなので、あせる気持ちはありません。
あまり早く山頂に着くと、寒くて、かえってつらいですし。
ゆっくり、ゆっくり。

風が強くなってきました。
なまぬるい風なので、寒くはないのですが、耳元でビュービュー鳴る風の音は、ストレスです。
ラジオのスイッチを入れました。
楽しい放送で、気をまぎらわそう。
と思ったら、政治討論会で、およそ楽しくない言い争い。
(^_^;)
6合目小屋(閉鎖中)。21:30。
建物が貴重な風避けになります。
見ると人影が並んで座っていました。
私も、空いているところに座り、行動食を食べ、雨具の上着を着ました。

3000m標識。23:25。
7合目、山小屋。23:50。
6時間ぶりの営業小屋ですが、扉は閉まり、内部は暗く、寝静まっていました。
河口湖コースの山小屋が、一晩中明るく、登山客に飲み物や食べ物を売り、「休憩できるよー」と客引きまでするのと比べると、なんという差だろう。
御殿場コースは、小屋に頼れない。

小屋のベンチから下を見ると、点々とヘッドランプが光っていました。
登山者たちの光。
光と光の間が遠い。
そして、不思議に等距離です。
みんな、ゆっくり歩いている。
ゆっくり歩くということは、1つの技術なのかもしれません。
それは、美しい眺めでした。

8合目。午前1:30。
雨が降り始めました。
冷たい雨です。
富士山で雨に降られるのは初めてです。
ご来光までに止むといいなあ。
斜面に切ってあるジクザグの道を繰り返し繰り返し登っていきました。
山頂まであとどれくらいとか、そんなことも考えなくなり、ただ繰り返し登っていくと、ふいに鳥居が見えてきました。
ポンと、山頂に出て、富士山頂郵便局。3:30。
ああ、ここが御殿場口山頂。

閉まっている郵便局の軒先で立ち尽くす人が何人もいます。
ここにこうしていては、身体が冷えてきてつらいなあ。
動いていれば、寒くはないです。
剣ヶ峰に行くことにしました。
ちょっとした岩がちな道を行くと、すぐに、富士宮口山頂。
浅間神社の奥宮があるところです。
ここも、立ち尽くす人たちの列。
「寒いから、剣ヶ峰まで行かないか?」
「え?危なくね?」
そんな会話も聞こえてきました。
暗いので、土地勘がないと、怖いですよね。

馬の背を登って、剣ヶ峰へ。4:00。
そこにも、観測所の前で、立ち尽くす人たちの列。
あと30分で日の出です。
それくらいは寒さを我慢できるでしょう。
雨はやんできました。
空は、西の方向に、地平線と雲との隙間があり、そこだけ朝焼けに染まっていました。
しかし、東の空の雲は厚い。
ご来光確率100%の私ですが、今回、初めてご来光の見えない富士山でした。
やがて空が明るくなり、東の空の上のほうがうっすらピンク色に染まりました。

馬の背を下り、御殿場口山頂に戻りました。
お鉢めぐりをするには、天気が悪い。
河口湖口山頂の混雑に巻き込まれるのも面倒くさいです。
河口湖口山頂は、人の流れが悪いんです。
山小屋が並び、登山道が一部狭くなっているのも原因ですが、一番の原因は、ツアー登山でしょう。
狭いところで整列し、点呼を取って下山しないといけないですから。
ツアーは、1組や2組ではありません。
1つのツアー会社が、バス12台を連ねてやってきていたりしますから、山頂は恐ろしいことになっています。
そんなわけで、御殿場口山頂から、下山開始。5:15。

御殿場コースは、下山にも楽しみがあります。
大砂走り。
標高差1000mを一気に駆け下る砂の道です。
雨上がりで、砂は濡れているから、そんなに大変ではなさそうでしたが、砂まみれにしたくない雨具を脱いで片づけ、靴に砂が入らないようゲーターで保護し、マスク、バンダナ、サングラスで顔を保護。
そして、走り出しました。7:00。
いえ、走りたいわけではないんですが、スピードがついて、走ってしまうんです。
かかとを立てて、蹴り込んでも、どんどん滑って、一歩が2mにも3mにもなります。
うひょー。面白いー。
(*^_^*)

しかし、この大砂走り、そのまま、下山口まで続いていました。
面白いのは最初だけで、さすがに飽きるというか、疲れてもううんざりする頃、傾斜がゆるくなり、大砂走りというよりも、ただの小石の多い砂利道になりました。8:00。
遠くでドーンという音が聞こえてきます。
自衛隊の演習かなあ。

登山口。8:40。
バス停で時刻表を見ると、8:55のバスがあり、ゲーターなどを脱いでいる間に、すぐにバスがきました。
しかし、松田駅では、御殿場線を1時間待ち。
朝食を食べていなかったので、ペッタンコに潰れたパンなど食べて時間を過ごしました。
よく風が通る涼しいホームです。
こんな時間もいいなあと思いました。
新松田からは小田急。
鶴巻温泉で下車し、汗を流しました。

  


  • Posted by セギ at 20:22Comments(0)