たまりば

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2012年11月19日

倉岳山を歩きました


2012年11月18日(日)、中央線沿線の倉岳山を歩いてきました。
10月14日以来の、久しぶりの山です。
山に行くのが久しぶりなだけでなく、休日が、それ以降1日もありませんでした。
よく働いたひと月でした。
高尾から中央線に乗り換えて、鳥沢駅下車。9:30。
中央線沿いに戻るようにしばらく歩き、踏切を越え、その先も、登山口まで、車道歩きが続きます。
ときどき道標があるのですが、若干わかりにくいです。
道標がないときは、直進。
結局は、この原則を忘れないことなんですが、不安になる箇所がありました。
小篠の集落に入ると、道標は豊富。
でも、最後の道標通りに行ったら、柵に突き当りました。10:00。
「あれ?」と思いましたが、登山者用の入口が柵についていました。
自分で開けて、また閉めるタイプのものでした。
閉め終わって、しばらく行くと、「熊出没注意」の看板が見えてきました。

熊よけの柵なのかな。(^_^;)
そこから、登山道でした。

小篠は貯水池もあるところで、水が多く、最初、山道は濡れていました。
前夜、土曜日の夜は、ずいぶん雨が降りましたから。
前に来たのは2年前。
あまり記憶は確かではないが、小さな沢を越えたような気がするけど、大丈夫かなと思い出しながら歩いていくと、ありました、小さな沢。
飛び石が水没しているようなことはなく、大丈夫でした。

沢を越えるのは、飛び石が沢の中で2か所までなら、ストレスはありません。
1歩目は、まだ岸に片足があるまま、用心して足を置き、そこから、2歩目と向こう岸をよく確認。
2歩目は、ぽんと足を置くだけで、すぐに向こう岸へジャンプ。

これが、沢の中の飛び石が3つ以上になると、その数の2乗に比例してストレス増大というのが私の実感です。
(^_^;)

苔むした岩をはみ流れ落ちていく沢を眺めながら、木立の中、落ち葉を踏みしめて歩く。
秋の山道です。
ひと月来ない間に、山はすっかり秋が深まり、もう紅葉も終わっているのかなあと思いながら石仏の分岐に到着。10:25。
ここからは、道を右にとり、高畑山へ向かいました。
少しずつ、道は急になり、そして、山の色は一変しました。
登山道に落ちている葉も、木に残っている葉も、黄色。
玉子焼きみたいな黄色です。
わあ、山全体が黄色いなあ。
快晴の下、輝くような黄色い山道を登っていきました。

仙人小屋跡。10:25。
ここは、昔、「仙人」と呼ばれた人が住んでいたところだそうです。
一番近い集落からも30分の山の中。
ここに小屋を建て、1人で住んでいたらしいです。
昔と言っても、江戸時代などではなく、昭和の頃の話。

「仙人」は書道家で、和紙を持っていくと、育てているイチゴを分けてくれたとか。
でも、悪ガキたちがこっそりイチゴを盗み食いに行くと、すごく怒ったとか。
テレビのワイドショーに出演したこともあったとか。
現金収入があると、麓の町で外食したとか。(*^_^*)
伝え聞く、少し俗な情報が、むしろ、里の人に許され愛されていた「仙人」の横顔をしのばせます。

少し脇に、半分土に埋まって残っている鍋や茶碗は、その仙人のものなのでしょうか。
建物の跡は、もうほとんど何も残っていません。
土留めのように置いてある丸太は、もしかしたら、建物の跡なのかもしれません。

そこから急な上りをひと頑張りで、高畑山山頂。11:35。
富士山がどーんと見えました。
左側に激しく雲が巻き上がっている、冬の富士山でした。
日当たりがよく小広い山頂なので、ここで昼食をとっている人が多かったです。
倉岳山のほうが山頂は広いけれど、木立が多いせいか何となく暗いので、高畑山のほうが雰囲気は良いと思いました。
でも、まだお腹がすかないので、今日は、倉岳山で昼食にしよう。
そう思って歩きだしたら、20人ほどの団体さんが到着。
うん。歩きだしていて良かった。

山を1人で歩いていると、団体客が近くに来るのは、やっぱり少し面倒くさいなと感じることがあります。
もう10年くらい前になりますが、箱根の山を歩いていて、70人の団体と遭遇したときは、追い抜くのが本当に大変でした。
でも、山を最初に学び始めた頃、山歩きツアーによく参加し、お世話になったので、団体客に対して、根本の反感や軽蔑はありません。
山の基礎を学びたいと思ったら、山歩きツアーは有効です。
歩くペース。休憩の取り方。水分の取り方。良い行動食。装備。
そういうものを基本から学べます。


でも、先日、また山歩きツアーで遭難事故が起きてしまいました。
第一報を目にしたときは、私も「またか」と思いました。
だから、実状をあまりよく知らないんじゃないかなあと思われる人たちが、無責任な情報をネットで発信するのも、わからないわけじゃありません。
でも、やっぱり違う。

「あの会社は、ツアー料金が安いから人が集まる」
それは、違います。
むしろ、他の登山ツアー会社より料金は高いことが多いです。
日帰りで2000円程度。
泊まりがけのツアーになれば、1日あたりで3000円から5000円程度高い。
でも、高くても、あの会社を選ぶんです。
なぜなら、本当に面倒見が良いから。
力の弱い登山者も、登らせてくれるから。

「お年寄りは、ネットが使えないから、トムラウシの事故のことも知らず、あの会社を選ぶ」
それも、違うと思います。
情報源は、ネットだけではありません。
あの会社のツアーに参加する人で、トムラウシの事故のことを知らない人は、いないでしょう。
それでも、あの会社を選ぶんです。
添乗員もガイドも、痛々しいくらいに安全面に気を配っているのを見ていますから。

でも、また事故が起きてしまった。

どうしてだろう?

簡単に決めつけたくはない。
本当の理由が知りたいです。
これからあの会社がどうなるのかわからないけれど、もしもまたツアーが催行されるのなら、参加してみようと思います。
自分の目で見てきます。


高畑山から倉岳山へは晴れやかな尾根歩きでした。
急な下りに落ち葉が積もり、かなり歩きにくい。
落ち葉は脂がありますので、案外滑りやすいんです。
土が隠れて地面の凹凸が見えないのも、難度が上がる原因。
岩も露出しているところなので、転びたくありませんから、慎重に慎重に歩を進めました。
時おりカエデの木。
紅葉が始まったばかりの鮮やかな明るい朱色でした。
立ち止まり、飽きず眺めました。

倉岳山到着。12:45。
富士山は、ここでも良く見えました。
木立が多いので、見晴らしとしては、高畑山のほうがやはり良いです。
座って、1枚着て、昼食。
今日はおにぎりと、ポットに詰めてきた熱いお茶の昼食。
木枯らし1号が関東に吹き、山もなかなかの冷え込みでした。

さて、身体が冷えないうちに、再び出発。午後1:00。
ところどころの急な箇所を慎重に下り、立野峠。1:30。
ここから、梁川駅に向かって、月屋根沢沿いの登山道を下っていきました。
耳元で低くかけているラジオは、『爆笑問題の日曜サンデー』。
今日は、田中さんが入院中でお休み。
「多くは幼児がかかる病気」という説明に失笑する太田さん。
でも、リスナーの多くは、そういう太田さんが一番しょげているのがわかっているのでしょう。
ツイッターを後で見たら、
太田さんを励ますツイートがたくさん。
「幼児の病気にかかるなんて、本当に免疫力・体力が落ちていたんだなあ」
と心配するツイートもありました。
こういうツイートには、情報を読む力の高さを感じます。
こういうのもあるから、ネットは捨て難いです。

水場まで下りてくると、ラジオは雑音が多くなり、聴き取りづらくなってきました。
ラジオをやめて、英語のリスニング教材を聴きながら、沢を下りていきました。
山では、ラジオの他に、英語もよく聴きます。
人間は、歩いているとき、運動しているときが、一番頭が働くそうです。
山歩きをしながら勉強もできる。
一石二鳥。
でも、両耳にイヤホンをするのは危険なので、外の音も聞こえる状態にしています。
人がいないときは、スピーカーで。
他人に迷惑がかかりそうなときは、片耳イヤホンで。

沢は、ほとんど橋はかかっていませんでした。
飛び石2個以内の沢の徒渉が4か所。
楽なところばかりで良かったです。
林道に出たのは、2:40。
梁川駅到着。2:55。
立川行きの電車がすぐ来ました。
山歩き帰りの登山客が大半の電車。
四方津でも、藤野でも、相模湖でも、次々に登山客が乗り込んできます。
快晴の山歩きに、皆、満足げな表情。
良い1日でした。
  


  • Posted by セギ at 15:20Comments(0)