たまりば

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2011年08月27日

登山の価値



今日で夏期講習が終了しました。
セギ英数教室、角木です。
充実の夏でした。
生徒のテストの得点は、これで絶対伸びた、2学期が楽しみだ、と私は内心喜んでおりますが、結果が出るのはこれからなので、本当に喜ぶのは、しばらく待ちます。
(*⌒-⌒)


さて、本日も山の話。
何回テレビで見ても名前が覚えられないのですが、まだ20代の若い男の子が、六大陸最高峰にインターネット生中継をしながら登るということをもう何年もやっています。
エベレストは2回失敗し、今度は3回目の挑戦とか。

今朝、その話題をテレビで見ていて、コーヒーを吹きそうになりました。
キャスターが、「無酸素単独でエベレストに登る日本人は、彼が初めて」と言ったから。

えー?
ポイントは、そこじゃないよー。
(^_^;)

そんなせせこましい記録、バカげているので、もう誰も挑戦しないんです。
世界で初めて無酸素単独なら、価値がある。
でも、今、無酸素単独でエベレストに登れる日本人なんて、少なく見積もっても現役で500人はいるでしょう。
そんな記録、今さら、くだらないから、誰もやらないんです。

世界一高い山は、世界で最初に登った人が凄いんです。
2番じゃダメなんです。
(*^_^*)
まして、「日本人で初めて」なんて、本当にどうでもいいこと。
今、エベレストは、シェルパがきちんとルートを整備してくれている山。
600万円から1000万円のお金を出すことができて、3か月仕事を休むことができれば、ガイドさんが連れていってくれる山なんです。
一般の日本人登山者が毎年登っています。
本気の登山家が目指す山ではありません。

日本には、今、凄い実力を持ち、しかもようやく30代に入ったばかりの登山家のグループがいます。
彼らは、一人一人、独立した個人ですが、仲が良く、登りたい壁があれば、誘いあってザイルを組み、行動します。
「GIRI-GIRIボーイズ」と名乗るそのセンスからして、おっそろしく若い。
彼らの行動記録を読むと、もしかしたらこの子たちは、少しバカなんじゃないの?と不安になるくらい若い。
でも、何が書いてあっても、すがすがしいんですね。
成功したときの素直な喜びように、読んでいるほうも、良かったねー、と思える。
敗退したときは、素直に謝り、反省し、強くなって出直してきます、と決意表明します。
人として、かわいらしく、魅力的。
彼らは、卓越したセンスで登る壁を選びます。
見ただけで衝撃を受けるような素晴らしい壁を、美しいラインを描いて登ること。
もちろん、世界で初めて。
彼らが願っていることは、それだけです。

その年の世界でもっとも優れた登山に与えられる賞を、順番に受賞している彼ら。
登山界全体が、彼らの成長を喜んでいるのを感じます。
久しぶりに現れた、日本登山界の若きヒーローたちです。

彼らは、たぶん、遠征費用の足しになるのならテレビ出演もすると思うのですが、しかし、テレビ界が、彼らを必要としていないようです。
たぶん、わかりにくいからでしょう。
彼らの登山を追っていくことは、常人にできることではないから、映像も存在しない。
彼らが自分で写す写真しかありません。
テレビ界が必要としているのは、やはり、エベレストのインターネット生中継ですね。
わかりやすいですから。

エベレストのインターネット生中継をしようとしている20代の男の子。
登山界は、彼の存在を黙殺しています。
売名行為を嫌ってとか、有名になっている彼に嫉妬して、というのではなく、本当に、無関心なんです。
彼のやっていることが、登山としては、価値がないから。
私も、関心がもてないので、いつまで経っても、名前を憶えられません。

だけど、エベレストをインターネットで生中継することは、悪いことではないと思います。
「登山家」という呼称も、彼が自分で名乗っていることではないでしょうし、「無酸素単独」なんてことも、彼自身が強調していることではないでしょう。
彼自身、自分が登山界から相手にされていないことをわかっているはずです。
それでも、インターネット中継をしたい。
そういうものを見たい人は、きっといると思うから。
それ自体は、悪いことではない、と思います。
映像を見ることと、現場に行くことは、全く違うことですが、映像も見ないよりは、映像だけでも見たほうが、何かわかることがあると思うから。

できるなら、「無酸素単独」なんてことを、テレビは無駄に強調しないでほしい。
さすがに、登山を知る人が黙っていられなくなり、苦言を呈することになったら、彼がかわいそうです。
やっていることの目的が全く違うことを混同しているのは、マスコミだけなのだから。


写真は、大キレット「飛騨泣き」。
かつては、大キレット最難関の核心部でしたが、今は、整備され、「長谷川ピーク」のほうが怖いです。
登山界で最も高いレベルの話は、それとして、趣味として山歩きを楽しむ私は、大キレットを越えるか越えないかで、自分の限界に挑戦しております。

誰の心にも、アイガー北壁はある。

(*^_^*)



  


  • Posted by セギ at 00:24Comments(6)