たまりば

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2013年01月03日

赤岳に登ってきました。2013年1月。


皆様、明けましておめでとうございます。
昨年中は、大変お世話になりました。
本年もよろしくお願いいたします。

セギ英数教室も、お正月休み。
なので、元旦から、八ヶ岳に行ってきました。
今回は、南八ヶ岳です。

クリスマスのときと同じ、あずさ3号に立川から乗車。
関東は日本晴れの元旦でしたが、車窓から見る八ヶ岳だけが雲に覆われていました。
あーあ。
高い山は、その山だけ雲がはりついて離れないことがあるので、厄介です。
茅野駅9:51下車。
バス停が1階にある茅野駅西口のビルも、元日は閉まっていて、トイレも閉まっていることにがく然。
窓口でバスの乗車券を買うときに、トイレの位置を教えてもらいました。
バス停から、もう1度駅側に道路を渡って、駅の下の交番の後ろに公衆トイレがありました。
美濃戸口行きバスは、10:25発。
乗ったのは、私も含め5人ほど。
大晦日と元旦を山で過ごしたい人は多いので、年末は、席が埋まるくらいには乗車するんだと思いますが、元旦は、バスもすいていました。
終点、美濃戸口下車。
支度をし、登山届をポストに入れて、まずは林道を美濃戸まで歩きだしました。11:10。
美濃戸に駐車場がありますので、そこまで、車で上がる人も多いです。
そのため、林道は、雪がタイヤでこすられ、凍ってつるつる。
南八ヶ岳へ行くときの、最初の難関がこれです。(^_^;)
アイゼンをつけたら楽勝なんですが、こんな麓でアイゼンなんかつけたくない。
つけたら、ろくに歩けない初心者と思われる。
そんなわけで、痩せ我慢して、アイゼンをつけません。
小屋まで、アイゼンなんかつけない。
北八ヶ岳と違い、南八ヶ岳は、雪山経験のある人が多いので、この痩せ我慢、かなり浸透しています。
いえ、痩せ我慢ではなく、実際、そんなもの必要としない人が多いんでしょう。
私は、痩せ我慢派です。(^_^;)
これからのことを考えたら、バランスよく歩く練習になりますし。

下りてくる人が続々と現れます。
大晦日から元旦の山は、やはり大賑わいだった様子です。

美濃戸山荘。12:20。
年末年始は、外にまきストーブがたかれ、外テーブルに、熱いお茶の入ったポットも置いてあります。
ここで5分ほど、暖をとりながら、ちょっとベンチを借りて、昼食。
今朝買ったコンビニおにぎり、この上まで持っていくと凍る可能性があるので、ここで食べました。
さて、ここから、赤岳鉱泉をめざし、分岐を北沢へと進みました。
まだしばらくは広い林道。
やがて、山道に入っていきます。
冬期に北沢を登るのは、4回目。
来る度に様子が違います。
雪が多かったり、少なかったり。
雪が多いと、橋は、トレースが深ければ安心感が増すのですが、階段は、雪が埋まってスロープになり、それが凍結していると、かなり歩きにくくなります。
今回は、雪が少なめで、新雪で、歩きやすかったです。
切れ切れに青空ものぞいてきました。

やがて、アイスキャンディーが見えてきて、赤岳鉱泉到着。午後2:40。
アイスキャンディーは、アイスクライミング用に人工的に造られた氷の壁です。
青い氷は、ガリガリ君ソーダ味を思い出させます。

バスに乗ってきた乗客が少なかったので、小屋はすいているかと思ったら、案外人が多く、午後3時前なのに、くつろいでいる人がたくさんいました。
昨夜からの連泊の人たちなのでしょう。
元日の赤岳は、登る人が多いので、かなり渋滞するのだと思います。
その日のうちに下山するのは無理かもしれないので、連泊を予定しておいたほうが、安心ですね。
部屋に案内されて、隣りの布団の人と挨拶して、お話。
今年から雪山を始めた人でした。
知り合いの山岳会の人に連れてきてもらったそうです。
元旦の赤岳。
ガスで景色は何も見えなかったけれど、登れたとのこと。
うらやましい。

八ヶ岳最高峰の赤岳。
山頂部が岩稜なので、若干ハードルが高いものの、一般ルートならば、初心者でも、ベテランに補助してもらえば、登れる山です。
ところが、私は、1度も冬期の赤岳に登頂したことがありません。
一般ルートをたくさん歩く前に、アルパインのほうに移行したので、赤岳は、主稜を登ることが最初の目標となりました。
赤岳主稜は、アルパイン・クライミングの入門ルートです。
ところが、私の知り合いのガイドさんは、年末年始はツアーを率いる大きな仕事が入っていました。
それ以外の連休となると、私は、2月の連休しかありません。
2月の八ヶ岳。
2回挑戦しましたが、2回とも、主稜取り付き付近は、なだれの巣。
では、一般ルートから登頂しようとしても、凄い風。
結局、2回とも敗退しました。
2月の赤岳鉱泉なんて、山岳ガイドが客を連れてきているか、エキスパートのクライマーしかいませんし、夕食も、焼き魚ばっかりで、楽しくありませんでした。
(^_^;)

でも、今回は、お正月。
赤岳鉱泉の夕食メニューは、ステーキと豚汁。
肉厚の霜降り肉。標準的な1枚分のサイズ。
それが切ってあって、自分で、1切れずつ焼いて食べます。
旅館みたいです。
カボチャ・玉ねぎ・シイタケなどの付け合せもあるし、サラダや果物もついているし、豚汁とご飯はおかわり自由。
ビバ、お正月の赤岳鉱泉。

夕食後、歯磨き粉抜きの歯磨きをするために外に出ると、雲が取れて、空は満天の星でした。
足元がよろけるくらい空を見上げながらの、歯磨きタイムでした。

布団も、羽毛布団の様子。毛布ももこもこ。
ストーブが消えても暑いくらいの状態で、ほかほかの就寝。

さて、翌朝。
空はどんより曇り空。
日本海側を低気圧が通過中。
あーあ。
1人で来ても、お正月に来ても、赤岳には登れないのか。
そんなわけで、小屋でもたもた支度をしました。

でも、このまま下山する時間でもないので、行者小屋まで行ってみることにしました。
行者小屋到着。8:35。
前を歩いていた2人組に話しかけると、阿弥陀岳に登るとのことでした。
そうか。
そうだなあ。
曇りだけれど、空はそんなに暗くないしなあ。
赤岳も阿弥陀岳も、ガスで全然見えないけど。
行者小屋前のベンチには、支度をしている人が他にもいて、これは、行くべきだなと覚悟して、支度。
行けるところまで、行ってみることにしました。
さすがに、地蔵尾根から登るのは、稜線歩きが長くて、突風が吹くと怖いので、文三郎尾根から赤岳南峰にさくっと登って、往路を下山、できたらいいなー。

徐々に登りがきつくなります。
風も吹いてきました。
途中まで後ろからきていた男性が、帰っていくのが見えました。
前を行く2人連れが、敗退の相談を始めました。

登れるか登れないかは、個人の力で判断します。
一般的に登れるかどうかではなく、自分が登れるかどうかです。
判断基準は、風の強さと視界。
赤岳主稜を敗退したときの風は、もっと、とんでもなかった。
今のところ、風は、敗退の理由にはなりません。
曇っているけれど、視界は、50mくらいはある。
鎖に導かれていく文三郎尾根なら、迷う心配はない。
私は、まだ進むことに決めました。

以前、2月に登ったときは、急坂が、坂の限界を超えて、雪壁になっている箇所がありました。
あのときは、ガイドさんに、
「ピッケルのピックを雪壁に刺して、アイゼンの前爪で登ってください」
とこともなげに言われ、びっくりしました。
「ロープで確保してくれないんですか?」
と問い返すと、
「こんなところで、ロープは必要ないでしょう」
と、これも、こともなげに言われ、さらに驚愕。
アイスクライミングを一応経験しておいて良かった、全く冗談じゃないよ、と思いながら、必死に雪壁を登り終え、
「し、死ぬかと思った」
とつぶやくと、
「こんなところで落ちる客なら、もともと連れてきませんよ」
と、さらにこともなげに言われました。
そ、そうですか?
えへへへへー。
山岳ガイドの飴と鞭は凄い。
仕事の参考にしよう、と三度驚愕した雪壁体験でした。

あ。
アルパインクライミングではなく、赤岳一般ルート登頂を目指している客を連れていく山岳ガイドさんは、行者小屋からロープで確保してくれると思います。

文三郎尾根は、鎖が手すりのように張られた鉄階段がずっと続いている道です。
鉄階段はほぼ隠れてスロープとなり、鎖が道路の縁石のように見えるので、風が強くトレースがすぐ消えてしまう山の上部でも、わかりやすく歩きやすい道です。
前を行く人が、2人見えていました。
どちらも、単独行の様子。
初心者を連れている人は、もう戻る状況かもしれません。

私は、大丈夫かな。
怖いと感じていないから、まだ、大丈夫だな。
とりあえず、山頂への分岐の道標のところまで、行くことにしました。

稜線上にある、赤岳山頂と阿弥陀岳への分岐の道標。
風の強さがまた増したのを感じましたが、身体を持っていかれるような強さではありません。
これは、まだ行ける。
前を行く人も、あきらめる様子がないので、ここで、私だけ敗退したらバカみたいです。
行くことにしました。
稜線上のなだらかな道が少しあった後、岩稜帯に入ります。
ところどころに張られてある鎖も適宜使って、アイゼンの爪をよく効かせて。
ピッケルでうまくバランスを補助して。
基本を思い出しながら、一歩一歩岩場を進んでいきました。

ついに山頂。10:30。
記念に1枚、と携帯を出しました。
何とか1枚撮影したのが、上の画像です。
もう1枚、と思ったら、携帯のバッテリーが切れました。
バッテリーは、寒さに弱くていけない。
赤岳南峰に登ったことのある方は、おそらくわかってくださる、山頂標識とお社です。
(^_^;)

さて下山。
山は、登るより、下るほうが難しい。
急傾斜の新雪なので、一歩一歩が確実に止まる感じがありません。
慎重に慎重に。
視界不良なので、高度感がないのが、むしろ楽でした。

樹林帯に戻り、傾斜も緩んで、ひと安心。
行者小屋着。12:00。
下りが苦手なので、時間がかかりました。
美濃戸口のバスは、14:45発。
次は、16:30発なので、出来れば、早いバスに乗りたいです。
なので、アイゼンを外さず、そのまま、早歩きで、下山開始。
本来、アイゼンは行者小屋で外し、下山もスタイリッシュに決めたいところですが、そんなことを言っている時間はありません。
というのは言い訳で、本当は、つるつるの林道をアイゼンなしで下るのが、本当に嫌なのでした。
(^_^;)

美濃戸口到着。14:30。
無事、バスに乗って、八ヶ岳をあとにしました。
  


  • Posted by セギ at 15:17Comments(2)