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お知らせ

2017年11月22日

三角比と正弦定理。


「三角比」の学習も佳境。
今回は、「正弦定理」を学習しましょう。

⊿ABCにおいて、
a/sinA=b/sinB=c/sinC=2R
(ただし、Rは三角形の外接円の半径)
∠Aの対辺がa、∠Bの対辺がb、∠Cの対辺がcです。

これが正弦定理です。
高校数学の定理としては比較的簡単に証明できるものです。
図が必要なので、ここでは説明しませんが、検索すればすぐに証明は出てくると思います。
鋭角三角形、直角三角形、鈍角三角形に場合分けして証明しなければならないのが多少わずらしいでしょうか。
証明の根拠は、中学三年生で学んだ「円周角の定理」です。

証明を理解し、納得したら、あとは定理の利用。
こちらのほうが重要です。
正弦定理が凄いのは、三角形の合同条件と連動していることです。
三角形の合同条件の1つに、「1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい」というものがあります。
その条件を満たす三角形は合同だということ。
すなわち、そのような三角形は、この世に1つしかないということです。
この世に1つしかない三角形ならば、残る1つの角の大きさと2つの辺の長さは定まっているでしょう。
それを計算できるのが、正弦定理です。

残る1つの角は、三角形の内角の和が180°であることから、楽々と計算できます。
あとは、正弦定理を用いれば、残る2辺の長さは簡単に出てきます。
ヽ(^。^)ノ

問題 ⊿ABCにおいて、a=3、A=60°、B=45°のとき、bおよび外接円の半径Rを求めよ。

A=60°、a=3がわかっていますから、正弦定理を用いますと、他の辺の長さを求めることができます。
正弦定理により、
3/sin60°=b/sin45°
これをbについて解けば良いのですね。

しかし、分数計算が苦手な子は、この先で苦労しがちです。
教科書や問題集の解説は、この後の計算過程の解説が雑です。
まさか高校生が分数が苦手とは思っていないからでしょうか。
でも、多くの高校生は、正弦定理がわからないわけではないのです。
その先の分数計算が上手くできないのです。

絶対安全なやり方としては、分数=分数 の形の式になったときは、
左辺の分子×右辺の分母=右辺の分子×左辺の分母
という、たすきにかけた形の等式に直すと、あとの処理が楽です。
a/b=c/d のとき、ad=bc です。
これは、比例式、a:b=c:d のとき、内項の積=外項の積で、
ad=bc 
とするのと同じ考え方です。

上の問題で言えば、
b・sin60°=3・sin45°
と書き換えます。
sin60°=√3/2、sin45°=1/√2 ですから、
√3/2・b=3・1/√2
b=3/√2×2/√3
 =6/√6
 =√6

この通りの計算手順でなければならないわけではないのです。
計算ルールとして間違っていなければ、他のやり方でも良いのです。
しかし、計算が苦手な子ほど、なぜかsinの値を早めに代入してしまい、分数の分母がさらに分数という繁分数に自分でしてしまう傾向があります。
そして、その処理方法がわからなくて行き詰まってしまうのです。
そんなときには、
「分数は、割り算に直せるよ。分子÷分母だよ。上÷下だよ」
とアドバイスするのですが、既にパニックを起こしていて、2を3と書き間違えるようなケアレスミスを繰り返し、何度解き直しても、どうにもこうにも正答に至らないということが起こりがちです。

あるいは、この問題は分子であるbがわからないのでまだ楽なのですが、分母であるsinの値を求める問題になると、式をどのように変形して良いかわからなくなる人は多いです。
そうした人のためにも、上のように、「分数=分数」の式を「かけ算=かけ算」の式に変形しておくことをお薦めします。
うすれば、その先は、どの問題も同じ解き方になるので、いちいち考えなくて済むのです。

もしも、うっかり繁分数にしてしまい、行き詰まって、しかも分子÷分母を忘れてしまったら、1/3を思い出してください。
1/3は、1÷3ですか?それとも、3÷1でしょうか?
1÷3ですよね。
それで、「分子÷分母だ」と思い出すことができます。
(*^^)v

さて、外接円の半径Rも求めるのでした。
これも正弦定理により、
2R=3/sin60°
   =3÷√3/2
  =3×2/√3
  =6/√3
  =6√3/3
  =2√3
R=√3
この辺りも、代入後の分数の処理、そして、分母の有理化で手間取る高校生は多いです。

でも、計算しやすいように式を変形することを覚えるだけで、随分楽になります。
計算が得意な人は、楽に計算できる方法で計算しています。
困難で複雑な計算方法に立ち向かっていったりはしていないのです。

  


  • Posted by セギ at 12:28Comments(0)算数・数学

    2017年11月20日

    高尾山から南高尾を歩いてきました。2017年11月


    2017年11月19日(日)、高尾山から南高尾を歩いてきました。
    朝、高尾山口駅を降りたときからもう混雑しています。
    今は高尾山が1年で一番混雑するシーズン。
    朝のうちに高尾山頂を通り抜けないと、渋滞に引っかかるぞー。

    リフトの切符売り場も大行列でした。
    PASMOで切符を購入できる販売機に並んだのですが、3人ほど前の人が、「大人片道2枚、子ども1枚」の切符を購入するのに5分ほどもかかっていました。
    観光シーズンの観光地には、世慣れていない人がいます。
    前の人がどのように購入しているか、見ておくと良かったのになあ。
    購入ボタンを押してからPASMOをかざすというやり方は、初めてだと確かに戸惑います。
    販売機にその説明は書いてあるのですが、焦ると説明は目に入らなくなるし。
    2種類の切符を複数枚買うのなら、人が手売りしてくれる窓口に並んだほうが楽に購入できたでしょう。
    でも、そういうことを即断即決で的確に判断する社会性というものは、観光地には似つかわしくないのかもしれません。
    このようにして、観光シーズンの観光地の混雑がさらに激化していくのは、まあ仕方ないか。

    急な階段を上がっていくと、リフトはそれほど長い行列にはなっていませんでした。
    前に並ぶカップルの女の子が、
    「私、リフトから落ちたことある。リフトが全部止まっちゃって、恥ずかしかったー」
    ええ?と思い、きき耳をたてますと、スキー場のリフトでのことのようです。
    スキーを落として流してしまう人はいるけど、本人が落ちるのはレアケースでは?
    無事で良かったなあ。
    そんなことが起こるくらいなら、切符の自動販売機で5分くらい余計に待たされるのは、何でもありませんね。

    「リュックは前に提げてください」
    「ベルトに立ったら、そのまま、歩かないでください」
    係員さんは二人体制で指示していました。
    さて乗車。
    高尾山のエコーリフトは、登りよりも下りのほうが見晴らしがよくて好きなのですが、帰りはいつも大行列になっていて、なかなか下りには乗れません。
    6分ほどで山頂駅。
    リフトを降りるときは、いつも少し緊張します。
    つまずいて転んだら、どうしよう。
    でも、今回も無事に降り立つことができました。

    リフト山頂駅。8:55。
    支度をして出発。
    1号路も朝から混雑しています。
    山頂近くの、3号路との分岐にある大きなトイレも行列ができていました。
    観光シーズン、凄いなあ。

    山頂。9:40。
    富士山は尖った雲をまとって、険悪な様相。
    現地は荒れた天候でしょう。
    丹沢は晩秋の色。
    秋の朝の明瞭な視界の下、深い紫に茶色が混じった山肌は、少し怖いような印象でした。
    紅葉は、今年はやはりダメですね。
    それでも、肉眼で見る限りはきれいです。
    朝の光に透かして見れば特に。
    若い女の子2人が、撮った写真を見ながら、大声で喋っています。
    「わあ、きれいだよ。こんなに大勢人がいるのに、主役感、凄いよ」

    ・・・若い女の子の感覚は、面白いなあ。
    周りはモブ扱いかあ。
    今日だけは自分が主役とか、写真の中では自分が主役とか、そういうことは、いつかどうでもよくなるよ。
    人はいつでも主役だし、また、常に脇役だよ。
    なんてね。

    さて、石段を下りて、ここより奥高尾。
    急に人が少なくなり、紅葉台からの下りの木段を淡々と降りていきました。
    一丁平。10:10。
    上の画像は、一丁平のベンチから奥を撮ったものです。
    ここから、今日は南高尾に回ります。
    まずは大平林道へ。
    あずまやを左に見て、細い道を行きます。
    突当りを左に折れて、あと道なりに進みます。
    9月には夏草で塞がれていた道も、草が枯れ、歩きやすい良い道に変わっていました。
    大平林道に降り立つと、すぐ右手に道しるべがありました。
    「大垂水」と示す方向の通りに大平林道と別れ、斜面につけられた細い道に入りました。
    やがて道が少し広くなり、コンクリートの階段が現れ、そこから甲州街道を渡る歩道橋と直接つながって、南高尾への道へ。10:40。

    甲州街道が樹間から透けて見えるのでちょっと怖い崖っぷちの細い道をしばらく進み、そこから上り坂が続きます。
    春夏は暑くてつらい道ですが、気温の低い今日は、気持ちよく登っていけました。
    大洞山。11:05。

    ここから先は、秋は特にしみじみとして好きな道です。
    茶色の落ち葉に赤や黄色の葉が彩りを添える道を踏みしめて、ゆっくりと歩いていきました。
    少し前を行く登山者の、つばの狭い生成りの帽子と、なで肩に古い型のザックを背負った後ろ姿が、秋の道に似合っていました。

    展望台。11:45。
    津久井湖とその周辺が箱庭のように見渡せるベンチで昼食。
    ぽかぽかと日差しか暖かく、1枚羽織る必要もなく食事ができました。
    ポットには熱いコーヒーを詰めてきました。
    担いでいるスポーツドリンクの分量も少なくて済むし、秋から冬の山歩きはいいなあ。

    さて、再び出発。
    細い道をトレイルランナーとすれ違います。
    今日の南高尾は、登山客は少ないけれど、トレイルランナーが多いです。

    三沢峠。12:45。
    ここはまき道も含めて5叉路の道。
    ベンチもあって、休憩適地です。
    「高尾山口」の道しるべの通りに上り坂を行くと、東高尾の遊歩道と合流します。
    道は広く、階段が整備されています。
    急な階段をどんどん降りて、最後に登ると、草戸山。13:15。
    ここは、いつも通りに人で賑わっていました。
    ベンチに座って見上げると、葉の落ちた木に柿の実がいくつか残っています。
    青い空と柿の実に見とれていると、お尻に何か気配があり、振り返ると、あ、犬だ。
    「すいませんっ」
    と飼い主さんが、リードを縮めました。

    さて、下山。
    高尾山口へは、植林帯の暗い下りから始まりますが、すぐに日差しの明るい尾根道へと変わります。
    この時間に登ってくる人が意外に多いのは、混雑を避けてのことでしょうか。
    時差登山。フレックスかな。

    途中の道しるべに、
    「四辻より先、高尾駅を示す誤った落書きによる道迷いが発生しています」
    という掲示が提げられていました。
    四辻から京王線高尾山口駅に降りる道と別れ、まっすぐ進むJR高尾駅への道があります。
    随分前に私も一度歩きました。
    下山口を見つけるのが難しかった記憶があります。
    人があまり歩かないので、この季節は落ち葉が積もり、もっと不明瞭でしょう。
    そういうときに間違った落書きを残していくのは、ひどいなあ。

    四辻まで来ると、12月2日(土)、南高尾を回り、笹尾根を登って数馬がゴールのトレイルランニングの大会が行われるという掲示がありました。
    だからトレイルランナーが多かったんですね。
    距離は、42km。
    外秩父七峰と同じ距離だけど、アップダウンから考えると、これは走れるところでは走らないと1日では無理だろうなあ。

    四辻から、高尾山口へ。
    あっという間に高尾の信号前に出て、観光客でごった返す駅前へと戻ってきました。14:35。
      


  • Posted by セギ at 14:42Comments(0)

    2017年11月17日

    三角比と関数の融合問題。


    三角比と関数の融合問題を今回は扱ってみましょう。

    問題 0°≦x≦180°のとき、 y=2sin2x-2cosx-1 の最大値と最小値を求めよ。

    小学生や中学生は、文章題を見ると、
    「問題が6行も書いてある。こんなの解けるわけない」
    と、問題文の長さだけで解くのを諦めたりします。
    あるいは、中学数学の関数や図形問題で、前提となる問題文を読まず、(1)の短い設問とグラフや図だけを見て、
    「わからない、わからない。難しい」
    とうんうんうなっている子も、珍しくありません。
    問題文を読む習慣のない子は、かなりの割合で存在します。
    どうせ大したことは書いていないと思っているのでしょうか。
    文字を読み取ること自体が苦痛なので、できるだけ省略したいのでしょうか。
    そういうタイプの問題は、問題文を読まないと解けるわけないんですけど。
    (^-^;

    しかし、高校の数学には、もっと別の怖さがあります。
    こういう問題文が1行だけの問題が増えてくるのです。
    何行も問題文が書いてあれば、どこかにヒントがありますが、こんなふうに1行で終わられたら、何もとっかかりがありません。
    何をどうしたらいいのかわからない、という事態に至ります。

    問題が何を言っているのか、わからない。
    何を要求しているのか、わからない。

    何をどうすることがこの問題を解いたことになるのか全くわからない、ということが起こりうるのです。
    教わったときだけは何とか解き方を暗記しても、2か月も経って、校外実力テストや模試でこういう問題が出ていると、この1行を見つめたまま固まることになります。
    そんな高校生は、多いです。
    高校数学に白紙答案があるのは、そういう理由です。
    わざと解かないわけではない。
    どう解いたら良いのか、本当に何もわからないのでしょう。

    この問題は、
    「最大値・最小値って、関数で出てくる用語だよね」
    と気づくと、問題がほぐれてきます。
    そう思って見ると、
    y=2sin2x-2cosx-1
    って、関数ですよね。

    これと似ている関数のイメージは、
    y=2x2-2x-1
    だから、ああ、これは2次関数なのだと気づきます。

    しかし、普通の2次関数と違うのは、xではなく、sinxとcosxが使われていること。
    うん?
    それは、書き換えられたんじゃなかったでしたっけ?
    サインはコサインに、コサインはサインに、転換する方法がありましたよね。
    ここで、三角比の相互関係の公式を用いるのだと気づけば、もう先は見えてきました。
    公式は、こうです。

    sin2θ+cos2θ=1 (2は指数)
    すなわち、
    sin2θ=1-cos2θ
    今回は、角度はθではなく、xが使われていますから、
    sin2x=1-cos2x
    これを代入します。

    y=2sin2x-2cosx-1
     =2(1-cos2x)-2cosx-1
     =2-2cos2x-2cosx-1
     =-2cos2x-2cosx+1

    ああ、これは2次関数ですねえ。
    慣れてくるとこのままでも先に進めますが、見やすくするため、cosx=t と置き換えてみましょう。
    すなわち、
    y=-2cos2x-2cosx+1
     =-2t2-2t+1
    これの最大値と最小値を求めたらいいんだー。
    ヽ(^。^)ノ

    しかし、その先もそう簡単にはいかない人がいます。
    「三角比」の学習に入る頃には「2次関数」で学んだことの大半を忘れてしまっている子が多いのです。
    数学は積み上げ科目なので、一度学習したことは忘れたらダメなのですよー。

    2次関数の最大値と最小値の求め方?
    何をどうするんでしたっけ?
    2次関数のグラフは放物線です。
    まずは定義域を無視して考えるのなら、頂点の y 座標が最小値か最大値になります。
    下に凸の放物線ならば、頂点の y 座標が最小値。
    上に凸の放物線ならば、頂点の y 座標が最大値。

    頂点の座標を求めるためには、平方完成をします。
    平方完成のやり方、覚えていますか?
    高校生が相手ですと、ここでまたドタバタ。
    平方完成という言葉すら忘れていたりします。

    y=-2t2-2t+1
     =-2(t2+t)+1
     =-2(t+1/2)2+1/2+1
     =-2(t+1/2)2+3/2

    すなわち、頂点の座標は、(-1/2 , 3/2) となりますから、
    t=-1/2のとき、最大値3/2となります。

    ところで、これは、定義域にある数なのか?
    そもそも定義域ってあったっけ?
    この確認は大切です。
    t の定義域って?
    cosx=t としたのですから、その定義域を考えればよいわけです。
    問題の最初に書いてある通り、0°≦x≦180°なので、
    cosxの変域は、-1≦cosx≦1。
    すなわち、-1≦t≦1。

    高校生は、ここでさらにドタバタ。
    コサインの変域ということが、どうにもこうにも理解できない人が現れます。
    そこで、単位円を描いて、もう一度、コサインの定義から説明し直しとなる場合が多いです。
    半径1の単位円上の点をP(x,y)とし、動径OPとx軸の正の方向とのなす角をθとすると、
    cosθはxの値そのものでした。
    ですから、θ=0°のとき、すなわち、OPはx軸が重なっているときは、P(1,0)ですから、
    cos0°=1
    θ=90°のときは、P(0,1)ですから、
    cos90°=0
    θ=180°のときは、P(-1,0)ですから、
    cos180°=-1
    このように、0°≦θ≦180° のとき、-1≦cosθ≦1 です。

    さて、コサインの変域が理解できたので。
    定義域は、-1≦t≦1。
    おお、t=-1/2は、定義域内に入っていますね。
    これで、最大値は確定です。

    ところで、最大値を答えるときは、xが何の値のときにyが最大値になるのかも答えなければなりません。
    t=-1/2
    すなわち、cosx=-1/2
    頭の中で単位円を想像して。
    それがまだ無理なら、実際に単位円を描いて。
    cosx=-1/2
    すなわち、x=120°

    次に最小値を考えます。
    放物線は、左右対称です。
    今、放物線は上に凸。
    頂点から離れるほどに、急激に y の値は小さくなっていきます。
    tの変域の内部で、頂点の t の値-1/2から距離があるほうの端の値が、最小値となります。
    -1と1。
    -1/2から遠いのはどちらか?
    もちろん、1ですね。
    ですから、t=1のとき最小値です。
    t=1を代入して、
    y=-2t2-2t+1
    =-2-2+1
     =-3
    さて、t=1すなわち cosx=1のとき、
    またまた、単位円をイメージして。
    x=0°

    したがって、
    x=120°のとき最大値3/2
    x=0°のとき最小値-3

    これが最終解答となります。
    問題に出てくるxとyと、コサインの定義に出てくるxとyとで混乱が起こる人もいます。
    cosθならばわかるけれど、cosxと書いてあるだけで、何のことかわからなくなる人もいます。
    「そんなところでxを使っていいんですか?」
    と不安になり、納得できない様子なのです。
    「きちんと定義してあれば、どんな文字だって使っていいでしょう」
    そう説明しても、頭の中の霧は晴れない様子です。

    数学が苦手な人の頭の中を覆うこうした「霧」の正体は何なのか。
    xやyなど、文字が数学に登場した頃から、実は納得できていなかったのではないか?
    何か使い方にルールがあるはずなのに、自分だけそのルールが理解できないでいる。
    そんな不安があるのだろうかと想像してみるのですが、まだよくわからないことが多いです。
    生徒の言葉の端から想像してみるしかないのです。
    わからないことの何がどのようにわからないのかを明確に語ることができるのなら、それは「わかっている」のと同じでしょう。
    何がわからないのかわからないから、本人も悩んでいるのだと思います。

    不安は、比較的理解力のある高校生の中にもあるようです。
    わからないわけではない。
    説明を聞けばわかるのです。
    でも、自分で解こうとすると、途中で詰まってしまう。
    あれ、何のことだっけ?
    今、何をやっていたんだっけ。
    そうやって何度も詰まる。
    そんな感想の人もいると思います。
    わからなくなる度、なぜそれで解けるのかを考え直し、頭の中に明瞭な筋道を作っていきましょう。
    作業手順だけ覚えてやり過ごそうとしても、作業手順が長すぎて、覚えきれないです。
    覚えることは、これだけではないのですから。

    思うに、希望はあるものとも言えぬし、ないものとも言えない。
    歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。

    歩くのが自分一人ならば、何回も歩けば、それは道になります。
    ヽ(^。^)ノ

      


  • Posted by セギ at 12:29Comments(0)算数・数学

    2017年11月16日

    冬期講習のお知らせ 2017年度


    2017年度冬期講習のご案内です。
    詳細は、11月末の授業時に書面をお渡しいたします。
    お申込み受付は、12月1日(金)からとなります。
    メールまたは申込書でお申込みください。
    なお、この期間、通常授業はありませんので、いつもの時間帯の授業を希望される方も改めてお申込みください。
    今回も、外部生の受講は承っておりません。
    大変申し訳ありません。
    以下は、冬期講習募集要項です。

    ◎期日
    12月25日(月)~12月30日(土) 
    1月4日(木)~1月7日(日)
    なお、12月23日(土)は、祝日休校とさせていただきます。
    1月8日(月)は、祝日ですが、平常授業となります。

    ◎時間帯
    10:00~11:30 , 11:40~13:10 , 18:20~19:50 , 20:00~21:30

    ◎費用
    1コマ90分4,000円×受講回数

    ◎指導科目
    小学生 一般算数・受験算数・英語
    中学生 数学・英語
    高校生 数学・英語

    ◎空きコマ状況 12月1日現在
    12月25日(月)
    10:00~11:30 , 11:40~13:10 , 18:20~19:50 , 20:00~21:30
    12月26日(火)
    10:00~11:30 , 11:40~13:10 , 18:20~19:50 , 20:00~21:30
    12月27日(水)
    10:00~11:30 , 11:40~13:10 , 18:20~19:50 , 20:00~21:30
    12月28日(木)
    10:00~11:30 , 11:40~13:10 , 18:20~19:50 , 20:00~21:30
    12月29日(金)
    10:00~11:30 , 11:40~13:10 , 18:20~19:50 , 20:00~21:30
    12月30日(土)
    10:00~11:30 , 11:40~13:10 , 18:20~19:50 , 20:00~21:30
    1月4日(木)
    10:00~11:30 , 11:40~13:10 , 18:20~19:50 , 20:00~21:30
    1月5日(金)
    10:00~11:30 , 11:40~13:10 , 18:20~19:50 , 20:00~21:30
    1月6日(土)
    10:00~11:30 , 11:40~13:10 , 18:20~19:50 , 20:00~21:30
    1月7日(日)
    10:00~11:30 , 11:40~13:10 , 18:20~19:50 , 20:00~21:30

      


  • Posted by セギ at 12:40Comments(0)大人のための講座

    2017年11月15日

    11月25日(土)、大人のための数学教室を開きます。


    11月11日(土)、大人のための数学教室を開きました。
    「複素数」の学習、今回は2回目です。
    今回は、いよいよ2次方程式の解に関する問題から。

    問題 次の2次方程式を解け。
    6x2-2x+1=0

    因数分解できないので、解の公式を使って解きます。
    xの係数が偶数なので、2本目の解の公式が有効ですね。
    x=1±√1-6
     =1±√-5
     =1±√5 i

    虚数単位を使うと、このように、全ての2次方程式に解が存在します。

    問題 次の方程式の実数解を求めよ。
    (2+i)x2+(3+i)x-2(1+i)=0

    これは、係数が虚数ですね。
    このまま強引に解の公式を利用する方法もあるのですが、まだ学習していない内容なので、ここはシンプルに、実部と虚部に分けて考えると楽に解けます。

    (2+i)x2+(3+i)x-2(1+i)=0
    2x2+ix2+3x+ix-2-2i=0
    (2x2+3x-2)+(x2+x-2)i=0
    ここで、xは実数なので、2x2+3x-2、x2+x-2は、それぞれ実数です。
    虚数a+bi=0 のとき、a=0、かつb=0 ですから、
    2x2+3x-2=0 かつ x2+x-2=0 
    となります。
    ですから、これを連立方程式としてその解を求めれば良いですね。
    2x2+3x-2=0
    (x+2)(2x-1)=0
    x=-2、1/2・・・①
    x2+x-2=0
    (x+2)(x-1)=0
    x=-2、1・・・②
    ①かつ②が解となるので、
    x=-2


    xを基準にまとめるのか、iを基準にまとめるのか、途中でよくわからなくなることもあるようですが、今は実部と虚部に分けて整理しようしているので、iの有無で分けていくだけです。

    ここらへんになると、やっていること自体は特に難しくない計算問題なのですが、気持ちで負けてしまう高校生が多く、精神的に支えていくことが私の仕事のかなりの部分を占めるようになります。
    数学が嫌いな子の多くは、中学の数学もそんなに身についているわけではありません。
    「中学の数学くらいわかりますよっ」
    と主張するのですが、2次方程式の解の公式をスラスラ活用できるかというと、それはかなり怪しかったりします。
    「公式くらい、わかってますよっ。でも、僕は、引き算が苦手なんですよっ」
    と言われて、言葉を失ったこともあります。
    ・・・・そうか。
    じゃあ、ゆっくりやろう。
    そう声をかけても良いのですが、そんな優しさはむしろ相手を傷つけてしまいそうでした。
    何より本人が、自分の言った言葉に自分で傷ついて、涙目になっていたのです。

    問題 次の2次方程式の解を判別せよ。
    1/3x2-1/2x+1/5=0

    解の判別に関する問題は、数Ⅰ「2次関数」の章で学習済みです。
    ただし、その頃は虚数解というものはなく、「実数解なし」という判別をしていました。
    そこを改めていくだけですね。

    解を判別するには、判別式を用いるのでした。
    2次方程式 ax2+bx+c=0 のとき、
    解の公式は、x=(-b±√b2-4ac)/2a です。
    この√ の部分がもし0ならば、解は x=-b/2a の1つだけとなります。
    これがすなわち重解です。
    √ の中身が正の数ならば、異なる2つ実数解が求められますね。
    このように、√ の中身で解の個数を判別できるので、√ の中身の部分を「判別式」と言うのでした。
    すなわち、判別式D=b2-4ac
    また、xの係数が偶数のときの解の公式の√ の中身を用いることも可能です。
    判別式D/4=-b'2-ac
    となります。

    まとめますと、
    D>0 のとき、異なる2つの実数解
    D=0 のとき、重解
    D<0 のとき、異なる2つの虚数解
    今後は、このように判別していくことになります。

    さて、上の問題は、
    1/3x2-1/2x+1/5=0
    という見た目では計算しにくいので、係数が整数になるように整理しましょう。
    方程式ですから、両辺を何倍かしても、関係は変わらないのでした。
    3と2と5の最小公倍数は30ですから、両辺を30倍すると、分母を払うことができます。
    10x2-15x+6=0
    よって、
    判別式D=152-4・10・6=225-240=-15<0
    よって、解は 異なる2つの虚数解です。

    しかし、単純に解を判別するだけでは、退屈ですね。
    そろそろ少し応用的なものを解きたくなります。
    例えば、こんな問題です。

    問題 2次方程式 x2+(k+1)x+k+2=0 が異なる2つの虚数解をもつようなkの値の範囲を定めよ。

    判別式を使うんだなあということはピンとくると思います。
    使ってみましょう。
    D=(k+1)2-4・1(k+2)
     =k2+2k+1-4k-8
     =k2-2k-7
    異なる2つの虚数解をもつのですから、D<0 です。
    よって、
    k2-2k-7<0
    これは2次不等式です。
    まず2次方程式に直して計算します。
    k2-2k-7=0
    解の公式を用いて、
    =1±√1+7
     =1±2√2
    よって、上の2次不等式の解は、
    1-2√2<k<1+2√2
    これが最終解答です。

    途中まではわかっても、「2次不等式」のところで詰まってしまう高校生は多いです。
    数Ⅰの内容があまり身についていない高校生は、この2次不等式の解き方をもう忘れてしまっているのです。
    そもそも、その前の段階の「判別式」を数Ⅰで学習したことすら曖昧になっている子もいます。
    学校では、数Ⅰでやった内容はざっと復習するだけです。
    それだって随分親切な授業でしょう。
    進学校なら「これは数Ⅰでやったな?」と確認をとるだけで終わる可能性もあります。
    しかし、完全に忘れてしまっている子にとっては、せっかくやってくれる「ざっと復習」も、その授業スピードでは、速すぎて理解できないようです。
    数Ⅱで大きく崩れ、数学の授業についていけなくなる子が多い原因の1つは、このように、数Ⅰの内容が身についていないことにあると思います。

    もっとも、高校2年の秋ともなりますと、数学が苦手な生徒の限界への配慮もあります。
    授業スピードはゆるめないものの、定期テストは易しくなる高校が多いです。
    数学の単位が取れないと、卒業できないですから。
    進学校なのに計算ドリルみたいなテストだったりします。
    そうしたテストをつくづくと眺め、結局数学の最終学年でこんなテストになるのなら、中等部のときにあんなに異様な分量と難度のテストで生徒を苦しめて数学嫌いにさせなければよいのに、と嘆息することもあります。
    公立中学から普通の都立高校に進学していたら、この子も、センター試験くらいは対応できる数学力がついたのではないかと、つい思ってしまうのです。
    どの進路が子どもを伸ばすかは、1人1人違うので、難しいです。

    おっと、話が随分それました。
    次不等式の話でした。
    詳しくは、このブログの前のページに戻ってください。
    2次不等式の基本を説明してあるページがあります。

    さて、次回の大人のための数学教室のお知らせです。
    ◎日時  11月25日(土)10:00~11:30
    ◎内容  数Ⅱ「複素数」を続けます。p.25の問題16までが宿題です。
    ◎場所  セギ英数教室
           三鷹市下連雀3-33-13
             三鷹第二ビル 305
           春の湯さんの斜め前のビルです。
    ◎用具   ノート・筆記用具
    ◎参加費 2,000円
           当日集めさせていただきます。
    ◎予約  私の携帯メールかラインに、ご予約をお願いいたします。




      


  • Posted by セギ at 13:53Comments(0)大人のための講座

    2017年11月13日

    払沢の滝から浅間尾根を歩きました。2017年11月。



    2017年11月12日、久しぶりに山を歩いてきました。
    ホリデー快速あきがわ3号に乗車し、終点武蔵五日市下車。
    駅前発の数馬行きのバスは3台同時発車でした。9:00。
    本宿役場前下車。9:20。
    三叉路を左に曲がっていくバスを見送り、横断歩道を渡って右のゆるい坂道を登ると、有名なお豆腐屋さん。9:30。
    車を誘導する人が立っていました。
    観光シーズンですね。

    看板の矢印通りに、まずは払沢の滝を見物。
    整備された遊歩道を奥へと歩いていきます。
    今年は夏の日照時間が不足していましたから、紅葉はそれほどきれいではないでしょう。
    でも、あまり期待しないで行くと、赤が鮮やかに出ている木もあり、何だか得をした気分になりました。
    少ないものをしみじみと味わう気持ちになります。

    遊歩道の突当りが、払沢の滝。9:40。
    写真好きの人たちが三脚を立て、既にスタンバイ完了の状態で待機していました。
    これから滝に陽が差してきたら、シャッターチャンスなのでしょうか。

    滝壺まで岩の階段を上がって行くことができます。
    近場でじっくり滝を見物。
    その後、あずまやでひと休み。
    そうして、のんびり来た道を戻りました。
    遊歩道の入り口まで戻ると、浅間尾根への道しるべがあります。
    その通りに歩いていくと、まずは駐車場。
    ペーパーの設置されたきれいなトイレがありました。

    駐車場の端から山道の始まりです。
    林道と、林道をショートカットする細い山道が繰り返され、高度を上げていきます。
    向こうに見える隣りの尾根の山の色も、秋の色。
    赤紫に霞んでいました。

    時坂峠を越えて、さらに林道を行くと、峠の茶店。
    その先、徒歩5分ほどで、そば処みちこ。
    今日はここでお昼ご飯です。11:00。



    山道を徒歩1時間の蕎麦屋というとかなり秘境の印象です。
    でも、ここまで舗装された林道が通り、駐車場もありますので、車で来ている人も多いようです。
    2年ほど前に通りかかったときと比べ、表の垣根の色合いも随分ひなびて良い雰囲気でした。

    しかし、店内は、アンジャッシュ渡部の写真入り色紙などが壁にずらっと飾られてありました。
    ああ、こういう感じかあ。
    ちょっとがっかり。
    「秘境飯」系のテレビ番組の取材を受けることが
    多いのでしょうか。

    メニューは冷たいお蕎麦が3種類。季節限定の温かいきのこ蕎麦が1種類。
    全て、天ぷら付きにできます。
    私は、手打ち二八蕎麦、天ぷら付。1200円を注文。
    私の前に立て続けに3組、客が入っていたこともあり、店に入ってからお蕎麦がテーブルに出てくるまで、所要時間40分。




    ぶつ切りの太目の蕎麦でした。
    味は普通においしいお蕎麦と天ぷらでした。
    浅間尾根に登るときには、また寄ろうかな。

    さて、12:00、出発。
    ここからは、ずっと山道です。
    まずは沢に沿い、やがて沢と離れ、高度を上げていきます。
    陽の光が差すと、赤い葉がきれいです。
    黄色い葉のほうは、どの年も安定してきれい。
    落ち葉の積もった山道を向こうからやってくる登山者と、挨拶を交わしてすれ違います。
    しみじみと、秋です。

    展望台との分岐。
    このまま直進しても浅間尾根の休憩園地に到着しますが、展望がいいのは「展望台」と道しるべに記されている尾根道のほうです。
    道しるべに従い、そちらへ。
    しかし、広くなだらかな斜面に落ち葉が深く積もっていて、途中で登山道がよくわからなくなりました。
    道のように見えてはいるけれど正規の登山道ではないところに、気がつくと迷い込んでいました。
    落ち葉に覆われた足元は、まあまあ固いので、人が歩いていないところではなさそうです。
    作業道かな。
    それでも、日差しが明るいので、あまり慌てずに済みました。
    尾根は見えている。
    あそこに上がれる道を探そう。
    無理はせずに、足元を確かめながら、歩ける道を行こう。
    登っていくと、遠くに道しるべが見えて、安全にそこまでたどりつくことができました。
    ああ、正規の道は、やはりずっと固い。

    浅間尾根展望台。12:00。
    向いの尾根の大岳山と御前山を山座同定できる杭は変わらずです。
    ベンチやテーブルが新しく設置されていました。
    煮炊きが楽にできるようになったので、登山者でにぎわっています。
    2年来ないと山は変わりますね。
    便利なんだけれど、ふっと寂しくなったりします。
    ごつごつした石に座ってお昼を食べた、あまり人のいない浅間尾根も好きだったな。
    ベンチに座り、山を眺めました。
    秋の色です。
    上の写真はそこで撮りました。

    さて下山。
    下り道も整備されて歩きやすくなっていました。
    前回は園地に降りて、そこからまき道を行きましたが、今回は尾根通しに歩いてみることにしました。
    多少わかりにくいところもありましたが、さっき迷ったので慎重に踏み跡を探したこともあり、迷わず降りていけました。
    その先、崖っぷちの細い道もときどきあり、注意してそろそろと通過する箇所もありましたが、概ねよく整備された道が続きます。

    数馬分岐。14:30。
    ここで浅間尾根と別れ、檜原街道へと降りていきます。
    この下り道も整備された歩きやすい道でした。
    やがて舗装道に出て、道なりにぐっと下っていくと、檜原街道に合流。

    そこからは、バス停2つ分歩いて、檜原温泉センター数馬の湯へ。15:30。
    靴を脱いで、下駄箱に入れようとして、あれ?
    100円を投入して、後で戻ってくるタイプの下駄箱でした。
    前からそうでしたっけ?
    うわあ、財布に100円玉がない。
    まずは両替をしてもらうために受付の行列に並び、その後、下駄箱の鍵を手にもう一度受付に並ぶという二度手間になってしまいました。
    お蕎麦屋さんで、おつりなしで支払いしなければ良かったー。
    というより、もっと小銭の用意を、ということですね。
    お風呂は、シャンプーとボディソープの質が良くなっていました。
    泡立ちがいい。
    湯舟は安定の快適さです。
    ここは、内風呂が良いんです。
    高窓から見える山を眺めながら、深めの浴槽に首までしっかりつかります。
    はあ、山の温泉も久しぶりだあ。

    お風呂から上がり、缶ビール500mL420円。
    飲み終わって、温泉センター前のバス停の行列に並びました。
    「都民の森」発のバスは、4台同時にやってきました。
    4台目で座ることができました。16:09。
    観光シーズンなので、十里木を過ぎたあたりから道は渋滞しましたが、終点武蔵五日市駅でバスを降りると、ちょうどホリデー快速あきかわ6号に間に合いました。17:21。
    三鷹まで1本で、18:09、予想外に早く帰宅できました。

      


  • Posted by セギ at 14:11Comments(0)

    2017年11月09日

    三角比の拡張。ここで三角比は生まれ変わります。



    三角比の始まりは、直角三角形の辺の比です。
    非常に便利なのですが、直角三角形である限り、∠θは鋭角なので、限定的です。
    何とか鈍角でも三角比は使えないでしょうか?

    はあ?
    直角三角形に鈍角なんてあるわけないし!
    そんな反応も予想できます。

    それは当然そうなのですが、とにかく便利なので、使えるようにしたいのです。
    その発想が原点です。
    とにかく、1つのことが言えたら、それを一般化したいのです。
    「三角比の拡張」と言いますが、私は飛翔するようなイメージを持っています。
    定義し直すことで、三角比は「空も飛べるはず」なのです。
    (*^^)v



    この図を見てください。
    これがいわゆる単位円ですが、高校1年の数Ⅰ「三角比」では、まだ∠θは0°から180°までなので、上半分しか描きません。
    単位円とは、座標平面上に描いた、原点を中心とした半径1の円です。
    この円周上を動く動点Pの座標を(x,y)とします。
    中心と結んだ線分OPを動径と呼びます。
    「動く半径」ですね。
    Pを円周上のどこにとってもOPは円の半径ですから常に1です。
    Pからx軸に垂線を下ろします。
    そうすると、上の図のような直角三角形を座標平面上に描くことができます。
    斜辺は半径ですから、長さは1です。
    P(x,y)ですから、この直角三角形の対辺の長さはy、底辺の長さはxとなります。
    動径とx軸の正の方向との成す角をθとすると、
    sinθ=y/1=y
    cosθ=x/1=x
    tanθ=y/x
    となります。
    これは便利です。
    サインがy座標そのもの、コサインがx座標そのものになりますから。
    このように、三角比を定義し直します。

    原点Oを中心として半径rの円において、x軸の正の向きから左まわりに大きさθの角をとったとき定まる半径をOPとし、点Pの座標を(x,y)とする。このとき、
    sinθ=y/r , cosθ=x/r 、tanθ=y/x と定める。
    というのが、拡張した三角比の定義です。

    実際には、上のようにr=1のとき、サインがy座標そのもの、コサインがx座標そのもの、タンジェントは直線OPの傾きそのものになり、とても便利なので、この単位円で話を進めていきます。

    数学が苦手な高校生は、中学の頃から関数が苦手なことが多いです。
    上の説明では、直角三角形の対辺がyになり、底辺がxになるところが理解しにくい様子です。
    座標と線分の長さとが頭の中で上手くつながらないようなのです。
    中学の数学の座標平面と図形に関する問題も、そこが頭の中でつながらないせいでほとんど得点できない子が多いです。
    「これは応用問題だから、自分はできなくても仕方ないやあ」
    などと軽く考えて避けていると、高校生になるとそこが基本になるので、訳がわからなくなっていきます。
    理解できないので、ただ暗記するだけになります。

    つい先日も、中学生との数学の授業で、点Pのx座標をtと置いて、座標平面上の正方形の辺の長さをtを用いて表し、最終的にPの座標を求めるという典型題の解説・演習をしていたのですが、
    「勝手にtと置いたのに、何でtの値がわかるんですか?」
    「tは定まっていないのに、何でtを求めていいんですか?」
    という、わかるようなわからないような疑問で頭がねじれてメビウスの輪になっている子と議論しました。
    ここのところがどうしてもわからない子と、一度でスルッと理解する子との違いは何なのだろうといつも不思議に思います。

    また、「単位円上の動点Pの座標を(x,y)とする」というのは定義であるのに、
    「どうしてそうなるんですか?」
    「点Pが円周上にないときはどうするんですか?」
    といった不要な質問で頭がいっぱいになって、理解できなくなる高校生も多いところです。
    それは定義なんだから、疑義を挟むところではないんです。
    定義というのは決めたことで、理由はないんです。
    あえて言えば、そう定義することで後々便利だからです。
    しかし、そう言っても、納得できない様子です。
    xやyというのは、もっと使い方に別のルールがあって、そこで勝手に使ってはいけないのではないか?
    そういう思い込みがあるのかもしれません。
    繰り返しますが、これは定義です。
    単位円上の動点Pの座標を(x,y)とすることには、何の問題もありません。
    「単位円上の動点」と決めたので、点Pは、そこから外れることもありません。

    話を戻しましょう。
    x=cosθ
    y=sinθ
    y/x=tanθ
    このように定義し直したら、もう直角三角形から離れ、三角比は1人歩きできます。
    座標平面の第2象限、すなわち、単位円の半円の左側に動径OPが来ても、同じ定義で有効ですね。
    すなわち、鈍角の三角比を求めることができます。
    サインは、点Pのy座標そのもの。
    コサインは、点Pのx座標そのもの。
    タンジェントは、OPの傾き。
    そう把握できるのです。

    点Pが第2象限にあるとき、反対向きの直角三角形を描き、その辺の比を求めようとしてサインとコサインがグチャグチャになってしまう高校生がいます。
    うんうんうなりながら、鏡の中で反転している直角三角形と格闘しているのですが、そういうことではないんです。
    ∠θはあくまでも、x軸の正の方向と動径OPとの成す角です。
    考えるヒントとして反対向きの直角三角形を描いて解説するのは、第1象限の直角三角形とy軸に対して線対称であることを示すためです。
    線対称だから、第1象限に置き換えて考えましょうと説明しているのですが、ノートに第2象限の直角三角形が残るせいか、そっちで求めるのだと誤解している高校生がいます。
    第2象限の三角比は、絶対値を第1象限の直角三角形で把握し、それにプラス・マイナスの符号をつけて求めていくと楽です。
    拡張された定義から明らかですが、サインはyの値ですから、相変わらず正の数です。
    コサインはxの値ですから、負の数。
    タンジェントもxの値が負の数であることが影響し、負の数となるでしょう。
    考えるヒントとして反対向きの直角三角形を使いたい人は使えばよいのですが、それで混乱するのは無駄なことだと思います。
    あげく、「鈍角の左側の直角三角形の辺の比を求めること」と思い込み、「三角比とは直角三角形の辺の比である」というところから全く飛翔できず、三角形の面積を求める頃になって「直角三角形以外では、三角比は使えないですよっ」と言い張る高校生と不毛な議論をしたこともあります。

    実際の問題で考えてみましょう。
    例えば、∠θ=120°のとき。
    P(x,y)は、∠θ=60°のときのPと、y軸について線対称です。
    ∠θ=60°のとき、特別な比の直角三角形をイメージして解くと、
    sinθ=√3/2 , cosθ=1/2 , tanθ=2/1=2 ですから、
    ∠θ=120°のときは、
    sinθ=√3/2 , cosθ=-1/2 , tanθ=-2 となります。

    慣れてしまえば、いちいち描かなくても、頭の中で特別な比の直角三角形をイメージするだけで解けます。
    上手くイメージできない間は、第1象限に直角三角形を描いて解いても良いでしょう。

    スラスラっと説明してきましたが、ここら辺になると、つまずく石は無数に存在し、
    「足元に気をつけて!」
    と注意し続けながら授業を先に進めるような状況となってきます。
    いったん理解したはずなのに、ここでパニックを起こし、三角比は角度のことだと錯誤し、混乱し始める子もいます。
    「苦手な図形」と「大嫌いな関数」が合体したのですから、地獄巡りの心境の子がいるのも無理からぬところです。
    すぐに定義が曖昧になり、何でそれで求められるかわからなくなってしまう子が続出します。
    とにかく学校の問題集だけ解きたい、学校の問題集を解いて提出しなければならないから、その問題だけを解きたい。
    そんな高校生がどんどん増えていきます。

    でも、敗退にはまだ早い。
    まだ、常人に理解できる範囲の数学です。
    繰り返し繰り返し、意味に戻って理解し直せば、三角比は必ずマスターできます。



      


  • Posted by セギ at 11:47Comments(0)算数・数学

    2017年11月06日

    中間テスト結果出ました。2017年2学期。


    2017年2学期中間テストの結果が出ました。

    数学 90点台 1人  80点台 1人  70点台 1人 
        60点台 1人  50点台 3人  30点台 1人
    英語 100点 1人  90点台 1人  80点台 2人 
        60点台 1人  50点台 1人

    50点未満が常連の人たちが、今回、50点を突破し、やったーと思っていたら、最後の最後で数学に30点台が1人出てしまい、予想外の展開でした。
    でも、今回は、病気だったので仕方ないです。
    また次回。

    今回、良かったなあと思うことの1つは、
    「テストまで、学校の問題集を1回解いてノートを完成させるだけ」
    という学習習慣からの脱却が成功しつつあることです。
    学校の問題集を1回解いたのが数学の勉強の全てで、成績が上がるわけないのですから。

    そうでない授業を徹底すれば良いだけなんじゃないの?

    と言われると、本当にその通りなのですが、なかなかそれが難しいのです。
    入塾してくる生徒のうち、中高一貫校の生徒の大半は、数学の「体系問題集」を教えてほしくてやってくるのです。

    中高一貫校の多くは「体系数学」という特殊な教科書を採用しています。
    5年間で数Ⅲまでを終える、特別な構成の教科書です。
    「三角比」と「三角関数」を一気に学習してしまうなど、類似の単元を一気にやるため、学習上の「無駄」が省かれます。
    言い換えれば、反復がなされない教科書です。
    一度つまずくと、それっきりです。

    それでも、教科書「体系数学」は読み物としてなかなか丁寧な作りで、数学を独学する大人の人にはこの教科書の注文購入を勧めたいくらいです。
    しかし、準拠問題集「体系問題集」は厄介です。
    レベルAの問題は教科書「体系数学」で扱っている例題の類題が多いので、特に問題ありません。
    しかし、レベルB、レベルCは、教科書で扱っていないパターンの難問が多数含まれています。
    これを自習してノートを提出するのが学校の宿題となります。
    詳しい解答・解説は学校から配られていますが、数学が苦手な子は、解説を読んでもわからないのです。
    だから、個別指導で教えてほしい。
    そういう生徒が入塾してきます。
    つまり、入塾の目的が「体系問題集の解説」です。
    「学校の問題集は扱いませんよ」
    と言いにくい、というより、言えない。
    そんな事情が最初に発生しています。


    うちの塾で、数学で高得点をマークしている子たちは、中学生にしろ高校生にしろ、学校の問題集を塾で扱うことはありません。
    体系問題集でも、それ以外でも、どんな問題集でどんなレベルのものがその子の学校の問題集であるかは把握していますが、内容を扱うことはありません。
    学校の宿題は自分で解きます。
    その他に塾テキストで学習し、塾の宿題を解きます。
    余裕があれば、さらに自分で市販の問題集を買って解きます。
    進度は学校に合わせて塾の授業を行っていますが、学校の教材は扱いません。
    そのほうが、結果が出るからです。
    立体的な学習となり、その単元の重要ポイントがわかります。
    テストにどんな問題が出題されるかも、わかるようになっていきます。
    何より、演習量の差は、露骨に得点に反映されます。

    一方、体系問題集での授業を望んで入塾してくる数学が苦手な子たちは、

    学校の宿題がわからないので解説してほしい。
    一緒に解いてほしい。
    それ以外のことはやりたくない。
    とにかく宿題のノートを完成させたい。
    そういう幅の狭い、視野の狭い学習に陥りがちです。

    保護者の方は数学の成績が良くなることもあわせて希望していらっしゃるのですが、子どもは楽ができるとなると、どんどん甘えてきます。
    ちょっとわからないと「塾で教わればいいや」と思い、深く考えなくなります。
    宿題のノートが完成すると、理解できているように思ってしまう子もいます。
    教わって解いた問題は全部自力で解けるような気がするのでしょうか。
    家で解き直したり、別の問題集で類題を解いたりということは、なかなか自発的には行いません。
    宿題のノートさえ完成すれば良いのです。
    もともと、数学の勉強は嫌いなので、それ以上はやりたくないのです。

    その意識のズレに、保護者の方はなかなか気づきません。

    実際、この数年の間には、ちょっと困った生徒もいました。
    先まで予習が進むと、塾を休むのです。
    こちらは、先に先に学習を進めて、テスト前に復習の時間を作りたいと頑張ります。
    そうやって必死に作った時間的余裕を、生徒が休んで空費してしまうのです。
    学校の問題集の件が大丈夫である限り、塾を休むことが増えていきます。
    何でそんなことを保護者が許可しちゃうのかなあ・・・・と思いますが、子どもが「大丈夫」と言う限り大丈夫と思いたい気持ちもわからないではありません。

    これまで、テスト前の最後の授業も、体系問題集の中でもテストに出そうにない応用問題のページを解くことで終了することもありました。
    テスト当日に提出する宿題ノートを完成させることが、数学のテスト勉強の全てでした。
    そんなことですと、やがて成績が下がっていきます。
    結果、塾をやめてしまうことにもつながったこともありました。

    入会の目的が「体系問題集を教えてほしい」である子に、どうにか体系問題集以外のテキストをメインとした授業を行い、成績を上げ、納得してもらう。
    体系問題集もできるだけ自力で解ける学力を養成する。
    この難しい課題に、ようやく少しずつ解決策が見つかってきました。
    授業中に、体系問題集も勿論扱います。
    それでいて、演習量も確保します。
    それをどうするかが解決できるようになってきました。
    それが、今回の成績上昇につながったと思います。

    期末は、さらに頑張っていきましょう。

      


  • Posted by セギ at 14:16Comments(0)講師日記

    2017年11月01日

    三角比の相互関係の公式。覚えましょう。





    三角比の当面の目標は、三角形の辺や角を計算せずに求めていくことです。
    ならば、まずは三角比が1つわかれば残る2つが求められると便利です。
    サインがわかれば、コサインやタンジェントは計算で求められる。
    コサインがわかれば、サインやタンジェントは計算で求められる。
    タンジェントがわかれば、サインやコサインは計算で求められる。
    そのためにあるのが、三角比の相互関係の公式です。

    tanθ=sinθ/cosθ
    sin2θ+cos2θ=1
    1+tan2θ=1/cos2θ
     (2は指数として読んでください。三角関数の倍角みたいに見えて嫌なんですけど)

    この公式は物凄く重要で、以後、度々登場します。
    使わないと解けない問題が多数あります。
    以後もずっと使い続けます。
    高2の「三角関数」でも、この公式を使います。
    三角比は、地道に計算で解くなどありえない単元です。
    公式を使えるかどうかが全てといっても過言ではありません。
    そういう意味で、公式を覚えるのが苦手な子は、「三角比から拒絶されている」という感覚を抱くことがあるようです。
    「三角比」という単元を無機質に感じ、全く親しみを覚えないようなのです。
    逆に公式さえ覚えれば、三角比は何でもないものなのです。

    と、これくらい強調しても公式を覚えない子がいるのが高校数学の不可解なところです。
    ちょっと努力しないと覚えられないような公式が多いからでしょうか。
    確かに、小学校の頃の三角形の面積の公式のように楽にスルスル覚えられるものではありませんよね。
    そのためか、
    「まあ、今は教科書を見ながら解いて、テスト前に暗記します」
    と悠長に構えている子が多いのです。
    しかし、以後の問題にはこれらの公式を使います。
    問題集の解答・解説は、この公式を使ったことは、いちいち解説されていません。
    解説が省略されていて、何のことかわからない。
    それは、公式を覚えていないことからきている場合が大半です。

    公式は忘れた頃にまた使います。
    「三角比」は「三角比」だけで終わる単元ではありません。
    高校二年になると、「三角関数」という単元があります。
    これは、「三角比」で学習した内容を前提として先に進みます。
    三角比の公式を短期記憶にしかせず、全部忘れていると、翌年えらい目にあいます。
    公式は、早め早めに覚えて、覚えた状態で使い、長期記憶にすることをお勧めします。


    とりあえず、上の3つの公式を証明してみましょう。
    まずは1本目。
    tanθ=sinθ/cosθ から。

    三角比の定義より、上の図で
    sinA=a/c 
    両辺をc倍すると、a=c・sinA
    同様に、
    cosA=b/c 
    よって、b=c・cosA
    ゆえに、
    tanA=a/b=c・sinA/c・cosA=sinA/cosA

    次に、2本目。
    sin2θ+cos2θ=1
    これを証明します。

    三平方の定理より a2+b2=c2
    よって、(c・sinA)2+(c・cosA)2=c2
    c2・sin2A+c2・cos2A=c2
    両辺をc2で割って、
    sin2A+cos2A=1

    3本目はこの sin2A+cos2A=1 の両辺をcos2Aで割ります。
    sin2A/cos2A+1=1/cos2A
    tan2A+1=1/cos2A

    なお、実際に計算する際には、上の公式の両辺を逆数にして、
    cos2θ=1/(1+tan2θ)
    を活用しても良いでしょう。
    また、1本目の公式、tanθ=sinθ/cosθ
    の両辺にcosθをかけて、
    sinθ=tanθ・cosθ
    と変形した式を活用すると計算が楽です。

    では、実際に問題を問いてみましょう。
    問題 sinθ=3/5 を満たす鋭角θの、cosθとtanθの値を求めよ。

    sin2θ+cos2θ=1より
    cos2θ
    =1-sin2θ
    =1-(3/5)2
    =1-9/25
    =16/25
    θは鋭角なので、cosθ>0より
    cosθ=4/5

    cosθ>0 なんて当たり前なのになあと感じるかもしれませんが、この直後に、cosθが負の数になる場合を学習します。
    だから、これは書いておく必要のある1行なんです。

    数学の答案は、何を書いて何を書かないのかよくわからなくて混乱する人がいます。
    数学の答案で必要なのは、なぜそのように解けるのか、その根拠を示していくこと。
    今回は、2乗が16/25なのに、なぜ-4/5は答えではないのかは説明しておく必要があります。
    説明の仕方は多様です。
    一字一句にこだわるようなものではありません。

    さて、問題に戻りましょう。
    sinθは問題の通り、3/5、cosθは4/5 と出ました。
    では、tanθは?
    tanθ
    =sinθ/cosθ
    =sinθ÷cosθ
    =3/5÷4/5
    =3/5×5/4
    =3/4

    簡単ですね。
    あとは練習して慣れていけば大丈夫です。

      


  • Posted by セギ at 13:47Comments(0)算数・数学

    2017年10月30日

    11月11日(土)、大人のための数学教室を開きます。

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    2017年10月28日(土)、大人のための数学教室を開きました。
    今回は、いよいよ「複素数」の学習の始まりです。

    その前に、「2次方程式」に話を戻して考えてみましょう。
    例 x2+2x+5=0 を解きなさい。

    解いてみます。
    因数分解はできないので、解の公式を使いましょう。
    x=-1±√1-5
     =-1±√-4

    √の中が負の数になってしまいました。( 一一)
    2乗して負の数になる数なんてありません。
    だから、この2次方程式は、「解なし」となります。

    これが、今までの解き方でした。

    実数の範囲では、これで仕方ないのですが、しかし「解なし」というのは少し残念な感じがあります。
    解のない方程式があるなんて、美しくないな。
    これの解があることにしたらどうでしょうか?
    だって、少なくとも数字の上では書き表すことができるのですから。
    これが、複素数の最もわかりやすい出発点です。
    ピラミッドを作っていた時代から、その数はあるのではないかと問いかけられては否定されてきました。
    複素数の歴史を紐解くと、デカルト、オイラー、ガウスといったビッグ・ネームが次々と登場します。
    興味がある方は検索して調べてみてもよいかもしれませんが、複素数を知るのが初めての状態ですと異次元の数学世界が広がっていますので、あまりお勧めできません。
    物凄くかいつまんで説明しますと、実数というのは、1本の数直線上のどこかに存在する点です。
    有理数も無理数も、1本の数直線上に存在します。
    しかし、虚数は、実数の数直線上には存在しません。
    では、どこに存在するのか?
    実数の数直線を含む平面上に存在します。
    その平面が、複素数平面です。
    この瞬間に、数は、1次元から2次元に拡張されたのです。
    複素数は「2元数」ともいいます。
    でも、このお話が始まるのは、まだまだはるか先。


    では、複素数の定義を見てみましょう。
    まずは虚数単位から。

    2乗すると-1になる数を i とし、虚数単位と呼ぶ。
    すなわち、 i2=-1
    また、a>0のとき、
    √-a=√a i , -√-a=-√a i とする。

    そして、複素数の定義。

    a+bi (ただし、a、bは実数。iは虚数単位)
    の形で表される数を複素数といい、aを実部、bを虚部という。
    b=0のとき、すなわちa+0・i=aで、実数aを表す。
    b‡0のとき、すなわち実数でない複素数を虚数という。
    また、a=0のとき、すなわち0+bi=bi を純虚数という。

    これまで、数の集合は実数の輪を最大のものとして閉じていました。
    ベン図にするとわかりやすいです。
    まず自然数の集合がありました。
    1、2、3、・・・・といった正の整数です。
    それを含んで、整数の集合がありました。
    負の整数や0が自然数の外側に加わったひと回り大きな輪ですね。
    さらにそれを含んで有理数の集合がありました。
    整数で表すことができない小数や分数が外側に加わったひと回り大きな輪です。
    さらにその外側に実数の輪があります。
    実数の輪の内側で、有理数の輪の外側に位置するのが無理数です。
    無理数は、有理数ではない数。
    すなわち分数で現すことができない数です。
    円周率や√2などが無理数でした。
    有理数と無理数とをあわせて、実数と呼びました。
    実数の大きな集合の輪。
    今、その周りに複素数の大きな輪が描かれました。
    実数は、複素数の一部です。

    さて、ここまで理解できれば、あとは計算です。
    複素数の計算ルールは、i2=-1 さえ守れば、あとは実数のルール、特に文字式・方程式のルールに似ていますので、大きな抵抗はないと思います。
    実部は実部同士、虚部は虚部同士で足し算できます。
    実部×虚部は可能です。
    虚部×虚部も可能です。

    (a+bi)+(c+di)=(a+c)+(b+d)i
    (a+bi)(c+di)=ac+adi+bci+bdi2
    a、b、c、dは実数。

    例 (3-5i)(7+2i) を計算せよ。
    =21+6i-35i-10i2
    =21-29i-10・(-1)
    =21-29i+10
    =31-29i

    慣れてくれば計算過程は適宜省略し、与式の次は答えでも構いませんが、符号ミスを起こしやすい人は丁寧に解いていったほうが無難でしょう。

    例 x=(-1+√5i)/2 、 y=(-1-√5i)/2 のとき、x3+y3+x2y+xy2 の値を求めよ。

    これは、様ざまな単元の計算問題で繰り返し出てきた、対称式に関する問題です。
    逐一代入しても答えは出るのですが、面倒で時間がかかります。
    まず、xとyの和と積を求めるのが定石でした。

    x+y=(-1+√5i-1-√5i)/2
       =-2/2
       =-1
    xy=(-1+√5i)(-1-√5i)/4
      =(1-5i2)/4
      =(1+5)/4
      =6/4
      =3/2
    よって、
    x3+y3+x2y+xy2
    =(x+y)3-3xy(x+y)+x2y+xy2
    =(x+y)3-3xy(x+y)+xy(x+y)
    =(x+y)3-2xy(x+y)
    =(-1)3-2・(-1)・3/2
    =-1+3
    =2
    これは、対称式の計算のときによく使う、
    x3+y3=(x+y)3-3xy(x+y)
    という公式を利用した解き方です。

    あるいは、先に、
    x2+y2=(x+y)2-2xy=(-1)2-2・/32=1-3=-2
    を求めているのなら、
    x3+y3+x2y+xy2
    =(x+y)(x2-xy+y2)+x2y+xy2
    =(x+y)(x2-xy+y2)+xy(x+y)
    =(x+y)(x2-xy+y2+xy)
    =(x+y)(x2+y2)
    =-1・(-2)
    =2
    という求め方も可能です。
    これも公式を利用しています。
    x3+y3=(x+y)(x2-xy+y2)
    という公式です。
    新しい単元に入っても、既習の公式を覚えていないと実際の問題は解けません。
    解答・解説を読んでも、何でそういう変形をしているのか、意味がわかりません。
    とにかく、公式は全部頭に入れておきましょう。

    ところで、-1+√5i と-1-√5i は、和や積で虚数部分が消えて、その後の計算が随分楽になりましたね。
    虚部が異符号なのが良かったですね。
    こういう数を「互いに共役な複素数」と言います。
    「a+bi と a-bi を互いに共役な複素数という」というのが定義です。


    問題 -27の平方根を求めよ。
    -27の平方根は、±√-27 です。
    ±√-27 =±√27i=±3√3i

    問題 √-24・√-18 を計算せよ。
    √-24・√-18
    =√24i・√18i
    =2√6・2√3・i2
    =2・2・3√2・(-1)
    =-12√2

    これを
    √-24・√-18
    =√-24・(-18)
    =√24・18
    =12√2
    としてはいけないのです。
    a<0、b<0 のとき、√a・√b=√ab ではありません。
    それは、実数のときだけのルールで、虚数ではそれはできません。
    必ず、最初に i を使って書き直してから計算していきます。
    なぜできないか
    だって、上のように計算していいのなら、
    -12√2=12√2 となってしまい、矛盾します。
    これは背理法で証明できることだと推測できますね。

    さて、次回の数学教室のお知らせです。

    ◎日時  11月11日(土)10:00~11:30
    ◎内容  数Ⅱ「複素数」を続けます。p.22の問題8までが宿題です。
    ◎場所  セギ英数教室
           三鷹市下連雀3-33-13
             三鷹第二ビル 305
           春の湯さんの斜め前のビルです。
    ◎用具   ノート・筆記用具
    ◎参加費 2,000円
           当日集めさせていただきます。
    ◎予約  私の携帯メールかラインに、ご予約をお願いいたします。









      


  • Posted by セギ at 13:26Comments(0)大人のための講座

    2017年10月26日

    三角比。サイン・コサイン・タンジェントは正確に。


    今回も三角比のお話です。
    まずは三角比の基本の確認から。

    昔、大人のための数学教室で「三角比」を学習したときのことです。
    最初の授業で欠席された方が、欠席した分を自習する際に、三角形の頂点の記号を使ってサイン・コサイン・タンジェントの定義を覚えようとして、凄く難しかったと話していました。
    sinθ=BC/AC
    というように覚えようとされたのですね。
    それは無機質で覚えにくいでしょう。
    中学生のテキストでは直角三角形ABCの頂点Aは上に描くのに、「三角比」の直角三角形の頂点Aは下にあるのでさらに混乱したということでした。
    考えたこともなかった視点でした。

    三角比の覚え方。
    まずは、直角三角形を整地しましょう。
    ∠θが左下に、直角が右下にくるように直角三角形を置きます。
    この位置が、最初は一番理解しやすいです。
    直角三角形の各辺には名前があります。
    直角と向き合う辺が「斜辺」。
    ∠θと向き合う辺が「対辺」。
    残る辺を「底辺」と呼びます。(「隣辺」と呼ぶこともあります)

    そして、
    sinθ=対辺/斜辺
    cosθ=底辺/斜辺
    tanθ=対辺/底辺
    こうして、辺の名称で覚えるのが基本です。

    でも、それでもまだ覚えにくいですね。
    アルファベットの筆記体のsを描くように分母からなぞるのがサイン。
    cを描くようになぞるのがコサイン。
    tを描くようになぞるのがタンジェント、と覚えます。
    広く知られている覚え方です。

    数年前、高校生の男の子にこの覚え方を説明したら、鼻で笑って、
    「先生が考えたんですか」
    と小馬鹿にしたように言うので驚いたことがあります。
    高校生になって遅い反抗期が始まっていた子でした。
    「・・・いや、私が考えたんじゃなくて、これはよくある覚え方なんだけど」
    私がそう説明すると、その子は、否定されたと感じたのか、プライドが傷ついた様子で顔がこわばりました。
    以後、この覚え方が「嫌な記憶」になってしまったのか、意地でもこの覚え方は使わず、その後も延々とサインとコサインが逆になったり正しかったりを繰り返していました。
    しかも、私の前で間違えることが嫌なのか、ノートを手で隠したりもしました。
    単なる直角三角形の三角比をマスターするまで、大変な労力と時間が必要でした。

    助言には耳をかさず、自分のやり方で解こうとし、そしてさらに誤解を深めていく・・・。
    教える方も多少厄介に感じますが、教わる側はもっと辛かったのではないかと思います。
    教わっているのに素直に聞くことができないのですから。


    少し前、定時制高校出身の芸人さんたちが集まって体験や思い出を語り合うテレビ番組がありました。
    少し古い時代の、主に関西の定時制高校の様子が語られていました。
    定時制高校には、年齢も境遇も様々な人が通います。
    中学で不登校だった子。
    成績不良でどうしても全日制高校に合格できなかった子。
    非行を繰り返してきた子。
    そして、経済的事情のために高校進学できず、数十年後にその夢を叶えた大人の人たち。

    いわゆる不良少年たちは、定時制高校でも、教室で弱い者に暴力をふるったそうです。
    そのとき、50代の韓国人女性が割って入り、叫んだというのです。
    「ここには敵はいない」
    殴られる側だったその芸人さんは、そんな言葉が通用する相手じゃないと思ったのですが、その不良はその女性に抱きしめられて号泣したというのです。
    以後、学校で暴力をふるうことはなくなったそうです。

    ここには敵はいない。

    1対1の個別指導塾に敵など存在するわけもないのですが、そこに緊張関係を持ち込んでくる生徒がいないわけではありません。
    「そうだよ、私がこの覚え方を考えたんだよ。凄いだろう」
    とでも言ってふざけてあげたら良かったのかなあ。
    私をバカにすることで、その子は留飲が下がったのかなあ。
    もう何年も前の話ですが、悔いが残ります。

    何よりも、その子が三角比を覚え直し、何とかマスターするまでの時間の長さ、その損失の大きさに悔いが残るのです。
    以後は、覚え方を教えるときは、
    「これは有名な覚え方で、参考書にもよく載っているね」
    と前置きをして説明するようにしています。
    私が考えた覚え方のときでも、そう説明することもあります。
    そう説明することで素直に聞いて利用してくれるなら、それが一番良いことだからです。


    集団指導塾で教えていたときは、その覚え方が有効なものである限り、秀才少年たちが、
    「覚えやすいな、これ」
    「これは初めて聞いた」
    などとつぶやいてくれました。
    それで教室の風向きが作られ、これを覚えることが良いことだという空気が生まれました。
    塾に通う秀才は実利を優先します。
    教え方がわかりやすく、覚えやすい限り、友好的です。

    ただ、その一方、一般的には十分にわかりやすい説明や覚えやすいやり方でも、わからない子や覚えられない子はいます。
    そうした子は、集団塾では、そのことを口にすることができません。
    皆が「わかりやすい」と盛り上がっている中で、自分一人、わからないと感じる。
    それを表情に出すこともできない。
    そんな子もいます。

    こちらはこれ以上はないくらいに噛み砕いて説明したつもりでも、
    「わからない」
    と言われてしまうのが、個別指導です。
    これなら絶対覚えられるはずの覚え方を教えても、
    「でも、自分は覚えられない」
    と言われてしまうこともあります。

    でも、むしろ、そのほうが健全な状態なのかもしれません。

    個別指導でも、学生バイトが中心で、若くてカッコいい男の先生や可愛い女の先生が親切に教えてくれるところでは、気がひけてしまって、わからなくてもわからないと言えず、わかったふりをして迎合してしまう生徒がいます。
    理解力はあるが勉強が嫌いな生徒は、素敵な先生に教わるだけでやる気が出て成績があがります。
    でも、そういうことでは解決のつかない生徒もいます。
    わからないままなので、いくら通っても成績が上がりません。

    「わからない、わからない、わからない」
    と生徒が言い、私に迎合しないのは、1つの信頼の形なのかもしれません。
    遅々とした歩みですが、今回の中間テストは、これまで50点未満が指定席だった子たちが、全員、50点を突破しました。
    何がわからないのか。
    わからないことの一番奥にあるものは何なのか。
    ときにはため息の出るようなやりとりもありますが、少しずつ結果は出ています。


    三角比に話を戻します。
    慣れてくれば、サインとコサインは、とにかく分母は斜辺で、サインの分子はθと関係のないほう、コサインはθと関係あるほうと把握できるようになります。
    そうなれば、直角三角形が寝そべっていようが逆立ちしていようが、何でもなくなります。
    まずは、そこは目指しましょう。
      


  • Posted by セギ at 11:46Comments(0)算数・数学

    2017年10月25日

    セギ英数教室、生徒を募集いたします。


    セギ英数教室、生徒を募集いたします。

    現在の成績は、問いません。
    未来の秀才を求めています。
    小さな個別指導塾ですが、1人1人の成績を確実に上げることを目標に、実績を上げております。
    担当は、受験指導30年のベテラン。
    「上手な授業」というパフォーマンスではなく、受け持った生徒の成績を本当に上げることが目的の「学習トレーナー」を自認しております。
    必要な時期に必要な学習内容を提示します。

    ◎時間   1回の授業は90分。週1回です。
     今回募集いたしますのは、以下の2コマです。

     月曜日 16:40~18:10(1月からの募集となります)

     火曜日 16:40~18:10
    ◎形態   1対1の完全個別指導です。

        
    ◎指導科目 
     小学生  中高一貫校受験 算数・国語
           私立受験算数
           一般算数
            小学英語
     中学生  中高一貫校 数学
           中高一貫校 英語
           高校受験 数学
           高校受験 英語
     高校生  大学受験 数学
           大学受験 英語
           内部進学向けの数学・英語も承っております。
           英検など各種英語検定対策も承ります。

    ◎費用 
     週1回 受講で、月額20,000円
     週2回 受講で、月額36,000円
     (内訳 90分1コマ4,000円、諸経費・教材費月額4,000円)
      他に入会金を10,000円いただきます。

    ◎入会までの流れ
     まず、無料体験授業を受けてください。
     左の「お問い合わせ」ボタンからご連絡ください。

    以下の内容をご記入いただけますと、以後のやりとりがスムーズです。
    ①お子様の学校名
    ②学年
    ③性別
    ④ご希望の通塾曜日
    ⑤ご希望の体験授業日時(11月からとなります)
    ⑥希望科目
    ⑦体験授業の希望内容
    (例 「1次関数」 など)


    ◎場所   三鷹市下連雀3-33-13
            三鷹第二ビル305
           三鷹駅南口から徒歩5分。
           春の湯の斜め前のビルです。







      


  • Posted by セギ at 13:03Comments(0)大人のための講座

    2017年10月22日

    三角比は何に使うのか。誤解や思いこみとの闘い。



    今回は、三角比の話。
    高校生の中には、三角比から数学が全くわからなくなる子がいます。
    原因は色々考えられますが、いきなりタンジェントの定義から学習が始まることも1つの理由なのでしょうか。
    タンジェント自体はわからなくはない。
    でも、三角比とは何なのか?
    何のために三角形の辺の比を求めたりするのか?
    それが何だかよくわからない。
    わからないまま、とにかく言われたことをやらなければならない。
    そういう形で勉強が進みます。

    中学の数学から、あるいは小学校の算数から、勉強なんてとっくにそういうものになっている子は、諦めて黙々と勉強するのかもしれません。
    でも、中学までは、それなりに数学の学習の意味がわかっていた子が、この三角比で意味を見失い、数学につまずくのかと感じることがあります。

    ただ、中学の数学までは学習の意味がわかっていたというのは、おそらく誤解でしょう。
    「学習の意味」がわかっていたのではなく、「学習する内容」が本人にとってわかりやすいものだったのだと思うのです。
    自分が理解できることは、意味のあること。
    自分が理解できないことは、無意味なこと。
    そういうことにしてしまいたい気持ちは働いていないでしょうか。

    学ぶことの意味も、生きることの意味も、うまくいっていないときに考えることのように思うのです。
    考えることに意味はあると思いますが、知識がなく視野が狭い状態で考えると、あまり良いことは待っていないです。
    極端なことを考えてしまいがちです。
    まだ高校1年生なのですから、「何か意味があるんじゃないの?今はわからないだけで」くらいの感じて、ゆとりをもって臨みましょうよ。
    (*^^)


    三角比の使いみちは多様です。
    ひと口には言えないことですが、当面の目標としては、
    「三角形の角の大きさや辺の長さや面積を、ものさしや分度器で測らないで求めようとしているんだよ」
    ということでいいんじゃないかと思います。

    中学で、三角形の合同条件を学びます。
    3組の辺がそれぞれ等しい三角形は、合同である。
    2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい三角形は、合同である。
    1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい三角形は、合同である。

    合同である、ということは、そういう形と大きさの三角形は、この世に1つしかないということです。
    1つしかないものならば、その三角形のすべての角、全ての辺の数値は、決定しています。
    それは、計算で求められるのではないか?

    だから、
    3辺がわかっていれば、3つの角は計算できるはずです。
    2辺とその間の角がわかっていれば、残る1辺と、残る2角は計算できるはずです。
    1辺とその両端の角がわかっていれば、残る2辺と1角は計算できるはずです。
    そして、その全てにおいて、面積は計算できるはずです。

    三角比という単元の目標は、それです。
    とりあえず、そこに向かって学習が進みます。

    しかし、その目標達成のために、
    最初は直角三角形の辺の比の話を始めていたかと思ったら、
    サイン・コサイン・タンジェントの関係を表す公式が登場して、式の計算が始まります。
    じゃあ式の計算とか方程式の単元なのかなと思っていると、
    突然「単位円」なるものが表れ、座標平面上に描かれます。
    じゃあ、関数なのか?
    と思っていると、直角ではない三角形の話になってしまいます。
    この流れに飲み込まれ、混乱しませんように。


    「そうは言っても、現実生活に三角比なんか使わないし」
    そういう高校生もいますが、私は三角比を現実生活の中で利用しています。
    例えば、地形図に磁北線を引くときです。
    無雪期に、登山者の多い普通の登山道を歩くだけなら、「地形図」ではなく昭文社「山と高原地図」などの登山地図で事足ります。
    緑と茶色で色分けされた地形の上に登山道が赤で記され、何分かかるかコースタイムが記されている地図です。
    どこの書店でも、山のガイドブックなどが置かれているコーナーにあります。
    私も、普段の山歩きでは、ほとんどこの地図を使っています。
    何しろわかりやすいです。

    しかし、登山道ではない道を歩くとき。
    当然、道しるべはありません。
    あるいは、積雪期の山を歩くとき。
    すべて雪に覆われ、登山道は見えません。
    風雪のため、視界不良の可能性があります。
    そのような状況でも目的地に向かって進むために、2万5千分の1地形図とコンパス(方位磁石)を使います。
    地形図は、大きな書店や登山用具店に置いてあります。
    薄い引き出しが何重にも重なっている棚のようなものがお店の隅っこにあったら、開けてみてください。
    地形図がぎっしり詰まっています。
    あるいは、ネットで購入し、プリントアウトすることもできます。

    しかし、地形図は、買ってきただけでは、単に等高線が詰まっただけの紙です。
    コンパスを使うためには磁北線を書き入れなければなりません。
    というのも、「地図は上が北」とは言うけれど、コンパスの矢印が指す先は、正確には北ではないからなんです。
    地球は、巨大な磁石。
    しかし、その大きな磁石の極は、北極と南極ではなく、少しズレています。
    そのズレの角度は、地域によって異なります。
    しかも、年々、ほんのわずかですが変化します。
    その、磁石上の北、すなわち磁北をコンパスは北として指します。
    それを表す線を地形図上に描いておかないと、コンパスを正確に使用できません。
    その線が、磁北線です。

    どうせそんなの大した差じゃないんだろうと思うかもしれません。
    山梨県あたりで、「西傾6度10分」くらい。
    磁石上の北は、6度西に傾いています。
    地形図にそれを描くと、随分斜めなんで、びっくりします。
    この磁北線を引くときに使うのが、タンジェントです。

    例えば、こんなふうに引きます。
    まず、地形図の縦の長さをものさしで測ります。
    うむ、およそ42cm。
    三角比の表で、タンジェント6°を調べます。
    本当は6度10分だから、0.108くらいでいいかな。
    地形図上に斜辺が磁北線となる直角三角形をイメージします。
    右上に直角がある縦に細長い直角三角形ですね。
    直角を挟む縦の辺が42cm。
    横がxcmとすると、
    tan6°=X/42
    x=42×0.108
     =4.536
    なので、地形図の上部右端から、4.5cmのところに印をつけ、下部右端と直線で結びます。
    あとは、好みの問題ですが、私は5cm間隔でそれの平行線を引いています。
    これで磁北線の入った地形図の完成です。
    ヽ(^。^)ノ
    今は、パソコン上で磁北線を入れた上でプリントアウトするサービスもありますが、手書きできる技術を身につけておくことは全てにおいて有効です。


    地図は上が北。
    そのことで思い出す女の子がいます。
    大手の個別指導塾で働いていた頃、小6の女の子に社会科を教えていました。
    彼女は、中学受験生でしたが、8方位が理解できていませんでした。
    「東南」「北西」などの方角がわからないのです。
    ときどきは正解します。でも、またできなくなります。

    東と西の区別がつかない子は小学生に多いですが、理解できていないのではありません。
    西と東が逆になってしまうだけですし、それの覚え方はあります。
    でも、彼女の場合、それとは違うようでした。
    北と南もときどき逆になります。
    本気で取り組んでいるのに、8方位が理解できないのです。

    私は、試しに地図のコピーに東西南北を書き込んでみました。
    「これで練習しよう」
    と言うと、彼女は、不機嫌に答えました。
    「これは、違う。北は上だよ」
    彼女は、天を指差しました。

    「地図は、上が北」と言います。
    しかし、上とは、何なのか。
    そこから説明してもらえたことが一度もなかったから、彼女は誤解していたのです。
    子どもは、ときどき、大人が驚くような誤解をしています。
    いえ。
    彼女のは、誤解ではなかったのかもしれません。
    空に輝く北極星。
    あれが北だと、理科では教わるのですから。
    地球の外から北を把握し、1枚の地図にまでズームアップするとき、北の意味が本当に把握できるのです。
    地図は、上が北。
    そこまでクリアになったとき、彼女は、もう方位は間違えませんでした。

      


  • Posted by セギ at 12:45Comments(0)算数・数学

    2017年10月18日

    2次関数の解の正負に関する問題。


    高校数Ⅰの「2次関数」のラストを飾るにふさわしい応用問題と言えば、これ。
    2次関数の解の正負に関する問題です。

    問題 2次方程式 x2-2ax+a+2=0 が2つの正の解をもつとき、aの値の範囲を求めよ。

    発展的な問題とはいえ典型題ですので、解法パターンをしっかり把握しておきたいものです。
    それには、なぜそれで解けるのか、一度しっかり理解することが大切です。
    まず、F(x)=x2-2ax+a+2 という2次関数を考えます。
    このグラフは下に凸の放物線です。
    それが、x軸の正の部分と2点で交われば、上の2次方程式は2つの異なる正の解をもちます。
    そのような放物線を座標平面上に描いてイメージします。
    このとき、x軸・y軸との位置関係が重要なので、それらもしっかりと描いておくことが必要です。
    きちんと描いた上で、放物線がこのような位置にくる条件を考えていきます。
    x軸と2点で交わることから真っ先に思い浮かぶのは判別式でしょう。
    判別式が0より大きいならば、x軸と2点で交わるのでした。

    ここで「え?」となってしまう場合、判別式のところに戻って復習したほうが良いと思います。
    応用問題を解く中で、以前に学習した基本が身についていないことに気づくことはよくあることですが、そこに戻って復習することを嫌う子は多いです。
    「まあ、いいから、そういうことなんだとしよう」
    と目先の応用問題ばかり気にかけ、解き方だけ暗記しようとします。
    しかし、判別式とx軸との共有点の関係がピンとこなくなっているのなら、この応用問題は形が少し変わればもう解けないと思います。
    ならば、前に戻って復習し、せめて判別式に関する基本問題で得点することを目指すほうが現実的です。

    [1]判別式D/4>0より
    a2-(a+2)>0
    a2-a-2>0
    (a+1)(a-2)>0
    a<-1,2<a ・・・①

    しかし、これだけでは、放物線はx軸の正の位置でも負の位置でもどこでも、とにかく2点で交わることしか決定しません。
    では次に、放物線の軸の位置を決定してはどうでしょうか。
    軸が正の位置にあるなら、それより右側の共有点は、正の位置に確定するでしょう。

    [2]軸の方程式より
    x=2a/2>0
    a>0 ・・・②

    ここで、
    「え?今、何をやったの?何かの公式?」
    とうろたえる生徒も多数出ます。
    軸の方程式という言葉の意味さえわからないということもあり得ます。

    2次関数の学習が始まった最初のほうで、2次関数の頂点の座標を求める練習をしています。
    平方完成ですね。
    一般式でいうなら、
    y=ax2+bx+c
     =a(x2+b/ax)+c
     =a(x+b/2a)2-a(b/2a)2+c

    本当はもっと整理するのですが、今はx座標だけ見れば良いので、ここまでとします。
    頂点のx座標は、-b/2a です。
    したがって、この放物線は、x=-b/2a という直線を軸として線対称です。
    この直線の式を「軸の方程式」と呼ぶのでした。

    「ちょっと何言ってるのかわからない」
    という感想の場合、ここらへんが曖昧になっていると思いますので、復習したほうがいいのです。
    「2次関数」は大きい単元なので、テスト範囲が1学期末と2学期中間に分かれることがあります。
    そうなると、2学期中間テストの勉強をしていて、既に1学期末テスト範囲だったところがわからなくなっている子もいます。
    しかも、「テスト範囲ではないから」と言って、前半の振り返りをしないのです。
    基本がわからなくなっているのに、応用問題の解き方だけは丸暗記して済ませたい。
    こういう無理をする子がいます。
    でも、できるわけないですよね。
    ( ;∀;)

    [3] F(0)>0より
    F(0)=a+2>0
    a>-2 ・・・③

    さて、これは軸の左側の共有点のことを考えています。
    軸がx軸の正の位置にあっても、左側の共有点は負の位置に来る可能性はありますね。
    それを阻止するには、どうするか。
    放物線が、y軸と正の位置で交われば良いのです。
    そうすれば、必ずその右側でx軸と交わっています。

    以上で、放物線は確かにx軸の正の部分で2つの共有点を持つように固定できました。

    ①、②、③より a>2
    最後は、数直線上に3つの条件を整理して、3つとも満たすところだけを範囲とします。
    ここで、見誤って、2つしか満たしていないところを答えとしてしまう人も多いです。
    連立2次不等式を解く際にも同じ作業をするのですが、そこでも数直線を上手く読み取れない人がいます。
    そこが弱点だなと感じたら、自力で正答できる自信が持てるまで重点的に練習してください。


    さて、もう1つのパターンを見てみましょう。

    問題 2次方程式 x2-ax+a=0 が異符号の解をもつときのaの範囲を求めよ。

    これも3つの条件なのかな?
    と考えてしまいがちですが、実はこれ、ただ1つの条件を満たせば良いのです。
    F(x)=x2-ax+a という2次関数のグラフは下に凸の放物線です。
    これがx軸と正の位置と負の位置の2か所で交わるのなら、F(0)<0 です。
    これだけを満たせば、大丈夫です。
    「うそだー」
    と思う場合、y軸と負の位置で交わるのに、x軸の交点は正と負の2か所ではない放物線を描いてみましょう。
    描けませんよね?
    F(0)<0 だけが条件であることがそれで実感できると思います。

    すなわち、F(0)=a<0
    よって、a<0 が答えとなります。

    「2次関数」は、繰り返し問題を解いて慣れてしまえば、高校数学の中でも特にわかりやすい得点源です。
    (*^^)v

      


  • Posted by セギ at 12:37Comments(0)算数・数学

    2017年10月15日

    10月28日(土)、大人のための数学教室を開きます。


    今月号の『山と渓谷』は高尾山特集です。
    奥高尾のメインストリートの他、北高尾や南高尾など、山地図から読み取れるほぼ全コースを案内しています。
    周辺の山からのロングコースも。
    高尾山に初めて来た山岳ライターの記事が面白かったです。
    難しい顔で名物のお団子を食べています。( *´艸`)

    さて、10月14日(土)、大人のための数学教室を開きました。
    前回欠席された方がご出席。
    前回の演習から始め、最後の5分で、新しいところに突入しました。
    こんな問題です。

    問題 a+b=4 のとき、3a2+b2≧12 を証明せよ。

    a+b=4 という新しい種類の条件が提示されましたが、この使い方は何となくわかりますね。
    おそらく、代入して、文字を1種類に整理するのでしょう。
    a+b=4 より b=4-a 
    これを代入して、
    3a2+b2
    =3a2+(4-a)2
    =3a2+16-8a+a2
    =4a2-8a+16
    ここでいつものように平方完成してみましょう。
    =4(a2-2a)+16
    =4(a-1)2-4+16
    =4(a-1)2+12
    お?右辺と同じ12が出てきましたね。
    これで証明の方向が定まりました。
    (a-1)2≧0 より 4(a-1)2+12≧12
    等号はa=1のときですね。
    ならば、bも決定します。
    b=4-a=4-1=3
    よって、等号は、a=1、b=3のときに成立する。

    不等式の証明を学習していて、よく受ける質問に、
    「どのやり方で証明するのか、判断がつかない」
    というものがあります。
    パッと見た瞬間にこの問題はこのやり方、あの問題はあのやり方で証明する、と判断する基準は何なのか?
    それを求める高校生が多いのです。
    例えば、相加平均≧相乗平均 の定理を使うときと使わないときの違い、その基準は何なのか?

    気持ちはわかるんです。
    でも、そういうことはもっと演習しないと、基準や違いの説明を聞いてもピンとこないと思います。
    むしろ、そっちを覚えるほうが難しいです。
    とにかく試行錯誤してみることのほうを勧めます。
    「どのやりかたを使っていいのかわからないから、イライラする。解くのが苦痛だ」
    ではなく、
    「どのやりかたを使うのかわからないから、色々試してみる。それが面白い」
    だと思うんです。
    数学を楽しむ態度とはそういうものではないかなあと思うんですよ。

    小学校の算数や中学の数学は比較的良く出来たし得意だったという人が、高校数学が急に苦手になる原因の1つも、もしかしたらそれではないかと思うことがあります。
    中学の数学までなら、問題を読めばパッと解き方がわかった。
    数学とはそういうものだと思っていた。
    だから、色々考えないと解き方が見つからない高校数学が嫌いだ。
    自分には向いていないと感じる。
    そういうことなのではないかと思うのです。

    でも、色々考えるのが数学の楽しさです。
    (*^^)v

    さて、次の問題。
    問題 a>1、b>1、a+b=1 のとき、不等式 ax2+by2≧(ax+by)2 を証明せよ。

    まずは、上の問題と同様に代入してみましょうか。
    a+b=1 より b=1-a
    これを左辺-右辺 の式に代入して、
    ax2+by2-(ax+by)2
    =ax2+(1-a)y2-{ax+(1-a)y}2
    =ax2+y2-ay2-a2x2-2axy(1-a)-y2(1-a)2
    =ax2+y2-ay2-a2x2-2axy+2a2xy-y2(1-2a+a2)
    =ax2+y2-ay2-a2x2-2axy+2a2xy-y2+2ay2-a2y2

    うわあ・・・・。
    この先、やりようがあるのかもしれませんが、ちょっと迂回したくなってきました。
    これは、1回戻って考え直したほうが良さそうです。

    バラバラにしたのが良くなかったのかもしれません。
    代入前に戻って整理し直してみます。
    ax2+bx2-(ax+by)2
    =ax2+bx2-(a2x2+2axby+b2y2)
    =ax2+bx2-a2x2-2axby-b2y2
    =(a-a2)x2-2abxy+(b-b2)y2
    =a(1-a)x2-2abxy+b(1-b)y2

    ここで、あっとひらめくのです。
    a+b=1より、1-a=bですし、1-b=aです。
    この両方をそれぞれに代入します。
    =abx2-2abxy+aby2
    =ab(x2-2xy+y2)
    =ab(x-y)2≧0
    よって、ax2+bx2≧(ax+by)2
    等号は、x-y=0、すなわちx=yのとき成立する。

    そんなやり方、思いつかないよ。
    最初はそういう感想で当然だと思います。
    このテクニック、頭の引き出しに入れておきましょう。
    類題を解くときに使うかもしれません。

    さて、次回の数学教室のお知らせです。
    次回はいよいよ複素数について学習します。
    新しい数の登場ですよー。

    ◎日時  10月28日(土)10:00~11:30
    ◎内容  数Ⅱ「複素数」に入ります。p.19の問題21までが宿題です。

    ◎場所  セギ英数教室
           三鷹市下連雀3-33-13
             三鷹第二ビル 305
           春の湯さんの斜め前のビルです。
    ◎用具   ノート・筆記用具
    ◎参加費 2,000円
           当日集めさせていただきます。
    ◎予約  私の携帯メールかラインに、ご予約をお願いいたします。



      


  • Posted by セギ at 15:48Comments(0)大人のための講座

    2017年10月12日

    場合の数と確率。思考の幻影と闘う。


    「場合の数」という単元は、小学校6年生で最初に学習します。
    「ならべ方・組合せ方」といった単元名で、全ての場合を書きだして求めるのが基本です。
    樹形図の基本もここで学びます。

    中学2年生で、「場合の数と確率」を学びます。
    「順列」「組合せ」「確率」という用語が登場しますが、この時期も基本は全て書きだして場合の数を求めることが多いです。
    中高一貫校では、この時点で公式も教えますが、公立中学では、樹形図などを用いて全て書きだしていくのが基本です。
    都立入試の問題も、そのような構造の問題が多いです。
    例えば、以下のような問題です。

    問題 サイコロを2回投げて出た目の和が6となる確率を求めなさい。

    1つのサイコロで出る目は1から6の6通り。
    よって、2つのサイコロで出る目の場合の数は、6×6=36(通り)
    このうち、目の和が6となるものは、順番に書きだしていくと、
    (1,5),(2,4),(3,3),(4,2),(5,1) の5通り。
    よって、確率は、5/36。

    簡単な問題に見えて、間違える子は案外多いです。
    間違える子の多くは、以下のように間違えます。
    和が6になるのは、(1,5),(2,4),(3,3) の3通りだけれど、順番が逆なのもあるので、
    3×2=6(通り)
    だから確率は、6/36=1/6。
    (3,3)は1通りしかないことに気づかないのですね。

    こういう思考をする子は、数学が特別できないわけではないのです。
    全部書き出して済ますのではなく、何とか計算しようと工夫しています。
    しかし、詰めが甘い。
    全部書き出していくのが嫌なら、( )内の最初のほうの数字だけに注目して、1から5までだな、それなら5通りだなと瞬時に判断するほうがよりシャープな思考だと思います。

    地道で丹念であること。
    よりシャープな思考を選択すること。
    「場合の数と確率」の単元は対極にあるような上の2つを同時に要求される単元なのだと思います。

    「何だ5通りかあ。だまされた」
    などとブツブツ言いながらも納得する子も多いですが、
    「え?6通りでしょう?(3,3)は2通りあるじゃないですか」
    と主張する子もいます。
    「いえ。(3,3)は、1通りしかないですよ」
    「2通りありますよ。こっちの(3,3)と、あっちの(3,3)は、違う(3,3)じゃないですか」
    と言うのです。
    もう1つの(3,3)の幻影が見えている様子です。
    一度この幻影が見えてしまった子は、なかなか説得できません。
    「場合の数と確率」という単元は、こういう思考上の幻影が見えてしまうのも1つの特徴なのかもしれません。


    高校数学になると、順列も組合せも公式を用いて計算するようになりますが、上のような幻影はさらに濃くなり、多くの人を翻弄します。
    数年前、高校生に組み合わせの計算を少し簡単にする方法を指導したときのことです。

    問題
    12人の生徒を7人のAグループと5人のBグループに分ける方法は何通りあるか。

    その子は、まず、12C7という式を立てました。(12や7は、実際にはCより小さく書きます)
    そこで私は、少し計算が楽になる助言をしました。
    「12人から7人を選ぶ組み合わせは、12人から5人を選ぶ組み合わせと同じだから、そっちで式を立てたほうが、約分が少なくて楽だよ」
    「ええっ?」
    「・・・・・・え?」
    その子の驚き方があまりに大きかったので、逆に私が驚いたくらいだったのですが、この話、その後が長くなりました。
    「え?どういうことですか?」
    「だから、12人から7人を選ぶということは、12人から5人を選ばないということと同じことだから、選ばない5人を選んでも、同じことなんだよ」
    「え?それは、計算するとたまたまそうなるということですか?約分するとどうせ消えるからということですか?」
    「・・・・・・たまたまじゃなくて、当然そうなるよ。12人から7人を選ぶことと、12人から5人を選ばないということは、同じことなんだよ」
    「ええ?」
    「わからない?」
    「わかりません」
    「・・・・・・・・そうか。じゃあ、とにかく、好きなようにやってみよう」
    「見捨てないくださいよ!」
    「いや、見捨ててないよ。自分のわかるやり方でいいよ」

    それともう1つ。
    これほど理解できないということは、彼女は何か他に誤解していることがあると感じたのです。
    それを見極めれば、その子が理解できる説明があるかもしれません。
    その子は、首を傾げながら、再びその問題を解き始めました。
    彼女が書き終えた式は、12C7+12C5というものでした。

    「待て。なぜ、それを足すの?」
    「え、だって、Bグループも選ばないと」
    「・・・・・12C7・12C5なら、まだわかる。いや、それも誤解なんだけれど、まだ意味がわかる。でも、たし算って何?」
    「えー?」
    「この問題は、12C5だけで答えが出るよ」
    「ええっ。何でですか?」

    12人から7人を選べば、5人が残ります。
    残った5人が自動的にBグループになるので、それを計算する必要はありません。
    Aグループに入る人を選んだ後で、さらにBグループに入る人をわざわざ選ぶ必要はないのです。
    足すこともかけることも不要です。
    12人からBグループの5人のほうを先に選んでもいい。
    選ばれなかった7人が残ります。
    その人たちが自動的にAグループになります。
    だから、人数の少ないBグループを計算するほうが少し楽なんです。

    しかし、いったん誤解し、思考がねじれてしまっている子が、上の話を理解してくれる可能性は低いのです。
    「場合の数と確率」の単元で、生徒が見てしまった幻影を消すのは大仕事です。
    例えるならそれは、シャツのアイロンかけをするとき、普通の洗濯じわなら簡単にまっすぐに伸びるのに、アイロンで誤って作ってしまったアイロンじわはなかなか取れないようなものでしょうか。

    ただ、上の話は理解してもらえなくても、理解してもらえる別の説明の仕方があります。
    12人から7人を選ぶ選び方は12C7。
    そのそれぞれに対して、Bグループは残った5人から5人を選ぶから、5C5。
    だから式は、12C7・5C5。
    でも、5C5=1なので、わざわざ書かなくてもいいですね。
    12C7=12C5 は、約分するとどうせそうなるからという理解でもいいです。
    一般式として証明するときは、そういう証明の仕方をしますから。

    この説明をすると、
    「最初からそう言ってくれれば、わかったのに」
    「・・・・・・・はい」
    そのように理解してくれる生徒は多いです。
    Bグループを選ばないままにしておくことは、どうしても納得できないので、5人から5人を選んであげると、頭の中がスッキリする様子です。
    そこがスッキリすると、12C7=12C5 の件は、大した問題ではなくなるようなのです。

    わかりやすさの基準はどこにあるのか。
    使っている言葉は、ほとんど変わらないのに。
    言葉を組み変えたり説明を変えたり、いろいろ試行錯誤をし、どれかがヒットするのを待つのですが、それでも伝わったり、伝わらなかったり。
    最初は伝わらかったことが、時間をおくと伝わったり。
    でも、それが面白いから、この仕事が好きなのかもしれません。


    最後にもう1問。これは少し難問です。

    問題 4人でじゃんけんを1回するとき、あいこになる確率を求めよ。

    シャープな思考と地道で丹念な解き方は、最終的に一致するものです。
    こういう漠然とした問題は、まずは具体的に地道に考えます。
    人を、A君・B君・C君・D君と名付けましょう。
    4人の手の出し方は、1人が3通りですから、全部で、3×3×3×3=81(通り)です。
    その中であいこになるのは、大きく分けて2通りあります。
    「全員が同じ手になる場合」と「3つの手が同時に出ている場合」です。

    まず、全員が同じ手になる場合は、
    全員がグー、全員がチョキ、全員がパーの3通り。

    次に、3つの手が同時に出ている場合。
    グー・チョキ・パーのどれかの手を2人が出し、あとは1人ずつでしょう。
    まず、グーを2人が出し、あとの手は1人ずつと考えてみましょう。
    A、B、C、Dを横に並べて、グー・グー・チョキ・パーのどの手を出すかを割り振っていきます。
    同じものを含む順列の公式で割り振ることができます。
    4!/2!=4・3=12(通り)
    これは、チョキを2人が出す場合も、パーを2人が出す場合も同じ数となるでしょう。
    だから、12・3=36(通り)

    よって、あいこになる場合の数は、
    3+36=39
    したがってあいこになる確率は、
    39/81=13/27 となります。

    このように、より具体的に考えていくことで立式が可能になります。
    高校数Aの「場合の数と確率」の問題は、より具体的に考えることが幻影を見ないコツだと思います。

      


  • Posted by セギ at 11:29Comments(0)算数・数学

    2017年10月09日

    2次不等式の解法。放物線がx軸と共有点を持たない場合。


    問題 2x2+x+5>0 を解け。

    これの、xの右の2は指数として読んでください。
    この種の問題は、テキストの解説・解答を読むと、いきなり判別式を書いて判断していると思います。
    なぜ、最初から、他の不等式とは違う解き方をするのか?
    他の不等式とどこが違うのか?
    自学自習をする上で、困惑する点の1つは、そういうところだと思います。

    でも、実は、こういう不等式も、他の不等式と同じ解き方から考え始めるのです。
    まずは普通の2次不等式のように、左辺を因数分解して解くことを考えます。
    しかし、因数分解はできないと気づきます。
    そこで、2次方程式の解の公式を使って解いていきます。
    すると、解の公式の分子の部分の√ の中、つまり判別式にあたる部分が負の数になってしまいます。
    そこで、ああ、この2次不等式は、普通のと違うぞと気づく。
    その流れで大丈夫なんです。

    ただ、慣れてくれば、そんなことをする前に、まず判別式だけ暗算することも可能です。
    というよりも、2次不等式を見た瞬間に、判別式は負の数になるなあとピンとくるんです。
    判別式 D=b2-4ac
    aは正の数となるように不等式は整えてあります。
    そこでcの正負が後半の-4acの正負を決定します。
    cが負の数ならば、-4acは正の数となり、b2-4ac全体も正の数なります。
    問題は、cが正の数のときです。
    cが正の数で、bの2乗よりも4acのほうが大きいと、D<0となります。
    正確にかけ算しなくても、ひと目で大体のことは判断できます。
    そういうこともあり、数学のテキストは、いきなり判別式を用いての解説が始まっています。

    しかし、このことを高校生に教えるのは難しいときがあります。
    cか正の数で、bの2乗よりも4acのほうが大きくなればいい。
    このことをなかなか理解できない子がいます。
    判別式を暗記していないため、書いてみないとわからない子もいます。
    bの2乗と4acのどちらが大きいかは、きちんと計算しなければわからない、と主張する子もいます。
    「こういうのは、私はきちんと計算しないと嫌なんですっ!」
    と、キレ気味の反応をする子もいます。

    結局、
    「わからないから、普通に解きます」
    と言われてその話は終了、というのはよくあることです。
    ( ;∀;)

    でも、それでも構わないんです。
    最初に書いたように、まずは因数分解できるのかなあと考え、ダメなら、2次方程式の解の公式で解いてみて、√ の中身が負の数になることに気づき、ああ、特別なタイプの2次不等式だと気づくという順番で、一向に構わないと思います。

    問題に戻りましょう。
    2x2+x+5>0 を解け。
    判別式D=1-4・2・5=-39<0
    判別式が負の数ですから、放物線y=2x2+x+5 は、x軸と共有点を持たないですね。
    軸と共有点を持たない、下に凸の放物線です。
    x軸の上空を放物線が浮いているイメージですね。
    では、そのyの値は常にy>0でしょう。
    ということは、すべてのxについてy>0、すなわち2x2+x+5>0 が成り立つということです。
    よって、この不等式の解は、すべての実数です。

    ここでの課題は、やはりどうしても y>0 と2x2+x+5>0 とが頭の中で一致しないことでしょう。

    x座標とy座標との関係について、何かが頭の中で詰まっていて、つながらない。
    そういう子は多いです。
    先日も、中学生に「1次関数」の授業をしていました。

    問題 直線y=1/3x+5・・・① がある。x軸上の点Pを通るx軸に垂直な直線と直線①との交点をQとする。
    点Pのx座標をtとするとき、PQの長さをtを用いて表せ。
    ただし、t>0とする。

    問題より、P(t,0)ですから、その真上にある点Qのx座標もtです。
    そして、点Qは直線①上の点ですから、Q(t,1/3t+5)と表すことができます。
    よって、PQ=1/3t+5 が答えです。

    この問題、わかる人には本当に何でもない問題なのですが、わからない子にとっては、もしかしたら一生理解することはないのではないというくらいわからないようなのです。
    点Pのx座標がtというのがまず少し抵抗があるようですが、それは問題にそう書いてあるので、仕方ないから諦めるようです。
    pの真上の点Qのx座標が同じtであることも少しモヤモヤしているようですが、まあギリギリ理解できるようです。
    しかし、Qのy座標が 1/3t+5 になることは理解できないのです。
    まして、PQ=1/3t+5 になることとなると全く理解できない様子です。

    「直線上の全ての点のx座標とy座標には、その直線の式と同じ関係があるんだよ。直線は、そういう性質の点の集合なんだから」
    「そうなんですか?」
    「うん。だから、y=1/3x+5 という関係が成り立つので、xがtのときは、yは1/3t+5になるんだね」
    「代入すればいいってことですか」
    「すればいいっていう言い方はちょっと引っかかるんだけど。本当にわかる?」
    「いや、全然わかんないです」
    「どこがわからない?」
    「いや、もうそれでいいってことで」
    「・・・・もう1回説明しますよ」

    このような中学生は多いです。
    理解していないので、問題の形式が少し変われば、もうそのことを利用できません。
    関数の応用問題が解けない子は、多くの場合、ここでつまづいています。
    座標平面上の点のx座標とy座標との関係を利用できません。
    その点がどの直線上にあるかに着目すれば、その直線の式を用いて、y座標を表すことができるのです。
    しかし、多くの子は、その点がどの直線上の点であるかに着目することができません。
    直線の式を用いるという発想を持つことができません。
    わかる子は一度の説明でスルッと理解するのですが。
    ここで、関数がわかる子とわからない子との間に大差がついていきます。
    何としても、中学のこの段階で関数の根本を理解しておいてください。
    高校数学を学ぶときに、大きく影響しますから。

      


  • Posted by セギ at 12:33Comments(0)算数・数学

    2017年10月05日

    2次不等式の解法。放物線がx軸と接する場合。


    さて、「2次不等式」の話の続きです。

    問題 x2-4x+4≧0 を解け。

    これは左辺が平方の形に整理されます。
    (x-2)2≧0
    2次関数 y=(x-2)2 を
    グラフにしてみると、点(2,0)でx軸と接する下に凸の放物線となります。
    この放物線は、すべてのxについてy≧0が成り立ちます。
    よって、もとの不等式の解はすべての実数です。


    問題 x2+6x+9>0 を解け。
    (x+3)2>0 と整理できます。
    放物線y=(x+3)2 は、点(-3,0)でx軸と接する下に凸の放物線です。
    これは、x=-3のときだけは、y=0となり、y>0を満たしません。
    だから、この不等式の解は、x=-3をのぞくすべての実数となります。


    問題 x2-6x+9≦0 を解け。
    (x-3)2≦0 と整理できます。
    放物線y=(x-3)2 は、点(3,0)でx軸と接する下に凸の放物線です。
    これは、x=3 のときだけy=0となり、y≦0を満たしますが、それ以外は全てy>0となり、y≦0を満たしません。
    よって、解は、x=3 となります。
    「不等式なのに解が1つだけでいいの?」
    と納得しない高校生もいるところですが、あてはまるところが1つしかないのですから仕方ありません。

    問題 x2-4x+4<0 を解け。
    (x-2)2<0 と整理できます。
    放物線y=(x-2)2 は、点(2,0)でx軸と接する下に凸の放物線です。
    これは、どのような場合にもy<0を満たしません。
    よって、解はない、となります。


    このようなタイプの問題を整理すると、

    (x-a)2≧0 のとき、 xはすべての実数
    (x-a)2>0 のとき、 xはaを除くすべての実数
    (x-a)2≦0 のとき、 x=a
    (x-a)2<0 のとき、 解はない

    上の( )の次の2は、指数として読んでください。
    この4パターンを理解するのにかなり時間がかかる子がいます。

    時間がかかっても正しく理解してくれたらそれで良いのですが、覚え間違えてしまう子もいます。
    奇跡的なほどに、逆に逆にものごとを覚えてしまう子がときどきいるんです。
    もういっそ、最初から逆に教えたら、むしろ正しく定着するんじゃないか、というほどに。
    解説を聞いて、そのときは理解しても、1週間経つと、また逆になっています。
    やればやるだけ混乱してしまう様子です。
    ( 一一)


    初期に覚え間違えると一生混乱するということはあります。
    私も、そういうのが1つあります。
    「熊」のアクセントがいまだによくわかりません。
    動物の「熊」と、目の下の「くま」の、どちらか頭高型アクセントだったか、混乱しがちです。
    これ、テレビを見ていても、アナウンサーやナレーターによってアクセントがバラバラであるように思うんですよ。
    私が混乱しているからそう思うのかなあ。
    ( 一一)

    最初に覚え間違えると、一生たたります。
    以前、あるタレントさんが「警視庁」と「警察庁」のどちらが何だったか、最初に覚え間違えて、よくわからなくなっているとぼやいていました。
    むしろ、世間一般では、警察庁というものの存在がほとんど認識されていないので、そこの混乱は起こりにくいのですが。
    高学歴タレントならではの不思議な混乱でした。


    左辺が平方になる2次不等式に話を戻して。
    「解はすべての実数」「解はない」などが答となる場合に、
    え、そんなのが答えでいいの?
    と納得しない高校生もいます。
    「解いた気がしない」
    と言うのです。

    すべての実数というのは、結局なんでもいいということだから、そんなのは答えと言えないのではないか。
    そんなふうに考えてしまうようです。
    そういう子は、x<3 というような答えでも、実は不満で、何ではっきり定まらないのが答えなんだろうと口にすることがあります。
    まだ小学校の算数の意識が残っているのかもしれません

    不等号に対する概念が小学生のままなのだと思うのです。
    不等号は、小学校では、大きさ比べ以外では使いません。

    3<5

    というようなことですね。
    実際には、
    2/7<0.3
    というように、小数と分数の大きさ比べなど、上の例よりは難しいことで使いますから、何かもっともらしいことをしている気がしますが、結局、小学生の間は、大きさ比べをしているだけです。

    しかし、x<3 が表しているのは、大きさ比べではありせん。
    「xは、3未満のすべての実数である」という意味なのです。
    これを、答えが定まっていないように思うのは誤解で、明確に定まっているんです。
    しかし、
    「xと3とを比べると、xのほうが小さい」
    というふうにしか思わないと、xの値はぼんやりしていて、じゃあなんなの?と感じてしまうようです。

    同様に、
    「解はすべての実数」
    というのも、解として明確に定まっています。
    解はすべての実数として、定まっているのです。
    しかし、そのことが理解しづらい子もいるようです。

    本人の理解不足から、
    「数学って何か変」
    「数学っておかしい」
    と不満を抱くようになり、数学を否定し始めることがあります。
    数学を否定し、数学を勉強しない言い訳にし、数学で受験できないようになってしまうのは、しかし、勿体ないです。
    全てを理解できないとイライラするのかもしれませんが、わかるところとわからないところがあっても数学全体は否定せず、何とかつきあっていってほしいなあと思うのです。

    難しい内容に対して、
    「学校でそんなのやってない」
    と主張する子もいます。
    これは微妙な話です。
    本当に学校で習っていないこともあるからです。
    進学校でない場合、こういう難しいところは省略してしまうことはあるでしょう。
    本人が数学を入試科目に使用する可能性が皆無であれば、無理に教える必要はないと私も判断します。

    しかし、本人が「やっていない」と思いこんでいるだけで、実は、学校で習っている可能性も高いのです。
    授業を聞いていない。
    授業が理解できていない。
    だから、何を学習し、何を学習していないのか、よくわからない。
    そういうことは珍しくありません。


    必ず持ってくるように言っても教科書を持ってきません。
    学校のノートもありません。
    学校の問題集だけは、塾で学校の宿題をやりたいなと期待して持ってきているので、それで調べます。
    「ここに、この問題が載っているけれど、本当に習っていないの?」
    そのように具体的に質問していくことで、ようやく本人の記憶が戻ってきたりします。
    「あ。やったかもしれない」

    ( ;∀;)


    「実数」という言葉が突然出てくると、えーと、実数って何?と言い出す子もいます。
    用語がいろいろありすぎて、だんだんわからなくなってくるという話は、少し前にもここでしました。
    しかし、数学の用語を使わないと、説明はもっとわからなくなります。

    以前にこんなこともありました。
    中学3年生と図形問題を解いていたときのことです。
    「この問題、補助線が要るね。どう補助線を引く?」
    と私が問いかけたところ、その子は、
    「真ん中の棒に、それと同じ幅の棒を、何かえーと、同じ幅になるように書いて・・・・・」
    と説明し始めました。
    「・・・・・待て。何を言っているのか、わからないよ」
    「だから、ここの棒を」
    「・・・・・・線分ACのことなの?中3が、数学の時間に、『線分』を『棒』と言ったらダメだよ」

    さらに彼の説明を聞くと、彼がしきりに「同じ幅」と説明していたことは、平行線のことだろうかと思ったのですが、実は、点Pから線分ACに垂線を下ろすことだったのです。
    さすがに、それは伝わらない。
    ( ;∀;)

    数学用語がたくさんあり、そのすべてについて厳密に定義されているのは、必要があってのことです。
    本人が使用している言葉の意味が、他人の理解とは異なる場合、伝えたいことが伝わらなくなります。
    だから、数学用語を正しく理解し、正しく使用することは、意味のあることなんです。

    教える側が、「すべての実数」という言葉を使わず、
    「なんか、何でもいいやつ」
    などと説明したら、おそらく、誰も理解できませんよね。
    (^-^;

    自然数、整数、有理数、無理数、実数。
    そして、この先に、虚数。
    用語の意味がわからなくなったら、その都度定義に戻って、正しい用語を正確に使用していきましょう。

      


  • Posted by セギ at 13:17Comments(0)算数・数学

    2017年10月03日

    10月14日(土)、大人のための数学教室を開きます。


    9月30日(土)、大人のための数学教室を開きました。
    今回は、「絶対値を含む不等式の証明」を学習しました。
    「絶対値」という言葉は、中学1年生の「正負の数」の最初のほうで学びます。
    数直線上での原点からの距離をその数の絶対値と呼びます。
    だから、+3も-3も絶対値は3です。
    したがって、絶対値とはその数の符号を外した数、すなわち正の数ととらえることができます。

    ここまでならシンプルな話なのですが、絶対値に文字がからむと途端にわかりにくくなるようです。
    例えば、高校数Ⅰで学習する以下の内容。

    |a|≧a
    |a|≧-a
    |a||b|=|ab|
    |a+b|2=a2+2ab+b2

    パッと見て、「そりゃそうだ。当たり前だ」と感じる子と、「え?え?何?」と焦る子とがいます。
    1つには、文字が正負の記号を含みこんでいることが理解しきれていないせいかもしれません。
    aという文字は、a≧0の可能性とa<0の可能性とがあります。
    そう説明されれば、「それは知っている。わかっている」と言うのですが、実際に問題を解くときには、わかっていないことが露呈してしまいます。
    aは正の数。
    -aが負の数。
    そういう感覚で解いてしまう子がいるのです。

    「aという文字が何なのか決まっていないのに、何で大小が言えるんですか?」
    そう質問されて、その質問がどういう意図のものかわからず、困惑したこともあります。
    「不等式の証明」の学習の始まりには、そういう疑問はもたない様子で、それなりに解いていたのです。
    しかし、絶対値を含む不等式になると、その質問が口をついて出てしまう。
    絶対値がわからないのか?
    最初から不等式がわからなかったのか?

    不等式の学習の最初に、全ての不等式が証明できるわけではなく、証明できる不等式だけを扱っているのですよと説明してあります。
    aという文字が何なのか決まっていなくても、大小が言える不等式だけを証明しているのです。
    でも、その説明をしても、その子の顔がパッと晴れることはないのです。

    おそらく、その質問は今どきの言葉で言えば「芯を食っていない」のでしょう。
    だから、私の説明も相手を納得させることがない。
    本人が質問したいことは、そのことではないのだと思います。
    では、何を問いたいのでしょう?
    わからないことの核心は、何なのでしょう?
    おそらく、わからないことの核心は、高校数学ではなく、中学の数学、あるいは小学校の算数の時代にあるのではないかと思うのですが、深すぎてなかなか届かないのが悩みです。


    ともかく、数Ⅱの実際の問題にあたってみましょう。

    問題 |a-b|≧|a|-|b| を証明せよ。

    この問題は、テキストでは、その上に例題が載っていて、それが、
    |a|+|b|≧|a+b|
    なのです。
    その解説を聞いた上で、実際に解くのがこの問題なのは、テキストの構成に若干悪意があるかもしれません。
    単純に例題の解法をなぞって解いてもダメですよ、という警告なのでしょうか。
    見た目が似ているので、同じように解いてしまう高校生は多いのですが。

    上の問題と例題とは、違うのです。
    では、何が違うのか?
    |a|+|b|≧|a+b|
    は、左辺も右辺も、正の数です。
    正の数での大小の比較ですから、それぞれ2乗して大小を比較することで単純に判断できます。
    しかし、
    |a-b|≧|a|-|b|
    は、左辺は正の数ですが、右辺は、負の数かもしれません。
    単純に2乗して大小を比較することはできません。
    ここは、場合分けして判断していかなければなりません。

    1) |a|-|b|<0 すなわち |a|<|b| のとき
    |a-b|>0、|a|-|b|<0だから、
    |a+b|>|a|-|b|

    2) |a|-|b|≧0 すなわち |a|≧|b| のとき
    (左辺)2-(右辺)2
    =|a-b|2-(|a|-|b|)2
    =a2-2ab+b2-(|a|2-2|a||b|+|b|2)
    =a2-2ab+b2-a2+2|ab|-b2
    =-2ab+2|ab|
    =2|ab|-2ab
    =2(|ab|-ab)
    ここで、|ab|-ab の正負について考えてみましょう。
    aとbが同符号あるいは0のとき、すなわち ab≧0 のとき、
    |ab|=ab となり、|ab|-ab=0 です。
    aとbが異符号のとき、すなわちab<0 のとき
     -ab>0 となり、|ab|-ab>0 です。
    よって、
    2(|ab|-ab)≧0
    ゆえに、
    |a-b|2≧(|a|-|b|)2
    したがって、
    |a-b|≧|a|-|b|
    1)、2)より、
    |a-b|≧|a|-|b|
    等号は|ab|=ab すなわち ab≧0 かつ|a|≧|b|のときに成り立つ。

    いかがでしょうか?

    さて、今回ご出席の方は、次回は欠席のご連絡を受けました。
    次回の授業は、まずは今回の内容に関して質問を受けます。


    ◎日時  10月14日(土)10:00~11:30
    ◎内容  数Ⅱ「等式・不等式の証明」を続けます。p.19の問題17までが宿題です。

    ◎場所  セギ英数教室
           三鷹市下連雀3-33-13
             三鷹第二ビル 305
           春の湯さんの斜め前のビルです。
    ◎用具   ノート・筆記用具
    ◎参加費 2,000円
           当日集めさせていただきます。
    ◎予約  私の携帯メールかラインに、ご予約をお願いいたします。




      


  • Posted by セギ at 15:29Comments(0)大人のための講座

    2017年09月27日

    2次不等式の解法。




    画像は、3年前、日影沢で撮影したキツリフネです。
    かなりピンボケですが。

    今日は2次不等式の話。
    例えば、こんな問題です。

    問題 x2-3x+2≧0 を解け。

    実際に解くときには簡略化して、作業手順だけの解き方になりますが、ここではじっくり考えてみましょう。
    まずは左辺を2次関数とします。
    =x2-3x+2
    この放物線はx軸とどのように交わるでしょうか。
    y=0を代入してみましょう。
    x2-3x+2=0
    (x-1)(x-2)=0
    x=1,2
    よって、上の放物線は、x軸と点(1,0)、(2,0)で交わるとわかります。

    x軸と2点で交わる下に凸の放物線をイメージしてください。
    ここで、不等式x2-3x+2≧0に戻りましょう。
    この不等式の解の範囲は、放物線で、x軸上とそれより上の部分ということになりますね。

    ここで「え?」「え?」となってしまう高校生は多いです。
    x2-3x+2の値というのは、yの値なのであるということが頭の中で上手く繋がらないのかもしれません。
    y=x2-3x+2
    としたのですから、x2-3x+2の値はyの値です。
    したがって上の不等式は、放物線で y≧0の部分ということになります。

    xについて解く練習ばかりしてきたせいか、x2-3x+2という式自体が何かの値を表しているということがピンとこない子は多いです。
    それがyとイコールであることも、頭の中で上手くつながりません。
    y=x2-3x+2
    と書いてあるんだから、そうでしょう?
    と説明しても、ポカンとしています。

    「え?じゃあ、x≧0が解?」
    と高校生に質問されて、ぎょっとしたりするのですが、そういうことではありません。
    y≧0の部分のxの範囲が解です。
    では、どの部分かというと、x軸で点(1,0)、(2,0)で交わっているのですから、x座標でいうと、1以下の部分と2以上の部分で、放物線はx軸上とそれより上となります。
    よって、解は、
    x≦1,2≦x
    となります。

    x軸上とそれより上の部分の放物線の各点のx座標が、この不等式の解です。
    このことを理解してもらうためにはかなり根気よく説明しなければなりません。
    ここでは、実際に放物線を用いて説明していないからわかりにくいという面もありますが、放物線を用い、わかりやすいテキストを見ながら解説しても、上手く理解できない子もいます。
    「学校でやったけど、意味がわからなかった」
    と相談を受けることが多い箇所です。

    中学生のときに関数と座標平面について確かな感覚を養ってこなかった子は、放物線上のそれぞれの点にx座標とy座標があることが曖昧なのかもしれません。
    x座標やy座標を活用するタイプの問題に弱い傾向があります。
    放物線は点が上下に動いているように見えるので、上下の方向、すなわちy座標のことしか考えられなくなるのでしょうか。
    放物線上の点には、x座標とy座標があります。
    y≧0 である範囲の放物線上の点の、x座標が解なのです。
    それをx軸上に落として説明しているテキストは多いです。
    しかし、x座標で考えることができない子は多いです。

    中学の間は、関数と方程式は、ほとんどつながりがありません。
    唯一、中2の「1次関数」で、「連立方程式のグラフによる解法」という内容を扱います。
    その際に、
    「関数をやってたはずなのに、急に連立方程式の話になるから、意味わかんない」
    と愚痴を言う中学生がいます。
    「連立方程式なんて計算で解けばいいのに、それをグラフで何かぐちゃぐちゃやっているから、意味がわからない」
    というのです。
    その「グラフで何かぐちゃぐちゃ」が、実は大切な部分なのですが、問題を解くことに短絡的にはつながりません。
    無駄に思えて無視してしまう子は多いです。
    数学の各分野でそれを繰り返すうちに、頭の中に残っているのは個々の問題の解き方だけになってしまいます。
    海の上に浮かんでいる島だけが見えていて、それが海底で全部つながっていることがわかっていない状態です。
    本人の頭の中では、島どうしがつながっていませんから、全て不安定な浮島です。
    より高度な内容が入ってきたときに、それでは処理できなくなります。
    本当に大切なのは、島ではなく、海底を作る作業でしょう。

    今回学習した2次不等式は、最初は理解してもそのうち作業手順だけになりがちなところです。
    2次不等式を実際に解くときは、いちいちグラフは描きません。
    不等号の向きだけで単純に処理していきます。
    そのせいもあって、時間が経つと途中の考え方が頭の中から消えていきます。
    海底が消え、浮島だけが残ってしまいます。
    なぜそれで解けるのか、わからなくなります。
    そうして、わからなくなっていることに、ある日突然、自分で気がつき、不安になります。
    そうなってから、先生に質問します。
    しかし、不安を感じながら聞く説明は、もう最初のときほど理解しやすいものではなくなっています。

    海底を作る作業は、本当に難しい。
    小学生の頃から、ある意味頭の回転が速く、作業を手順化して短絡的に結びつけることに慣れているタイプの子ほど、あっという間に海底が消えていくことがあります。
    全ては海底でつながっていることを常に意識して問題を解いていきたいですね。


      


  • Posted by セギ at 11:46Comments(0)算数・数学