たまりば

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2011年12月17日

計算の工夫


筆算が嫌いで、できないのに暗算しようとする子どもたちの話は以前も書きましたが、計算に慣れていない子が、もう1つ苦手としているのが、計算の工夫です。

例えば、こんな計算。

25×36×4

かけ算は、どこからかけても答は同じですから、これは、25×4=100を先に計算すれば、筆算の必要がありません。

100×36=3600 となります。

子どもは、筆算が嫌い。
ならばこういう工夫を喜ぶのかというと、ここで2つに分かれます。
すっと理解し、受け入れて、自分でも工夫して計算するようになる子と、全く受け入れない子と。

全く受け入れない子は、そんな難しい工夫をするくらいなら、25×36の筆算をやったほうがまし、と思うらしいのです。
こんなに楽でしょう?とやってみせても、それでも喜ばないのですから、何か納得できないことがあるのでしょう。
しかも、何が納得できないのか、言葉で説明することもできないのが子どもです。
どこからかけても答は同じ、というルールを信じていないのかもしれません。
言われればそうなのかもしれないけれど、何か信用できないから、使う気になれない、ということなのでしょうか。
頭の中が合理的になっていない、ということかな。

25×36の計算だって、実は筆算の必要はなく、これは、25×4×9と分解できますから、答は900です。
楽でいいですよね。

36×18のような計算も、工夫できます。
これは、72×9と同じなので、答は、648。
片方を2倍したら、片方を2分の1にしたらいい。
×1ケタだと、暗算で解けるので、楽です。

700×0.28のような計算は、28×7として計算したほうが、ケタについてのわずらわしさがありません。
片方を100倍したら、片方は100分の1にしたらいい。

52×48のような計算になると、中3になって乗法公式を勉強すれば、楽勝です。
 52×48
=(50+2)(50-2)
=2500-4
=2496

しかし、ここまでいくと、思いつくのに時間がかかります。
こんなのは普通に筆算してもいいんじゃないの、と私も思います。
でも、ある程度は、計算の工夫をしたほうがいい。
計算の工夫は、楽に計算するためであり、楽であるということはミスが減り、正確に計算できるということですから。


私立中学を受験する子には、分配法則の逆だけは、どうしても理解してほしいです。
小学生は、円周率を3.14で計算しますから、複雑な図形の面積や体積を求める問題の場合、×3.14の計算がたくさん出てきます。

5×5×3.14-2×2×3.14+9×9×3.14

こんな計算を、順番に1つ1つやる子、小学生に多いです。
もともと計算力不足。
×3.14の計算を3回やってから、さらに小数のたし算・ひき算なんていったら、ほぼ100%、途中で間違えてしまう。
でも、そういう子ほど、教えても、工夫が身につきません。

=(5×5-2×2+9×9)×3.14
=(25-4+81)×3.14

大人にとっては簡単な分配法則の逆。
中学の数学を既に勉強している大人にとっては、かけ算の塊は、1つの塊(すなわち項)、その前についているのは、ブラス・マイナスの符号、という意識がありますので、( )でくくったり、順番を変えたり、ということに違和感がありません。
上の式なら、3.14の同類項をまとめる意識で、簡単にくくれます。

中学受験をしないのなら、まだいいのです。
中学生になれば、上のように、計算に対する意識を根底からくつがえしていく中学数学を順番に学びます。
円周率は、パイになりますし。

しかし、私立中学を受ける子は、この計算の工夫ができないことは、ネックの1つ。

ご家庭で、お子さんの受験算数を見る場合、問題の難しさに目がいってしまい、お子さんに教えるのではなく、お父様・お母様が夢中で式を立ててしまうことがあるのですが、それよりも、お子さんが計算している様子をご覧になってください。

簡単な計算の工夫をしているでしょうか。
筆算するにしても、きちんと筆算しているでしょうか。
見ているほうがヒヤヒヤするような、これは間違うだろう、という筆算をしていませんか。
無駄な暗算に何分もかけたあげくに間違った答を書いたりしていないでしょうか。

算数の成績が伸びない理由は、問題を解く様子を見ていれば、ある程度わかります。


先日のこと。

指数関数の勉強をしている高校生が、243を、一瞬で、3の5乗と書き換えたので、
「うおっ、凄いね」と感心しましたら、
「いや、勘なんですけど、こんなんでいいんでしょうか」
「勘・・・・?」
しかし、様子を見ていると、125は5の3乗、64は2の6乗、とまさに秒殺。
本人が「勘」と呼ぶものの中に、累乗の機能が確かにあるようなのです。
さすがに、高校生の頭はキレがいい。
人の頭は、このように機能する。

頑張れ小学生。


写真は、奥多摩川苔山。まき道の登山道。
  


  • Posted by セギ at 12:55Comments(0)算数・数学